小児かかりつけ診療料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「小児かかりつけ診療料」ってよく聞くんですけど、小児科外来診療料と何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、区分番号B001-2-11として設定されている診療料です。単なる外来診療の評価ではなく、かかりつけ医として患者の同意を得た上で、緊急時や明らかに専門外の場合等を除き継続的かつ全人的な医療を行うことを評価したものです。原則として1人の患者につき1か所の保険医療機関が算定する仕組みになっています。
みらい(新人医療事務)
「継続的かつ全人的な医療」というのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。単発の受診ではなく、当該保険医療機関を4回以上受診(予防接種の実施等を目的とした保険外のものを含みます)した未就学児が対象になります。6歳以上の患者については、6歳未満から小児かかりつけ診療料を算定しているものに限られます。過去に算定していた患者が算定を行わなくなった場合、6歳以上の患者は再度算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、いったん途切れると6歳以上では戻せないんですね。厳しい…。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは見落としやすいポイントです。対象患者かどうかは受診履歴を含めて確認する必要があります。
対象患者・算定できる場面
みらい(新人医療事務)
対象になる患者の範囲、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
未就学児(入院中の患者以外)で、当該医療機関を4回以上受診している場合が基本です。区分番号A001に掲げる再診料の注9に規定する場合(電話等再診)については、小児かかりつけ診療料は算定しないとされています。
みらい(新人医療事務)
同じ日に2回受診したらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
同一日において、同一患者の再診が2回以上行われた場合であっても、1日につき所定の点数を算定するとされています。回数分を積み上げるのではなく、1日単位での評価です。
みらい(新人医療事務)
小児科外来診療料との関係も気になります。
あおい(元・医療事務)
小児かかりつけ診療料を算定した場合は、区分番号B001-2に掲げる小児科外来診療料は算定できないとされています。どちらか一方の選択という位置づけです。
点数・区分の確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的な点数を知りたいです。ひとつの点数じゃないんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、小児かかりつけ診療料1と2、それぞれに「処方箋を交付する場合」「処方箋を交付しない場合」があり、さらに初診時・再診時で分かれます。全部で8区分です。令和8年度時点の点数は次のとおりです(1日につき)。
| 区分 | 場面 | 初診時 | 再診時 |
|---|---|---|---|
| 小児かかりつけ診療料1 | イ 処方箋を交付する場合 | 652点 | 459点 |
| 小児かかりつけ診療料1 | ロ 処方箋を交付しない場合 | 769点 | 577点 |
| 小児かかりつけ診療料2 | イ 処方箋を交付する場合 | 641点 | 448点 |
| 小児かかりつけ診療料2 | ロ 処方箋を交付しない場合 | 758点 | 566点 |

みらい(新人医療事務)
「1」と「2」はどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
主に施設基準の違いによる区分です。詳しくはこのあとの施設基準のところで確認しましょう。あわせて、院外処方箋を交付した日がある月は「イ」の点数、当該保険医療機関において院内処方を行わない場合も「イ」を算定するとされています。夜間緊急の受診などやむを得ない場合に院内投薬を行い「ロ」を算定するときは、その理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載することとされています。
みらい(新人医療事務)
あと、抗菌薬の加算もあるって聞いたんですが。
あおい(元・医療事務)
「小児抗菌薬適正使用支援加算」ですね。急性気道感染症、急性中耳炎、急性副鼻腔炎又は急性下痢症により受診した基礎疾患のない患者であって、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しないものに対して、療養上必要な指導及び検査結果の説明を行い、文書により説明内容を提供した場合に、小児科を担当する専任の医師が診療を行った初診時に限り、月1回80点を所定点数に加算するとされています。ただし、インフルエンザウイルス感染症又は新型コロナウイルス感染症の患者(疑いがある患者を含む)については算定できないとされています。この加算自体は小児抗菌薬適正使用支援加算としてもページを分けて確認できます。
施設基準: どんな体制が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
届出が必要な加算なんですよね。施設基準はどうなってますか?
あおい(元・医療事務)
小児かかりつけ診療料1に関する施設基準では、専ら小児科又は小児外科を担当する常勤の医師が1名以上配置されていること、小児科外来診療料を算定していること、時間外対応体制加算1又は時間外対応体制加算3に係る届出を行っていることが求められます。加えて、以下の4項目のうち2つ以上に該当することが必要です。
小児かかりつけ診療料1の追加要件(4項目中2つ以上・令和8年度)
- 母子保健法に基づく乳幼児の健康診査(市町村実施の1歳6か月、3歳児等の健康診査)を実施していること
- 予防接種法に基づく定期予防接種を実施していること
- 過去1年間に15歳未満の超重症児又は準超重症児に対して在宅医療を提供した実績を有していること
- 幼稚園の園医、保育所の嘱託医又は小学校若しくは中学校の学校医に就任していること
みらい(新人医療事務)
2のほうはどう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
小児かかりつけ診療料2は、1の一部の要件(常勤医師配置・小児科外来診療料算定・上記4項目要件・研修修了が望ましいこと・3年以内の期限付き指定を受けた診療所でないこと)を満たした上で、時間外対応体制加算2又は時間外対応体制加算4の届出があること、または在宅当番医制等により初期小児救急医療に参加し、休日又は夜間の診療を年6回以上の頻度で行っており、診療時間外は留守番電話等で夜間・休日の相談窓口(#8000等)の案内を行うなどの対応をしていること、のいずれかを満たす必要があります。
みらい(新人医療事務)
時間外対応体制加算の届出区分がそのままここに関わってくるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。時間外対応体制加算をどの区分で届け出ているかによって、小児かかりつけ診療料の1と2のどちらの対象になるかが変わってきます。あわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
小児抗菌薬適正使用支援加算のほうにも施設基準があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに位置づけられた「地域感染症対策ネットワーク」に係る活動に参加していること、又は感染症にかかる研修会等に定期的に参加していることが施設基準です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
届出の様式はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
小児かかりつけ診療料1又は2の施設基準に係る届出は、別添2の様式7の8を用いることとされています。一方、小児抗菌薬適正使用支援加算の施設基準については、当該基準を満たしていればよく、地方厚生(支)局長に対して特に届出を行う必要はないとされています。
みらい(新人医療事務)
加算だけ別扱いなんですね。混同しないよう気をつけます。
あおい(元・医療事務)
はい。届出済みであれば小児かかりつけ診療料の算定候補になりますが、様式の記載内容が実態と合っているかは自院で改めて確認してください。届出の有無だけで即座に算定できると判断するのは避けたいところです。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
算定にあたっての注意点(令和8年度)
- 原則として1人の患者につき1か所の保険医療機関が算定するものであり、複数の医療機関で重複して算定する運用は想定されていません。
- 区分番号A001に掲げる再診料の注9(電話等再診)に規定する場合は、小児かかりつけ診療料を算定しないこととされています。
- 注4に規定する小児抗菌薬適正使用支援加算などを除き、初診料・再診料・外来診療料の一部加算、地域連携小児夜間・休日診療料、救急外来医学管理料、診療情報提供料(Ⅰ)、電子的診療情報評価料、診療情報提供料(Ⅱ)、連携強化診療情報提供料、往診料等を除いた診療に係る費用は、小児かかりつけ診療料に含まれるものとされています。
みらい(新人医療事務)
「含まれるものとする」ということは、別に算定できないってことですよね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。列挙されている一部の項目を除き、対象患者の診療にかかる費用は基本的に包括される仕組みです。レセプト作成の際に重複算定していないか確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
抗菌薬を使わなかったときの指導についても、何かやることがあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
小児かかりつけ診療料の算定にあたっては、急性疾患発症時の対応の仕方や乳幼児期に頻繁にみられる慢性疾患の管理等についての指導、他の保険医療機関との連携及びオンライン資格確認を活用した受診状況の把握、健康診査の受診状況の把握と発達段階に応じた助言・指導、予防接種の実施状況の把握と指導、発達障害の疑いがある患者への対応、育児不安等の相談への対応、といった項目を行うこととされています。加えて、これらの指導等を行う旨を患者に書面(別紙様式10を参考に医療機関ごとに作成)を交付して説明し同意を得ること、指導等を行っている旨を院内の見やすい場所及びホームページ等に掲示すること、掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載することも求められています(自ら管理するホームページ等を有しない場合を除く)。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度改定(令和8年厚生労働省告示第69号・令和8年3月5日 保医発0305第6号等)の一次資料を確認しましたが、当サイトが収録している資料の範囲では、小児かかりつけ診療料の点数区分・施設基準・算定要件についての明確な変更点は確認されていません(確認日: 2026年8月)。区分・点数・要件の記載は、令和8年度の告示・留意事項通知に基づく現行内容です。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、それはそれで安心ですね。
あおい(元・医療事務)
ただし「変更がない」という確認自体も一次資料の範囲での確認ですので、実際の届出前には最新の告示・通知を必ず自院でも確認してください。今後、疑義解釈や訂正通知が追加で出る可能性もあります。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、何から確認すればいいのか整理したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点でおすすめする確認順序はこちらです。
自院で確認する順番
- 対象患者に該当するか(未就学児かつ当該医療機関を4回以上受診、または6歳以上で継続算定中)を確認する
- 小児科外来診療料の届出があるかを確認する(小児かかりつけ診療料と小児科外来診療料は選択制)
- 時間外対応体制加算の届出区分(1〜4のいずれか)を確認する
- 施設基準(4)の追加要件(乳幼児健診・定期予防接種・在宅医療実績・園医等就任)のうち何項目満たすか数える
- 満たす区分(小児かかりつけ診療料1または2)を確定し、様式7の8で届出内容を準備する
- 小児抗菌薬適正使用支援加算の対象とする場合は、地域感染症対策ネットワーク参加等の要件を満たしているか確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら院内でチェックリスト化できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に③④は時間外対応体制加算の区分と、乳幼児健診・予防接種などの実施状況という、普段の診療体制そのものに関わる項目です。届出書類を作る前に、実態としてどこまで満たしているかを洗い出しておくのがおすすめです。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント(令和8年度)
- 6歳以上の患者は「6歳未満から継続算定」が条件。一度算定を中断すると6歳以上では再開できない点を見落としがちです。
- 小児科外来診療料との併算定はできません(どちらか一方の選択)。
- 院外処方箋を交付した月は「イ」の点数区分になります。院内投薬をした場合の「ロ」算定には摘要欄への理由記載が必要です。
- 小児抗菌薬適正使用支援加算は届出不要(基準を満たしていればよい)ですが、小児かかりつけ診療料本体は様式7の8での届出が必要です。混同しないよう注意してください。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
関連する加算もいくつかあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。小児科外来診療料は選択関係にある診療料ですし、施設基準に関わる時間外対応体制加算、注4に規定される小児抗菌薬適正使用支援加算は、いずれもセットで確認しておくと自院の体制整理がしやすくなります。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第71号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001675855.pdf
- 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省・留意事項通知等の特設ページ) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。