短期滞在手術等基本料(A400)とは何ですか?
みらい(新人医療事務)
「短期滞在手術等基本料」ってよく見るんですが、これはどんな基本料なんですか?
あおい(元・医療事務)
短期滞在手術等基本料は、日帰りや4泊5日までの短期入院で手術・検査・放射線治療を行うための入院基本料です。術前・術後の管理、定型的な検査・画像診断などを包括的にまとめて評価する点数で、「短手1」「短手3」と呼ばれることも多いですよ。
みらい(新人医療事務)
「包括的に評価」というのは、具体的にどういう意味ですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば、告示・留意事項通知(別表)に定める対象手術を日帰りで行った場合、手術点数だけでなく術前・術後の検査、麻酔管理料、画像診断なども含めた費用を一つの点数にまとめて算定する、という意味です。個別に細かく算定する代わりに、このまとまった基本料で請求するイメージです。
みらい(新人医療事務)
なるほど。診療所でも使える基本料なんですか?
あおい(元・医療事務)
短期滞在手術等基本料1(短手1、日帰り)は診療所も対象になりえます。一方、短期滞在手術等基本料3(短手3、4泊5日まで)は「診療所を除く保険医療機関」が前提なので、病院が主な対象です。ただし、いずれも施設基準への適合と届出が必要ですから、自院の状況を確認することが大切です。

令和8年度の点数はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を教えてほしいです!
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)に記載されている点数をまとめると、下の表のようになります。
| 区分 | 対象 | 点数 |
|---|---|---|
| 短手1(日帰り)-主として入院で実施の手術 | 麻酔を伴う場合 | 2,948点 |
| 短手1(日帰り)-主として入院で実施の手術 | 麻酔を伴わない場合 | 2,719点 |
| 短手1(日帰り)-それ以外 | 麻酔を伴う場合 | 795点 |
| 短手1(日帰り)-それ以外 | 麻酔を伴わない場合 | 680点 |
| 短手3(4泊5日まで) | 手術・検査・放射線治療の種類に応じた包括点数 | 手術等ごとに告示で個別設定(医科点数表で確認) |
みらい(新人医療事務)
短手3の点数はバラバラなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。短手3は対象の手術・検査・放射線治療ごとに点数が設定されています。手術の種類によって大きく異なる点数が告示に並んでいますので、実際の点数は医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号)および留意事項通知(別表)でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
「主として入院で実施されている手術を行った場合」とそれ以外では点数がかなり違いますね。どう区分するんですか?
あおい(元・医療事務)
短手1には「主として入院で実施されている手術を行った場合」の具体的なリストがあります。対象手術については告示・留意事項通知(別表)でご確認ください。これらを日帰りで実施する場合は高い方の点数になります。それ以外は「その他」として低い点数になります。
短手1に包括される主な検査・画像診断(令和8年度)
短期滞在手術等基本料1の点数には、以下の費用も含まれています(別途算定不可)。
- 尿中一般物質定性半定量検査
- 末梢血液像
- 出血・凝固検査
- 血液化学検査
- 感染症免疫学的検査
- 肝炎ウイルス関連検査
- 血漿蛋白免疫学的検査
- 心電図検査
- 写真診断・撮影
- 麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)
これらは検査・画像診断・麻酔の区分ごとにまとめて包括される項目です。個別の対象範囲は留意事項通知でご確認ください。
出典: 令和8年厚生労働省告示第69号 A400注4
施設基準はどこで確認しますか?
みらい(新人医療事務)
施設基準が必要とのことですが、何を揃えれば算定候補になるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
令和8年3月5日付け保医発0305第7号(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて)に、短期滞在手術等基本料の施設基準が定められています。短手1の主な要件は次のとおりです。
自院で確認する順番
- 回復室の確保: 術後患者の回復のための専用病床があること。許可病床である必要はありません。
- 看護師配置: 看護師が常時「患者4人に1人」の割合で回復室に勤務していること。
- 24時間緊急対応体制: 退院後概ね3日間、患者に対して24時間緊急対応できる状態にあること(または連携する医療機関があること)。
- 麻酔科医の確保: 全身麻酔を伴う手術が行われる日に、麻酔科医が勤務していること。
- 患者同意の取得: 術前に患者に十分に説明し、別紙様式8を参考とした同意を得ること。
みらい(新人医療事務)
これだと診療所にもできそうな気がします。確認ポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、特に「回復室の専用病床の確保」と「看護師4人に1人の配置」、そして「24時間緊急対応体制」がポイントです。実際に内部で体制が整っているかどうかを確認してから届出することをおすすめします。施設基準を満たしているかどうかの最終的な判断は、届出状況や地方厚生(支)局との確認が必要です。
短手3の対象医療機関と算定要件を教えてください
みらい(新人医療事務)
短手3は病院向けということでしたが、具体的にはどんな要件がありますか?
あおい(元・医療事務)
短手3は「診療所を除く保険医療機関」が対象です。算定要件の大きな柱を見てみましょう。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象医療機関 | 診療所以外の保険医療機関 |
| 入院期間 | 入院した日から起算して5日まで(4泊5日) |
| 必須手術等 | 厚生労働大臣が定める手術・検査・放射線治療 |
| 再入院制限 | 退院の日から7日以内に同一疾病で再入院した場合は算定不可 |
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める手術」というのは、どこで確認できますか?
あおい(元・医療事務)
告示と留意事項通知(保医発0305第6号)に具体的なリストがあります。日帰りや短期入院で実施する手術・検査・放射線治療が対象で、詳細は告示・留意事項通知(別表)でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
短手3を算定しない場合(例外)もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。たとえば「入院した日から5日以内に対象手術を2つ以上実施した場合」「同じ入院で対象手術に加えて別の手術を行った場合」「他院に転院した場合」などは短手3を算定できない例外が定められています。詳細は留意事項通知で確認が必要です。
短手3は包括範囲が非常に広い
短期滞在手術等基本料3を算定した場合、基本診療料・特掲診療料に掲げるほぼすべての費用が含まれます。例外は、在宅療養指導管理料、薬剤料、特定保険医療材料料、人工腎臓、退院時投薬薬剤料などです。入院が継続する場合の取扱い(算定期間終了後の請求方法)は、告示・留意事項で確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、短期滞在手術等基本料は何か変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で大きく目立つのは、「入院手術対応加算(注3)」の新設です。これは短手3を算定する場合であって、全身麻酔が必要な患者への気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行う場合、患者の病態・内服薬等により偶発症リスクが高い場合、または原疾患により全身状態が不良の場合に算定できる加算です(診療所は対象外)。
みらい(新人医療事務)
入院手術対応加算のポイントを具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
入院手術対応加算には届出が必要で、「外来移行指数が1.3以上であること」が施設基準の主な要件です。外来移行指数とは、対象手術について当該医療機関の外来実施率を全病院平均と比較した指数で、外来移行の取り組み実績を示す数値です。対象手術ごとに点数が設定されており、以下は一次資料(告示・別表)で点数の確認が取れている主な例です(一部抜粋)。
| 対象手術 | 入院手術対応加算(点数) |
|---|---|
| K030 手軟部腫瘍摘出術 | 462点 |
| K070 手部ガングリオン摘出術 | 411点 |
| K093-2 手根管開放手術(内視鏡下) | 568点 |
令和8年度改定: 入院手術対応加算の算定条件(注3)
短期滞在手術等基本料3の「注3」に規定する入院手術対応加算は、以下のいずれかに該当する場合のみ算定候補となります。
- 全身麻酔が必要な患者への声門上器具または気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う場合
- 患者の病態や内服薬等により、偶発症の発生または重症化リスクが高い場合
- 原疾患により全身状態が不良である場合
診療所は対象外。施設基準(外来移行指数1.3以上)を満たして届出していることが条件です。
出典: 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)A400(17)
みらい(新人医療事務)
令和6年度改定(前回)からその他に変更はありましたか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(令和8年3月5日付け厚生労働省告示・留意事項通知の範囲内)で確認できる主な変更点は、入院手術対応加算(注3)の新設です。点数の区分構造(短手1の4区分・短手3の手術別包括点数)や、短手1の施設基準(回復室・看護師配置・24時間対応・麻酔科医確保)については、一次資料の範囲で大きな変更は確認されていません(確認日: 2026年6月・厚生労働省一次情報ベース)。
届出の確認手順
みらい(新人医療事務)
実際に届出をしたい場合、どこから手をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
届出の流れをステップで整理しますね。
自院で確認する順番
- 対象手術・検査の確認: 自院で実施する手術・検査が短手1または短手3の対象に含まれているかを告示・留意事項通知で確認する。
- 施設基準の確認: 短手1なら「回復室・看護師配置・24時間対応・麻酔科医確保」、入院手術対応加算(注3)を取得したい場合はさらに「外来移行指数1.3以上」を確認する。
- 様式の準備: 施設基準に係る届出は「別添7の様式58」を使用する(保医発0305第7号)。
- 地方厚生(支)局への届出: 様式58を地方厚生(支)局に提出する。
- 算定開始: 届出が受理されたら算定候補となる(届出の受理日と算定開始タイミングは確認が必要)。
みらい(新人医療事務)
短手3のDPCについても何か注意がありますか?
あおい(元・医療事務)
DPC対象病院での短手3の取扱いは要確認です。自院がDPC対象かどうかによって算定可否が変わる可能性があるため、自院の算定区分を確認した上で、地方厚生(支)局に照会することをおすすめします。

他の入院料や入院基本料との関係
みらい(新人医療事務)
短期滞在手術等基本料を算定するときに、他の加算はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
短期滞在手術等基本料の算定中に別途算定できる加算があります。短手と合算可能な加算は告示の別表に個別に規定されているため、自院が算定したい加算が別表に掲載されているかどうかを確認する必要があります。一方、短手3の点数には基本診療料・特掲診療料のほぼすべてが包括されるため、多くの特掲診療料は別途算定できない点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
入院基本料との関係はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
短手3の算定期間(5日まで)を超えて入院が継続する場合の取扱いについては、告示・留意事項通知で確認が必要です。また、算定する入院料の種類によってルールが異なる場合があるため、自院の状況に応じて地方厚生(支)局に照会することをおすすめします。
よくある取り漏れポイント
よくある取り漏れ・確認ポイント(令和8年度)
- DPC対象病院での取扱いは要確認: 自院がDPC対象かどうかによって短手3の算定可否が変わる可能性があります。まず自院の算定区分を確認しましょう。
- 同一疾病の再入院に注意: 退院の日から7日以内に同一疾病で再入院した場合、短手1・短手3とも算定できません。
- 包括範囲の把握: 短手1には主な検査・画像診断・麻酔管理料が含まれるため、それらを別途算定すると誤りになります。
- 短手1と短手3の区分: 日帰りは短手1、入院1〜4日は短手3の対象です。同じ手術でも入院形態によって区分が変わります。
- 心電図検査など包括範囲内の検査の扱い: 短手1に包括される検査を同一月に算定する場合の取扱いは、留意事項通知で確認が必要です。
- 入院手術対応加算(注3)の新設: 令和8年度から新設。診療所は対象外・届出必要・外来移行指数1.3以上の施設基準あり。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
短手1と短手3は同じ患者・同じ疾病で両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
同じ入院中に両方を算定することはできません。入院が日帰りであれば短手1、4泊5日以内の入院であれば短手3のいずれかになります。どちらを算定するかは入院の実態に応じて適切に選択する必要があります。
みらい(新人医療事務)
「主として入院で実施されている手術を行った場合」の判定は誰がしますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(保医発0305第6号)に対象手術のリストが明記されています。ただし「主として入院で実施」に該当するかどうかの最終的な判断は、通知の内容に基づいて自院で確認し、必要に応じて地方厚生(支)局に照会することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
特定疾患療養管理料(B000)は短手3の包括に含まれますか?
あおい(元・医療事務)
短手3の包括範囲は「基本診療料および特掲診療料」のほぼすべてです。特定疾患療養管理料(B000)も特掲診療料(第2章第1部)に含まれるため、短手3を算定している期間中は原則として別途算定できません。ただし、退院後(退院日の翌日以降)については算定候補となります(要確認)。
みらい(新人医療事務)
短手1を算定した同一月に、別の外来日で再診料を算定できますか?
あおい(元・医療事務)
再診料は短手の包括対象とは別に取り扱いますが、短手算定期間中の費用包括範囲と算定後の請求内容については、留意事項通知を確認した上で審査支払機関や地方厚生(支)局に照会することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
自院で短期滞在手術等基本料が算定候補になるかどうか、効率よく確認する方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象手術の実施状況、回復室の有無、看護配置など自院の体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。