みらい(新人医療事務)
先輩、小児科病棟のあるNICU・PICU持ちの病院さんから「小児特定集中治療室管理料」について聞かれたんですけど、私、正直あまり自信を持って説明できなくて…。
あおい(元・医療事務)
小児特定集中治療室管理料(区分A301-4)ですね。令和8年度の告示では、7日以内の期間が16,925点、8日以上の期間が14,784点(いずれも1日につき)という、かなり高い点数が設定されている特定入院料です。医科点数表の第3節「特定入院料」に位置づけられていて、届出を行った保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者について算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「特定入院料」ということは、診療所では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特定入院料は入院基本料の枠組みなので、そもそも入院設備を持つ病院向けの点数です。診療所では算定候補にはなりません。まずはこの前提を押さえておきましょう。
どんな患者が対象になるの?
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんって、具体的にどう決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、年齢要件と状態要件の両方が示されています。年齢は原則15歳未満ですが、児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は20歳未満まで対象が広がります。そのうえで、次のような状態にあり、医師が特定集中治療室管理が必要と認めた患者が対象です。
小児特定集中治療室管理料の対象患者(留意事項通知より)
意識障害または昏睡: 重度の意識レベル低下 急性呼吸不全・慢性呼吸不全の急性増悪: 呼吸管理が必要な状態 急性心不全(心筋梗塞を含む): 循環動態が不安定な状態 急性薬物中毒・ショック: 緊急の全身管理が必要な状態 重篤な代謝障害: 肝不全・腎不全・重症糖尿病等 広範囲熱傷・大手術後・救急蘇生後: 集中的な術後・蘇生後管理が必要な状態 その他外傷、破傷風等で重篤な状態: 上記に準ずる重篤な状態
みらい(新人医療事務)
15歳未満か20歳未満かの線引き、うっかり間違えそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。小児慢性特定疾病医療支援の対象かどうかで年齢の上限が変わるので、対象患者が20歳に近い年齢の場合は、その医療支援の対象になっているかどうかまで確認が必要です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、期間に応じて2段階の点数が設定されています。
| 期間区分 | 点数(1日につき) |
|---|---|
| 7日以内の期間 | 16,925点 |
| 8日以上の期間 | 14,784点 |

みらい(新人医療事務)
特定集中治療室管理料(大人用)だと1〜3の区分があったと思うんですが、小児用は区分が1つなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、小児特定集中治療室管理料には管理料1〜3のような区分はなく、期間による2段階の点数構成になっています。関連する特定集中治療室管理料とは点数体系が異なる点に注意してください。
算定できる日数の上限に注意
みらい(新人医療事務)
この点数、いつまで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則14日が限度です。ただし、患者さんの状態によって上限日数が延びる例外があります。
算定日数の上限(原則と例外)
原則: 14日を限度として算定します。 急性血液浄化(腹膜透析を除く)を必要とする状態、心臓手術ハイリスク群、左心低形成症候群、急性呼吸窮迫症候群、心筋炎・心筋症のいずれかに該当する小児: 21日が限度です。 臓器移植を行った小児: 30日が限度です。 体外式心肺補助(ECMO)を必要とする状態の小児: 35日が限度です。 手術を必要とする先天性心疾患の新生児: 55日が限度です。
みらい(新人医療事務)
上限日数のパターンがかなり多いですね。どの状態に当てはまるか、診療録でしっかり確認しないといけなさそうです。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特にECMOや臓器移植、先天性心疾患の新生児は上限日数が大きく延びるので、該当する状態か診療録で根拠を確認したうえで日数管理をするのが確実です。
基本点数に含まれる項目(包括範囲)
みらい(新人医療事務)
この点数の中には、他の項目も含まれているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の注2で、一定の項目は小児特定集中治療室管理料に含まれる(別に算定できない)とされています。
小児特定集中治療室管理料に含まれる主な項目(告示注2より)
入院基本料: 別に算定できません 入院基本料等加算: 原則として含まれます(別に算定できません)。ただし、告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注2ロに列挙された次の加算は除外され、別に算定できる項目として扱われます: 臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算、医師事務作業補助体制加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算(二類感染症患者入院診療加算に限る)、地域加算、離島加算、口腔管理連携加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、重症患者初期支援充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、術後疼痛管理チーム加算、病棟薬剤業務実施加算3、データ提出加算、入退院支援加算(1のイ及び3に限る)、精神疾患診療体制加算、排尿自立支援加算及び地域医療体制確保加算 検査: 第2章第3部の各区分の検査(検体検査判断料を除く) 点滴注射・中心静脈注射: 別に算定できません 酸素吸入: 使用した酸素・窒素の費用を除き含まれます 留置カテーテル設置・病理標本作製料(第13部第1節): 別に算定できません
みらい(新人医療事務)
20種類近くも除外リストがあるんですね…感染対策向上加算やデータ提出加算まで入っているのは意外でした。てっきり「含まれる」側の代表例だと思っていました。
あおい(元・医療事務)
そこが誤解しやすいところです。加算の名前の印象で「基本点数に含まれそう」「除外されそう」と判断すると間違えます。判断軸は一つだけで、告示の注2ロに列挙されているかどうかです。列挙されている加算はすべて別に算定でき、列挙されていない入院基本料等加算だけが基本点数に含まれる扱いになります。レセプトで別に加算を立てるときは、その加算が上のリストに載っているかを個別に確認してください。
主な加算も一緒に確認する
みらい(新人医療事務)
基本点数以外の加算もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、代表的なものが2つあります。いずれも別途施設基準への適合と届出が必要です。
小児特定集中治療室管理料に係る主な加算(届出が別途必要)
早期離床・リハビリテーション加算: 入室後早期から離床等に必要な治療を行った場合、入室した日から起算して14日を限度として500点を加算 早期栄養介入管理加算: 入室後早期から必要な栄養管理を行った場合、入室した日から起算して7日を限度として250点(入室後早期から経腸栄養を開始した場合は、当該開始日以降400点)を加算
みらい(新人医療事務)
早期栄養介入管理加算、経腸栄養を早く始めたかどうかで点数が変わるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算を算定する場合、入院栄養食事指導料は別に算定できない点も含めて確認しておきたいところです。
施設基準をどう確認する?
みらい(新人医療事務)
施設基準、かなり細かそうです…。
あおい(元・医療事務)
小児特定集中治療室管理料は特定入院料の中でも施設基準の項目が多い部類です。主な項目を整理しますね。
小児特定集中治療室管理料の施設基準(主な項目)
小児入院医療管理料1の届出: 小児入院医療管理料1の届出を行っている医療機関であること 専任の医師: 専任の医師が常時、小児特定集中治療室内に勤務し、交代で担う複数の医師のうち小児の特定集中治療の経験を5年以上有する医師を2名以上含むこと(宿日直を行う医師は不可) 専用の治療室・病床数: 小児特定集中治療室管理を行うにふさわしい専用の治療室を有し、病床数は8床以上、1床当たり内法測定で15平方メートル以上であること 必要な装置・器具: 救急蘇生装置、除細動器、ペースメーカー、心電計、ポータブルエックス線撮影装置、呼吸循環監視装置、体外補助循環装置、急性血液浄化療法に必要な装置を治療室内に常時備えること 自家発電装置: 自家発電装置を有し、電解質定量検査・血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施できること 専従要件: 治療室勤務の医師・看護師は、勤務時間帯に他部署での勤務や宿日直を併せて行わないこと 実績要件: 他院からの重症患者の転院受入実績や、人工心肺を用いた先天性心疾患手術の周術期管理実績など、いずれかの基準を満たすこと 医療安全対策加算1: 医療安全対策加算1の届出を行っていること
みらい(新人医療事務)
病床数8床以上っていうのも意外と大きいハードルですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。専用の治療室を8床以上、1床15平方メートル以上で確保する必要があるので、小規模な小児病棟ではそもそも施設基準を満たせないケースもあります。まずは自院の小児入院医療管理料の届出区分と、治療室の広さ・病床数から確認するのが現実的です。
みらい(新人医療事務)
「実績要件」というのはどういうものですか?
あおい(元・医療事務)
他の保険医療機関からの重症患者の転院受入実績(直近1年間で一定件数以上)か、人工心肺を用いた先天性心疾患手術の周術期管理の実績(直近1年間で80名以上)のいずれかを満たす必要があります。具体的な件数の基準は資料によって細かく分かれているので、自院の実績を確認したうえで、どの基準に該当するかを個別に確認してください。
加算ごとの施設基準にも注意
みらい(新人医療事務)
早期離床・早期栄養の加算にも、それぞれ施設基準があるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、あります。
加算の施設基準(早期離床・早期栄養)
早期離床・リハビリテーション加算: 小児の集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師、集中治療を必要とする患者の看護に係る研修を修了した専任の常勤看護師、急性期医療に5年以上従事した専任の常勤理学療法士・作業療法士・言語聴覚士で構成されるチームの設置と、プロトコルの整備が必要です 早期栄養介入管理加算: 所定の研修を修了し栄養サポートチームでの経験を3年以上有する専任の管理栄養士の配置が必要です(入院患者10人ごとに1人以上)
みらい(新人医療事務)
基本点数の施設基準を満たしていても、加算の施設基準は別ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。基本点数と加算は施設基準が別々になっているので、加算だけ届出が漏れているケースもあります。加算を算定候補にしたい場合は、加算ごとの施設基準を個別に確認しましょう。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出の様式はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出には所定の様式があり、あわせて治療室の平面図(面積等が分かるもの)の添付が必要とされています。治療室に勤務する従事者や、臨床検査技師等の勤務状況についても別途様式での届出が求められます。早期離床・リハビリテーション加算、早期栄養介入管理加算にも、それぞれ専用の届出様式があります。具体的な様式番号は改定のたびに更新されることがあるため、届出時は最新の届出手続きの通知で様式番号を確認してください。
自院で確認する順番(小児特定集中治療室管理料)
まず対象患者の年齢(15歳未満、または小児慢性特定疾病医療支援の対象で20歳未満)と状態(意識障害・急性呼吸不全・急性心不全等)を診療録で確認する 次に自院が小児入院医療管理料1の届出を行っているかを確認する 専用の小児特定集中治療室(8床以上・1床15平方メートル以上)と専任医師の配置基準を満たしているかを確認する 医療安全対策加算1の届出があるかを確認する 早期離床・リハビリテーション加算、早期栄養介入管理加算を算定候補にする場合は、それぞれの加算の施設基準・届出を個別に確認する 算定日数の上限(原則14日、状態により21日・30日・35日・55日)を超えていないか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちが算定候補かどうか整理しやすそうです。
あおい(元・医療事務)
特に病床数・広さの施設基準と専任医師の配置は、届出前の準備に時間がかかる項目なので、早めに現状を確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した厚生労働省の一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知・施設基準の届出に関する通知)の範囲では、小児特定集中治療室管理料そのものの点数・算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次情報ベース)。
改定差分の確認範囲について
今回照合したのは、点数(告示)・算定要件と対象患者(留意事項通知)・施設基準と届出(施設基準の届出に関する通知)の3種類の一次資料です。個別改定項目の解説資料まで含めた変更点の有無は、今回参照した資料の範囲では明確な記載を確認できていません。自院の届出に影響する可能性がある変更点は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式ページで最新の通知をご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と言い切るんじゃなくて、「確認した範囲では変更が見当たらない」ということなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。点数据え置きでも施設基準の要件だけ変わる改定もあるので、断定はせず、確認できた範囲を正直にお伝えするようにしています。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある確認漏れって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンがあります。
小児特定集中治療室管理料でよくある取り漏れ
年齢要件の見落とし: 15歳未満か、小児慢性特定疾病医療支援の対象で20歳未満かの区別を確認せずに算定してしまう 加算の届出漏れ: 早期離床・リハビリテーション加算、早期栄養介入管理加算はそれぞれ別の施設基準が必要なことを見落とす 算定日数上限の誤り: ECMOや臓器移植、先天性心疾患の新生児で延長される日数の例外を適用し忘れる、または逆に上限を超えて算定してしまう 包括範囲の誤り: 告示の注2で含まれるとされている検査・注射・処置等を、誤って別に算定してしまう
みらい(新人医療事務)
包括範囲の誤りは、点数が大きいだけに影響も大きそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。入院基本料や一部の検査・注射が含まれる点数なので、レセプト作成時にどこまでが包括範囲かを都度確認する習慣をつけておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか確認したいことがあります。診療所でも小児特定集中治療室管理料は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
小児特定集中治療室管理料は医科点数表の第3節「特定入院料」に位置づけられる入院料で、届出を行った保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者について算定候補になります。特定入院料のため、診療所では算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、届出をしなくても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、施設基準に適合しているだけでは足りず、地方厚生局長等への届出が必要です。届出が済んでいない場合は、施設基準を満たしていても算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数や施設基準は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
今回確認した一次資料の範囲では、小児特定集中治療室管理料そのものの点数・算定要件・施設基準について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません。ただし、確認した資料の範囲での判断のため、自院の届出に影響しそうな変更がないか、公式資料でも確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
早期離床・リハビリテーション加算だけを算定したい場合、基本点数の施設基準をすべて満たす必要がありますか?
あおい(元・医療事務)
早期離床・リハビリテーション加算は小児特定集中治療室管理料を算定する病室に入室した患者が対象のため、まず小児特定集中治療室管理料の施設基準を満たして届出をしていることが前提になります。そのうえで、加算独自の施設基準(チームの設置・プロトコル整備等)も別途満たす必要があります。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
以下の厚生労働省の公式資料をもとに整理しています。
この記事の根拠資料
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)/基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号): 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」ページより通知本文を確認できます
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する特定集中治療室管理料やハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料もあわせて確認しておくと、院内のICU系入院料を整理しやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。