手術後医学管理料ってどんな加算ですか?
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「手術後医学管理料」ってレセプトでたまに見るんですが、これって何の管理料なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬では、区分B001-5として設定されている入院患者向けの管理料です。全身麻酔を伴う手術を受けた患者さんに対して、手術後に必要な医学管理を行った場合の評価と、手術後に行う定型的な検査をまとめて評価したものです。
みらい(新人医療事務)
「手術後」の管理をまとめて評価する、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省が公開している留意事項通知には「手術後医学管理料は、『L008』声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術後に必要な医学的管理を評価するとともに、手術後に行われる定型的な検査について、請求の簡素化等の観点から包括して評価したものであり、『A300』救命救急入院料又は『A301』特定集中治療室管理料に係る届出を行っていない保険医療機関の一般病棟に入院する患者について算定する」と説明されています。手術後の医学管理と、よく行われる検査をまとめて1つの点数にしている加算、というわけですね。
みらい(新人医療事務)
「全身麻酔」ならなんでも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。対象になるのは「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」に限られます。単純な鎮静や局所麻酔は対象になりません。まずはここを押さえておきましょう。
対象医療機関・対象患者を確認したい
みらい(新人医療事務)
うちの施設でも対象になるか気になります。対象医療機関の条件を教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象は「病院(療養病棟、結核病棟及び精神病棟を除く)」または「診療所(療養病床に係るものを除く)」です。告示の注1には「病院(療養病棟、結核病棟及び精神病棟を除く。)又は診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院している患者について、入院の日から起算して10日以内に行われた区分番号L008に掲げる声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う手術後に必要な医学管理を行った場合に、当該手術に係る手術料を算定した日の翌日から起算して3日に限り算定する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「入院の日から起算して10日以内」というのもポイントですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。手術そのものが入院から10日以内に行われている必要があります。さらに算定できる期間は「手術料を算定した日の翌日から起算して3日」に限られます。手術後ずっと算定できるわけではない、という点は必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
病棟や病床の種類でも対象外になることがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。病院であれば療養病棟・結核病棟・精神病棟に入院している患者は対象外、診療所であれば療養病床に入院している患者は対象外です。一般病棟に入院している患者が対象になる、とイメージしておくとわかりやすいと思います。
対象患者・場面の確認ポイント
- 「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」を伴う手術であること(単純鎮静・局所麻酔は対象外)
- 入院の日から起算して10日以内に当該手術が行われていること
- 病院は療養病棟・結核病棟・精神病棟を除く、診療所は療養病床を除く
- 算定できるのは手術料を算定した日の翌日から起算して3日間のみ
点数区分を確認したい(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか知りたいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の点数は、病院か診療所かで区分されています。
| 区分 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 病院の場合 | 1,188点 | 1日につき |
| 診療所の場合 | 1,056点 | 1日につき |

みらい(新人医療事務)
病院の方が点数が高いんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこは他の管理料と同じ傾向です。それから、もう一つ確認しておきたいのが、手術前医学管理料(区分B001-4)との関係です。
みらい(新人医療事務)
手術の前にも似たような管理料があるんですか?
あおい(元・医療事務)
手術前医学管理料というものがあります。告示の注2には「同一の手術について、同一月に区分番号B001-4に掲げる手術前医学管理料を算定する場合は、本管理料を算定する3日間については、所定点数の100分の95に相当する点数を算定する」とあります。同じ手術について同一月に手術前医学管理料もあわせて算定する場合は、手術後医学管理料を算定する3日間は、通常の点数の95%相当に調整される、という仕組みです。
みらい(新人医療事務)
単純に両方満額もらえる、というわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。同一月に両方の管理料が算定される組み合わせでは、この調整があることを忘れずに確認してください。
施設基準・届出はどうなっていますか?
みらい(新人医療事務)
この加算、施設基準の届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している告示・留意事項通知の範囲では、手術後医学管理料そのものについて施設基準の届出を求める規定は確認できていません。留意事項通知でも「届出を行っていない保険医療機関の一般病棟に入院する患者について算定する」という書きぶりになっており、むしろ「救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出をしていない一般病棟」であることが前提になっています。
みらい(新人医療事務)
逆に、届出をしている病棟だと対象外になることがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の注6には「区分番号A300の救命救急入院料又は区分番号A301の特定集中治療室管理料に係る別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者については算定しない」と明記されています。救命救急入院料や特定集中治療室管理料の届出をしている病棟に入院している患者は、手術後医学管理料の対象からは外れます。
届出まわりのよくある誤解
- 手術後医学管理料そのものには施設基準の届出は求められていません(当サイトが収録している一次資料の範囲)
- ただし救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出をしている病棟の患者は対象外になります
- 最終的な該当状況は自院の届出内容と実際の病棟区分で必ず確認してください
併算定や検査の取り扱いで注意することはありますか?
みらい(新人医療事務)
検査との関係でも注意点があると聞いたんですが。
あおい(元・医療事務)
はい、大事なポイントです。告示の注3には、手術後医学管理料の対象期間(手術料を算定した日の翌日から起算して3日以内)に行った一定の検査について「所定点数に含まれるものとする」と定められています。つまり、対象となる検査は手術後医学管理料に包括されていて、別に検査料を算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな検査が含まれるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示に列挙されている検査は多岐にわたります。代表的なものとして「尿中一般物質定性半定量検査」「尿中特殊物質定性定量検査(尿蛋白及び尿グルコース)」「血液形態・機能検査(赤血球沈降速度、末梢血液像、末梢血液一般検査など)」「血液化学検査(総ビリルビン、総蛋白、尿素窒素、ナトリウム、カリウムなど)」「心電図検査」「呼吸心拍監視」「経皮的動脈血酸素飽和度測定」「終末呼気炭酸ガス濃度測定」「中心静脈圧測定」「動脈血採取」が挙げられています。個別の項目名は非常に細かいので、正確な範囲は告示別表をご確認ください。
みらい(新人医療事務)
検査の判断料も別に算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示の注4には「区分番号D026に掲げる尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料又は生化学的検査(Ⅰ)判断料を算定している患者については算定しない」とあります。留意事項通知でも「手術後医学管理料には、包括されている検査項目に係る判断料が含まれており、手術後医学管理料を算定した月に『D026』尿・糞便等検査判断料、血液学的検査判断料及び生化学的検査(Ⅰ)判断料は別に算定できない。ただし、本管理料を算定する3日間が月をまたがる場合は、本管理料を算定する最初の日が属する月に係るこれらの判断料は別に算定できないが、その翌月にこれらの判断料の対象となる検査を実施した場合には、別に算定できる」と説明されており、月をまたぐケースの扱いも示されています。
みらい(新人医療事務)
特定入院料を算定している患者も対象外でしたよね?
あおい(元・医療事務)
はい、注5に「第1章第2部第3節に掲げる特定入院料又は区分番号D027に掲げる基本的検体検査判断料を算定している患者については算定しない」とあります。特定入院料や基本的検体検査判断料の対象になっている患者は、手術後医学管理料は算定できません。
併算定・重複請求の注意
- 対象期間中の一定の検査(尿・血液・心電図等)は所定点数に包括され、別に算定できません
- 尿・糞便等検査判断料/血液学的検査判断料/生化学的検査(Ⅰ)判断料を算定している患者は対象外
- 特定入院料または基本的検体検査判断料を算定している患者は対象外
- 救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出病棟の患者は対象外
- 同一保険医療機関で、同一月に本管理料を算定する患者と算定しない患者が混在するような運用はできないとされています
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、手術後医学管理料について前回改定(令和6年度)からの点数・算定要件の変更は確認されていません(2026年7月時点)。病院1,188点・診療所1,056点という点数区分、手術料算定日の翌日から3日間という算定期間、対象となる全身麻酔の定義など、基本的な枠組みは同様の内容で継続しているとみられます。
みらい(新人医療事務)
変わっていないなら、それはそれで安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし「変更が確認されていない」というのは、あくまで当サイトが確認できた資料の範囲内での話です。改定の詳細は今後の疑義解釈などで補足される可能性もあるので、最新の公式情報は継続してチェックしておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの施設で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象の手術が「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」を伴うものかを確認する
- 患者が入院している病棟・病床が対象(病院は療養・結核・精神病棟を除く一般病棟、診療所は療養病床を除く)かを確認する
- 手術が入院日から10日以内に行われているかを確認する
- 患者が救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出病棟に入院していないかを確認する
- 算定日が手術料算定日の翌日から3日以内かを確認する
- 同一月に手術前医学管理料を算定するかどうかを確認し、該当すれば95%相当への調整を反映する

みらい(新人医療事務)
手順にすると分かりやすいです。1つずつ順番にチェックしていけばいいんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に「対象となる全身麻酔の種類」と「救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出病棟でないか」の2点は見落としやすいポイントなので、優先的に確認することをおすすめします。
よくある取り漏れ・誤りやすいポイント
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れや、逆に算定しすぎてしまうケースってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンがあります。
よくある取り漏れ・誤算定のパターン
- 対象期間中に行った包括対象の検査(尿・血液・心電図等)を、誤って別に検査料として算定してしまう
- 救命救急入院料・特定集中治療室管理料の届出病棟に入院している患者に誤って算定してしまう
- 手術前医学管理料と同一月に算定する場合の95%相当への調整を反映せずに算定してしまう
- 手術料算定日の翌日から3日を超えた分まで算定してしまう
- 療養病棟・結核病棟・精神病棟(病院)や療養病床(診療所)の患者に算定してしまう
みらい(新人医療事務)
平成24年度の疑義解釈にも、似たような注意点が書かれていたんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、参考になる古い疑義解釈があります。平成24年度の「疑義解釈資料の送付について(その14)」医科 問5では、「B001-5手術後医学管理料の注5に『第1章第2部第3節に掲げる特定入院料又は区分番号D027に掲げる基本的検体検査判断料を算定している患者については算定しない。』と示されているが、当該管理料を算定した後、月の途中で特定入院料又は基本的検体検査判断料を算定する場合であっても、同一月に同時には当該管理料を算定できないという理解でよろしいか」という質問に対して「そのとおり」と回答されています。年度は古いものですが、現行の告示にも同様の注5の規定があるため、同一月内での重複算定を避けるという考え方自体は参考になります。ただし、この疑義解釈自体は平成24年度のものである点にはご注意ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
局所麻酔だけの手術でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象となるのは「声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔」を伴う手術に限られます。局所麻酔のみの手術は対象外です。
みらい(新人医療事務)
手術後4日目以降も算定できますか?
あおい(元・医療事務)
できません。算定できるのは手術料を算定した日の翌日から起算して3日間に限られます。4日目以降は対象外です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、療養病床を除く診療所であれば算定候補になります。ただし点数は病院より低く、1,056点(1日につき)です。
みらい(新人医療事務)
手術前医学管理料も一緒に算定していいんですか?
あおい(元・医療事務)
同一の手術について同一月に手術前医学管理料もあわせて算定する場合、手術後医学管理料を算定する3日間は所定点数の100分の95に相当する点数になる、という調整規定があります。両方とも満額算定できるわけではない点にご注意ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象となる手術・病棟の種類や届出状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。