みらい(新人医療事務)
先輩、「療養・就労両立支援指導料」ってレセプトで見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは、がんや脳卒中などで治療を続けながら働いている患者さんを支援するための指導料ですよ。患者さんと勤務先の事業者が一緒に作った「勤務情報を記載した文書」の内容を踏まえて療養上の指導を行い、産業医などに治療の情報を提供した場合に算定候補になります。令和8年度(2026年度)時点でも医科点数表の区分B001-9として設定されています。
みらい(新人医療事務)
「就労」がキーワードなんですね。うちの診療所でも対象になる患者さんっていそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし算定候補になるかどうかは、対象患者の要件や手順を満たしているかを一つずつ確認する必要があります。断定はできませんので、この記事で確認ポイントを一緒に見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関で算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらも対象になり得ます。入院中の患者は対象外で、外来の患者が対象です。在宅療養の場面は対象になりません。
みらい(新人医療事務)
患者さん側の条件は何かあるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注1では、対象患者を次のように規定しています。
対象患者(告示・注1)
- 疾患の増悪防止等のため反復継続した治療が必要な入院中の患者以外の患者
- 就業の継続に配慮が必要な者
- 当該患者と、当該患者を雇用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書があること
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」というのは念のため確認したいです。入院患者さんは対象外ということですね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あくまで就業を継続しながら通院治療をしている患者さんが対象になります。自院の対象患者がこの条件に当てはまるかは、個別に確認が必要です。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、区分ごとに点数が分かれています。留意事項通知(保医発)と告示の内容から点数を並べると、次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 初回 | 患者と事業者が共同作成した文書を踏まえた指導+産業医等への情報提供 | 850点 |
| 2 2回目以降 | 1を算定した月または翌月から6月を限度に月1回 | 500点 |
| 注3 相談支援加算 | 施設基準に適合し届出た保険医療機関で、看護師等が相談支援に同席 | +400点(加算) |
| 注5 情報通信機器を用いた場合 | オンラインで医学管理を行った場合、1・2に代えて算定 | 740点/435点 |

みらい(新人医療事務)
4つも区分があるんですね。さっきの表にあった「435点〜850点」というのは、この4区分の幅のことだったんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。実際にどの点数で算定候補になるかは、初回か2回目以降か、相談支援加算を併算定するか、オンラインで実施したかによって変わります。届出状況や実施方法を確認しながら整理する必要があります。
施設基準・届出要否
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?届出が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
ここが少しややこしいところです。区分1・2の基本部分については、施設基準の届出は不要とされています。ただし、注3の「相談支援加算」を算定候補にする場合は話が別で、施設基準の届出が必要です。
相談支援加算は届出が別枠
相談支援加算(400点)は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でのみ算定候補になります。基本の指導料(区分1・2)が届出不要だからといって、相談支援加算も同様に扱うのは誤りです。届出の有無を必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
相談支援加算の施設基準って、具体的にはどんな内容なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、専任の看護師、社会福祉士、精神保健福祉士または公認心理師が療養上の指導に同席し、相談支援を行うことが要件とされています。過去の疑義解釈では、両立支援コーディネーター養成のための研修(独立行政法人労働者健康安全機構が実施する基礎研修等)が想定されていると案内されたこともあります。ただし研修の実施主体や名称は変わる可能性があるため、届出にあたっては必ず最新の施設基準通知で詳細を確認してください。当サイトが収録している一次資料の範囲でお伝えできるのはここまでです。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できるタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか重要な制限があります。留意事項通知の内容から挙げると、次のとおりです。
算定タイミング・併算定の注意点
- 区分1(初回)は、対象患者への一連の医学管理を実施した場合に月1回に限り算定候補
- 区分2(2回目以降)は、区分1を算定した日の属する月またはその翌月から起算して6月を限度に、月1回に限り算定候補
- 治療を担当する医師と産業医が同一人物の場合、または治療医師が患者の勤務先と同一資本の施設に勤務している場合は算定候補になりません
- 産業医等への文書提供にかかる診療情報提供料(Ⅰ・Ⅱ)の費用は、指導料の所定点数に含まれるため別途算定できません
- 情報提供文書の作成にかかる費用を、療養の給付と直接関係ないサービス等として患者から別途徴収することはできません
みらい(新人医療事務)
産業医の先生とうちの担当医が同じ人だった場合はアウトということですね。地域のクリニックだと産業医を兼任している先生もいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に小規模な事業所と提携している診療所では、兼任のケースがないか事前に確認しておく必要があります。この点は見落としやすい確認ポイントの一つです。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、療養・就労両立支援指導料そのものについて、前回改定(令和6年度)からの点数や算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。区分1・2の点数構成や対象患者の考え方は、収録している令和8年度の告示・留意事項通知の内容と大きく変わらない形で整理されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、それはそれで安心材料になりますね。
あおい(元・医療事務)
そう捉えていただいて大丈夫ですが、あくまで「当サイトが収録している一次資料の範囲で確認できていない」という意味です。届出済みの施設基準や研修要件が最新かどうかは、念のため最新の告示・通知でも確認しておくと確実です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの診療所でどう確認していけばいいのか、順番で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
順を追って整理しますね。
自院で確認する順番
- 対象患者かどうかを確認 — 入院中でなく、外来で治療を継続しながら就業を続けている患者さんかどうか
- 勤務情報を記載した文書の有無を確認 — 患者と事業者が共同で作成した勤務情報を記載した文書があるか
- 患者の同意を確認 — 産業医等への情報提供について、患者から同意を得ているか
- 産業医等への情報提供の方法を確認 — 様式による文書提供を実施しているか
- 併算定の除外事由を確認 — 治療担当医と産業医が同一人物でないか、勤務先と同一資本の施設に医師が勤務していないか
- 相談支援加算を算定候補にする場合は施設基準の届出を確認 — 看護師・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師の同席体制と届出状況
- オンラインで実施する場合は情報通信機器の要件を確認 — 注5の点数(740点・435点)を使う場合の実施要件

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
現場で見落とされやすい点をいくつか挙げますね。
よくある取り漏れ
- 診療情報提供料との重複算定 — 産業医等への文書提供にかかる診療情報提供料(Ⅰ・Ⅱ)の費用は所定点数に含まれるため、別途算定すると重複算定になりかねない
- 2回目以降の期限管理 — 区分2は「区分1を算定した月または翌月から6月を限度」という期限があるため、算定履歴を管理していないと期限切れに気づきにくい
- 相談支援加算の届出漏れ — 基本部分が届出不要のため、相談支援加算も届出不要だと誤解しているケース
- 産業医兼任のチェック漏れ — 治療担当医が患者の勤務先の産業医を兼任していないか、事前確認を省略しているケース
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後によくある疑問も聞いておきたいです。区分1と区分2は同じ月に両方算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、区分2は「区分1を算定した日の属する月に区分2を算定しなかった場合に限り、その翌月から起算する」とされています。同一月に両方算定候補になることは想定されていません。
みらい(新人医療事務)
相談支援加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
できません。相談支援加算は指導料本体(区分1または区分2)に対する加算という位置づけですので、本体の算定候補があることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
オンラインで実施した場合の点数(740点・435点)は、対面の場合と併算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、情報通信機器を用いた場合は「1又は2の所定点数に代えて」740点または435点を算定するとされています。対面の点数と置き換わるものであり、上乗せして算定するものではありません。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は以下の厚労省公式資料を根拠としています。詳細な算定要件・施設基準・届出手続きは必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)は「令和8年度診療報酬改定について」のページから確認できます https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。相談支援加算などの加算部分は、施設基準の充足と届出の有効性を必ず自院で確認してください。