みらい(新人医療事務)
「遺伝性疾患療養指導管理料」っていう名前、最近見かけるようになったんですけど、これって新しい加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。令和8年度(2026年度)の診療報酬改定で新設された医学管理料の一つで、区分番号はB001-11です。遺伝子検査に関する説明や、検査結果に基づく療養指導を評価する項目ですよ。
みらい(新人医療事務)
遺伝子検査って、うちのクリニックでもやることがあります。関係あるかもしれません。
あおい(元・医療事務)
対象になるのは、難病に関する検査(遺伝学的検査・角膜ジストロフィー遺伝子検査・染色体構造変異解析・遺伝性網膜ジストロフィ遺伝子検査)や、遺伝性腫瘍に関する検査(マイクロサテライト不安定性検査、BRCA1/2遺伝子検査)、あるいは関連する病理診断を実施する場面です。これから詳しく確認していきましょう。
この加算は何のための管理料か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どうしてこの管理料ができたんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈資料に、新設の趣旨が説明されています。関係学会からの医療技術評価の提案がきっかけで、質の高いゲノム医療を推進する観点から、遺伝カウンセリングや遺伝学的な情報に基づく療養指導の評価を見直したもの、とされています。
新設の経緯(一次資料)
厚労省の説明: 検体検査判断料に含まれていた遺伝カウンセリング加算等が廃止され、その代わりに第1部医学管理等の中に、この遺伝性疾患療養指導管理料が新設された、という経緯があります。
みらい(新人医療事務)
検査そのものではなくて、その前後の説明や指導を評価する加算、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。遺伝子検査の点数(D区分)とは別に、検査の前の説明と、検査後の結果説明・指導という「医学管理」の部分を評価する項目、と捉えるとわかりやすいと思います。
対象医療機関・対象患者・対象場面
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
まず、施設基準の届出が前提になります。届出の有無によって算定候補かどうかが変わってくるので、ここは自院の状況を必ず確認してください。対象になる「場面」は、資料上、大きく3つの区分に整理されています。
自院で確認する順番
- 検査の必要性等について、文書で説明を行う場面(区分「1」)
- 検査結果に基づいて、療養上必要な指導を初めて行う場面(区分「2」のイ)
- 過去に検査を実施した患者に対して、状況の変化等を踏まえて改めて指導を行う場面(区分「2」のロ)
みらい(新人医療事務)
検査を受ける前と後で、区分が分かれているんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。しかも、それぞれ「患者1人につき1回に限り」と資料に明記されています。同じ区分を繰り返し算定できるわけではない点は、確認が必要なポイントです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表(令和8年度)の原文を確認すると、以下の3区分になっています。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 医師が遺伝子検査の必要性等について文書により説明を行った場合 | 300点 |
| 2 イ | 医師が遺伝子検査の結果に基づき療養上必要な指導を行った場合(初回) | 700点 |
| 2 ロ | 同(2回目) | 200点 |

みらい(新人医療事務)
初回の指導が一番高いんですね。2回目はぐっと下がるんだ。
あおい(元・医療事務)
そうですね。なお、注5に規定されている、がんゲノムプロファイリング検査(D006-19)に関する行為を行った場合も、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たしていれば、それぞれ「1」または「2」のイ・ロに掲げる所定点数を、患者1人につき1回に限り算定する、という形になっています。新しい点数区分が追加されるわけではなく、同じ点数表を、より厳しい施設基準のもとで適用する、という位置づけです。
施設基準
みらい(新人医療事務)
施設基準は具体的にどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
資料では、注1から注3までの基準と、注4(遠隔連携)の基準、注5(がんゲノムプロファイリング検査関連)の基準が、それぞれ分けて示されています。
注1〜注3の施設基準(一次資料の要点)
医師の配置: 遺伝性疾患の診療に係る経験を3年以上有する常勤の医師が1名以上配置されていること。週3日以上・週22時間以上勤務する非常勤医師(同じく経験3年以上)を2名以上組み合わせることで、常勤医師と同じ扱いにできる場合があります。 実施件数: 遺伝性疾患に対する療養指導を年間合計20例以上実施していること。
あおい(元・医療事務)
注4(遠隔連携で行う場合)は、注1〜注3の届出を行っていることに加えて、オンライン指針に沿って診療を行う体制を有することが基準になります。注5(がんゲノムプロファイリング検査関連)は、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、またはがんゲノム医療連携病院であることが基準です。
みらい(新人医療事務)
自院がどの基準に当てはまるか、まず確認しないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に「経験3年以上の常勤医師1名」という要件は、体制が整っているかどうかで結果が変わるところなので、要確認のポイントです。
届出の要否
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていたら、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
区分によって扱いが分かれています。資料には次のように整理されています。
届出に関する注意(一次資料の要点)
注1から注3までの施設基準は、別添2の様式23を用いて届出が必要です。注5(がんゲノムプロファイリング検査関連)の施設基準は、様式23の4を用いて届出が必要です。一方で、注4(遠隔連携)の基準については、当該基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長への届出は特に必要ない、とされています。届出済みであれば候補になりますが、様式や提出先の詳細は自院の地方厚生局への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
遠隔連携のところだけ届出不要なんですね、間違えそうです。
あおい(元・医療事務)
ここは見落としやすいところだと思います。届出が要る区分と要らない区分が混在しているので、自院がどの区分で算定しようとしているのか、条文に沿って確認することが大切です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングで気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
まず、区分「1」「2」のイ「2」のロは、それぞれ患者1人につき1回に限り算定できる、という回数制限があります。同じ患者に何度も算定できるものではありません。
他の管理料との併算定に注意(一次資料の要点)
遺伝性疾患療養指導管理料の「1」を算定する患者については、B001特定疾患治療管理料の「23」がん患者指導管理料の「ニ」の所定点数は算定できない、と留意事項通知に明記されています。逆に、がん患者指導管理料のニの側の通知にも「区分番号B001-11に掲げる遺伝性疾患療養指導管理料の1は、別に算定できない」という対応する規定があります。どちらを算定するかは、患者ごとの状況に応じた確認が必要です。
あおい(元・医療事務)
また、遠隔連携で行う場合は、事前の診療情報提供についてB009診療情報提供料(Ⅰ)は別に算定できない、という規定もあります。遠隔連携での運用を考えている場合は、この点もあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
似た名前の管理料と混同しないように気をつけないといけませんね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「がん患者指導管理料」と「遺伝性疾患療養指導管理料」は対象や区分が異なる別の項目なので、どちらの区分の話をしているのか、条文の主語を確認しながら整理することをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(新設)
みらい(新人医療事務)
この管理料は、前の改定にはなかったんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の疑義解釈資料(令和8年4月1日事務連絡)に、令和8年度診療報酬改定において新設された項目であることが明記されています。
改定での変更点(一次資料の要点)
令和8年度診療報酬改定において、検体検査判断料の「遺伝カウンセリング加算」等が廃止され、第1部医学管理等に「B001-11 遺伝性疾患療養指導管理料」が新設されました。関係学会による医療技術評価の提案を契機に、質の高いゲノム医療を推進する観点から、遺伝カウンセリング及び遺伝学的な情報に基づく療養指導に係る評価が見直されたものです。
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)までは、検体検査判断料の中の加算として評価されていたものが、令和8年度改定で医学管理等の独立した管理料として再編された、という経緯になります。この記事では現行(令和8年度)の要件で説明していますが、以前に遺伝カウンセリング加算を算定していた医療機関は、体制や届出の見直しが必要になっている可能性があります。
みらい(新人医療事務)
名前も仕組みも変わったんですね。前の制度のつもりで運用していると、ずれが出てしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。名称が変わっているだけでなく、区分や施設基準の立て付けも新しくなっているので、旧制度の記憶だけで判断せず、令和8年度の一次資料で確認し直すことをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定できそうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 遺伝性疾患の診療経験3年以上の常勤医師(または相当する非常勤医師の組み合わせ)が配置されているか確認する
- 注1〜注3の施設基準について、様式23で届出を行っているか確認する(がんゲノムプロファイリング検査関連は様式23の4)
- 対象となる検査(難病に関する検査・遺伝性腫瘍に関する検査・関連する病理診断)を実施した患者であるか確認する
- 説明の場面か、検査結果に基づく指導の場面か、区分「1」「2」イ「2」ロのどれに該当するかを整理する
- 同じ区分をその患者で既に算定していないか(1人1回限り)を確認する
- がん患者指導管理料のニなど、併算定できない項目を同時に算定していないか確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと整理しやすいです。
あおい(元・医療事務)
最初の一歩は、施設基準の届出状況を確認することです。届出がなければ、そもそも算定候補にはなりませんので。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
取り漏れやすいポイント
遠隔連携の届出不要規定の見落とし: 注4(遠隔連携)は施設基準を満たしていればよく、地方厚生局への届出は不要です。ここを届出必須だと思い込んでいると、算定機会を見逃す可能性があります。 がん患者指導管理料との併算定除外の見落とし: 遺伝性乳癌卵巣癌症候群が疑われる患者に対応する際、がん患者指導管理料ニと遺伝性疾患療養指導管理料の1は同時に算定できません。どちらの管理料として整理するか、事前の確認が必要です。 回数制限(1人1回限り)の見落とし: 区分ごとに「患者1人につき1回に限り」という制限があります。同じ検査に関連して複数回算定していないか、記録と照らし合わせて確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。