みらい(新人医療事務)
部長から「うちも地域包括医療病棟入院料、検討してみたら」って言われたんですけど……正直、聞いたことはあっても中身がよくわかっていません。
あおい(元・医療事務)
地域包括医療病棟入院料は、区分番号A304の特定入院料ですよ。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、病院の入院に対する1日単位の入院料として設定されています。まずは大枠から一緒に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! そもそもどんな病棟のための入院料なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、「地域包括医療病棟入院料を算定する病棟は、高齢者の救急患者等に対して、一定の体制を整えた上でリハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供する役割を担うものである」と説明されています。救急で入ってくる高齢の患者さんに、入院早期からリハビリや栄養管理、退院支援まで一体的に提供する病棟、というイメージですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど、急性期と地域包括ケアの中間みたいな感じですか?
あおい(元・医療事務)
そのイメージに近いですね。目的の一部は地域包括ケア病棟入院料とも重なりますが、対象は病院の入院に限られます。診療所(無床クリニック等)や外来では算定候補になりません。まずはそこを確認しておきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どういう病院が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合し、地方厚生局長等へ届出を行った病棟を持つ病院が対象です。厚生労働省の告示では「注1別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟を有する保険医療機関において、当該基準に係る区分に従って、それぞれ所定点数を算定する」とされています。届出をしていない病棟では、この入院料は算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
患者ごとの条件というより、「どういう入院の経緯だったか」で区分が変わる仕組みです。留意事項通知には「地域包括医療病棟入院料は、当該病棟に入院している患者について、入院の経緯、治療内容及び当該患者の状態に応じて、原則として、入院時に該当する区分の所定点数を算定する。なお、緊急入院の患者とは、予定された入院以外の患者をいう」とあります。緊急入院か予定入院か、入院中に手術を行うかどうかで、入院料1〜3のどの区分になるかが決まるんです。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか? 区分がいくつかあるって聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい、まず地域包括医療病棟入院料には「入院料1」と「入院料2」という2つの届出区分があって、それぞれの中にさらに「入院料1・2・3」という患者類型別の点数が設定されています。少しややこしいので、表で整理しますね。
| 患者類型(区分) | 対象となる入院の経緯 | 地域包括医療病棟入院料1 | 地域包括医療病棟入院料2 |
|---|---|---|---|
| 入院料1 | 緊急入院で、入院中に手術を実施しないもの | 3,367点 | 3,316点 |
| 入院料2 | 緊急入院で手術を実施するもの、または予定入院で手術を実施しないもの | 3,267点 | 3,216点 |
| 入院料3 | 予定入院で、入院中に手術を実施するもの | 3,117点 | 3,066点 |

あおい(元・医療事務)
厚生労働省の医科点数表には「入院料1については、緊急入院の患者であって、入院時の主傷病に対して入院中に手術を実施しないもの、入院料2については、緊急入院の患者であって入院時の主傷病に対して入院中に手術を実施するもの及び予定された入院の患者であって入院中に手術を実施しないもの、入院料3については予定された入院の患者であって、入院時の主傷病に対して手術を実施するものについて算定する」と定められています。どちらの届出区分(入院料1・2)を選ぶかは、病院側の施設基準の充足状況によって決まります。
みらい(新人医療事務)
全部1日につきの点数なんですね。加算とか減算はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。まず入院した日から起算して14日を限度に、初期加算として1日につき150点が所定点数に加算されます。一方で、厚生労働省の施設基準の取扱いでは、許可病床数100床未満の病院で夜間に病棟の看護職員が一時的に救急外来で勤務する間、病棟の看護職員体制が看護職員1名を含め看護職員・看護補助者合わせて2名以上(入院患者が30人以下の場合は看護職員1名でも可)であり、当該病棟の看護に支障がないと医師・看護の管理者が判断した日に限り、「夜間看護体制特定日減算」として年6日以内かつ連続する2月以内の範囲で所定点数の100分の5に相当する点数が減算されるとされています。
90日を超える入院の扱い
90日を超えて入院する場合は、地域包括医療病棟入院料ではなく、区分番号A100一般病棟入院基本料の地域一般入院料3の例により算定する扱いになります。長期入院になっている患者さんがいる場合は、算定区分の切り替えを見落とさないよう確認が必要です。
施設基準(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
施設基準がかなり細かいって聞いたんですが……。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。地域包括医療病棟入院料は特定入院料の中でも要件が多い部類なので、ポイントを絞って確認していきましょう。まず基本の体制面です。
みらい(新人医療事務)
病棟の種類とか、人員配置ですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の届出通知では「病院の一般病棟の病棟単位で行うものであること」とされ、看護配置についても「当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が10又はその端数を増すごとに1以上であること」「看護職員の最小必要数の7割以上が看護師であること」という基準が示されています。加えて、「当該病棟に、専従の常勤理学療法士、専従の常勤作業療法士又は専従の常勤言語聴覚士(中略)が2名以上配置されていること」、そして「当該病棟に専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること」も求められます。
みらい(新人医療事務)
リハビリのスタッフと管理栄養士は必須なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。あとは病棟の実績に関する基準も重要です。「地域包括医療病棟入院料を算定するものとして届け出た病床に入院している全ての患者の状態を(中略)重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡに係る評価票を用いて測定を行い、その結果に基づいて評価を行っていること」とされていて、その基準値も「基準①割合指数 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合指数 1割9分 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合指数 1割8分 基準②を満たす患者割合 5割」と数値で定められています。
みらい(新人医療事務)
数字の管理、大変そうです……。
あおい(元・医療事務)
平均在院日数の基準もあります。「当該病棟に入院する患者の平均在院日数が原則として20日以内であること」とされていて、85歳以上の患者割合に応じて21日から最大25日まで延長できる規定です。あわせて「当該病棟において、退院患者に占める、在宅等に退院するものの割合が8割以上であること」という在宅復帰率の基準もあります。
救急対応に関する基準を見落としやすい
救急搬送患者の受け入れ実績や地域の救急医療体制での位置づけも施設基準に含まれます。厚生労働省の通知では「当該病棟において、直近3か月の入院患者に占める、救急搬送後の患者の割合が1割5分以上であること」、また「当該保険医療機関が次のいずれかを満たしていること。ア 医療法第30条の4の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている第二次救急医療機関であること。イ 救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院であること」とされています。救急告示の状況を院内で改めて確認しておきたいポイントです。
みらい(新人医療事務)
ほかにも確認すべき基準ってありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか併せて確認しておきたい基準があります。「データ提出加算に係る届出を行っていること」「当該保険医療機関が、特定機能病院以外の保険医療機関であること」「当該保険医療機関が、急性期総合体制加算に係る届出を行っていない保険医療機関であること」、そして「脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、(Ⅱ)若しくは(Ⅲ)及び運動器リハビリテーション料(Ⅰ)若しくは(Ⅱ)に係る届け出を行っていること」「入退院支援加算1に係る届け出を行っていること」も要件に含まれます。データ提出加算や入退院支援加算、リハビリ料の届出に加えて、急性期総合体制加算を届け出ていないことも条件になるので、既存の届出状況とあわせて確認するのがおすすめです。
みらい(新人医療事務)
地域包括医療病棟入院料1と2で、施設基準に違いはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出区分によって細かな違いがあります。厚生労働省の通知では、地域包括医療病棟入院料2の施設基準について「1の(1)から(19)まで及び(21)から(26)までを満たしていること」「当該保険医療機関が、専門病院入院基本料に係る届出を行っていない保険医療機関であること」とされています。入院料1・2のどちらの基準を満たすかによって届け出る区分が変わるため、この違いは自院だけで判断せず、専門病院入院基本料の届出状況も含めて公式資料と照らして確認することをおすすめします。
届出に関する事項
みらい(新人医療事務)
届出はどうやるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の届出通知に「地域包括医療病棟入院料の施設基準に係る届出は、別添7の様式9、様式10、様式20及び様式45の4を用いること」と定められています。複数の様式が必要になるので、施設基準を満たしているかの確認と並行して、様式の準備も早めに進めておくと安心です。
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 病院の一般病棟で、地域包括医療病棟入院料の施設基準に適合する病棟があるか確認する
- 看護配置・専従のPT/OT/ST・専任の管理栄養士など、人員基準を満たしているか確認する
- 重症度、医療・看護必要度、平均在院日数、在宅復帰率、救急搬送患者割合などの実績基準を満たしているか確認する
- データ提出加算・リハビリ料・入退院支援加算1など、前提となる他の届出が済んでいるか確認する
- 様式9・様式10・様式20・様式45の4を準備し、地方厚生局長等へ届出を行う

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この入院料、前の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
点数や基本的な人員配置の枠組み自体は、当サイトが収集している一次資料の範囲では大きな変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。ただし、施設基準の一部の運用が明確化されています。
みらい(新人医療事務)
どんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算などの施設基準にある「ADL(日常生活活動度)が低下した患者の割合」の計算対象について、厚生労働省の疑義解釈(令和8年3月23日事務連絡)で取り扱いが示されています。質問では「『A233』リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算並びに『A304』地域包括医療病棟入院料の『注11』及び『A308-3』地域包括ケア医療病棟入院料の『注14』に規定するリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の施設基準のうち、ADLが低下した患者の割合の計算の対象である『当該病棟を退院又は転棟した患者』について、令和8年度診療報酬改定において対象から除く患者として、『死亡退院及び終末期のがん患者等』とされたが」と説明されていて、令和8年度改定でこの除外の取り扱いが整理された形です。
令和6年度と令和8年度の対比
令和6年度(2024年度)の疑義解釈でも地域包括医療病棟入院料に関するやり取りが確認できており、この入院料自体は令和6年度時点から運用されています。令和8年度(2026年度)改定では、ADL低下患者割合の算出対象からの除外規定が明確化された点が、当サイトが確認できた主な変更点です。点数や人員配置の基本的な枠組みに関する変更は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認されていません。
みらい(新人医療事務)
令和6年度と令和8年度、両方きちんと区別しないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。地域包括医療病棟入院料に限らず、施設基準の細かい運用は改定のたびに見直されることがあるので、届出の際は必ず最新の令和8年度の一次資料で確認するようにしてください。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますね。
よくある確認漏れ
入院料1と入院料2の区分: 施設基準の充足状況によって届け出る区分が変わるため、自院がどちらの区分に該当するかを誤って判断してしまうケースがあります。 90日超入院の切り替え: 90日を超えて入院する患者については地域一般入院料3の例により算定する扱いになるため、長期入院患者の算定区分の見直しが漏れやすいポイントです。 前提となる届出の未了: データ提出加算やリハビリ料、入退院支援加算1など、地域包括医療病棟入院料の前提になる他の届出が済んでいないと、施設基準を満たせない場合があります。
施設基準の充足は自院での確認が必須
重症度、医療・看護必要度の基準値や研修の実施状況など、施設基準の細かな充足度合いは、各病院の実際の運用状況によって異なります。この記事の内容だけで「自院は算定候補になる」と判断せず、必ず一次資料と自院の実績データを突き合わせて確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。