プログラム医療機器等指導管理料って何?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「プログラム医療機器等指導管理料」って聞いたことがなかったんですが、これはどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
最近登場した管理料ですね。一言で言うと、「禁煙アプリや高血圧症治療アプリなど、スマートフォンのアプリとして使われる治療用のプログラム医療機器を患者さんが使う際に、医療機関が指導管理を行ったときに算定を検討できる管理料」です。令和8年度(2026年度)診療報酬の区分番号はB005-14です。
みらい(新人医療事務)
アプリが医療機器になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。いわゆる「デジタル治療」と呼ばれる分野で、承認を受けたプログラム医療機器は「特定保険医療材料」として保険適用されています。ニコチン依存症の禁煙補助アプリ・高血圧症の治療補助アプリ・アルコール依存症の飲酒量低減アプリが令和8年度時点の対象例です。
みらい(新人医療事務)
薬ではなくアプリで治療するということですね。それを処方した医療機関が算定する管理料なんですね。
あおい(元・医療事務)
正確には「患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る)に係る指導管理を行った場合」が算定の対象です(令和8年度告示 B005-14 注1原文より)。処方と指導管理をセットで行うイメージです。
令和8年度の点数・算定単位
みらい(新人医療事務)
点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
区分ごとに異なります。月1回の算定で、疾患別・使用するアプリ別に点数が細かく分かれています。使用するプログラム医療機器等の種類に対応する区分の点数は、令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表 B005-14)の原文でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
かなり細かく分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
それに加えて、初回の指導管理を行った月に限り、導入期加算として50点を加算できます(注2)。患者さんがアプリを使い始める月はこの上乗せが算定候補になります。

みらい(新人医療事務)
「情報通信機器を用いた場合」という記載も見かけたんですが、これはオンライン診療のことですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。別に施設基準を届け出た保険医療機関で、情報通信機器(いわゆるオンライン診療)を使って指導管理を行った場合は、所定点数に代えて78点で算定します(注3)。対面での指導管理とは異なる区分になります。
| 算定の形態 | 点数 | 算定単位 | 加算 |
|---|---|---|---|
| 対面(通常) | 区分により異なる(告示原文で確認) | 月1回 | 導入期加算 50点(初回月のみ) |
| 情報通信機器(オンライン診療) | 78点 | 月1回 | 導入期加算の取扱いは確認が必要 |
点数の確認は一次資料で
対面指導管理の点数は区分ごとに定められており、使用するプログラム医療機器等の種類によって異なります。対応する区分と点数は、令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表 B005-14)の原文でご確認ください。
施設基準: 3種類のアプリで要件が異なる
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準は「使用するプログラム医療機器等の種類」によって3パターンに分かれています。これは令和8年度の特掲診療料施設基準通知(令和8年保医発0305第8号 第9)に定められています。
みらい(新人医療事務)
3パターンあるんですね。それぞれ教えてください。
あおい(元・医療事務)
まず、ニコチン依存症治療補助アプリを使う場合は「ニコチン依存症管理料の注1に規定する基準を満たしていること」が求められます。つまりニコチン依存症管理料の施設基準を既に満たしているか、満たす見込みがあることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
じゃあ高血圧症治療補助アプリは?
あおい(元・医療事務)
こちらは少し複雑です。「再診料の地域包括診療加算または地域包括診療料を算定する患者に対して高血圧症の治療管理を実施していること」、または「生活習慣病管理料(Ⅰ)の高血圧症区分もしくは生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定する患者(入院患者除く)のうち、高血圧症の治療管理を実施している患者をこれまでに治療している医療機関」であることが要件の一つです。さらに、地域の保険医療機関と連携する「関係学会が認定した高血圧症診療に係る専門施設」であることも条件に含まれます。
みらい(新人医療事務)
専門施設の認定が必要なんですね。学会の認定というのはどこが認定するんですか?
あおい(元・医療事務)
関係学会が認定した施設ということになりますが、具体的な学会・認定手続きの詳細については、最新の厚生労働省通知・関係学会の情報で確認していただく必要があります。施設基準の届出前に、認定取得状況と地方厚生局への届出要件を整理することが重要です。
みらい(新人医療事務)
最後のアルコール依存症の場合は?
あおい(元・医療事務)
アルコール依存症飲酒量低減治療補助アプリを使う場合は、「アルコール依存症に係る適切な研修を修了した医師が1名以上配置されていること」が施設基準です。研修修了済みの医師がいるかどうかが鍵になります。
施設基準の確認ポイント(令和8年度)
ニコチン依存症治療補助アプリ: ニコチン依存症管理料の注1の基準を満たしていること
高血圧症治療補助アプリ: 地域包括診療加算/地域包括診療料または生活習慣病管理料を算定する高血圧症患者を治療していること、かつ関係学会認定の専門施設であること
アルコール依存症飲酒量低減治療補助アプリ: アルコール依存症の適切な研修を修了した医師が1名以上配置されていること
算定要件: アプリの処方と指導管理をセットで
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていれば、あとは何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく分けると「医学管理料等の算定」「特定保険医療材料(アプリ)の算定」「プログラム医療機器等指導管理料の算定」の三つがセットになります。留意事項(令和8年保医発0305第6号)に具体的な場面が示されています。
みらい(新人医療事務)
たとえばニコチン依存症の場合はどんな流れですか?
あおい(元・医療事務)
ニコチン依存症治療補助アプリを使う場合は、「ニコチン依存症管理料の1のイまたは2を算定し、かつ特定保険医療材料226のニコチン依存症治療補助アプリを算定する場合」が算定の条件として示されています。つまり既存の管理料に上乗せする形で指導管理料が算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
高血圧症の場合は?
あおい(元・医療事務)
高血圧症治療補助アプリは、「高血圧症の医学管理において医学管理料等のうち要件を満たすものを算定し、かつ特定保険医療材料227の高血圧症治療補助アプリを算定する場合」が対象の場面として示されています。生活習慣病管理料などの医学管理料の算定が前提になります。
みらい(新人医療事務)
アルコール依存症の場合は少し違いますか?
あおい(元・医療事務)
アルコール依存症の場合は、「アルコール依存症に係る適切な研修を修了した医師が、アルコール依存症に係る総合的な指導及び治療管理を実施し、かつ特定保険医療材料235のアルコール依存症飲酒量低減治療補助アプリを算定する場合」とされています。医師の研修修了と総合的な治療管理の実施が要件になります。
算定の前提条件を確認
プログラム医療機器等指導管理料は、対応する医学管理料等と特定保険医療材料(アプリ)の算定がセットになっています。どちらか一方だけでは算定候補になりません。自院の処方状況と管理料の算定状況を合わせて確認してください。
届出: 施設基準の届出が必要
みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」算定できると、告示の注1に定められています。届出は必須です。使用するアプリの種類に対応した施設基準を満たしたうえで、地方厚生局への届出を行うことが前提になります。
みらい(新人医療事務)
届出をしていない医療機関は算定できないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。施設基準を満たしている状態でも、届出が完了していなければ算定候補にはなりません。まず施設基準の充足状況を確認し、届出が完了していれば算定候補として検討できます。届出の様式・提出先は地方厚生局です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この管理料は、令和6年度(2024年度)からどう変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
プログラム医療機器等指導管理料はもともと令和4年度(2022年度)改定で新設された管理料です。対象となるプログラム医療機器等は当時から拡充が続いています。
みらい(新人医療事務)
令和8年度(2026年度)改定で何か変わったことはありますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定の個別改定項目として「デジタル技術を活用した医療の推進」が掲げられており、プログラム医療機器等に関する見直しも含まれています。ただし一次資料の範囲で点数・施設基準・対象の具体的な変更内容を逐条照合した結果、本記事執筆時点(2026年6月・厚生労働省告示・通知一次情報ベース)では、令和6年度から令和8年度への算定要件・施設基準の主な変更は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
確認されていないということは、変わっていないということですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料を照合した範囲ではそのように読み取れます。ただし、改定の詳細は厚生労働省の最新通知(告示・留意事項通知・疑義解釈)を必ずご確認ください。対象となるプログラム医療機器等の品目が増える可能性もあるため、最新情報の把握が重要です。
令和8年度 改定の確認ポイント
- 令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表 B005-14)
- 令和8年保医発0305第6号(留意事項通知)
- 令和8年保医発0305第8号(特掲診療料施設基準通知)
- 疑義解釈資料(令和8年3月23日 事務連絡)
一次資料での確認範囲では主な変更は未確認(2026年6月・厚労省一次情報ベース)
生活習慣病管理料との関係
みらい(新人医療事務)
さっき高血圧症の施設基準のところで生活習慣病管理料が出てきましたが、プログラム医療機器等指導管理料とはどう関係するんですか?
あおい(元・医療事務)
高血圧症治療補助アプリを使う場合は、生活習慣病管理料(Ⅰ)の高血圧症区分または生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定している患者に対して指導管理を行うことが、施設基準・算定要件の一つになっています。つまり、生活習慣病管理料を算定している医療機関にとっては、プログラム医療機器等指導管理料が追加で算定を検討できる可能性があるということです。
みらい(新人医療事務)
なるほど。生活習慣病管理料を算定している診療所がアプリ治療を取り入れるケースが想定されているんですね。
あおい(元・医療事務)
そういうイメージです。ただし「生活習慣病管理料を算定していれば自動的に算定候補」ではなく、施設基準(関係学会認定の専門施設要件等)を満たしたうえで届出が必要です。「届出済みであれば算定候補になります」という流れで確認を進めてください。
よくある取り漏れ・注意点
よくある確認漏れ(令和8年度)
1. 施設基準の届出が完了しているか: アプリの種類別に要件が異なります。未届出では算定候補になりません。
2. 対応する医学管理料の算定があるか: アプリの種類に対応した管理料(ニコチン依存症管理料・生活習慣病管理料等)を既に算定していることが前提です。
3. 特定保険医療材料としての処方があるか: アプリを「特定保険医療材料」として処方・算定していることが条件です。
4. 導入期加算の算定月は初回か確認: 導入期加算(50点)は当該初回の指導管理を行った月に限りです。2回目以降には算定できません。
5. 月1回の算定制限: 月複数回の算定はできません。
みらい(新人医療事務)
初回にしかつかない導入期加算は、レセプト上で初回かどうかが確認されるんですか?
あおい(元・医療事務)
「初回」の確認は診療録の記録が根拠になります。いつ最初の指導管理を行ったか記録を残しておくことが重要です。2回目以降に誤って加算を算定しないよう、電子カルテで管理することをお勧めします。
みらい(新人医療事務)
オンライン診療の場合は点数が変わるということでしたが、施設基準も別途必要ですか?
あおい(元・医療事務)
情報通信機器を用いた場合(注3)も「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関」が要件です。対面指導管理の施設基準と情報通信機器使用の施設基準の双方を確認する必要があります。
自院で確認する順番

自院で確認する順番
- 使用するプログラム医療機器等の確認: 自院で処方・使用予定のアプリがニコチン依存症・高血圧症・アルコール依存症のどれに対応するか確認
- 施設基準の確認: アプリの種類に対応する施設基準(ニコチン依存症管理料の基準 / 学会認定専門施設 / アルコール依存症研修修了医師の配置)を満たしているか確認
- 地方厚生局への届出状況確認: 施設基準を満たしたうえで届出が完了しているか確認
- 算定前提の医学管理料確認: 対応する医学管理料(ニコチン依存症管理料・生活習慣病管理料等)を算定しているか確認
- 特定保険医療材料の処方確認: アプリを特定保険医療材料として処方・算定しているか確認
- 月次の算定管理: 月1回の制限・導入期加算は初回月のみであることを院内で管理
みらい(新人医療事務)
ステップ2の施設基準が一番ハードルになりそうですね。特に高血圧症の学会認定要件は確認が複雑です。
あおい(元・医療事務)
そうですね。高血圧症治療補助アプリの学会認定要件については、関係学会の認定状況と地方厚生局の届出書類を事前に整理しておくことが重要です。地方厚生局に問い合わせて必要な届出書類と確認事項を把握してから進めるのが安全です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
「自院がニコチン依存症管理料の施設基準を既に取っていれば、禁煙アプリに関してはすぐに届出できますか?」というのが気になっています。
あおい(元・医療事務)
ニコチン依存症治療補助アプリの施設基準は「ニコチン依存症管理料の注1の基準を満たしていること」なので、ニコチン依存症管理料の施設基準を満たしていることが前提です。ただし「プログラム医療機器等指導管理料」としての届出は別途必要ですので、地方厚生局へ届出を行って初めて算定候補になります。「ニコチン依存症管理料の届出があれば自動的に算定できる」ということにはなりません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、届出は別々なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。また、実際に禁煙アプリ(特定保険医療材料226)を患者さんに処方して指導管理を行う診療体制も整える必要があります。アプリの処方ルートや説明手順なども事前に確認しておいてください。
みらい(新人医療事務)
アルコール依存症の「適切な研修」というのは、具体的にどんな研修ですか?
あおい(元・医療事務)
「アルコール依存症に係る適切な研修」の具体的な内容は、厚生労働省通知や関係学会の告示で定められています。自院の医師が対象の研修を修了しているかどうかは、研修修了証等で確認するとともに、地方厚生局に届出書類の記載方法を確認することをお勧めします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
プログラム医療機器等指導管理料について、うちが算定候補になるか、もっと詳しく確認できる方法はありますか?
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。施設基準の届出状況やアプリの使用状況を入力しながら、確認すべきポイントを整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(令和8年厚生労働省告示第69号・令和8年保医発0305第6号・第8号)・審査支払機関の判断でご確認ください。