みらい(新人医療事務)
「在宅患者共同診療料」って初めて聞きました。うちみたいな診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
これは実は診療所側ではなく、病院側が算定する診療料なんです。しかも普通の病院ではなく「在宅療養後方支援病院」という届出をした病院が対象になります。
みらい(新人医療事務)
え、病院専用なんですね。じゃあ在宅を担当している診療所は関係ないんですか?
あおい(元・医療事務)
関係はあります。この診療料は、在宅療養後方支援病院が、患者さんの在宅医療を普段担当している連携医療機関(診療所など)からの求めに応じて、共同で往診や訪問診療を行ったときに算定するものなので、両者の連携が前提になります。ひとつずつ確認していきましょう。
在宅患者共同診療料とは
みらい(新人医療事務)
そもそもどんな場面で使う診療料なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、次のように定義されています。
留意事項通知の定義(令和8年度)
対象患者: 在宅での療養を行っている患者であって、疾病、負傷のために通院による療養が困難かつ在宅療養後方支援病院を緊急時の搬送先として希望する患者 算定する場面: 在宅療養後方支援病院が、在宅医療を提供する医療機関(連携医療機関)からの求めに応じて共同で往診又は訪問診療を行った場合
みらい(新人医療事務)
つまり、体調が急に悪化しそうな在宅患者さんの「もしものときの搬送先」として登録している病院が、普段の在宅医(連携医療機関)と一緒に診に行くイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知にはもう一点、訪問診療を行った後の対応も書かれています。「在宅療養後方支援病院は、訪問診療を行った後に、連携医療機関と十分情報交換を行った上で計画を策定することとする」とされていて、診て終わりではなく、連携医療機関との情報共有と計画づくりまでがセットです。
対象となる医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
「在宅療養後方支援病院」って、どんな病院でも名乗れるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ。告示の注1には「在宅療養後方支援病院(在宅において療養を行っている患者を緊急時に受け入れる病院であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たものをいう。)(許可病床数が400床未満の病院に限る。)」と規定されています。許可病床数400床未満の病院で、かつ施設基準に適合し地方厚生局長等へ届出済みであることが前提です。
みらい(新人医療事務)
400床以上の大きな病院は対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなります。対象患者についても告示の注1に「在宅で療養を行っている別に厚生労働大臣が定める疾病等を有する患者以外の患者であって通院が困難なもの(当該在宅療養後方支援病院を緊急時の搬送先として希望するものに限る。)」とあり、通院が困難で、かつその病院を緊急搬送先として希望している患者が基本の対象です。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める疾病等を有する患者」というのは、別扱いになるということですか?
あおい(元・医療事務)
はい。この患者群は算定回数の特例(後述)で別枠になります。具体的にどの疾病等が該当するかは厚生労働大臣が別途定める告示事項なので、自院の対象患者がこれに当たるかどうかは、最新の告示・通知本文で個別に確認する必要があります。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の区分見出しに3区分が並んでいます。往診か訪問診療か、訪問診療なら同一建物居住者かどうかで点数が変わります。
| 区分 | 内容 | 点数 |
|---|---|---|
| 1 | 往診の場合 | 1,500点 |
| 2 | 訪問診療の場合(同一建物居住者以外) | 1,000点 |
| 3 | 訪問診療の場合(同一建物居住者) | 240点 |

みらい(新人医療事務)
往診と訪問診療とで、こんなに差があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。往診(急な求めに応じて出向く形)がもっとも高く、あらかじめ計画的に訪問する訪問診療、その中でも同一建物居住者(同じ建物に住む複数の患者さんをまとめて訪問するケース)は低く設定されています。訪問診療料本体の点数体系と同じ考え方ですね。
みらい(新人医療事務)
交通費とかは別で請求できるんですか?
あおい(元・医療事務)
できません。告示の注5に「往診又は訪問診療に要した交通費は、患家の負担とする。」と明記されています。保険請求ではなく患者さん側の実費負担という扱いです。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
必要です。在宅療養後方支援病院として「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たもの」であることが算定の前提になっています。届出済みであれば候補になりますが、届出が済んでいなければこの区分は算定できません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の具体的な中身はどこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
在宅療養後方支援病院の施設基準は、点数告示とは別に厚生労働大臣が定める告示・通知に定められています。当サイトが収集している一次資料の範囲では、許可病床数400床未満という条件までは告示本文で確認できますが、その他の詳細要件は該当の施設基準通知本文で確認が必要です。届出の有無・要件充足は、自院の地方厚生局への届出状況で最終確認してください。
算定できるのは届出済みの病院のみ
在宅患者共同診療料は、在宅療養後方支援病院として施設基準の届出を済ませた病院(許可病床数400床未満)のみが算定候補になります。診療所や届出前の病院は対象外の可能性があります。
算定回数・算定タイミングの注意
みらい(新人医療事務)
何回でも算定していいわけではないんですよね?
あおい(元・医療事務)
回数には上限があります。告示の注1から注3には、それぞれ「1から3までのいずれかを最初に算定した日から起算して1年以内に、患者1人につき1から3までを合わせて2回に限り算定する。」と書かれています。往診・訪問診療(同一建物以外)・訪問診療(同一建物)の3区分を合わせて、患者1人につき年2回までです。
みらい(新人医療事務)
例外はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。告示の注4に「注1から注3までの規定にかかわらず、在宅療養後方支援病院が、別に厚生労働大臣が定める疾病等を有する患者に対して行った場合については、1から3までのいずれかを最初に算定した日から起算して1年以内に、患者1人につき1から3までを合わせて12回に限り算定する。」とあり、特定の疾病等を有する患者では年12回まで算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
その「特定の疾病等」って、具体的にどんな患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(3)に具体例が示されています。「15歳未満の人工呼吸器装着患者、15歳未満から引き続き人工呼吸を実施しており体重が20キログラム未満の患者又は神経難病等の患者を対象とする場合については、当該診療料を1年に12回算定することができる。」とされています。人工呼吸器を使う小児患者さんや神経難病等の患者さんが、この年12回特例の対象候補になります。
回数カウントの取り違えに注意
通常: 往診・訪問診療(同一建物以外)・訪問診療(同一建物)の3区分を合算して年2回まで 特例(人工呼吸器装着の小児・神経難病等): 同じ3区分を合算して年12回まで 起算日: いずれかを最初に算定した日から1年以内
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、点数・施設基準(許可病床数400床未満)・算定回数の上限(通常2回、特例12回)・交通費の患家負担といった主な規定に、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。改定内容は今後の告示・通知の追加公表で更新される可能性があるため、算定前には最新の一次資料も併せて確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院が算定候補になるか、順番に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
在宅療養後方支援病院としての立場を前提に、次の順番で確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
許可病床数400床未満の病院か: この時点で400床以上であれば対象外の可能性があります。 在宅療養後方支援病院として施設基準の届出済みか: 届出前であれば、まず届出の要否を地方厚生局へ確認します。 連携医療機関(患者の在宅医療を普段担当する保険医療機関)から共同での往診・訪問診療の求めがあったか: 自院単独の訪問では対象になりません。 患者が通院困難で、自院を緊急時の搬送先として希望しているか: 特例対象(人工呼吸器装着の小児・神経難病等)に該当するかも合わせて確認します。 往診か訪問診療か、訪問診療なら同一建物居住者かどうかを確認し、点数区分を特定する: 区分により1,500点/1,000点/240点と異なります。 訪問診療後に連携医療機関と情報交換を行い、計画を策定したか: 留意事項通知(2)の要件です。 年間の算定回数(通常2回・特例12回)の上限を超えていないか確認する: 起算日は最初の算定日から1年以内です。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でつまずきやすいポイントを教えてください。
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しますね。
よくある確認漏れ
診療所側が算定してしまう: 在宅患者共同診療料は在宅療養後方支援病院(病院側)が算定する診療料です。連携医療機関側の点数ではありません。 400床の判定を許可病床数でなく稼働病床数で見てしまう: 告示は「許可病床数」で規定しています。 交通費を保険請求に含めてしまう: 交通費は患家の負担とされており、保険請求の対象ではありません。 通常枠と特例枠(12回)の患者を混同する: 特例は人工呼吸器装着の小児患者や神経難病等の患者が対象候補です。該当するかは個別に確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する在宅の診療料としては、在宅患者連携指導料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、外来在宅共同指導料 もあわせて確認しておくと、在宅患者さんまわりの算定候補を整理しやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。