この加算はどんな加算?
みらい(新人医療事務)
「処置 休日・時間外・深夜加算1」っていう名前を見つけたんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
処置は、創傷処置や皮膚科軟膏処置のような日常的な処置行為全般のことです。この加算は、そうした処置を休日や診療時間外、深夜に行った場合の負担に対応するための加算ですよ。令和8年度の医科点数表では「第9部処置」の通則5に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「加算1」ってついてますけど、加算2もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。処置通則5には加算1と加算2の2区分があります。加算1は施設基準への適合と届出が必要な区分、加算2は届出が不要な区分です。この記事で扱うのは、届出が必要な「加算1」のほうです。
みらい(新人医療事務)
届出が必要なほうなんですね。うちのクリニックでも関係あるか、順番に確認していきたいです。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらも対象になり得ます。外来・入院のどちらの患者にも関係しますが、後で説明するとおり、休日加算1・時間外加算1・深夜加算1のそれぞれで対象になる患者の範囲が少し異なります。なお、在宅医療の場面はこの加算の対象外です。
みらい(新人医療事務)
対象になる処置にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。詳しくは次の見出しで説明しますが、ポイントは「所定点数が1,000点以上の緊急処置」であることです。日常的な軽い処置ではなく、一定以上の点数がある緊急の処置が対象になります。
対象外の可能性がある処置
所定点数が1,000点未満の処置は、加算1(施設基準が必要な区分)の対象外の可能性があります。150点以上であれば、別区分の加算2(届出不要)の対象になる場合がありますが、加算2はこの記事の対象ではありません。自院の処置がどちらの区分に当たるかは、処置ごとの所定点数で確認が必要です。
点数の仕組み(休日加算1・時間外加算1・深夜加算1)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか? 加算だから固定の点数がつくイメージだったんですけど。
あおい(元・医療事務)
そこがこの加算の特徴なんです。固定の点数ではなく、処置そのものの所定点数に対する「割合」で計算します。令和8年度の告示(処置通則5)では、次のように定められています。
| 区分 | 加算の割合 | 対象となる患者 |
|---|---|---|
| 休日加算1 | 所定点数の100分の160に相当する点数 | 入院中の患者・入院中の患者以外の患者(条件あり) |
| 時間外加算1 | 所定点数の100分の80に相当する点数 | 入院中の患者以外の患者に対して行われる場合に限る |
| 深夜加算1 | 所定点数の100分の160に相当する点数 | 入院中の患者・入院中の患者以外の患者(条件あり) |
みらい(新人医療事務)
100分の160ってことは、処置の点数が1,600点だったら、加算だけで2,560点分になるってことですか?
あおい(元・医療事務)
はい、計算上はそうなります。1,600点 × 1.6 = 2,560点相当が休日加算1の加算分です。処置そのものの点数が高いほど、加算の点数も大きくなる仕組みですね。ただし、これはあくまで所定点数に対する割合なので、実際の加算点数は処置ごとに変わります。

みらい(新人医療事務)
時間外加算1だけ「入院中の患者以外の患者に対して行われる場合に限る」って書いてありますね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。休日加算1と深夜加算1は、条件を満たせば入院中の患者にも算定できる場合がありますが、時間外加算1は入院中の患者以外の患者に対する処置に限られます。この違いは見落としやすいポイントなので、次の見出しで詳しく確認しましょう。
対象となる処置の条件(所定点数1,000点以上・緊急処置)
みらい(新人医療事務)
さっき「1,000点以上の緊急処置」って言ってましたけど、もう少し詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(処置の通則に関する留意事項)では、入院中の患者以外の患者に対する休日加算1・時間外加算1・深夜加算1(まとめて「時間外等加算1」と呼ばれています)は、次のいずれかに当てはまり、かつ所定点数が1,000点以上の緊急処置の場合についてのみ算定できるとされています。
時間外等加算1が算定候補になり得るケース(入院中の患者以外)
ケースア: 初診料・再診料・外来診療料の時間外加算等を算定する初診または再診に引き続き行われた緊急処置の場合。ただし、初診料・再診料の夜間・早朝等加算を算定する初診または再診に引き続き行われた場合は対象になりません。 ケースイ: 初診または再診に引き続いて、緊急処置に必要不可欠な検査等を行った後、速やかに休日または診療時間以外の時間・深夜に開始する緊急処置を行った場合であって、初診・再診から処置の開始時間までが一定の時間内である場合。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者の場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、入院中の患者に対する休日加算1・深夜加算1は、病状の急変により休日に緊急処置を行った場合、または処置の開始時間が深夜である緊急処置を行った場合であって、所定点数が1,000点以上の緊急処置を行った場合に算定できるとされています。先ほどお伝えしたとおり、時間外加算1は入院中の患者以外の患者に対する処置に限られるため、入院中の患者には時間外加算1は算定されません。
みらい(新人医療事務)
けっこう細かい条件があるんですね…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。処置の点数だけでなく、「誰に対して」「どういう経緯で」行われた処置かという条件も関わってきます。自院のケースがどの条件に当てはまるかは、個別に確認が必要です。
施設基準(届出が必要です)
みらい(新人医療事務)
この加算1は施設基準が必要なんですよね。どんな基準なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の特掲診療料の施設基準等(別添1 第56の2「処置の休日加算1、時間外加算1及び深夜加算1の施設基準」)に定められています。当サイトが収集した一次資料の範囲では、次のような体制整備が求められています。
施設基準で確認できている主な項目
医師の負担軽減体制: 医師の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制として、勤務計画上の連続当直を行わない勤務体制の実施、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間の一定の休息時間の確保(勤務間インターバル)、当直翌日の業務内容への配慮、交替勤務制・複数主治医制の実施など、複数の項目を計画に含める必要があります。 緊急呼出し当番医の配置: 休日・時間外・深夜において、2名以上(当該診療科に配置されている医師の数が5名未満の場合は1名以上)の緊急呼出し当番を担う医師を置く必要があります。令和8年5月29日付の疑義解釈では、緊急呼出し当番1名に代えて、当該診療科に所属する当直医1名を置くことでも施設基準を満たせるとされていますが、その当直医についても休息時間等の規定を満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
これは自院だけで判断するの、ちょっと難しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そう思います。施設基準は上記以外にも項目がある可能性がありますし、当サイトが収集した一次資料の範囲を超える詳細な運用は、地方厚生局への確認が必要です。届出済みであれば算定候補になりますが、届出前の医療機関はまず施設基準の充足状況を確認するところから始めることになります。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出はどこにすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地方厚生(支)局長への届出が必要です。留意事項通知では、時間外等加算1は、当該加算を算定するものとして地方厚生(支)局長に届出を行っている診療科において処置を実施した場合に限り算定できるとされています。つまり、医療機関単位ではなく診療科単位で届出の有無が問われる点に注意が必要です。
診療科ごとの届出範囲に注意
複数の診療科がある医療機関では、届出を行っていない診療科で行われた処置は、たとえ同じ医療機関内であっても時間外等加算1の対象にならない可能性があります。届出の範囲(どの診療科が対象か)を必ず確認してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングについて、注意点はありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、処置が保険医療機関または保険医の都合により時間外となった場合は、時間外加算等は算定できないとされています。患者側の事情による緊急処置が前提で、医療機関側の都合で診療時間がずれ込んだだけのケースは対象外の可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
「所定点数」の考え方も気になります。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、時間外加算等に係る「所定点数」とは、処置料に掲げられた点数と各注による加算(プラスチックギプス加算及びギプスに係る乳幼児加算を含む)を合計した点数であり、処置医療機器等加算・薬剤料・特定保険医療材料料の費用は含まないと定義されています。1,000点以上かどうかを判断するときは、この定義に沿って計算する必要があります。
みらい(新人医療事務)
処置の開始時間の考え方もありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。処置の開始時間とは、患者に対して直接施療した時とされています。また、処置料で「1日につき」とされているものは午前0時から午後12時までを指すため、午前0時前に処置を開始して午前0時以降に終了した場合は、処置を行った初日のみ時間外加算等を算定でき、日をまたいだ2日目分は算定できないとされています。
算定できるかは条件を満たす場合に限られます
ここまで説明した点数・施設基準・届出・タイミングの条件をすべて満たしていることが確認できて、はじめて算定候補になります。いずれか一つでも条件を満たさない場合や、確認できない場合は、対象外の可能性があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定(令和6年度)から変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
処置 休日・時間外・深夜加算1について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収集した一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の告示・留意事項通知ベース)。なお、施設基準の運用に関しては、令和8年5月29日付の疑義解釈で、緊急呼出し当番医の配置に関する取扱いが明確化されています。これは制度自体の変更ではなく、既存の施設基準の解釈を示したものです。
みらい(新人医療事務)
制度が変わったわけじゃなくて、運用の説明が追加されたってことですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。この違いは記事を読むときにも大事なポイントなので、念のため確認しておきましょう。
自院チェックリスト
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何を確認すればいいのか整理したいです。
あおい(元・医療事務)
順番に確認していきましょう。
自院で確認する順番
- 施設基準(医師の負担軽減体制の計画、緊急呼出し当番医の配置など)に適合しているか確認する
- 地方厚生(支)局長への届出を、対象となる診療科について行っているか確認する
- 算定したい処置の所定点数(処置料+各注加算の合計)が1,000点以上かどうかを確認する
- 入院中の患者か入院中の患者以外の患者かを確認し、時間外加算1は入院中の患者以外に限られる点に注意する
- 初診・再診の時間外加算等との連続性など、算定できるケースの条件に当てはまるか確認する
- 医療機関側の都合による時間外ではなく、緊急処置であることを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れとか、逆に算定してはいけないのに算定しちゃうケースって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか典型的なパターンがあります。
施設基準を届出前提で算定してしまう
施設基準に適合していると思い込んで届出をしないまま算定候補として扱ってしまうケースです。届出は地方厚生局への手続きが必要で、届出前は加算1の対象にはなりません。
加算1と加算2を混同する
処置通則5には、施設基準が必要な加算1(所定点数1,000点以上が対象)と、届出が不要な加算2(所定点数150点以上が対象)があります。所定点数の条件も割合も異なるため、混同すると誤った点数で算定してしまう可能性があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、似た名前でも中身が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。名前が似ている加算ほど、どの区分に当てはまるかを条文で確認する習慣が大事です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。