遠隔連携診療料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「遠隔連携診療料」って初めて聞いたんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬に区分B005-11として設けられている加算です。指定難病やてんかん、希少がんなど専門的な診療が必要な患者さんについて、患者の同意を得たうえで、その分野を専門的に診ている他の医療機関の医師に事前に診療情報を提供し、患者さんの来院時・訪問診療時・入院中に、ビデオ通話が可能な情報通信機器を使ってその医師と連携しながら診療を行った場合に算定候補になる仕組みです。
みらい(新人医療事務)
「連携」というのがポイントなんですね。うちの医師が一人で遠隔診療をするのとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。あくまで「対面診療を行っている医療機関の医師」と「専門的な診療を行っている他の医療機関の医師」が、情報通信機器を介して連携して診療する形が要件です。過疎地域など、専門医が近くにいない地域の患者さんが、身近な医療機関に通いながら遠方の専門医の診療も受けられるようにする狙いがあります。
みらい(新人医療事務)
外来だけじゃなく、訪問診療や入院でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示上、遠隔連携診療料は「1 外来診療の場合」「2 訪問診療の場合」「3 入院診療の場合」の3つの区分に分かれています。それぞれ対象になる患者像が少しずつ違うので、自院がどの区分に当てはまるかを確認する必要があります。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらです。
| 区分 | 算定場面 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| 注1 | 外来診療の場合(来院時) | 900点 | 3月に1回 |
| 注2 | 訪問診療の場合 | 900点 | 3月に1回 |
| 注3 | 入院診療の場合 | 900点 | 3月に1回 |

みらい(新人医療事務)
3つとも同じ900点なんですね。「3月に1回」というのは、外来・訪問・入院を合わせて3月に1回ということですか?
あおい(元・医療事務)
告示では各区分(注1・注2・注3)についてそれぞれ「3月に1回に限り算定する」と定められています。ただし同一患者について複数区分にまたがって算定できるかどうかは個別の確認が必要な点ですので、レセプト作成前に必ず公式資料と照らし合わせてください。ここは断定できるところではなく、確認が必要なポイントです。
みらい(新人医療事務)
区分コードの「B005-11」というのは、レセプトに書く番号ですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。医科点数表の区分番号がB005-11、加算名が「遠隔連携診療料」です。ちなみに個別の診療行為コード(マスターコード)までは当サイトの一次資料の範囲では確認できていないため、実際のレセプト入力コードはお使いのレセプトコンピューターのマスターで確認してください。
対象患者: 誰が算定候補になりますか?
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるんですか?外来・訪問・入院で違うんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい、区分ごとに対象となる患者像が定められています。まず外来診療(注1)の場合です。
注1(外来診療)の対象患者・令和8年度
- 指定難病の患者(診断目的の場合は疑い患者も含む)
- てんかんの患者(外傷性てんかんは診断目的の場合に限る。知的障害を有する者に係るものを含む)
- 希少がんの患者(診断目的の場合は疑い患者も含む)
- 小児慢性特定疾病(医療支援の対象に相当する状態)の患者(診断目的の場合は疑い患者も含む)
- 医療的ケア児(者)
- 人口の少ない地域に所在する保険医療機関を受診した、悪性腫瘍(治療中)・膠原病(治療中)・慢性維持透析の患者
みらい(新人医療事務)
けっこう幅広いんですね。訪問診療(注2)と入院(注3)はどうですか?
あおい(元・医療事務)
訪問診療(注2)は次の3つのいずれかに該当する患者さんが対象です。
注2(訪問診療)・注3(入院診療)の対象患者・令和8年度
注2(訪問診療の場合)
- 主治医が属する医療機関が標榜していない診療科で、その診療科の医師でなければ困難な診療を要する者
- 医療的ケア児(者)
- 外来緩和ケア管理料の対象患者
注3(入院診療の場合)
- 指定難病の患者
- 希少がんの患者
- 小児慢性特定疾病医療支援の対象患者
- 日本臓器移植ネットワークに臓器移植希望者として登録された患者
- 当該保険医療機関が標榜していない診療科で、その診療科の医師でなければ困難な診療を要する者
みらい(新人医療事務)
「標榜していない診療科の診療が必要」というのは、うちの医療機関にその診療科の看板がなければいい、ということですか?
あおい(元・医療事務)
そういう意味合いですが、具体的にどう判定するかは個々の患者さんの状態によります。この部分は自院の判断だけで確定させず、疑義解釈や地方厚生局への確認も含めて慎重に見極める必要があるポイントです。
算定の要件: 何をすれば算定候補になりますか?
みらい(新人医療事務)
対象患者に当てはまったら、あとは何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく3つのステップが必要です。1つ目は患者さんの同意を得ること。2つ目は、その分野を専門的に診ている他の保険医療機関の医師に、あらかじめ診療情報の提供を行うこと。3つ目は、実際の診療(来院時・訪問時・入院中)に、ビデオ通話が可能な情報通信機器を使ってその医師と連携しながら診療を行うことです。
みらい(新人医療事務)
「事前に診療情報提供」というのは、いつまでに送ればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは公式資料の中でも詳しい運用のルールが定められている部分なので、当サイトの一次資料の範囲だけで断定はできません。留意事項通知の全文と、必要であれば疑義解釈もあわせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「情報通信機器」はビデオ通話であれば何でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項では「ビデオ通話が可能な情報通信機器」という表現が使われています。具体的にどのシステムが要件を満たすかは、オンライン診療の指針など関連通知も踏まえて確認が必要です。ここも「確認が必要」に該当する部分ですね。
算定要件で確認が必要なポイント
- 患者の同意取得の記録が残っているか
- 連携先医師への事前の診療情報提供の記録(提供日・内容)が残っているか
- 実際の連携診療がビデオ通話可能な情報通信機器を用いて行われたことの記録があるか
- 対象患者の該当区分(指定難病・希少がん・医療的ケア児など)を診断書等で裏付けられるか
- 施設基準の届出が地方厚生局に受理されているか
施設基準・届出: 何が必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示では「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関」であることが前提になっています。つまり、施設基準を満たしたうえで地方厚生局長等への届出が受理されていることが算定候補の前提です。
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな施設基準を満たせばいいんですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の詳細な項目(人員配置や設備要件など)については、当サイトが収録している一次資料の範囲では区分番号と算定要件の条文までしか確認できておらず、施設基準の個別項目までは未確認です。届出の可否は、施設基準の告示・関連通知の原文を直接確認するか、地方厚生局に相談することをおすすめします。届出済みであれば算定候補になりますが、届出が確認できない場合は算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
届出をしないまま算定してしまったらどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
施設基準の届出が受理されていない状態での算定は、過誤請求として扱われるリスクがあります。必ず届出の受理状況を確認したうえで算定候補として扱ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
令和8年度の改定で、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
遠隔連携診療料自体は、令和8年度に新設されたものではありません。令和6年度(2024年度)の疑義解釈資料でも、同じ区分番号(B005-11)に関する質問が出されており、令和6年度時点ですでに運用されていたことが確認できます。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、令和6年度からずっとある加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。令和6年度(2024年度)の疑義解釈(令和6年3月28日公表)では「遠隔連携診療料」の対象患者の判定基準について質問と回答が出されています。令和8年度(2026年度)にも同様のテーマで疑義解釈(令和8年4月1日公表)が出ており、指定難病の患者の判定について「医療受給者証の交付の有無にかかわらず、指定難病と診断されていれば対象となる」という考え方が示されています。
みらい(新人医療事務)
点数や対象患者の範囲そのものが令和8年度で変わったということはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
900点という点数や、注1〜注3の対象患者の区分について、前回改定(令和6年度)からの具体的な変更内容までは、当サイトが収録している一次資料の範囲では確認できていません(確認日: 2026-08)。改定年度をまたぐ制度変更の有無は、厚生労働省の「個別改定項目について」など改定サイドの公式資料で確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で何から確認すればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べるとこうなります。
自院で確認する順番
-
対象患者に該当するか確認 — 指定難病・てんかん・希少がん・小児慢性特定疾病・医療的ケア児など、注1〜注3で定められた区分のいずれかに患者さんが該当するか
-
算定する区分を確認 — 外来(来院時)・訪問診療・入院のうち、どの区分に当てはまる診療形態か
-
患者の同意を確認 — 連携診療について患者さんの同意を得ているか、記録が残っているか
-
連携先医師への事前の診療情報提供を確認 — 専門的な診療を行っている他の保険医療機関の医師に、事前に診療情報を提供しているか
-
情報通信機器の要件を確認 — ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて連携診療を行える体制があるか
-
施設基準の届出状況を確認 — 地方厚生局長等への届出が受理されているか
-
算定回数の上限を確認 — 各区分ともに3月に1回が上限になっている点をレセプト作成時に確認

みらい(新人医療事務)
これだけ段階があると、自分の医療機関だけで判断するのは難しそうですね。
あおい(元・医療事務)
そう感じたら、加算チェッカーで整理してみるのがおすすめです。自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や診療形態を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
この加算、見落としやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ・令和8年度
- 対象患者の区分(注1〜注3)を誤認し、実際は該当しない患者で算定してしまう
- 連携先医師への事前の診療情報提供の記録を残しておらず、後から確認できなくなる
- 施設基準の届出を出していないまま、対象患者に当てはまるからと算定してしまう
- 同一患者について3月に1回の算定上限を超えて算定してしまう
- 情報通信機器がビデオ通話に対応しているか未確認のまま連携診療を行ってしまう
みらい(新人医療事務)
特に届出は最初に確認しておいたほうがよさそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出が前提になっている加算なので、対象患者がいたとしても届出が受理されていなければ算定候補にはなりません。まずは自院の届出状況を確認することが最初の一歩です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚生労働省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707246.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日保険局医療課事務連絡・医科問59) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
みらい(新人医療事務)
他にも関連する加算があれば教えてください。
あおい(元・医療事務)
事前の診療情報提供に関連する加算として 診療情報提供料(Ⅰ) があります。また注2の対象患者に含まれる 外来緩和ケア管理料 も、あわせて自院の算定状況を確認しておくとよいでしょう。