みらい(新人医療事務)
「救急外来医学管理料」って名前、最近見かけるようになった気がします。うちの診療所でも算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で整理された項目ですね。区分番号はB001-2-6です。まず前提として、対象は「救急医療機関」または「精神科救急医療施設」に限られます。すべての診療所・病院が対象というわけではないので、まずそこから確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
救急医療機関って、救急車を受け入れているところなら全部当てはまりますか?
あおい(元・医療事務)
厚労省の留意事項通知では「医療法第30条の4の規定に基づき都道府県が作成する医療計画に記載されている救急医療機関」、または「都道府県知事若しくは指定都市市長の指定する精神科救急医療施設」とされています。つまり、都道府県の医療計画上に救急医療機関として位置づけられているか、精神科救急医療施設として指定されているかがまず前提になります。単に救急車を受けているというだけでは、この位置づけの確認が必要です。
救急外来医学管理料とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
そもそも、この管理料はどんな場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
救急外来を受診した患者に対する初期診療について、十分な人員配置・設備を備えて24時間体制で救急医療を提供する体制を評価する管理料です。告示の注1・注2で、対象となる場面が2つに分かれています。
対象患者(令和8年度・告示注1・注2)
- 「1」救急搬送医学管理料: 救急用の自動車(消防法上の救急自動車、道路交通法上の緊急自動車のうち傷病者の緊急搬送に用いるもの)または救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者
- 「2」夜間休日救急医学管理料: 当該保険医療機関が表示する診療時間以外の時間(土曜日以外の日は夜間に限る)、休日又は深夜に救急外来を受診した患者(「1」の対象患者を除く)
みらい(新人医療事務)
「夜間」とか「深夜」の時間の区切りって、どこかで決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知に定義があります。夜間は午後6時から午前8時まで、深夜は午後10時から午前6時までです。ただし、これらの時間帯が自院の標榜時間に含まれる場合は、その標榜時間内では「2」の夜間休日救急医学管理料は算定できないとされています。標榜時間の設定次第で対象時間帯が変わるので、自院の標榜時間表と照らし合わせる必要があります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
「1」救急搬送医学管理料と「2」夜間休日救急医学管理料、それぞれ3段階の区分があります。どの区分になるかは、届け出ている施設基準によって決まります。
| 区分 | 名称 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1イ | 救急搬送医学管理料1 | 800点 |
| 1ロ | 救急搬送医学管理料2 | 600点 |
| 1ハ | 救急搬送医学管理料3 | 200点 |
| 2イ | 夜間休日救急医学管理料1 | 600点 |
| 2ロ | 夜間休日救急医学管理料2 | 400点 |
| 2ハ | 夜間休日救急医学管理料3 | 50点 |

みらい(新人医療事務)
同じ「救急外来医学管理料」なのに、800点から50点まで幅がすごいですね。どうしてこんなに差があるんですか?
あおい(元・医療事務)
届け出ている施設基準の水準によって区分が変わる仕組みだからです。点数の高さだけを見て「自院はどの区分になりそうか」を判断するのは早計で、実際にどの区分の施設基準に適合しているか、届出内容と照らし合わせて確認する必要があります。区分ごとの施設基準の詳細(人員配置・応需体制の水準など)は告示・通知の別区分に定められているため、自院がどの区分に該当するかは地方厚生局への届出内容と併せて確認することをおすすめします。
主な加算(注3〜注7)
みらい(新人医療事務)
点数表を見ると、注3から注7まで色々な加算がついているみたいですが?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ベースの点数に加えて、患者の状態や実施した検査・体制に応じて加算がつく仕組みになっています。表にまとめると次のとおりです。
| 加算名 | 点数 | 主な条件(告示・留意事項) |
|---|---|---|
| 救急外来緊急検査対応加算1 | 300点 | 施設基準に適合し届出た医療機関で、検査・画像診断・処置・注射(対象項目)を実施した場合(「1」に係る区分) |
| 救急外来緊急検査対応加算2 | 200点 | 同上(「2」に係る区分) |
| 精神科疾患患者等受入加算 | 400点 | 時間外、深夜又は休日に救急用の自動車及び救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者(「1」救急搬送医学管理料の対象患者に限る)のうち、アルコール中毒を除く急性薬毒物中毒が診断された患者、又は過去6月以内に精神科受診の既往がある患者 |
| 救急時医療情報取得加算 | 50点(月1回) | 施設基準に適合し届出た医療機関で、意識障害の患者に対し救急時医療情報閲覧機能・電子処方箋の仕組みを用いて診療情報を取得した場合 |
| 時間外救急搬送加算 | 300点/250点/200点 | 「1」の対象患者について、土曜・日曜・祝日又は夜間に搬送された場合(受診した時間区分により点数が異なる) |
| 院内トリアージ実施体制加算 | 50点 | 「2」を算定する患者について、専任の医師又は救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師によるトリアージ体制が整備されている場合 |
みらい(新人医療事務)
加算がこんなにあると、うちが何を算定候補にできるのか混乱してしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
一つずつ確認すれば大丈夫です。まずベースの管理料(救急搬送医学管理料または夜間休日救急医学管理料)の区分を確認し、そのうえで該当する患者像・実施した検査や体制があれば加算を確認する、という順番で見ていくと整理しやすいですよ。
対象患者の重複に注意
救急外来緊急検査対応加算や時間外救急搬送加算などは、ベースとなる区分(「1」か「2」か)によって対象・点数が異なります。精神科疾患患者等受入加算の対象は、留意事項通知で「時間外、深夜又は休日に救急用の自動車及び救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者(「1」救急搬送医学管理料の対象患者に限る)のうち」と限定されたうえで、「アルコール中毒を除く急性薬毒物中毒が診断された患者」又は「過去6月以内に精神科受診の既往がある患者」のいずれかとされています。搬送要件を満たさない患者は対象外の可能性があるため、対象患者の該当性を診療録上で確認できる体制が前提になります。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知の注1・注2では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが要件とされています。区分(救急搬送医学管理料1〜3、夜間休日救急医学管理料1〜3)ごとに水準が分かれる施設基準の具体的な内容(人員配置・応需体制など)は、告示の点数表本体には点数区分としてのみ記載があり、詳細は別途の施設基準通知・届出様式で定められています。自院がどの区分の施設基準に該当するかは、届出済みの区分と、地方厚生局への確認を通じて把握するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
届出が必要な加算も個別にあるんですね?
あおい(元・医療事務)
はい。救急時医療情報取得加算や、注7の院内トリアージ実施体制加算は、それぞれ個別に施設基準への適合・届出が必要です。一方、精神科疾患患者等受入加算は患者の状態に基づく加算で、施設基準・届出は不要とされています。加算ごとに届出の要否が異なるため、一覧で確認しておくと取り漏れを防ぎやすくなります。
届出要否の整理
- 施設基準の届出が必要: 救急搬送医学管理料・夜間休日救急医学管理料(区分ごと)、救急外来緊急検査対応加算1・2、救急時医療情報取得加算、院内トリアージ実施体制加算
- 施設基準の届出は不要: 精神科疾患患者等受入加算(患者の状態に基づく加算)、時間外救急搬送加算(対象患者の受診時間に基づく加算)
令和8年度改定での変更点(新設区分)
みらい(新人医療事務)
この管理料、令和8年度からできた新しいものなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省が公開している「令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリスト」では、救急外来医学管理料に関わる複数の区分・加算が「新設」として掲載されています。しかも施行日・届出期限が令和8年4月1日ではなく令和8年6月1日とされている点が特徴的です。
新設区分(施設基準届出チェックリストより・令和8年6月1日届出期限)
- 救急外来医学管理料1及び同注3に規定する救急外来緊急検査対応加算1
- 救急外来医学管理料2及び同注3に規定する救急外来緊急検査対応加算2
- 救急外来医学管理料3
- 救急外来医学管理料の注5に規定する救急時医療情報取得加算
- 地域連携小児夜間・休日診療料の注2、地域連携夜間・休日診療料の注2及び救急外来医学管理料の注7に規定する院内トリアージ実施体制加算
みらい(新人医療事務)
令和8年4月1日の改定なのに、6月1日が届出期限というのはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
厚労省が公開している届出チェックリストでは、これらの区分・加算について令和8年6月1日を届出期限とする「新設」の扱いが明記されています。新設の項目は施行日と届出期限が別に設定される場合があるため、4月1日時点で未届出であっても、6月1日までの届出を経て算定候補となる可能性があります。自院がこれらの区分に該当する場合は、届出期限と届出状況を必ず確認してください。なお、この改定差分は厚労省の届出チェックリスト・訂正通知の範囲で確認できたものであり、それ以外の詳細な制度変更の有無については、確認された範囲を超えて断定はできません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院が算定候補になるかどうか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
救急医療機関・精神科救急医療施設に該当するか確認 — 都道府県の医療計画上の救急医療機関、又は都道府県知事等が指定する精神科救急医療施設に位置づけられているか
-
どちらの区分に該当する患者が多いか整理 — 救急用自動車・救急医療用ヘリコプターによる緊急搬送患者(「1」)か、標榜時間外・休日・深夜の救急外来受診患者(「2」)か
-
施設基準の届出区分を確認 — 救急搬送医学管理料1〜3、夜間休日救急医学管理料1〜3のうち、どの区分で届出済みかを地方厚生局への届出記録で確認
-
加算の該当性を確認 — 救急外来緊急検査対応加算・精神科疾患患者等受入加算・救急時医療情報取得加算・時間外救急搬送加算・院内トリアージ実施体制加算それぞれの対象患者・届出要否を確認
-
標榜時間と夜間・深夜の時間区分を突き合わせる — 夜間(18時〜翌8時)・深夜(22時〜翌6時)の定義と自院の標榜時間表を照合し、「2」が算定できる時間帯を特定
-
令和8年6月1日の届出期限に該当する区分がないか確認 — 新設区分(救急外来緊急検査対応加算1・2、救急外来医学管理料3、救急時医療情報取得加算、院内トリアージ実施体制加算)の届出状況を確認

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、うちの状況を整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に3番目の「どの区分で届出済みか」は、点数の高低だけで判断せず、実際の届出内容を確認することが大切です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まとめておきますね。
よくある取り漏れ
- 標榜時間の設定を見直さないまま「2」を算定しようとする: 夜間・深夜の時間帯が標榜時間に含まれる場合、その時間帯では夜間休日救急医学管理料は算定できません
- 精神科疾患患者等受入加算の対象患者を誤認する: 対象は「時間外、深夜又は休日に救急用の自動車及び救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者(「1」救急搬送医学管理料の対象患者に限る)」のうち「アルコール中毒を除く急性薬毒物中毒が診断された患者」又は「過去6月以内に精神科受診の既往がある患者」に限定されており、搬送によらない受診(「2」夜間休日救急医学管理料の対象患者等)では対象になりません
- 救急時医療情報取得加算の「意識障害」の定義を確認しない: 留意事項通知でJCSやGCSの具体的な基準が示されているため、該当性の判断は診療記録上の評価と突き合わせる必要があります
- 新設区分(令和8年6月1日届出期限)の届出を4月時点の届出で済んだと思い込む: 救急外来緊急検査対応加算等は別途の届出期限が設定されています
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になることを聞いてもいいですか? まず、診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象医療機関は「診療所」「病院」という区分ではなく、「救急医療機関」または「精神科救急医療施設」であることが前提です。診療所であっても、都道府県の医療計画上で救急医療機関として位置づけられていれば算定候補になり得ますが、この位置づけがない場合は対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
救急搬送医学管理料と夜間休日救急医学管理料は、同じ患者に両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示上、「1」は救急用自動車・救急医療用ヘリコプターによる緊急搬送患者、「2」はそれ以外の時間外・休日・深夜受診患者(「1」の対象患者を除く)と区分されています。同一患者・同一受診について両方を重複して算定する構造にはなっていませんので、対象患者の区分をまず確認してください。
みらい(新人医療事務)
院内トリアージ実施体制加算は、どんな体制があれば届出候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、専任の医師、または救急医療に関する3年以上の経験を有する専任の看護師により、時間外・休日・深夜に救急外来を受診した患者(救急用自動車等で搬送された患者を除く)に対してトリアージを行う体制が整備されていることが前提とされています。この加算は「2」を算定する患者が対象になる点も確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)区分番号B001-2-6 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省・改定関連通知の掲載ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html
- 令和8年度診療報酬改定に係る施設基準届出チェックリストの一部訂正について https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001697773.pdf
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。区分ごとの施設基準の充足と届出の有効性、新設区分の届出期限(令和8年6月1日)を必ず自院で確認してください。