みらい(新人医療事務)
あおいさん、うちの病院の療養病棟で「特殊疾患入院医療管理料」っていう名前を見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
特殊疾患入院医療管理料(区分番号A306)ですね。令和8年度の点数表では、重度の障害者(重度の意識障害者を含みます)、筋ジストロフィー患者、難病患者等を主として入院させる病室を対象にした、病院向けの特定入院料です。1日につき定額で算定する「包括点数」なので、通常の出来高とは考え方が少し違います。
みらい(新人医療事務)
定額ってことは、入院しているだけで自動的に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認してください。「算定できます」と断定はできず、あくまで施設基準を満たして届出をしている病院の、対象となる病室に入院している患者についての「算定候補」という位置づけです。まず対象医療機関と対象患者の場面を整理しましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな病院、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1には、次のように定められています。
告示原文(注1)
重度の障害者(重度の意識障害者を含む。)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を主として入院させる病室に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院施設管理加算又は特殊疾患病棟入院料を算定する病棟を有しないものに限る。)に入院している患者について、所定点数を算定する。
みらい(新人医療事務)
「〜を有しないものに限る」というのが気になります。
あおい(元・医療事務)
大事なポイントです。療養病棟入院基本料や障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院施設管理加算、特殊疾患病棟入院料を算定する病棟をすでに持っている保険医療機関では、この管理料の対象病室を同時に持つことができない、という除外規定です。加えて、この管理料は特定入院料に分類されるため、外来診療のみを行う診療所では算定できません。病院に入院している患者が対象、と押さえておいてください。
みらい(新人医療事務)
病室の使い方にも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知では「特殊疾患入院医療管理料を算定する病室は、主として長期にわたり療養の必要な患者が入院する病室であり、医療上特に必要がある場合に限り他の病室への患者の移動は認められるが、その医療上の必要性について診療報酬明細書の摘要欄に詳細に記載する」とされています。病室の性格づけと、移動時の記録がセットで求められる形です。
点数区分の整理(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?1つの点数だけじゃなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。基本点数のほかに、患者の状態や使用している医療機器によって加算・別点数が枝分かれしています。当サイトが確認できた範囲を表にまとめました。
| 区分 | 点数 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 基本点数(注1) | 2,172点(1日につき) | 対象病室に入院している患者の基本 |
| 人工呼吸器使用加算(注2) | 600点(1日につき加算) | 当該病室で人工呼吸器を使用している場合 |
| 重症児(者)受入連携加算(注3) | 2,000点(入院初日のみ加算) | 他の保険医療機関から転院し、転院前に入退院支援加算3を算定していた場合 |
| 医療区分2相当(注4) | 2,009点 | 重度の意識障害(脳卒中の後遺症に限る)で医療区分2相当の患者 |
| 医療区分1相当(注4) | 1,843点 | 同上で医療区分1相当の患者 |
| 医療区分2相当(注6) | 1,816点 | 脳卒中・脳卒中後遺症・廃用症候群(発症前から重度の肢体不自由児(者)であった患者等を除く)で医療区分2相当の患者 |
| 医療区分1相当(注6) | 1,670点 | 同上で医療区分1相当の患者 |
| 人工腎臓等の慢性腎臓病患者(注7) | 2,093点 | 人工腎臓・持続緩徐式血液濾過・血漿交換療法・腹膜灌流のいずれかを行っている慢性腎臓病患者で医療区分2相当の場合 |

みらい(新人医療事務)
医療区分って言葉、聞き慣れないです。
あおい(元・医療事務)
療養病棟入院基本料で使われている患者の状態区分のことです。特殊疾患入院医療管理料でも、脳卒中後遺症や廃用症候群などの患者については、この医療区分に応じた点数に読み替える規定(注4・注6・注7)が置かれています。どの区分に該当するかは診療録等への記録が前提になりますので、レセプト担当者だけでなく主治医・看護師との情報共有が欠かせません。
包括される費用に注意
留意事項通知の注5にあたる規定では、注2・注3の加算や一部の入院基本料等加算、除外薬剤・注射薬などを除き、診療に係る多くの費用(投薬に係る薬剤料を含む)が特殊疾患入院医療管理料に含まれるとされています。「別に算定できる」と思い込んで別立て請求をしないよう、包括範囲を告示原文で確認してください。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどこを見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1にあるとおり「別に厚生労働大臣が定める施設基準」に適合し、地方厚生局長等に届出を行っていることが前提です。今回、当サイトが確認できた一次資料の範囲では、対象となる病室の患者像(重度障害者・重度の意識障害者・筋ジストロフィー患者・難病患者等が中心であること)と、除外対象となる病棟の条件(療養病棟入院基本料等を算定する病棟を有しないこと)は確認できましたが、人員配置など施設基準の具体的な号数・細目までは今回の記事では確認しきれていません。届出前には「基本診療料の施設基準等」の告示原文で、該当する号の内容を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
届出さえしておけば、ずっとそのままで大丈夫なんですか?
あおい(元・医療事務)
「届出をしていれば安心」と言い切ることはできません。施設基準に適合しなくなった場合(対象患者の構成が変わった、病棟の入院基本料区分を変更した等)は、速やかに変更の届出が必要になります。年に一度は自院の状況が届出内容と一致しているか、確認する機会を作ることをおすすめします。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
重症児(者)受入連携加算(注3)は「入院初日に限り」の加算です。人工呼吸器使用加算(注2)は使用している日ごとの加算という違いがあります。取り違えないよう注意してください。
併算定・回数の確認ポイント
重症児(者)受入連携加算: 入院初日限定。転院元の医療機関で入退院支援加算3を算定していたことが条件 人工呼吸器使用加算: 1日につきの加算。使用の有無を日々記録 医療区分に応じた読み替え: 注4・注6・注7は該当する医療区分の記録が前提。診療録等への記載を残す
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定と比べて、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、特殊疾患入院医療管理料そのものの点数構成・基本的な施設基準要件について、前回改定(令和6年度)からの新設・廃止・点数変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。一方で、留意事項通知には経過措置に関する規定があり、令和8年3月31日時点で廃用症候群により当該病室・病棟に入院している患者(脳卒中又は廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)であった患者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等を除く)であって引き続き入院しているものについては、医療区分3に相当するものとみなす、という取り扱いが明記されています。
みらい(新人医療事務)
それって点数が変わるということですか?
あおい(元・医療事務)
対象となる患者の医療区分の「みなし」に関する経過的な取り扱いであり、点数表そのものの新設・廃止とは性質が異なります。有利・不利をこちらで評価することはできませんので、該当する患者がいる場合は留意事項通知の原文で経過措置の対象範囲を確認してください。
改定時系列(令和8年度時点で確認できる範囲)
令和6年度以前: 脳卒中を原因とする重度の意識障害等について、既存の経過措置(平成28年3月31日時点、令和4年3月31日時点等)が段階的に設けられてきた 令和8年度: 令和8年3月31日時点で廃用症候群により入院している一定の患者を医療区分3相当とみなす経過措置が留意事項通知に明記されている
自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 入院している患者が、重度の障害者(重度の意識障害者を含む)・筋ジストロフィー患者・難病患者等を主として入院させる病室の対象像に当てはまるか確認する
- 自院の病棟が、療養病棟入院基本料・障害者施設等入院基本料・特殊疾患入院施設管理加算・特殊疾患病棟入院料のいずれかを算定する病棟に該当しないか確認する
- 「基本診療料の施設基準等」の告示原文で、該当する施設基準の号の内容(人員配置等の細目を含む)を確認する
- 地方厚生局長等への届出が受理されているか、届出内容と現状に相違がないかを確認する
- 人工呼吸器使用・重症児(者)受入連携加算・医療区分該当など、加算・読み替えの対象になる患者がいないか個別に確認する
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
除外病棟の確認漏れ: 療養病棟入院基本料等を算定する病棟を持つ保険医療機関では、この管理料の対象病室を別途持てない点を見落としやすい 医療区分の記録不足: 注4・注6・注7の読み替えは、患者の疾患・状態が該当する医療区分の項目に当てはまることを診療録等に記録していることが前提 重症児(者)受入連携加算の初日限定: 入院初日以外に算定してしまうケースがあるため、算定日をレセプト担当と共有しておく
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが疑問に思いそうなことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。順番に答えていきますね。
みらい(新人医療事務)
診療所でも特殊疾患入院医療管理料は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
なりません。特定入院料に分類される点数のため、入院設備を持つ病院が対象です。診療所での算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
人工呼吸器を使っていない患者でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
なりえます。人工呼吸器使用加算(注2)は基本点数に上乗せする加算なので、使用していない患者でも施設基準・届出等の他の要件を満たせば基本点数の算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
令和6年度の改定と比べて対象患者の範囲は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では、令和6年度(2024年度)改定からの対象患者像そのものの変更は確認されていません。ただし経過措置の対象時点(令和8年3月31日時点等)は改定のたびに更新されているため、経過措置に該当する患者がいる場合は留意事項通知の原文を確認してください。
みらい(新人医療事務)
重症児(者)受入連携加算は毎回の入院で算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
入院初日に限り、かつ転院前の保険医療機関で入退院支援加算3を算定していたことが条件です。要件を満たさない転院では算定候補になりません。

自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や病棟の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。特殊疾患入院医療管理料の施設基準・対象病室の確認は「特殊疾患入院医療管理料 施設基準」「特殊疾患入院医療管理料 算定要件」「特殊疾患入院医療管理料 対象患者」といったキーワードで検索されることが多いので、まずはこの記事の各セクションと公式資料を照らし合わせてみてください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。人員配置等の詳細な施設基準は、必ず一次資料の原文でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 基本診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第70号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675854.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(厚生労働省保険局医療課長通知)
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。人員配置等の施設基準の充足と届出の有効性は、必ず自院で確認してください。