みらい(新人医療事務)
先輩、手術のレセプトを見ていたら「手術 休日・時間外・深夜加算1」という項目がありました。これは休日や夜間に緊急手術をしたら自動的につく加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
自動的につくものではありません。これは手術料の通則に定められている加算で、緊急のために休日・診療時間外・深夜に手術を行った場合に、手術の所定点数へ上乗せする仕組みです。名前の最後についている「1」というのは、施設基準に適合して地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関向けの区分を指します。令和8年度(2026年度)の一次資料に沿って、順番に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「1」があるということは「2」もあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ休日・時間外・深夜の緊急手術に対する加算でも、施設基準の届出をしていない保険医療機関では「2」という区分(加算割合が低い区分)で算定されます。この記事で扱う「加算1」は、届出をしている医療機関が候補になる、加算割合の高い区分という位置づけです。
この加算はどんな時に関わってくるのか
みらい(新人医療事務)
つまり、夜間や休日に急に手術が必要になったときに関係してくる加算ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の一次資料では、「緊急のために休日に手術を行った場合、又はその開始時間が保険医療機関の表示する診療時間以外の時間若しくは深夜である手術を行った場合」に、所定点数に加算するとされています。休日・時間外・深夜という3つの時間帯それぞれに、加算1(届出あり)と加算2(届出なし)が用意されている構造です。
みらい(新人医療事務)
休日でも時間外でも深夜でも、届出さえしていれば全部「1」になるということですか?
あおい(元・医療事務)
基本的な考え方はそうですが、時間外加算1については「入院中の患者以外の患者に対して行われる場合に限る」という限定が一次資料に明記されています。休日加算1と深夜加算1にはこの限定が書かれていないため、入院患者・外来患者のどちらの手術にも関わり得る整理です。この違いは見落としやすいので、後ほど表で整理します。
押さえておきたいポイント
- 休日・時間外・深夜に行われた緊急手術の所定点数に対する上乗せ加算
- 「1」は施設基準に適合し届出をした保険医療機関が対象、「2」は届出をしていない保険医療機関が対象
- 時間外加算1は入院中の患者以外(外来)の手術に限られる
- 保険医療機関や保険医の都合で休日・時間外・深夜に行われた手術には算定候補にならない
対象になる医療機関・場面
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関の種類は決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している範囲では、診療所・病院のいずれも対象になり得ます。また、外来・入院のどちらの手術にも関わってくる加算です。手術という行為そのものに紐づく加算なので、在宅医療の場面は対象に含まれません。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんの手術でも算定候補になるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、休日加算1・深夜加算1については入院患者の手術にも関わり得ます。ただし一次資料では、入院患者に対する休日加算・深夜加算は「病状の急変等により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合」に算定できるとされています。予定手術がたまたま休日にずれ込んだ、というだけでは対象にならない点に注意が必要です。
点数の考え方(「1」と「2」の違い)
みらい(新人医療事務)
実際の加算割合を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の内容を表にまとめると、次のようになります。
| 区分 | 対象となる手術 | 加算割合(所定点数に対して) |
|---|---|---|
| 休日加算1(施設基準の届出あり) | 外来・入院とも | 100分の160に相当する点数 |
| 休日加算2(届出なし) | 外来・入院とも | 100分の80に相当する点数 |
| 時間外加算1(施設基準の届出あり) | 入院中の患者以外(外来)に限る | 100分の80に相当する点数 |
| 時間外加算2(届出なし) | 入院中の患者以外(外来)に限る | 100分の40に相当する点数 |
| 深夜加算1(施設基準の届出あり) | 外来・入院とも | 100分の160に相当する点数 |
| 深夜加算2(届出なし) | 外来・入院とも | 100分の80に相当する点数 |
みらい(新人医療事務)
「手術 休日・時間外・深夜加算1」という今回の加算概念は、この表でいうとどこにあたるんですか?
あおい(元・医療事務)
表の「1」がついている3行(休日加算1・時間外加算1・深夜加算1)をまとめて指しているのが、この加算概念です。いずれも施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で行われる場合の区分になります。

みらい(新人医療事務)
休日加算と深夜加算は同じ100分の160なのに、時間外加算だけ100分の80なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。時間外加算のほうが加算割合が低く設定されていて、しかも対象が入院中の患者以外に限られています。休日・深夜と時間外を同じ感覚で扱ってしまうと、割合を取り違えたり、入院患者に時間外加算を当ててしまったりする誤りにつながるので注意してください。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
「1」の区分になるための施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合」という届出の枠組みが定められています。ただし、施設基準の具体的な体制要件そのものは、当サイトが収録している範囲の資料には含まれていません。届出をする際は、地方厚生局への提出書類や個別の告示・通知で具体的な要件を確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない医療機関はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出をしていない保険医療機関で行われた場合は、「2」の区分(休日加算2・時間外加算2・深夜加算2)として、より低い加算割合で算定候補になります。届出の有無で「1」か「2」かが分かれる、というシンプルな構造です。
施設基準は自院での確認が必須
施設基準に適合しているかどうか、また実際に届出が受理されているかどうかは、自院の届出状況を確認しないと判断できません。届出をしていないのに「1」の割合で算定してしまうと、過誤請求につながる可能性があります。
算定タイミング・注意点
みらい(新人医療事務)
どんな手術でも、休日や深夜に行えばこの加算の対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうとも限りません。一次資料では、緊急のために休日に手術を行った場合、又はその開始時間が診療時間以外の時間若しくは深夜である手術を行った場合が対象とされていますが、区分番号K914からK917-5までに掲げる手術は、この加算の対象から除かれています。また、非常に重要な条件として「手術が保険医療機関又は保険医の都合により休日、時間外又は深夜に行われた場合には算定できない」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「保険医療機関の都合」というのは、具体的にどういうケースですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料に個別の例示までは記載されていませんが、緊急性のない手術を医療機関側の予定の都合で休日や夜間に組んだような場合が、この「都合」に当たると考えられます。あくまで緊急手術であることが前提になっている点を押さえておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
入院患者と外来患者で、算定できる条件は同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
違います。一次資料では、入院中の患者に対する休日加算・深夜加算は「病状の急変等により、休日に緊急手術を行った場合又は開始時間が深夜である緊急手術を行った場合」に算定できるとされています。一方、入院中の患者以外(外来)の患者に対する休日加算・時間外加算・深夜加算は、「休日加算、時間外加算又は深夜加算が算定できる初診又は再診に引き続き行われた緊急手術の場合」などに算定できるとされています。当サイトが収録している範囲では、外来患者向けの算定できる場合の一覧すべてを確認できていないため、詳細な条件は原文でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
この加算と、他の手術関係の加算が同時に関わることもありますか?
あおい(元・医療事務)
状況によってはあります。たとえば深夜に緊急で2つの手術を行った場合、深夜加算の割合の話とは別に、2以上の手術の50%併施加算のように、複数の手術を同時に行った場合の算定ルールが関わってくることもあります。それぞれの加算・算定ルールは根拠となる規定が別なので、混同せずに個別に確認する姿勢が大切です。
緊急性と医療機関都合の切り分け
休日・時間外・深夜に手術を行ったという事実だけでなく、「緊急性があったか」「保険医療機関や保険医の都合ではなかったか」を確認できる記録を残しておくことが、算定候補かどうかの判断において重要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している厚生労働省の一次資料(令和8年度)の範囲では、休日加算1・時間外加算1(入院外に限る)・深夜加算1の加算割合(100分の160、100分の80)や、施設基準の届出を前提とする枠組みそのものについて、変更点の記載は確認されていません(確認日: 2026年8月)。
みらい(新人医療事務)
「確認されていない」というのは、完全に変わっていないと言い切れるという意味ですか?
あおい(元・医療事務)
そこは少し違います。当サイトが今回参照した資料は、現行(令和8年度)の告示・通知に基づく整理が中心で、前回改定(令和6年度)時点の資料との詳細な突き合わせまでは、今回の収録範囲に含まれていません。加算割合や施設基準の要件に変更があったかどうかを厳密に確認したい場合は、厚生労働省の「個別改定項目について」など、改定ごとの一次資料を直接確認することをおすすめします。
前回→今回の整理
- 令和8年度時点の一次資料では、休日加算1・時間外加算1(入院外に限る)・深夜加算1という「1」区分の構造そのものは維持されている
- 加算割合(100分の160・100分の80)についても、当サイトが収録している範囲では変更の記載は確認されていない
- 前回改定(令和6年度)との厳密な比較は今回の収録範囲外のため、詳細確認が必要な場合は個別改定項目等の原典を参照する
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にレセプトを作るとき、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の考え方に沿うと、次の順番で確認するのがおすすめです。
自院で確認する順番
- 緊急手術かどうかを確認 — 休日・時間外・深夜に行われた手術が、緊急性のあるものだったかを確認する
- 医療機関側の都合でないかを確認 — 予定手術を医療機関や保険医の都合で休日・時間外・深夜に組んだだけではないかを確認する
- 入院患者か外来患者かを確認 — 時間外加算1は入院中の患者以外(外来)に限られる点に注意する
- 除外対象の手術でないかを確認 — 区分番号K914からK917-5までに掲げる手術に該当しないかを確認する
- 自院の届出状況を確認 — 施設基準の届出をしていれば「1」、していなければ「2」の区分が算定候補になる

みらい(新人医療事務)
レセプトコンピュータが自動で判定してくれる場合でも、この確認は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
自動判定に完全に任せきりにせず、緊急性の記録や届出状況といった前提条件は、人の目で一度確認しておく運用をおすすめします。特に「1」か「2」かの区分は届出状況に直結するため、システムのマスター設定が実態と合っているかも確認しておくと安心です。
よくある取り漏れ・誤解
よくある誤解
- 「休日・夜間に手術をすれば自動的に加算1になる」と誤解しているケース — 実際には施設基準の届出をしていることが「1」の前提になる
- 「休日加算と時間外加算の割合は同じ」と誤解しているケース — 時間外加算1は100分の80、休日加算1・深夜加算1は100分の160と割合が異なる
- 「入院患者にも時間外加算1が使える」と誤解しているケース — 時間外加算1は入院中の患者以外に限られる
- 「予定手術がたまたま休日にずれ込んだだけでも算定候補になる」と誤解しているケース — 保険医療機関や保険医の都合による場合は算定候補にならない
みらい(新人医療事務)
逆に、取り漏れが起きやすいのはどんな場面ですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出はしているのに、休日・深夜の緊急手術という事実がレセプトに反映されておらず、通常の手術料だけで請求してしまっているケースが考えられます。緊急手術だったことを示す記録(手術記録・カルテの時刻等)を整えておくと、後から確認しやすくなります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料・当サイトが収録している一次資料を根拠としています。実際に算定を検討する際は、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 医科診療報酬点数表 別表第一(令和8年厚生労働省告示第69号・手術の部) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 手術の通則(休日加算・時間外加算・深夜加算)に関する算定要件の整理(当サイトが収録している令和8年度一次資料に基づく)
- 手術 休日・時間外・深夜加算1(当サイトの加算区分の整理・令和8年度時点)
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や実施した手術の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・実施した手術の緊急性・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。施設基準の届出状況によって「1」か「2」かの区分が変わる点にも注意が必要です。