みらい(新人医療事務)
部長、うちの病院で回復期病棟を検討してるんですけど、回復期リハビリテーション病棟入院料ってどんな入院料なんですか?
あおい(元・医療事務)
区分番号A308の特定入院料です。脳血管疾患や大腿骨頸部骨折などの患者さんに対して、ADLの向上による寝たきり防止と家庭復帰を目的に、リハビリテーションを集中的に行う病棟・病室が対象になります。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づく内容として、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
病院じゃないとダメなんですか?診療所では取れませんか?
あおい(元・医療事務)
この入院料は「病棟」または「病室」への入院が対象で、外来や在宅では算定できません。一般的には病院での届出が中心になりますが、対象になるかどうかは自院の病床区分と届出状況で確認が必要です。断定はできないので、後ろのよくある質問でも改めて整理しますね。
対象患者と病棟の考え方
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟又は病室に入院していて、かつ「別に厚生労働大臣が定める回復期リハビリテーションを要する状態」にある患者さんが対象です。留意事項通知では、対象となる病棟の性格が次のように説明されています。
対象病棟の考え方(留意事項通知)
病棟の性格: 脳血管疾患又は大腿骨頸部骨折等の患者に対して、ADLの向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行うための病棟及び病室であること 入院患者割合: 回復期リハビリテーションを要する状態の患者が常時8割以上入院している病棟及び病室であること
みらい(新人医療事務)
「回復期リハビリテーションを要する状態」って、具体的にはどう決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・施設基準等の別表で、疾患・状態ごとに個別に定められています。当サイトが収集した一次資料の範囲では、状態区分ごとの詳細な一覧までは確認できていないため、対象になるかどうかは診療録・患者の病名やFIM等の評価結果とあわせて、自院で個別に確認することをおすすめします。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
A308には、病棟の実績・体制によって6区分あります。いずれも1日につきの点数です。
| 区分 | 点数(1日につき) | 生活療養を受ける場合 |
|---|---|---|
| 回復期リハビリテーション病棟入院料1 | 2,346点 | 2,326点 |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料2 | 2,274点 | 2,253点 |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料3 | 2,062点 | 2,041点 |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料4 | 2,000点 | 1,980点 |
| 回復期リハビリテーション病棟入院料5 | 1,794点 | 1,774点 |
| 回復期リハビリテーション入院医療管理料 | 1,960点 | 1,940点 |

みらい(新人医療事務)
数字が結構違いますね……。何が区分を分けているんですか?
あおい(元・医療事務)
人員配置の手厚さと、リハビリテーション実績指数(患者さんのADLがどれだけ改善したかを示す指標)です。入院料1が最も体制の要件が厳しく、点数も高くなっています。この後、施設基準を一つずつ確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
算定できる日数に上限はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。注1に、患者さんの状態に応じて厚生労働大臣が定める日数を限度として算定する、と定められています。留意事項通知の実績指数の計算例では、大腿骨骨折手術後の算定日数上限が90日、脳血管疾患(脳卒中)の算定日数上限が150日という例が示されています。実際の上限日数は患者さんの状態区分ごとに個別に決まるので、対象患者ごとの確認が必要です。
算定要件に該当しなくなった場合の扱い
注1 ただし、当該病棟又は病室に入院した患者が当該入院料に係る算定要件に該当しない場合は、当該病棟が一般病棟であるときには区分番号A100に掲げる一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料の例により、当該病棟が療養病棟であるときには区分番号A101に掲げる療養病棟入院料1の入院料27又は療養病棟入院料2の入院料27の例により、それぞれ算定します。
施設基準(人員配置)
みらい(新人医療事務)
施設基準はどのくらい厳しいんですか?
あおい(元・医療事務)
区分ごとにかなり違います。まず入院料1・2から見てみましょう。
入院料1・2の人員配置基準
医師: リハビリテーション科を標榜しており、当該病棟に専任の医師1名以上 理学療法士: 専従3名以上 作業療法士: 専従2名以上 言語聴覚士: 専従1名以上 管理栄養士: 専任1名以上(入院料1を算定するものに限る) 社会福祉士等: 在宅復帰支援を担当する専従1名以上
みらい(新人医療事務)
入院料3〜5はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
もう少し人員配置の要件が緩やかになります。
入院料3・4・5の人員配置基準
医師: リハビリテーション科を標榜しており、当該病棟に専任の医師1名以上 理学療法士: 専従2名以上 作業療法士: 専従1名以上 言語聴覚士: 専従1名以上(入院料3又は4を算定するものに限り、望ましい配置) 社会福祉士等・管理栄養士: 専従・専任1名以上(望ましい配置)
みらい(新人医療事務)
入院医療管理料(区分6)は病室単位でしたよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。当該病室を有する病棟に専任の医師1名以上、専従の理学療法士1名以上、専任の作業療法士1名以上の常勤配置が必要です。加えて、対象地域に所在すること、当該病院を中心とした半径12キロメートル以内に回復期リハビリテーション病棟入院料1から5を届け出ている病院がないこと、新規入棟患者のうち4割以上が別表第九に掲げる一定の状態の患者であることなど、独自の要件も定められています。人員配置を区分ごとに比較すると、次の表のようになります。
| 区分 | 医師 | 理学療法士 | 作業療法士 | 言語聴覚士 |
|---|---|---|---|---|
| 入院料1・2 | 専任1名以上 | 専従3名以上 | 専従2名以上 | 専従1名以上 |
| 入院料3・4・5 | 専任1名以上 | 専従2名以上 | 専従1名以上 | (3・4のみ)専従1名以上が望ましい |
| 入院医療管理料 | 専任1名以上 | 専従1名以上 | 専任1名以上 | 条文上の明記は確認できていません |
みらい(新人医療事務)
重症の患者さんの割合にも基準があるんですね?
あおい(元・医療事務)
そうです。入院料1・2を算定する病棟では新規入院患者のうち重症の患者が3割5分以上、入院料3・4では2割5分以上が必要です。施設基準通知にこう定められています。
重症患者割合の基準(施設基準通知)
入院料1・2: 重症の患者(別添6の別紙21に定める日常生活機能評価で10点以上又はFIM得点で21点以上55点以下の患者、高次脳機能障害と診断された患者又は脊髄損傷と診断された患者)が新規入院患者のうち3割5分以上であること 入院料3・4: 重症の患者が新規入院患者のうち2割5分以上であること
みらい(新人医療事務)
入院医療管理料には重症患者割合の基準は無いんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。入院医療管理料の施設基準には「3の(4)を満たしていること」という規定があり、これは入院料3・4の重症患者割合(2割5分以上)と同じ基準を満たす必要がある、という意味です。
リハビリテーション実績指数と届出
みらい(新人医療事務)
「リハビリテーション実績指数」って何を見る指標なんですか?
あおい(元・医療事務)
患者さんが退棟するまでにFIM運動項目の得点がどれだけ改善したかを、算定日数上限に対する在棟日数の割合で調整して算出する指数です。届出を行う月や、各年度4月・7月・10月・1月のタイミングで算出し、区分ごとに基準値以上であることが必要です。
| 区分 | 実績指数の基準(届出等に関する基準として明記) |
|---|---|
| 入院料1 | 42以上 |
| 入院料2 | 32以上 |
| 入院料3 | 37以上 |
| 入院料4 | 32以上 |
みらい(新人医療事務)
入院料5と入院医療管理料は表に無いんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。施設基準通知の条文には、入院料5・入院医療管理料についても「実績指数37以上・32以上」という数字は出てくるのですが、それは専従の理学療法士・作業療法士が退棟後の訪問指導や外来リハビリテーションの業務を行ってよいかどうかの要件として書かれています。入院料1〜4のような『届出のための実績指数基準』として明確に書かれている箇所は、当サイトが収集した一次資料の範囲では確認できていません。入院料5・入院医療管理料の実績指数の扱いは、自院で条文を確認するか、地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
データ提出加算の届出も必要なんでしたっけ?
あおい(元・医療事務)
はい。「データ提出加算に係る届出を行っている保険医療機関であること」が、各区分の施設基準の一つとして明記されています。この基準については、別添7の様式40の7を用いて届出を行った時点で、当該入院料の届出を行うことができるとされています。
実績指数が基準を下回った場合
留意事項通知(13)キには、リハビリテーションの提供実績を相当程度有するにもかかわらず効果に係る実績(実績指数など)が認められない状態に該当した場合、当該月以降、1日につき6単位を超える疾患別リハビリテーション料(脳血管疾患等の患者で発症日等から60日以内のものに対するものを除く)は回復期リハビリテーション病棟入院料等に包括される、という取扱いが定められています。実績指数の維持は点数だけでなく算定範囲にも影響するため、定期的な確認が必要です。
診療に係る費用の扱い(併算定)
みらい(新人医療事務)
薬剤とか他の点数は別に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
原則、入院料に含まれます。留意事項通知にはこうあります。
薬剤料の扱い(留意事項通知)
回復期リハビリテーション病棟入院料等を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、回復期リハビリテーション病棟入院料等に含まれ、別に算定できない。
あおい(元・医療事務)
診療に係る費用全般についても、注3で「所定点数に含まれる」ものと、例外的に別に算定できるものが定められています。別に算定できる主な例外は、休日リハビリテーション提供体制加算(注2)、回復期リハビリテーション強化体制加算(注4)、入院栄養食事指導料(入院料1を算定するものに限る)、退院前訪問指導料、栄養情報連携料(入院料1を算定するものに限る)などです。逆に、第7部リハビリテーションの費用や医師事務作業補助体制加算、地域加算といった多くの加算は、注3の条文上、原則として所定点数に含まれるとされています。
みらい(新人医療事務)
休日リハビリテーション提供体制加算って何点ですか?
あおい(元・医療事務)
60点です。入院料5または入院医療管理料を算定している患者が入院する保険医療機関について、施設基準を満たす場合に、患者1人につき1日につき加算されます。回復期リハビリテーション強化体制加算は、入院料1を算定する病棟が対象で、患者1人につき1日につき80点です。
逓減ルールにも注意
注5では、入院料5について、算定を開始した日から起算して2年(入院料1〜4を算定していた病棟にあっては1年)を超えて算定する場合、100分の80に相当する点数を算定する、と定められています。長期間にわたり入院料5のみを算定している病棟は、逓減の対象になっていないか確認が必要です。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えしますね。当サイトが収集している一次資料は、現時点では令和8年度の告示・留意事項通知が中心で、令和6年度時点の同項目の一次資料と直接比較できる形では確認できていません。そのため、(一次資料の範囲で)前回改定(令和6年度)からの変更点は確認されていません、とお伝えするのが正確です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ変わってないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そうとは言い切れません。「確認できていない」というだけで、「変わっていない」と断定しているわけではないんです。改定差分は当サイトでも継続して調査していくので、変更が確認でき次第、この記事も更新します。今この記事で言えるのは、令和8年度時点の点数・施設基準は、ここに書いた内容だということです。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの病院で確認するとしたら、どこから見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、次のようになります。
自院で確認する順番
届け出ている(または届け出を検討している)区分が入院料1〜5・入院医療管理料のどれかを確認する その区分に必要な専任医師・専従理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・社会福祉士等の人員配置が満たせているか確認する 重症患者割合とリハビリテーション実績指数が、区分ごとの基準を満たしているか、直近の実績で確認する データ提出加算の届出状況、病室の床面積・浴室便所などの構造要件を確認する リハビリテーション実施計画書・日常生活機能評価またはFIMの測定・記録体制が整っているか確認する

よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
薬剤料の別算定: 回復期リハビリテーション病棟入院料等を算定する日の投薬に係る薬剤料は含まれるため、別に請求すると誤りになる可能性があります 実績指数の下振れ: 実績指数などの基準を満たさない状態に該当すると、6単位を超える疾患別リハビリテーション料が包括対象になる場合があります
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。似た枠組みの入院料として地域包括ケア病棟入院料もあるので、あわせて確認してみるのもおすすめです。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。