一類感染症患者入院医療管理料って、どんな管理料ですか?
みらい(新人医療事務)
「一類感染症患者入院医療管理料」という名前、初めて見ました。うちの病院でも算定候補になるものでしょうか?
あおい(元・医療事務)
これは区分番号A305の特定入院料です。令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、対象を「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者」と定めています。
みらい(新人医療事務)
特定入院料、というのは何が特別なんですか?
あおい(元・医療事務)
特定入院料は病棟・病室単位で届出をする点数で、算定できる医療機関がかなり限られます。この管理料は診療所では算定できません。一般的な病院の届出とも少し違う、感染症法に基づく指定を前提にした点数なので、まず「うちの病院がその指定を受けているか」を確認するところから始まります。
みらい(新人医療事務)
感染症法に基づく指定、というのはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
順番に見ていきましょう。まず対象医療機関、次に対象患者、そして点数と算定できない期間、最後に自院で確認する順番、という流れで整理しますね。
対象医療機関はどこですか?
みらい(新人医療事務)
まず対象になる医療機関を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1には、次のように定められています。
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)A305 注1
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た感染症法第6条第13項に規定する特定感染症指定医療機関又は同条第14項に規定する第一種感染症指定医療機関である保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める感染症患者に対して入院医療管理が行われた場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関というのは、うちの病院が自分で「うちもそうなります」と申請できるものなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
この2つは感染症法に基づいて都道府県知事等が指定する医療機関の類型で、通常の施設基準の届出(人員配置や研修受講のような形で病院が自主的に整えて届け出るもの)とは前提が異なります。まず「感染症法上の指定を受けているかどうか」を確認し、指定を受けている医療機関が、その上で地方厚生局長等への施設基準の届出を行っている場合に算定候補になります。指定の有無がわからない場合は、都道府県の感染症担当部署や地方厚生局へ確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所は最初から対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。fee区分としても入院を前提にした特定入院料なので、外来のみの診療所は対象になりません。病院で、かつ上記の指定と届出がある場合に限られます。
点数と算定単位を教えてください(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、入院期間に応じて2段階に分かれています。
| 区分 | 点数(令和8年度) | 単位 |
|---|---|---|
| 14日以内の期間 | 9,732点 | 1日につき |
| 15日以上の期間 | 8,466点 | 1日につき |
みらい(新人医療事務)
14日を境に点数が下がるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。「1日につき」の点数なので、入院日数に応じて上記いずれかの点数を算定する形になります。この点数はあくまで令和8年度のものとして確認したものなので、他の年度の資料と混同しないようにしてください。

みらい(新人医療事務)
この点数には、入院基本料とか他の加算も全部含まれているんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なポイントです。次で詳しく確認しましょう。
この点数に含まれるもの・含まれないものは何ですか?
みらい(新人医療事務)
入院基本料や他の加算との関係が気になります。
あおい(元・医療事務)
告示の注2では、次のように含まれる項目が定められています。特に「除く」とされている加算は、この管理料に含まれずに別途算定できる可能性があるという意味なので、条文の言葉のまま確認してください。
告示(令和8年厚生労働省告示第69号)A305 注2
「第1章基本診療料並びに第2章第9部処置及び第13部病理診断のうち次に掲げるものは、一類感染症患者入院医療管理料に含まれるものとする。イ 入院基本料 ロ 入院基本料等加算(臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算、妊産婦緊急搬送入院加算、医師事務作業補助体制加算、地域加算、離島加算、口腔管理連携加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、データ提出加算、入退院支援加算(1のイに限る。)、医療的ケア児(者)入院前支援加算、排尿自立支援加算及び地域医療体制確保加算を除く。) ハ 酸素吸入(使用した酸素及び窒素の費用を除く。) ニ 留置カテーテル設置 ホ 第13部第1節の病理標本作製料」
みらい(新人医療事務)
つまり、入院基本料と、カッコの中に書かれていない入院基本料等加算は、この管理料の点数に含まれてしまって別に算定できない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そういう理解になります。逆に、カッコの中で「除く」とされている加算(医師事務作業補助体制加算や感染対策向上加算、データ提出加算など条文に列挙されたもの)は、この管理料に含まれず、それぞれの算定要件を満たせば別途算定候補になります。酸素吸入についても、処置自体はこの点数に含まれますが、使った酸素・窒素の費用は除くとされているので、その部分は別に算定できる可能性があります。
みらい(新人医療事務)
一つひとつ条文の「除く」の中身を照合しないと、算定漏れや過剰請求になりかねないですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。レセプト作成の際は、この条文の列挙内容と自院の算定状況を突き合わせて確認することをおすすめします。
対象になる患者はどんな人ですか?
みらい(新人医療事務)
施設の話はわかりました。次に、患者さん側の条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、対象患者を次のように定めています。
留意事項通知(保医発0305第6号)A305(1)
「一類感染症患者入院医療管理料の算定対象となる患者は、次に掲げる患者であって、医師が一類感染症患者入院医療管理が必要と認めた者であること。ア 感染症法第6条第9項に規定する新感染症又は同法第6条第2項に規定する一類感染症に罹患している患者 イ アの感染症の疑似症患者又は無症状病原体保有者」
みらい(新人医療事務)
「一類感染症」というのは具体的にどんな病気か、この記事だけではわからないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。感染症法上の一類感染症・新感染症の具体的な定義は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第6条で定められています。詳しい対象疾病は、この法律の条文(e-Gov法令検索など)で確認してください。この記事では「留意事項通知に定められた条件に該当するかどうか」を確認する入口としてお伝えしています。
みらい(新人医療事務)
「疑似症患者」や「無症状病原体保有者」も対象に入るんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、確定診断がついていなくても、疑似症患者や無症状病原体保有者であって、医師が入院医療管理が必要と認めた場合は対象になり得ます。ただし最終的な該当性は、感染症法上の診断・届出の状況をもとに医師が判断するものです。
対象患者に当たらない場合はどうなりますか?
みらい(新人医療事務)
治療室に入院していても、この条件に当たらない患者さんもいますよね。
あおい(元・医療事務)
その場合の扱いも留意事項通知に書かれています。
留意事項通知(保医発0305第6号)A305(2)
「一類感染症患者入院医療管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、「A300」の救命救急入院料の(18)と同様であること。」
みらい(新人医療事務)
つまり対象患者でなければ、この管理料ではなく通常の入院基本料等に切り替わるということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。同じ治療室でも、入院している患者さんが対象患者に該当するかどうかで算定する点数の枠組みが変わるので、患者さん単位で確認する必要があります。
算定できない期間もあるんですか?
みらい(新人医療事務)
いつまでも算定できるわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、告示の注1に期間の上限に関わる規定があります。
算定できない期間の注意
告示の注1では「なお、同法第19条及び第20条の規定に係る入院の期間を超えた期間は算定しない。」と定められています。感染症法第19条・第20条に基づく入院措置の期間を超えた分は、この管理料の対象になりません。
みらい(新人医療事務)
感染症法上の入院の期間そのものが基準になっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。医療機関側の判断だけでなく、感染症法上の入院措置の期間管理と連動している点も、通常の入院料とは違う特徴です。
自院で確認する順番を教えてください
みらい(新人医療事務)
ここまでの話を、確認する順番として整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 自院が感染症法第6条第13項の特定感染症指定医療機関、または同条第14項の第一種感染症指定医療機関の指定を受けているか確認する
- 指定を受けている場合、その病棟・病室・治療室について地方厚生局長等へ施設基準の届出をしているか確認する
- 入院している患者が、一類感染症・新感染症に罹患している患者、またはその疑似症患者・無症状病原体保有者に該当し、医師が入院医療管理が必要と認めているか確認する
- 入院日数が14日以内か15日以上かで、算定する点数(9,732点または8,466点)を確認する
- 感染症法第19条・第20条に基づく入院の期間を超えていないか確認する
- 入院基本料等加算のうち、告示の「除く」に列挙された加算(医師事務作業補助体制加算、感染対策向上加算、データ提出加算など)を個別に算定できるか確認する

みらい(新人医療事務)
1番目と2番目が揃わないと、そもそも算定候補にならないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。多くの病院にとっては、この1番目の指定の有無が最初の分かれ道になります。指定を受けていない病院は、そもそもこの管理料の対象外になる可能性が高いです。
よくある取り漏れ・思い込みはありますか?
みらい(新人医療事務)
現場で誤解しやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れ・思い込みの例
指定医療機関だと思い込む: 感染症患者を受け入れた実績があっても、感染症法上の特定感染症指定医療機関・第一種感染症指定医療機関としての指定を受けているとは限りません。指定の有無は病院の実績とは別に確認が必要です。 入院基本料等加算を算定し忘れる: 告示の「除く」に列挙された加算(感染対策向上加算やデータ提出加算など)は、この管理料に含まれず別に算定できる可能性があります。含まれるものと除かれるものを条文の言葉のまま確認しないと、取り漏れにつながります。 期間の上限を見落とす: 感染症法第19条・第20条の入院措置の期間を超えた分は算定できません。入院が長期化した場合は、この期間との整合性を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
条文の「除く」の部分を見落とすと、算定漏れになりやすいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加算の名前だけで判断せず、条文に列挙されている項目を一つずつ照合することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から何か変わったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
一類感染症患者入院医療管理料について、厚生労働省の一次情報(告示・留意事項通知)の確認できる範囲では、令和8年度改定での変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。この管理料の対象となる患者数自体が限られるため、改定ごとに大きく取り上げられる項目ではない可能性があります。
改定差分の確認範囲について
この確認は、厚生労働省が公開している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲に基づいています。令和6年度からの点数・施設基準の詳細な比較を行った個別改定資料は、この記事の執筆時点では確認できていません。正確な改定経緯を知りたい場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式ページで最新の資料を確認してください。
みらい(新人医療事務)
「変わっていない」と決めつけるのではなく、「確認した範囲では変更が見当たらない」ということですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。今後、個別改定項目の資料が追加で公開された場合は、その内容を反映して更新します。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
一類感染症患者入院医療管理料は、有床診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、この管理料は特定入院料であり、告示上「保険医療機関の病棟・病室・治療室に入院している患者」を対象としていますが、実務上は感染症法上の指定医療機関(病院)を前提とした点数のため、診療所では算定できません。
みらい(新人医療事務)
疑い患者の段階でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、一類感染症・新感染症の疑似症患者や無症状病原体保有者も対象患者に含まれると定められています。ただし、医師が一類感染症患者入院医療管理が必要と認めていることが前提になるため、個別の状況に応じた確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
感染対策向上加算は、この管理料と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注2で「除く」と列挙されている加算のひとつなので、この管理料には含まれず、感染対策向上加算自体の算定要件(施設基準・届出など)を別途満たしていれば算定候補になり得ます。詳しくは感染対策向上加算の記事もご確認ください。関連記事: 感染対策向上加算
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)からの点数の変化はありますか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の一次情報で確認できる範囲では、令和8年度改定での変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。令和6年度(2024年度)改定時の資料との詳細な比較が必要な場合は、厚生労働省の公式資料を直接確認することをおすすめします。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの資料を根拠にしているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に次の厚生労働省の一次資料を確認しています。点数の根拠は告示、算定要件・対象患者の根拠は留意事項通知、感染症の定義の参照先は感染症法です。
| 資料種別 | 資料名 | URL |
|---|---|---|
| 告示(点数) | 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf |
| 留意事項通知(算定要件・対象患者) | 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) | https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713882.pdf |
| 法律(感染症の定義の参照先) | 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 | https://laws.e-gov.go.jp/law/410AC0000000114 |
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。指定医療機関としての位置づけや届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。