地域包括ケア病棟入院料とは? 基本をおさえよう
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「地域包括ケア病棟入院料」って、よく耳にするんですが、そもそもどんな入院料なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
地域包括ケア病棟入院料(区分A308-3)は、急性期治療を終えた患者さんや、在宅・介護施設から緊急で入院が必要になった患者さんを受け入れるための病棟向けの特定入院料です。令和8年度(2026年度)の点数表に定められていて、「急性期病棟からの受け入れ」「在宅復帰・在宅支援」の2つの機能を担う病棟が届出の上で算定を申請できるものです。
みらい(新人医療事務)
なるほど、急性期が落ち着いたあとの「つなぎ」の役割をする病棟なんですね。病院だけですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。届出が必要なので、一般病棟または療養病棟を持つ病院が対象です。診療所は対象外になります。届出は地方厚生局長等に対して行い、その届出に係る病棟(または病室)に入院している患者さんに算定する形になります。
みらい(新人医療事務)
入院料1から4まであると聞きましたが、どう違うんでしょう?
あおい(元・医療事務)
区分は1から4まで、それぞれ病棟型と管理料型(病室単位)があるので合計8区分あります。看護師の配置基準や在宅復帰率などの施設基準の充足度合いによって区分が変わってきます。一般的に入院料1が最も高い点数で、4に向かうほど施設基準が緩くなり点数も低くなります。確認すべきことは多いですが、まず自院の届出状況から確認するのが第一歩です。
令和8年度の点数区分(A308-3)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)で定められている点数は次の通りです。算定は1日につき、入院した日から起算して60日を限度に算定します。

| 区分 | 40日以内の期間 | 41日以上の期間 |
|---|---|---|
| 地域包括ケア病棟入院料1(病棟型) | 2,955点 | 2,807点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料1(病室型) | 2,955点 | 2,807点 |
| 地域包括ケア病棟入院料2(病棟型) | 2,766点 | 2,627点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料2(病室型) | 2,766点 | 2,627点 |
| 地域包括ケア病棟入院料3(病棟型) | 2,397点 | 2,276点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料3(病室型) | 2,397点 | 2,276点 |
| 地域包括ケア病棟入院料4(病棟型) | 2,187点 | 2,077点 |
| 地域包括ケア入院医療管理料4(病室型) | 2,187点 | 2,077点 |
算定限度と病床区分の注意点
入院した日から起算して60日が算定の限度です。算定要件に該当しない場合は、当該病棟が一般病棟であれば一般病棟入院基本料の特別入院基本料の例により、療養病棟であれば療養病棟入院料の例により算定します。療養病床の場合は、別に厚生労働大臣が定める場合を除き所定点数の100分の95に相当する点数で算定します(告示第69号・注1)。
みらい(新人医療事務)
1と2で200点近く違うんですね。自院がどの区分に当たるかは、どうやって確認するんですか?
あおい(元・医療事務)
各区分の施設基準は「基本診療料の施設基準等(告示第70号)」と留意事項通知(地方厚生局への届出書類)で定められています。届出済みの区分が自院の現在の区分になりますので、まず事務部門または地方厚生局の届出状況を確認してください。新たに届出を行う場合は、各区分の施設基準を満たしているかどうかを事前に精査する必要があります。
施設基準・届出の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準って、具体的にどんなことが求められるんですか?
あおい(元・医療事務)
地域包括ケア病棟入院料の施設基準は区分によって異なりますが、主な確認項目は次のとおりです。告示第70号(基本診療料の施設基準等)と留意事項通知が根拠資料です。
施設基準の主な確認項目(区分共通)
- 病棟・病室の種別: 一般病棟または療養病棟を有する病院であること
- 届出: 地方厚生局長等への届出が必要(届出なしでは算定候補になりません)
- 看護配置: 13対1以上の看護職員配置(区分により基準が異なります)
- 在宅復帰・在宅支援の機能: 在宅復帰率や在宅支援の実績要件(区分1・2が高い)
- 急性期転院受け入れ: 急性期の一般病棟から転棟・転院した患者の受け入れ実績
- リハビリの提供体制: 病棟専従のリハビリ職員の配置(区分により要件が異なります)
- 病床数の上限: 病棟単位または病室単位で60床以下(別途要件あり)
みらい(新人医療事務)
看護師の配置基準が高そうですね。届出が一番の前提ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出済みであることが算定の大前提になります。仮に施設基準を満たしていても、届出が済んでいなければ算定候補にはなりません。届出の状況は地方厚生局のウェブサイトでも確認できますが、まず自院の事務部門への確認が確実です。
特定地域の届出について
医療提供体制確保の観点から定められた「特定地域」に所在する病院は、注1に規定する届出の有無にかかわらず、特定地域用の点数(2,577点〜1,788点)で算定できる特例があります。対象地域かどうかは自院の所在地と告示の別表で確認が必要です。
地域包括ケア病棟入院料 看護補助体制充実加算(関連加算)
みらい(新人医療事務)
SEOキーワードにもある「看護補助体制充実加算」って、この入院料に上乗せできる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。令和8年度(2026年度)告示では、この加算は「看護補助・患者ケア体制充実加算」という名称で定められています。地域包括ケア病棟入院料(または管理料)に届出をしている病棟・病室について、さらに施設基準に適合していると届け出た場合に、1日につき所定点数に加算します。

| 区分 | 1日あたりの加算点数 |
|---|---|
| 看護補助・患者ケア体制充実加算1 | 190点 |
| 看護補助・患者ケア体制充実加算2 | 175点 |
| 看護補助・患者ケア体制充実加算3 | 165点 |
身体的拘束実施日の取り扱い
当該患者について身体的拘束を実施した日は、加算1・2を届け出ていても「看護補助・患者ケア体制充実加算3(165点)」の例により加算します(告示原文より)。
みらい(新人医療事務)
加算3が一番低いんですね。看護補助者配置加算との関係はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示に「看護補助者配置加算(160点)」の規定もありますが、告示原文の注4では「注5に規定する看護補助・患者ケア体制充実加算は別に算定できない」と明示されています(注4の中で「注5」を指して制限をかけています)。ですから、看護補助者配置加算と看護補助・患者ケア体制充実加算は同一患者に対して同時算定できません。どちらを届け出るかは、施設基準の充足状況とともに確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
それは気をつけないといけませんね。看護職員配置加算(150点)はどうですか?
あおい(元・医療事務)
看護職員配置加算(150点)は看護補助・患者ケア体制充実加算との間には上記のような制限がなく、告示上は別に加算する規定となっています。ただし、この加算も地方厚生局長等への届出が必要ですので、届出状況と施設基準の充足を確認した上で判断してください。
その他の関連加算(1日単位・入院初期)
みらい(新人医療事務)
ほかにも上乗せできる加算はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示(注6・注8等)で、いくつかの加算が設けられています。
主な関連加算(令和8年度)
- 急性期患者支援病床初期加算: 急性期の一般病棟から転棟・転院した患者が対象。14日限度。許可病床400床以上か未満かで点数が異なります(50〜250点)
- 在宅患者支援病床初期加算: 介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、自宅等から入院した患者が対象。14日限度。緊急入院かどうかで点数が異なります(310〜590点)
- 看護職員夜間配置加算: 1日につき70点。身体的拘束最小化等の取り組みを別に厚生労働大臣が定める日を除いた日に算定。届出が必要です
- リハビリテーション・栄養・口腔連携加算: 計画作成日から起算して14日限度で1日30点。リハビリ・栄養管理・口腔管理を連携・推進する体制の届出が必要
みらい(新人医療事務)
入院初期に集中して加算が取れる仕組みなんですね。包括点数の中に入るものとそうでないものの整理が大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
そこが一番の注意点です。地域包括ケア病棟入院料は「包括払い」の性格があり、多くの処置・検査が所定点数に含まれます(告示注7で列挙)。例えば、処置や投薬・注射の大部分は包括されますが、手術・麻酔・人工腎臓・腹膜灌流などは別算定の対象とされています。具体的に何が包括で何が別算定かは、告示の注7と留意事項通知で確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和6年度(2024年度)改定から何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定では、地域包括ケア病棟入院料に関連していくつかの変更があったことが、厚労省の令和8年度改定の告示資料(告示第69号・令和8年)で確認されています。主な点は次のとおりです。
令和8年度改定の主な変更点(確認済み事項)
- 看護補助体制充実加算の名称・内容の整理: 従来の「看護補助体制充実加算」が「看護補助・患者ケア体制充実加算」として整理・改称されました(告示第69号)。加算1〜3の区分体系は継続しつつ、身体的拘束実施日の取り扱いが明示されています
- リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の新設: 計画作成日から14日限度・1日30点の新加算が創設されました(告示注14)
- 包括範囲・別算定項目の見直し: 包括される診療項目の範囲が整理されています(告示注7)
みらい(新人医療事務)
「看護補助体制充実加算」という名称が変わったんですね。過去に算定していた病院は名称の確認が必要ですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。令和6年度(2024年度)以前の「看護補助体制充実加算」の名称で引き続き処理していると、令和8年度(2026年度)の改定後の名称・コードと相違が生じる可能性があります。レセプト上の名称・請求コードは、必ず令和8年度マスターで確認してください。前回改定(令和6年度)との詳細な差分については、厚労省「令和8年度診療報酬改定の概要」および個別改定項目資料で確認することをお勧めします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに特に気をつけることを整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい。主な注意点をまとめます。
算定上の主な注意点(令和8年度)
- 算定限度は60日: 当該病棟または病室に入院した日から起算して60日が上限です(告示注1)
- 包括点数への注意: 投薬・注射・処置の大部分は包括されます。包括範囲の確認が必須です
- 看護補助者配置加算と看護補助・患者ケア体制充実加算は同時算定不可(告示注4・注5の規定による)
- 特定日の減算: 年6日以内かつ連続2月以内の条件で「夜間看護体制特定日減算(所定点数の5%減算)」が適用される日があります(告示注9)
- 施設基準に一部適合しなくなった場合: 所定点数の85〜90%に減額して算定する規定があります(告示注10〜12)
みらい(新人医療事務)
60日を超えたら一般病棟入院基本料に戻るということですね。それは患者さんの退院計画にも影響しますね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。60日を念頭に置いた在宅復帰計画・転院計画が重要になります。患者さんやご家族へも早めの説明が大切です。
自院での算定可能性 チェックリスト
みらい(新人医療事務)
自院でこの入院料を算定候補として確認するには、どんな順番で進めればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
- 自院が「病院」であり、一般病棟または療養病棟を持つかを確認する
- 地方厚生局長等への届出が完了しているかを確認する(未届の場合は施設基準の充足を確認してから届出)
- 届け出ている区分(入院料1〜4・管理料1〜4)を把握する
- 看護職員配置加算・看護補助・患者ケア体制充実加算の届出状況を確認する
- 急性期患者支援・在宅患者支援の病床初期加算の対象患者かを入院時に確認する
- 包括算定範囲の一覧と自院の診療内容を照らし合わせて算定漏れ・誤算定がないかを確認する
- 令和8年度の診療報酬マスターで請求コード・名称が最新版になっているかを確認する
みらい(新人医療事務)
ステップ2が一番の基本ですね。届出なしでは何も始まらないということがよくわかりました。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出が確認できたら、次は各種加算の届出状況と対象患者の条件を一つひとつ確認していく流れです。焦らずに順番にチェックしてください。
よくある取り漏れ・誤算定パターン
みらい(新人医療事務)
この入院料でよくある算定ミスってどんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
現場でよく見られる取り漏れや注意点をまとめました。
よくある取り漏れ・確認不足パターン
- 看護補助・患者ケア体制充実加算の区分確認を怠る: 届出区分と実際の体制が一致しているか定期的な確認が必要です
- 身体的拘束実施日の加算区分の切り替えを忘れる: 加算1・2を届け出ていても、拘束日は加算3(165点)で算定する規定があります
- 包括算定範囲の処置・投薬を二重請求してしまう: 包括対象の診療行為を別途請求するとレセプト返戻の原因になります
- 60日を超えた算定: 入院日から60日を超えると地域包括ケア病棟入院料は算定できません。日数管理の仕組みを整備してください
- 急性期患者支援・在宅患者支援の初期加算の14日限度の管理漏れ: 入院初日を起算日として14日が上限です
- 令和8年度の名称変更・コード変更への未対応: 「看護補助体制充実加算」から「看護補助・患者ケア体制充実加算」への名称変更に対応した請求コードで算定しているか確認が必要です
よくある質問(FAQ)
みらい(新人医療事務)
読者からよく来そうな質問に答えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。よく聞かれる内容をまとめました。
みらい(新人医療事務)
まず「地域包括ケア病棟入院料と一般病棟入院基本料は同じ病院で両方持てますか?」という質問はどうでしょう?
あおい(元・医療事務)
同じ病院が一般病棟と地域包括ケア病棟を両方持つことは可能です。ただし、地域包括ケア病棟は病棟単位(または病室単位)で届け出るものなので、一般病棟の入院基本料と混在させることはできません。それぞれ別の病棟(または病室)として届け出る必要があります。
みらい(新人医療事務)
「入院料1と2はどちらを目指した方がいいですか?」という質問はよく来そうですね。
あおい(元・医療事務)
それは一概には言えません。入院料1の方が点数は高い一方で、施設基準が厳しく看護師配置・在宅復帰率・専従リハビリ職員の要件を満たす必要があります。自院の体制・患者構成・職員数を踏まえて、どの区分が現実的かを慎重に検討することが大切です。無理に上位区分を目指して施設基準に一部適合しなくなると、85〜90%の減算算定になるリスクもあります。
みらい(新人医療事務)
「看護補助・患者ケア体制充実加算を算定するために新たに看護補助者を採用しないといけないですか?」はどうでしょう?
あおい(元・医療事務)
施設基準の詳細は留意事項通知と告示で確認が必要ですが、看護補助者の配置基準を満たすことが要件の一つになっています。既存の体制で基準を満たしているかを確認し、不足している場合は採用を含めた体制整備が必要です。届出前に地方厚生局または社会保険診療報酬支払基金への相談も選択肢に入れてください。
公式資料(確認した資料一覧)
みらい(新人医療事務)
最後に、根拠になる公式資料を教えてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
今回の記事は以下の公式資料を根拠にしています。施設基準の詳細や個別の要件は、これらの一次資料で直接ご確認ください。
| 資料名 | 発行 | 概要 |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | 厚生労働省・令和8年度 | A308-3の点数・加算点数の根拠 |
| 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号) | 厚生労働省・令和8年度 | 施設基準(人員・構造等)の根拠 |
| 疑義解釈資料の送付について(その1)(令和8年3月23日 事務連絡) | 厚生労働省・令和8年3月 | 算定上の疑義解釈 |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。