みらい(新人医療事務)
先輩、うちの病院で「麻酔管理料(Ⅱ)」の届出を検討してるって聞いたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)は、複数の麻酔科標榜医による麻酔の安全管理体制を評価する管理料ですよ。硬膜外麻酔・脊椎麻酔、あるいは声門上器具や気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行ったときに算定候補になる項目です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づいて、一緒に整理していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「(Ⅰ)」もありますよね? 混同しちゃいそうで不安です…。
あおい(元・医療事務)
そうなんです、よく混同されるポイントです。麻酔管理料(Ⅰ)と(Ⅱ)は別の区分で、同一の患者について両方を併算定することはできません。ただし同一の保険医療機関で、異なる患者にそれぞれ(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定することは可能とされています。この記事では(Ⅱ)に絞って、点数・施設基準・注意点を確認していきますね。
麻酔管理料(Ⅱ)の点数(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
まず点数から教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、次の2区分です。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 1 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合 | 150点 | 1回 |
| 2 声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を行った場合 | 450点 | 1回 |
あおい(元・医療事務)
さらに、区分2(閉鎖循環式全身麻酔)を算定する入院患者について、施設基準に適合した保険医療機関の薬剤師が周術期の薬学的管理を病棟の薬剤師等と連携して行った場合は、周術期薬剤管理加算として75点が所定点数に加算される仕組みになっています。

みらい(新人医療事務)
意外とシンプルですね。でも「誰が」「どういう体制で」やるかが大事そうです。
あおい(元・医療事務)
まさにそこが一番のポイントです。次は対象と体制の要件を見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)は、麻酔科を標榜する保険医療機関で、外来・入院どちらの患者にも算定候補になり得ます(点数区分2に付く周術期薬剤管理加算は入院患者が対象です)。対象となる麻酔手技は、「L002」硬膜外麻酔、「L004」脊椎麻酔、または「L008」声門上器具若しくは気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔です。
みらい(新人医療事務)
クリニックでも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準に適合し届出をしていれば、診療所・病院のいずれも算定候補になり得ます。ただし、後で説明する「複数の麻酔科標榜医」体制の要件が実質的なハードルになるので、規模の小さい施設ほど体制面の確認が重要です。届出をしていない場合は算定候補にならないため、まず届出状況の確認が出発点になります。
施設基準・人員体制(ここが要確認ポイント)
みらい(新人医療事務)
施設基準が一番気になります。具体的にどんな体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)は、複数の麻酔科標榜医による安全管理体制が確保され、質の高い麻酔が提供されることを評価する点数です。厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た麻酔科標榜の保険医療機関であることが前提になります。
あおい(元・医療事務)
そのうえで、次のいずれかの医師が麻酔前後の診察を行う体制が必要です。常態として週3日以上かつ週22時間以上勤務している医師で、常勤の麻酔科標榜医の指導の下に麻酔を担当する「担当医師」、または当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医のいずれかです。
あおい(元・医療事務)
そして、担当医師が実際の麻酔手技(硬膜外麻酔・脊椎麻酔・閉鎖循環式全身麻酔)を行う際は、麻酔科標榜医の管理下で行う必要があり、麻酔科標榜医は麻酔中の患者と同室内にいる必要があるとされています。ここが「複数の麻酔科標榜医」体制の核心部分です。
施設基準チェックの取り漏れやすいポイント
- 麻酔前後の診察は、緊急時を除き当該麻酔を実施した日以外に行う必要がある
- 麻酔科標榜医が診察を行った場合、その内容を担当医師に共有する運用になっているか
- 担当医師が実施する一部の行為を常勤看護師が代替する場合、その看護師が麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了しているか
みらい(新人医療事務)
看護師さんが一部代われるって聞いて驚きました。
あおい(元・医療事務)
はい、担当医師が実施する一部の行為については、麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了した常勤看護師が実施しても差し支えないとされています。この場合も、診察を行った担当医師または麻酔科標榜医が、診察内容をその看護師に共有することが求められます。研修の具体的な内容までは当サイトが確認できた資料の範囲では明記されていないため、自院の研修体制が要件を満たすかは施設基準の詳細と併せて確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合に算定する、とされています。つまり届出そのものが算定の前提条件です。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の状態では算定候補になりません。
あおい(元・医療事務)
周術期薬剤管理加算(注2)についても同様に、別の施設基準への適合と届出が必要です。麻酔管理料(Ⅱ)本体を届け出ていても、周術期薬剤管理加算は別枠の届出が要る点に注意してください。
届出は別枠で確認
麻酔管理料(Ⅱ)本体の施設基準と、周術期薬剤管理加算の施設基準は別に定められています。どちらも届け出ているか、地方厚生局への届出書類で必ず確認してください。
算定タイミング・記録・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、記録面での注意点も知りたいです。
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載することとされています。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録、または麻酔中の麻酔記録を診療録へ添付することで、診療録への記載に代えることができるとされています。
みらい(新人医療事務)
記録の残し方まで決まってるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、施設基準を満たしていても記録が要件どおりでなければ、審査で確認を求められる可能性があります。あわせて併算定の注意点も押さえておきましょう。
併算定・加算適用の注意点
- 同一の患者について、麻酔管理料(Ⅰ)及び麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできません。ただし、同一保険医療機関において、異なる患者にそれぞれ(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定することは可能とされています。
- 麻酔管理料(Ⅱ)については、通則2及び通則3の加算は適用しないとされています。
みらい(新人医療事務)
通則の加算が使えないのは意外でした。
あおい(元・医療事務)
ここは見落としやすいポイントです。麻酔管理料(Ⅰ)と混同して「通則加算も乗る」と思い込んでしまうケースがあるので、レセプト作成時に注意してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
麻酔管理料(Ⅱ)の点数区分自体(150点・450点)や、注1の施設基準届出の枠組みについて、当サイトが収集している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の医科点数表・留意事項通知ベース)。
あおい(元・医療事務)
注2の周術期薬剤管理加算(75点)は、令和8年度時点の一次資料に基づく現行の算定要件として記載しています。この加算が過去の改定でどのように扱われていたかまでは、当サイトが確認できた一次資料の範囲では特定できていません。前回改定からの経緯を含めて、正確な変更点は厚生労働省の個別改定項目の資料でご確認ください。
改定確認のポイント
点数が変わっていなくても、施設基準や記録要件だけが改定で見直されることがあります。「点数が同じだから運用も変わっていない」と思い込まず、施設基準通知・留意事項通知の該当箇所を都度確認する習慣が大切です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院は何から確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番はこんな流れになります。
自院で確認する順番
- 麻酔管理料(Ⅱ)の施設基準の届出を行っているか確認する
- 麻酔科標榜医が複数名体制で、担当医師(週3日以上・週22時間以上勤務)または常勤麻酔科標榜医による麻酔前後診察の運用ができているか確認する
- 主要な麻酔手技を麻酔科標榜医の管理下・同室で実施できる体制か確認する
- 診療録の記載方法(麻酔記録の添付を含む)が要件どおりか確認する
- 周術期薬剤管理加算を算定する場合は、その施設基準の届出状況を別途確認する
- 同一患者への麻酔管理料(Ⅰ)(Ⅱ)併算定になっていないかレセプト時に確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって見ると、点数以上に体制と記録がポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。麻酔管理料(Ⅱ)は「複数の麻酔科標榜医による安全管理体制」という質の評価が土台にあるので、人員体制と記録の整備が算定候補になるかどうかを左右します。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、次の公式資料に基づいて整理しています。
あおい(元・医療事務)
関連する加算として、麻酔管理料(Ⅱ)の注2に定められる周術期薬剤管理加算もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。