みらい(新人医療事務)
院長から「他院の患者さんの認知症について、うちの先生が助言することがあるらしい」と言われたんですが、それって点数になるんですか?「認知症サポート指導料」という名前を聞きました。
あおい(元・医療事務)
はい、B005-7-3「認知症サポート指導料」ですね。これは、地域で認知症の患者さんを支える体制づくりに協力している医師が、他の医療機関(かかりつけ医など)からの求めに応じて、その医療機関に通っている認知症の患者さんに指導や助言を行ったときに算定候補になる指導料です。令和8年度(2026年度)時点で450点です。
みらい(新人医療事務)
「他の医療機関からの求めに応じて」というのがちょっとイメージしにくいです。自院で完結する加算じゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。主役は「認知症サポート医」と呼ばれる医師で、かかりつけ医から「この患者さんの療養方針について助言がほしい」と紹介を受けます。そして患者さんやご家族の同意を得た上で、患者さん本人にも療養上の指導を行い、紹介元の医療機関にも今後の療養方針について文書で助言する、という一連の流れがあって初めて算定候補になります。
対象になる医療機関・患者は?
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですが、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療所・病院のどちらでも対象になり得ます。入院中の患者さんは対象外で、外来などで通院している認知症の患者さんが対象です。ポイントは、患者さん自身が最初からその医療機関にかかっているわけではなく、「他の保険医療機関から紹介された患者さん」であるという点です。
みらい(新人医療事務)
つまり、自院のかかりつけの患者さんについて自分たちで指導しても算定候補にはならない、ということですか?
あおい(元・医療事務)
その通りです。あくまで他院からの依頼を受けて、認知症サポート医の立場で助言を行う場合の点数です。自院の患者さんに日常的に行う認知症の療養指導は、別の項目(認知症療養指導料など)で整理されている考え方なので、混同しないようにしたいですね。
点数を確認しましょう
みらい(新人医療事務)
点数はさっき450点と聞きましたが、算定できる頻度も決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、患者さん1人につき6月に1回が上限です。まず表で整理しますね。
| 区分番号 | 項目 | 点数 | 算定頻度 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| B005-7-3 | 認知症サポート指導料 | 450点 | 患者1人につき6月に1回に限る | 令和8年度 |

あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)では、次のように定められています。
告示の該当箇所(令和8年度)
算定要件: 認知症患者に対する支援体制の確保に協力している医師が、他の保険医療機関からの求めに応じ、認知症を有する入院中の患者以外の患者に対し、当該患者又はその家族等の同意を得て療養上の指導を行うとともに、当該他の保険医療機関に対し、療養方針に係る助言を行った場合に、6月に1回に限り算定する。 併算定の扱い: 注1の助言に係る診療情報提供料(Ⅰ)(B009)及び連携強化診療情報提供料(B011)の費用は、所定点数に含まれる。
みらい(新人医療事務)
診療情報提供料は別に取れないんですね。まとめて450点、というイメージですか。
あおい(元・医療事務)
そうですね。助言のために紹介元の医療機関へ文書を出しても、その分を診療情報提供料として別立てで算定することはできない、という位置づけになっています。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要ですか?うちは施設基準の届出がまだのものも多くて、心配です。
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項通知の範囲では、この加算について医療機関としての施設基準の届出を求める記載は見当たりません。ただし注意したいのは、実際に指導・助言を行う「その医師個人」が、一定の要件を満たした「認知症サポート医」である必要がある、という点です。届出の要否も含め、正確な取り扱いは自院・地方厚生局で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
医師個人の要件、ですか。具体的にはどういう人が認知症サポート医なんでしょう?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知(保医発0305第6号、令和8年3月5日)では、次の要件を満たす医師とされています。
認知症サポート医の要件(令和8年度・留意事項通知より)
以下のアに加え、イまたはウのいずれかを満たす医師とされています。 ア: 国立研究開発法人国立長寿医療研究センターが都道府県又は指定都市の委託を受けて実施する認知症サポート医養成研修を修了した医師であること イ: 直近1年間に、「認知症初期集中支援チーム」等、市区町村が実施する認知症施策に協力している実績があること ウ: 直近1年間に、都道府県医師会又は指定都市医師会を単位とした、かかりつけ医等を対象とした認知症対応力の向上を図るための研修の講師を務めた実績があること これはあくまで公式資料に記載された条件です。自院の医師がどの要件に該当するかは、必ず自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
これはAIやチェッカーが「はい、該当します」と判定できるものではなさそうですね。
あおい(元・医療事務)
おっしゃる通りです。研修修了の実績や地域活動への協力実績は、自院・当該医師本人でなければ正確に把握できません。ここは確認が必要な項目として、必ず自院で裏付けを取ってから判断していただく部分になります。
算定のタイミング・回数制限・注意点
みらい(新人医療事務)
6月に1回、というのは分かりましたが、途中で患者さんの状態が変わったらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
良い質問です。実は、6月経っていなくても、かかりつけ医が改めて認知症サポート医に助言を求めた場合には、再度算定できる、という考え方が示されています。
6月以内の再算定に関する疑義解釈
質問: 認知症サポート指導料は、療養方針に係る助言を行った場合に6月に1回に限り算定できるとなっているが、療養方針の変更等があった場合、6月後に再度算定することが可能か。 回答: かかりつけ医が認知症サポート医に対し助言を求めた場合には、再度算定できる。 (疑義解釈資料の送付について(その1)医科 問131)
みらい(新人医療事務)
つまり「6月に1回」は上限であって、依頼が繰り返されれば毎回算定候補になり得る、ということですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし、これも「かかりつけ医から改めて助言を求められた」という事実が前提です。自院側の判断だけで期間を短縮して算定してよい、という意味ではない点は誤解しないようにしたいですね。
みらい(新人医療事務)
文書についても何か決まりがありましたよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。患者さんとご家族への指導も、紹介元医療機関への助言も、文書で行うことが前提になっています。そして紹介元へ助言する文書には「認知症サポート指導料を算定した患者である旨」を記載し、患者さん・紹介元医療機関に交付した文書の写しを診療録に添付することが求められています。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の令和6年度改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、点数(450点)、算定頻度(6月に1回)、認知症サポート医の要件について、前回改定からの変更は確認されていません(2026年7月時点の確認)。
みらい(新人医療事務)
変わっていない、というのも大事な情報ですね。
あおい(元・医療事務)
はい。ただし「確認されていない」というのは、あくまで当サイトが確認できた資料の範囲での話です。細部の記載ぶりが変わっている可能性もゼロではないので、正式な届出や運用にあたっては、必ず自院で最新の公式資料を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
いろいろ要素が多くて、どこから確認すればいいのか迷いそうです。
あおい(元・医療事務)
順番に並べると分かりやすいですよ。フローにしてみました。

自院で確認する順番(令和8年度)
- 自院の医師が「認知症サポート医」の要件(研修修了に加え、地域施策への協力実績または研修講師の実績のいずれか)を満たしているかを確認する
- 他の医療機関からの依頼と、患者さん・ご家族の同意が得られているかを確認する
- 患者さんへの療養上の指導と、紹介元医療機関への療養方針の助言を、いずれも文書で行ったかを確認する
- 交付した文書の写しを診療録に添付したかを確認する
- 前回算定から6月が経過しているか、または方針変更等でかかりつけ医から改めて依頼があったかを確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、算定候補かどうかの見通しが立てやすそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に1番目の医師個人の要件は見落としやすいので、最初に確認しておくのがおすすめです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。整理してみますね。
見落としやすいポイント(1)
自院のかかりつけの患者さんに日常的に行う認知症の指導は、この指導料の対象ではありません。あくまで「他の保険医療機関からの紹介・依頼」がある場合が対象です。
見落としやすいポイント(2)
助言に伴う診療情報提供料(Ⅰ)や連携強化診療情報提供料は、この指導料の所定点数に含まれるため、別立てでの算定はできません。あわせて確認しておきたい項目です。
みらい(新人医療事務)
文書の記載や保存についても、うっかり忘れそうですね。
あおい(元・医療事務)
そこも取り漏れになりやすいところです。紹介元への助言文書に「認知症サポート指導料を算定した患者である旨」を書き忘れていないか、患者さんと紹介元それぞれに渡した文書の写しが診療録にきちんと添付されているか、算定のたびに確認する運用にしておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
病院でも算定候補になりますか?診療所専用の点数だと思っていました。
あおい(元・医療事務)
いいえ、診療所・病院のどちらでも算定候補になり得ます。病床規模による制限も示されていません。大事なのは医療機関の種別ではなく、実際に助言を行う医師が認知症サポート医の要件を満たしているかどうかです。
みらい(新人医療事務)
認知症サポート医の研修を受けていない医師が、他院からの依頼だけで算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、認知症サポート医養成研修を修了していることが前提の要件とされています。研修を修了していなければ、地域の認知症施策への協力実績や研修講師の実績があっても、この要件は満たせません。研修修了に加えて、協力実績・研修講師実績のいずれかも必要という整理です。この点は自院・該当医師で必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんの家族から相談を受けた場合はどうですか?
あおい(元・医療事務)
この指導料は「入院中の患者以外の患者」が対象とされています。入院中の患者さんに関する相談は対象外になる可能性が高いため、確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。