みらい(新人医療事務)
先生、「地域包括診療料」ってうちのクリニックでも算定候補になるんでしょうか?慢性疾患の患者さんが多いので気になっていて。
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。地域包括診療料(区分B001-2-9)は、令和8年度(2026年度)の医科点数表にある診療料です。主治医機能を持つ中小病院・診療所が、慢性疾患のある患者さんに継続的・全人的な医療を行うことを評価するものなんですよ。
みらい(新人医療事務)
「全人的」というのは、病気だけじゃなく生活面も含めて診るということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の告示では、この診療料の対象について次のように定められています。
対象医療機関(令和8年度)
病床数: 許可病床数が200床未満の病院、または診療所であること 対象患者: 慢性疾患を有する患者で、患者またはその家族等の同意を得ていること 算定除外: 初診の日を除く(初診時は算定できません)
みらい(新人医療事務)
訪問診療をしている患者さんにも使えますか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。留意事項通知では「初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できない」と明記されています。あくまで外来の継続診療が対象の診療料です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
地域包括診療料には1と2の2区分があり、それぞれ患者さんの状態でさらに2つに分かれます。令和8年度の告示に基づく点数区分は次のとおりです。
| 区分 | 対象患者 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 地域包括診療料1 | 認知症を有する患者等の場合 | 1,682点 |
| 地域包括診療料1 | その他の慢性疾患等を有する患者の場合 | 1,661点 |
| 地域包括診療料2 | 認知症を有する患者等の場合 | 1,614点 |
| 地域包括診療料2 | その他の慢性疾患等を有する患者の場合 | 1,601点 |

みらい(新人医療事務)
月に何回でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、月1回までです。告示の注1には「それぞれ患者1人につき月1回に限り算定する」とはっきり書かれています。区分1と2のどちらに該当するかは、医療機関が届け出ている施設基準の区分によって決まります。
点数以外にも加算がある
薬剤適正使用連携加算(3月に1回30点)や、外来データ提出加算(月1回10点)といった加算も告示で定められています。自院が対象になるかは施設基準の充足状況によるため、確認が必要です。
対象になる患者と「地域包括診療加算」との違い
みらい(新人医療事務)
似た名前の「地域包括診療加算」というのもありますよね?あれとは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
良い質問です。地域包括診療料は「診療料」として独立した点数を算定する仕組みで、地域包括診療加算は再診料に上乗せする加算です。両方を同時に届け出ることはできません。留意事項通知には「地域包括診療料と「A001」再診料の「注12」地域包括診療加算はどちらか一方に限り届出することができる」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
どちらか選ばないといけないんですね。もう一つの地域包括診療加算の記事も読んでみます。
あおい(元・医療事務)
自院の診療スタイルに合わせて、どちらが候補になりそうか比較してみるとよいと思いますよ。
施設基準の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容なんですか?結構細かそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、地域包括診療料1の施設基準にはいくつかの要件があり、そのすべてを満たす必要があります。まず基本的なところから見てみましょう。
施設基準(主なもの・令和8年度)
病床数・種別: 診療所または許可病床数が200床未満の病院であること 担当医の配置: 慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師(担当医)を配置していること。担当医は認知症に係る適切な研修も修了していることが望ましいとされています 院内掲示: 健康相談・予防接種相談の実施、介護支援専門員等からの相談への対応、28日以上の長期投薬またはリフィル処方箋交付への対応が可能であることを院内掲示すること ウェブサイト掲載: 上記の掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載すること(自院サイトを持たない場合を除く)
みらい(新人医療事務)
院外処方をしている場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
診療所で院外処方を行う場合は、24時間対応できる体制を整えた薬局と連携している必要があります。ただし、緊急時に処方が必要な薬剤について院内処方の体制が整っていれば、連携薬局側の24時間対応は必須ではないという例外もあります。
みらい(新人医療事務)
禁煙とか介護保険の対応も基準に入っているんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。敷地内禁煙であること、介護支援専門員等からの相談に適切に対応できる体制であることも施設基準に含まれています。細かい要件は施設基準通知の原文で確認が必要な部分ですね。
算定にあたっての注意点
みらい(新人医療事務)
実際に算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかポイントがあります。まず、担当医を決めて、その担当医が指導・診療を行った場合に算定するのが原則です。生活面の指導は担当医の指示があれば看護師や管理栄養士、薬剤師が行っても差し支えないとされています。
包括される費用の範囲
留意事項通知では、地域包括診療を受けている患者に対する一部の加算や在宅医療、投薬の費用の多くが「地域包括診療料に含まれるもの」とされています。ただし、患者の病状の急性増悪時に実施した検査・画像診断・処置は、所定点数が550点未満のものに限り診療料に含まれる扱いです。何が包括対象かは個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの同意はどうやって得るんですか?
あおい(元・医療事務)
初回算定時に、様式を参考にした署名付きの同意書を作成し、診療録等に添付することが求められます。ただし、直近1年間に4回以上の受診歴がある患者については、診療の要点を説明していれば同意手続きを省略してよいとされています。
みらい(新人医療事務)
あと、7種類以上の内服薬を出すと減算される規定がありますよね?
あおい(元・医療事務)
はい、通常はそうなのですが、地域包括診療料を算定する場合はその「7種類以上の内服薬の投薬を行う場合」の規定が適用されないことになっています。慢性疾患で多剤併用になりやすい患者さんを想定した取り扱いです。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
地域包括診療料1または2の施設基準に係る届出は、基本診療料施設基準通知別添7の様式2の3を使うことになっています。外来データ提出加算を届け出る場合は、別添2の様式7の11が必要です。
自院で確認する順番
- 自院が診療所、または許可病床数200床未満の病院かを確認する
- 慢性疾患の指導に係る研修を修了した担当医を配置しているかを確認する
- 院内掲示・連携薬局・禁煙・介護保険相談対応などの施設基準を満たしているかを確認する
- 満たしている場合、地方厚生局へ様式2の3で施設基準の届出を行う
- 届出受理後、月1回・患者ごとの算定要件(同意取得・担当医による診療)を満たして算定候補とする

みらい(新人医療事務)
届出さえ出せばすぐ算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出が受理されていることに加えて、実際の診療で担当医が指導・診療を行い、患者さんの同意が得られていることまで確認して、初めて算定候補になります。届出をしただけでは足りない、という点は覚えておいてください。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
初診時・訪問診療時の算定: 初診の日や訪問診療(往診含む)の日は地域包括診療料を算定できません。継続的な外来診療の日に限られます 地域包括診療加算との重複届出: 地域包括診療料と地域包括診療加算はどちらか一方しか届出できません。両方を届け出ようとすると要確認事項になります 同意書の様式: 初回算定時の同意書は様式を参考に作成し、診療録に添付する必要があります。省略できるのは直近1年で4回以上の受診歴がある患者に限られます
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定と比べて、地域包括診療料は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、前回改定(令和6年度)からの点数・施設基準・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026-08)。令和8年度の告示・留意事項通知に基づく現行の内容は、この記事で説明したとおりです。改定内容は今後の疑義解釈等で補足される可能性があるため、最新の公式資料もあわせてご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。