みらい(新人医療事務)
認知症療養指導料っていう名前、最近よく聞くようになった気がするんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
認知症の患者さんに対して、療養計画に基づいた定期的な評価や指導を行ったときに算定候補になる指導料です。令和8年度の医科点数表では区分番号B005-7-2として、認知症療養指導料1から3までの3区分に分かれています。認知機能や生活機能、行動・心理症状などを定期的に評価して診療録に記録し、療養指導を行うことが基本の内容になります。
みらい(新人医療事務)
3区分もあるんですね。うちの診療所でも算定候補になるのか、順番に確認したいです。
対象になるのはどんな患者さんですか(3区分の違い)
みらい(新人医療事務)
まず対象になる患者さんの範囲を教えてください。
あおい(元・医療事務)
対象になる患者さんの範囲は、区分によって違いがあります(令和8年度)。認知症療養指導料1は告示注1により「入院中の患者以外の患者又は療養病棟に入院している患者」が対象で、療養病棟に入院している患者さんも含まれます。一方、認知症療養指導料2・3は告示注2・注3により「入院中の患者以外のもの」が対象で、療養病棟に入院している患者さんを対象に含む規定は見当たりません。つまり療養病棟に入院している患者さんが対象になり得るのは区分1に限られます。紹介や診断の経緯も区分ごとに異なり、認知症療養指導料1は、自院の紹介で他の保険医療機関において認知症の鑑別診断を受け、認知症専門診断管理料1を算定した患者さんが対象です。認知症療養指導料2は、自院の紹介で他の保険医療機関において認知症サポート指導料を算定した患者さんについて、その医療機関から療養方針の助言を得ているケースが対象です。認知症療養指導料3は、新たに認知症と診断された患者さんや、病状変化で療養計画の再検討が必要になった患者さんが対象で、認知症サポート医自身が療養計画を作成した場合に算定します。
みらい(新人医療事務)
区分によって対象患者さんの範囲も紹介の向きも違うんですね。うちが患者さんを他院に紹介して鑑別診断や助言を受ける側なのか、認知症サポート医として自ら計画を作成する側なのかで、見るべき区分が違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。自院がどの立場になるかを確認してから、該当する区分の要件を見ていくと整理しやすいです。
点数はいくらですか(令和8年度)
| 区分 | 名称 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 認知症療養指導料1 | 350点 |
| 2 | 認知症療養指導料2 | 300点 |
| 3 | 認知症療養指導料3 | 300点 |
みらい(新人医療事務)
350点と300点で差があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。認知症療養指導料1は他院での鑑別診断の結果を引き継ぐ形になるため、他の区分と点数が異なります。いずれの区分も月1回、6月を限度として算定する点は共通です。回数の数え方は後ほど詳しく確認しましょう。

算定要件を区分ごとに確認する
みらい(新人医療事務)
区分ごとの要件、細かく教えてください。
あおい(元・医療事務)
認知症療養指導料1は、自院の紹介により他の保険医療機関(留意事項通知(2)によれば認知症疾患医療センター)で認知症の鑑別診断を受け、認知症専門診断管理料1を算定した患者さんについて、自院で認知症療養計画に基づいた治療を行うとともに、患者さんまたはご家族等の同意を得たうえで、鑑別診断を行ったその他の保険医療機関(紹介先)へ診療情報を文書により提供した場合に算定します。提供先は紹介元の自院ではなく、鑑別診断を行った紹介先の医療機関である点に注意してください。認知症療養指導料2は、自院の紹介により他の保険医療機関(認知症サポート医)で認知症サポート指導料を算定した患者さんについて、その医療機関から療養方針に係る助言を得て自院で療養計画に基づいた治療を行うとともに、患者さんまたはご家族等の同意を得たうえで、同じく助言を行った紹介先の医療機関へ診療情報を文書により提供した場合に算定します。ただし留意事項通知(3)により、助言を行った認知症サポート医からの文書で、その認知症サポート医が「B005-7-3」認知症サポート指導料を算定していることが明らかな場合に限られます。認知症療養指導料3は、認知症患者に対する支援体制の確保に協力している認知症サポート医が、患者さんまたはご家族等の同意を得て療養方針を決定し、認知症療養計画を作成のうえ説明・文書提供し、その計画に基づく治療を行った場合に算定します。
区分ごとの算定要件チェック
認知症療養指導料1: 自院の紹介で他院が鑑別診断を行い認知症専門診断管理料1を算定した患者について、自院が治療を行い、鑑別診断を行った紹介先の医療機関へ診療情報を文書提供すること 認知症療養指導料2: 自院の紹介で認知症サポート医(他院)が認知症サポート指導料を算定し助言を受けていること。かつ、その認知症サポート医からの文書で「B005-7-3」認知症サポート指導料の算定が明らかであること 認知症療養指導料3: 認知症サポート医自身が療養方針を決定し療養計画を作成していること
みらい(新人医療事務)
留意事項通知には他にどんなことが書かれていますか?
あおい(元・医療事務)
認知症療養計画に基づいて、認知機能(MMSEやHDS-Rなど)、生活機能(ADLやIADLなど)、行動・心理症状(NPIやDBDなど)、家族や介護者による介護の状況、抗認知症薬などの効果や副作用の有無を定期的に評価し、診療録にその要点を記載したうえで療養指導を行うことが求められています。認知症療養指導料3を算定する場合は、地域において認知症患者への支援体制の確保に協力している認知症サポート医が、別紙様式32および32の2(またはこれらに準じた様式)で認知症療養計画を作成することが必要です。
みらい(新人医療事務)
認知症サポート医って誰でもなれるものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、要件があります。国立長寿医療研究センターが実施する認知症サポート医養成研修を修了していることに加えて、直近1年間に市区町村の認知症初期集中支援チームなどの認知症施策に協力した実績があること、または都道府県医師会等が単位となって実施するかかりつけ医等向けの認知症対応力向上研修の講師を務めた実績があることのいずれかを満たす必要があります。この医師個人の実績は、施設基準の届出とは別に、自院で医師の経歴を確認する形になります。
施設基準・届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、認知症療養指導料そのものについて施設基準の設定や個別の届出は求められていません。ただし、認知症療養指導料3を算定する場合は、療養計画を作成する医師が認知症サポート医の要件を満たしているかどうかを自院で確認しておく必要があります。届出が不要だからといって、要件確認そのものが不要になるわけではない点は注意が必要です。
届出不要でも要件確認は必須
施設基準の届出が求められていない加算でも、対象患者の範囲や紹介・文書提供の流れ、認知症サポート医の実績要件を満たしているかどうかは、算定のたびに自院で確認が必要です。
算定タイミング・回数制限の注意
みらい(新人医療事務)
回数の制限について教えてください。
あおい(元・医療事務)
いずれの区分も、治療を行った日または計画に基づく治療を開始した日の属する月を含めて、6月を限度として月1回に限り算定します。6月を超えて同じ患者さんに継続する場合は、算定できない可能性があるため、算定を始めた月をカルテなどで管理しておくと安心です。また、認知症療養指導料1・2では、鑑別診断や助言を行った紹介先の医療機関へ診療情報を文書で提供したことの記録も、算定要件の一部として残しておく必要があります。
6月の起算月に注意
6月の上限は「治療を行った日の属する月」または「治療を開始した日の属する月」を含めて数えます。起算月を誤ると、算定できない月に算定してしまう可能性があるため、カルテに開始月を明記しておくと確認がしやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更点は、当サイトが収録している厚生労働省の一次資料の範囲では確認されていません(確認日: 2026年7月)。認知症療養指導料3の枠組みが今回新しく設けられたものかどうかについても、比較できる令和6年度時点の一次資料が見当たらないため、変更の有無を明言せず「未確認」として扱っています。最新の告示・留意事項通知は、厚生労働省の公式ページで随時確認することをおすすめします。
改定情報の確認先
令和8年度診療報酬改定の全体像は、厚生労働省の公式ページ「令和8年度診療報酬改定について」で確認できます。

自院で確認する順番
自院で確認する順番
- 患者さんがどの区分(1〜3)に該当する紹介・診断の経緯を持っているかを確認する
- 対象患者の要件を確認する(区分1は「入院中の患者以外または療養病棟入院患者」、区分2・3は「入院中の患者以外」。療養病棟入院患者の例外は区分1のみ)
- 認知症療養計画(別紙様式32等)を作成し、患者さんまたはご家族等の同意を得る
- 認知症療養指導料2を算定する場合は、助言を行った認知症サポート医からの文書で「B005-7-3」認知症サポート指導料を算定していることが明らかかどうかを確認する
- 認知症療養指導料3を算定する場合は、計画作成医が認知症サポート医の要件を満たしているかを確認する
- 認知症療養指導料1・2は、鑑別診断や助言を行った紹介先の医療機関へ診療情報を文書で提供し、記録を診療録に残す
- 算定を開始した月を記録し、6月の上限を超えないよう管理する
よくある取り漏れ
見落としやすいポイント
紹介先への文書提供: 認知症療養指導料1・2は、鑑別診断や助言を行った紹介先の医療機関へ診療情報を文書で提供したことの記録がないと算定要件を満たしません 区分2のサポート医算定確認: 認知症療養指導料2の算定要件は、助言を行った認知症サポート医からの文書で、その医師が「B005-7-3」認知症サポート指導料を算定していることが明らかな場合に限られます。この文書確認を怠ると要件を満たしません 区分3のサポート医要件確認: 認知症療養指導料3を算定する医師が認知症サポート医の実績要件を満たしているか、自院で確認していないケースがあります 療養病棟の対象範囲: 療養病棟に入院している患者さんが対象になり得るのは区分1のみです。区分2・3は入院中の患者以外が対象で、療養病棟入院患者への適用は確認されていません 6月の起算月管理: 治療開始月を含めて6月と数える起算ルールを誤ると、算定できない月に算定してしまう可能性があります
よくある質問
みらい(新人医療事務)
認知症専門診断管理料や認知症サポート指導料との違いがよくわからないのですが。
あおい(元・医療事務)
認知症専門診断管理料は鑑別診断を行った医療機関側が算定候補になるもの、認知症サポート指導料は認知症サポート医が紹介を受けて療養上の指導や助言を行った場合に算定候補になるものです。認知症療養指導料は、その診断や助言を受けて、実際に療養計画に基づく治療を継続する医療機関側が算定候補になる位置づけです。関連する認知症専門診断管理料や認知症サポート指導料もあわせて確認しておくと、自院がどの立場にあたるか整理しやすくなります。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療所・病院いずれも算定候補になり得ます(令和8年度)。対象患者の範囲は区分によって異なり、区分1は「入院中の患者以外または療養病棟に入院している患者」、区分2・3は「入院中の患者以外」が対象です。この条件と、区分ごとの紹介・診断の要件を満たしているかどうかがポイントになります。
みらい(新人医療事務)
認知症ケア加算とは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別の加算です。認知症ケア加算は入院患者さんに対する病棟でのケア体制を評価するもので、認知症療養指導料は主に外来や療養病棟での療養計画に基づく指導を評価するものです。対象や算定の場面が異なるので、混同しないよう注意してください。
参考にした公式資料(令和8年度)
| 資料名 | 発行元・種別 | 年度 |
|---|---|---|
| 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(区分番号B005-7-2 認知症療養指導料) | 令和8年厚生労働省告示第69号 | 令和8年度 |
| 診療報酬点数表に関する留意事項通知(B005-7-2 認知症療養指導料) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
| 令和8年度診療報酬改定について(公式ページ) | 厚生労働省 | 令和8年度 |
みらい(新人医療事務)
留意事項通知の元PDFがリンク切れになっていることもあるんですね。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の資料は訂正通知で番号が差し替わることがあります。リンクが切れているときは、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定の公式ページから最新版をたどって確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料(令和8年厚生労働省告示第69号)・審査支払機関の判断でご確認ください。