みらい(新人医療事務)
「リンパ浮腫指導管理料」という名称を見かけたんですが、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
手術や診断をきっかけにリンパ浮腫のリスクを抱える患者さんに、重症化を防ぐための指導を行ったときに算定候補となる管理料です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では区分番号B001-7として位置づけられています。
みらい(新人医療事務)
リンパ浮腫って聞いたことはありますが、具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
大きく2パターンあります。ひとつは鼠径部・骨盤部・腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍の手術を受けた患者さん、もうひとつは原発性リンパ浮腫と診断された患者さんです。どちらも「入院中の患者」であることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
100点という点数だけ見ると小さく感じますが、算定できる場面は意外と多そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし対象や実施時期の条件が細かく決まっているので、自院で算定候補になるかは一つずつ確認していく必要があります。届出や施設基準の要否も含めて、順番に見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者はどこまで含まれますか
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも算定候補になり得ます。入院医療を提供している保険医療機関であれば、外来・入院いずれの場面でも関係してくる管理料です。ただし在宅医療(訪問診療)の枠組みでの算定は想定されていません。
対象患者(令和8年度・当サイトが収録している一次資料の範囲)
入院中の患者であって、次のいずれかに該当する場合が対象です。
- 鼠径部、骨盤部若しくは腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍に対する手術を行った者
- 原発性リンパ浮腫と診断された者
(出典: 令和8年厚生労働省告示第69号 B001-7 注1)
みらい(新人医療事務)
「悪性腫瘍の手術を受けた人」というと、乳がんや子宮がん、前立腺がんなどのリンパ節郭清を伴う手術が想定されているということですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では手術の術式名までは限定せず、「鼠径部・骨盤部・腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術」という括りで規定されています。乳がん手術での腋窩リンパ節郭清、婦人科がん・泌尿器科がん手術での骨盤部・鼠径部リンパ節郭清などが典型例として想定されますが、実際に該当するかどうかは術式の記録から個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
「原発性リンパ浮腫」というのは、手術に関係なく起こるリンパ浮腫のことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。先天的あるいは原因不明にリンパ管やリンパ節の発育・機能に異常があり、リンパ浮腫を発症するケースを指します。悪性腫瘍手術を経ていなくても、診断がつけば対象になり得ます。
令和8年度の点数と算定単位
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる回数の考え方を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の点数は次のとおりです。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| B001-7 | リンパ浮腫指導管理料 | 100点 | 入院中1回・退院後いずれか一方の医療機関で1回 |
あおい(元・医療事務)
出典: 令和8年厚生労働省告示第69号 B001-7。

みらい(新人医療事務)
「入院中1回」と「退院後1回」の2つが表に書いてありますが、これは同じ患者さんで最大200点算定できるという意味ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、条件が揃えば入院中の指導(注1)と退院後の指導(注2)はそれぞれ別枠として算定候補になり得ます。ただし退院後の分は、地域連携診療計画に基づく他の連携医療機関で算定される場合を含めて「いずれか一方の保険医療機関で1回」という制限があります。同じ内容の指導を複数の医療機関で重複して算定することはできません。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
加算というと施設基準の届出が必要なイメージがあるんですが、この管理料はどうですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、リンパ浮腫指導管理料そのものに専用の施設基準や地方厚生局長等への届出は規定されていません。届出不要で算定候補になり得る管理料です。
届出不要でも確認は必要(令和8年度)
届出が不要という点数区分であっても、対象患者の該当性・実施者の要件・指導内容・診療録への記載という算定要件そのものは満たす必要があります。「届出がいらないから誰でも算定できる」という理解は誤りで、要件充足の確認は都度必要です。
みらい(新人医療事務)
似たような名前で「リンパ浮腫複合的治療料」という項目も見たことがあるんですが、それとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
別の区分番号(H007-4)の項目で、こちらは施設基準の届出が必要な点数区分です。リンパ浮腫指導管理料は患者さんへの「説明・指導」を評価するものであるのに対し、リンパ浮腫複合的治療料はリンパドレナージなどの複合的治療そのものを実施した場合に届出医療機関で算定する点数区分という違いがあります。混同しないよう、自院がどちらの実施内容にあたるかを確認しておくとよいでしょう。
実施者と指導内容の要件
みらい(新人医療事務)
誰が指導すれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
医師本人、または医師の指示に基づく看護師・理学療法士・作業療法士が実施した場合が対象です。医師の指示なしに他職種だけで完結させることはできません。
指導内容として求められる項目(令和8年度・留意事項通知)
次の事項について個別に説明・指導管理を行うことが求められています。
- ア: リンパ浮腫の病因と病態
- イ: リンパ浮腫の治療方法の概要
- ウ: セルフケアの重要性と局所へのリンパ液の停滞を予防・改善するための具体的実施方法(リンパドレナージ、弾性着衣・弾性包帯による圧迫、着用状態での運動、保湿・清潔維持等のスキンケア)
- エ: 生活上の具体的注意事項(感染症・肥満の予防)
- オ: 感染症の発症等増悪時の対処方法(診察・投薬の必要性)
(出典: 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について〔令和8年3月5日 保医発0305第6号〕B001-7 (1))
みらい(新人医療事務)
これだけの項目を一度に説明するのは結構なボリュームですね。全部話したことをどう証明すればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
指導内容の要点を診療録等に記載することが求められています。何を話したか口頭だけで終わらせず、記録として残しておくことが算定候補になるための前提です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
いつ指導すればよくて、何回まで算定できるかを詳しく教えてください。
あおい(元・医療事務)
入院中の指導(注1)は、手術を行った日の属する月、またはその前月・翌月のいずれかに実施した場合が対象です。原発性リンパ浮腫の場合は、診断がされた日の属する月、またはその翌月のいずれかになります。入院中1回に限り算定します。
みらい(新人医療事務)
退院した後は、もう算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
条件が揃えば退院後も1回だけ算定候補になり得ます。注1で算定した患者さんが退院した後、当該保険医療機関、または地域連携診療計画に基づく他の連携医療機関(がん治療連携指導料を算定した場合に限る)において、退院した日の属する月またはその翌月に指導を再度実施した場合です。
算定できない典型パターン(令和8年度)
手術前にリンパ浮腫に関する指導を行っていても、結果的にその手術が実施されなかった場合には、リンパ浮腫指導管理料は算定できません(留意事項通知 (3))。指導と手術の実施が対になっている点に注意が必要です。
みらい(新人医療事務)
「地域連携診療計画に基づく他の連携医療機関」というのは、具体的にどういう場面を想定していますか?
あおい(元・医療事務)
がん診療連携拠点病院等が策定した地域連携診療計画にもとづき、退院後のフォローを別の診療所・病院が担うケースを想定しています。連携先の医療機関でがん治療連携指導料を算定している患者さんであれば、その連携医療機関側でリンパ浮腫指導管理料の退院後分を算定候補にできる、という組み立てです。自院が連携医療機関の立場に当てはまるかどうかは、診療情報提供のやり取りとあわせて確認しておくとよいでしょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からのリンパ浮腫指導管理料に関する点数・対象患者・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
改定差分の確認について
点数改定のたびに、点数だけでなく対象患者の範囲・施設基準・記録要件が見直される加算もあります。リンパ浮腫指導管理料については、当サイトが収録している令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲で確認した限り、前回改定からの変更点は見当たりませんでした。過去の改定履歴を含めた詳細は、厚生労働省の公式資料でご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で見ていくと整理しやすいです。

自院で確認する順番
- 対象患者に該当するか: 入院中の患者で、鼠径部・骨盤部・腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍手術を受けたか、または原発性リンパ浮腫と診断されているかを確認します。
- 実施時期の要件を満たすか: 手術月の前後1か月以内、または診断月とその翌月のいずれかに指導を実施しているかを確認します。
- 実施者が要件を満たすか: 医師本人、または医師の指示に基づく看護師・理学療法士・作業療法士が指導を行っているかを確認します。
- 指導内容ア〜オをすべて実施し、記録しているか: 病因・病態から感染症増悪時の対処方法まで、必要な項目を漏れなく説明し、診療録に要点を記載しているかを確認します。
- 退院後の再算定が発生する場合は、算定医療機関が重複していないか: 同一の指導内容について、複数の保険医療機関で二重に算定していないかを確認します。
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント(令和8年度)
- 手術前に指導を実施したものの手術が中止・延期になったケースで、指導だけを算定してしまう(要件上は算定不可)。
- 看護師・理学療法士・作業療法士が指導を行った際、医師の指示があったことの記録が残っていない。
- 指導内容ア〜オのうち、感染症増悪時の対処方法(オ)の説明が漏れたまま診療録に記載してしまう。
- 退院後の指導を、入院していた医療機関と連携医療機関の両方で算定してしまう(いずれか一方に限られる)。
みらい(新人医療事務)
リンパ浮腫複合的治療料と混同して、届出が必要だと思い込んでしまうケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。リンパ浮腫指導管理料自体は届出不要な点数区分ですが、複合的治療(H007-4)を別途実施する場合はそちらの届出・施設基準の確認が必要になります。どちらの実施内容にあたるかを混同しないことが大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
よく聞かれそうな質問をいくつか確認させてください。まず、届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、リンパ浮腫指導管理料そのものに専用の届出・施設基準の規定は確認されていません。ただし対象患者・実施者・指導内容・記録の各要件は満たす必要があるため、「届出がいらない=何もしなくてよい」という意味ではありません。
みらい(新人医療事務)
外来の患者さんにも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
入院中の患者に対する指導(注1)と、退院後の指導(注2)のいずれも、起点は入院医療です。外来受診のみで一度も入院していない患者さんに算定することは想定されていません。
みらい(新人医療事務)
看護師だけの判断で指導を実施しても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
医師の指示に基づいていることが前提です。看護師・理学療法士・作業療法士が単独の判断で実施した場合は要件を満たさない可能性があるため、指示の経緯を診療録等で確認できるようにしておくことが大切です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や指導の実施内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。