みらい(新人医療事務)
「在宅患者訪問栄養食事指導料」って名前は見たことあるんですけど、うちの診療所でも算定候補になるものなんでしょうか?管理栄養士は常勤でいるんですが…
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。在宅患者訪問栄養食事指導料(区分C009)は、通院が難しい在宅療養中の患者さんに、管理栄養士が自宅を訪問して栄養指導を行った場合の指導料です。令和8年度(2026年度)時点で、届出が求められる施設基準は特に定められていません。ただし「管理栄養士がいれば誰でもすぐ算定できる」というものではなく、対象患者の条件や指導の中身が細かく決まっているので、順番に確認していきましょう。
在宅患者訪問栄養食事指導料とは
みらい(新人医療事務)
そもそも、どういう場面で使う指導料なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で療養していて、疾病や負傷のために通院による療養が難しい患者さんに対して、医師の指示に基づいて管理栄養士が患家(自宅)を訪問し、食事計画案や具体的な献立などを示した栄養食事指導箋を交付したうえで、食事の用意や摂取に関する具体的な指導を30分以上行った場合に算定する指導料です。単に「栄養についてアドバイスした」だけでなく、指導箋の交付と30分以上という時間の要件があるのがポイントです。
みらい(新人医療事務)
「管理栄養士が訪問する」ということは、往診や訪問診療とセットのイメージですか?
あおい(元・医療事務)
直接セットというわけではありませんが、在宅療養を担う医師の指示があってはじめて成立する指導料です。訪問診療を行っている患者さんの中で、栄養面のフォローが必要な方に医師が管理栄養士の訪問指導を指示する、という流れが基本になります。
対象になる患者は?
みらい(新人医療事務)
「通院が難しい在宅患者さん」というだけだと、対象がかなり広くなりませんか?
あおい(元・医療事務)
そこは公式資料でもう少し絞り込まれています。対象になるのは、在宅で療養しており通院による療養が困難な患者さんのうち、次のどちらかに該当する場合です。1つ目は、保険医療機関の医師が特掲診療料の施設基準等に規定する特別食を提供する必要性を認めた場合。2つ目は、次のいずれかに該当するものとして医師が栄養管理の必要性を認めた場合で、具体的にはがん患者・摂食機能または嚥下機能が低下した患者・低栄養状態にある患者の3区分です。
みらい(新人医療事務)
つまり「医師が必要性を認めているかどうか」がまず大前提になるんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。管理栄養士側の判断だけで訪問指導を始めるのではなく、医師の指示があることが算定の出発点になります。カルテや指示書に、対象患者としてどの区分に該当するかが分かるように記録が残っているかも、後から振り返るときの確認ポイントです。
対象患者の3区分(令和8年度)
- がん患者: 通院困難な在宅療養中のがん患者で医師が栄養管理の必要性を認めた場合
- 摂食機能・嚥下機能が低下した患者: 食べる・飲み込む機能の低下があり医師が必要性を認めた場合
- 低栄養状態にある患者: 低栄養状態と医師が判断し栄養管理の必要性を認めた場合
- 上記に加えて「特掲診療料の施設基準等に規定する特別食」の提供が必要と医師が認めた場合も対象になります
点数の区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?表にしてもらえると助かります。
あおい(元・医療事務)
在宅患者訪問栄養食事指導料には「1」と「2」の2種類があり、それぞれ単一建物診療患者の人数によって3段階に分かれています。単一建物診療患者とは、同じ建物に住んでいる方のうち、当該保険医療機関がこの指導料を算定している患者の人数のことです。

| 区分 | 単一建物診療患者の人数 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 在宅患者訪問栄養食事指導料1 | 1人の場合 | 530点 |
| 在宅患者訪問栄養食事指導料1 | 2人以上9人以下の場合 | 480点 |
| 在宅患者訪問栄養食事指導料1 | 上記以外(10人以上)の場合 | 440点 |
| 区分 | 単一建物診療患者の人数 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 在宅患者訪問栄養食事指導料2 | 1人の場合 | 510点 |
| 在宅患者訪問栄養食事指導料2 | 2人以上9人以下の場合 | 460点 |
| 在宅患者訪問栄養食事指導料2 | 上記以外(10人以上)の場合 | 420点 |
みらい(新人医療事務)
「1」と「2」で点数が少し違うんですね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
それぞれ、患者1人につき月2回を上限に、この点数の算定対象になります。「1」と「2」の違いは、指導を行う管理栄養士がどこに所属しているかです。次の見出しで詳しく見ていきますね。
「1」と「2」の違い、単一建物診療患者の数え方
みらい(新人医療事務)
「1」と「2」の違い、教えてください。
あおい(元・医療事務)
在宅患者訪問栄養食事指導料1は、保険医療機関の管理栄養士が、当該保険医療機関の医師の指示に基づいて指導を行った場合に算定します。一方、在宅患者訪問栄養食事指導料2は、診療所において、当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会もしくは都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」、または他の保険医療機関に限る)の管理栄養士が、当該診療所の医師の指示に基づいて対面による指導を行った場合に算定します。
| 項目 | 在宅患者訪問栄養食事指導料1 | 在宅患者訪問栄養食事指導料2 |
|---|---|---|
| 指導を行う管理栄養士 | 自院(当該保険医療機関)に所属 | 診療所以外(栄養ケア・ステーション、または他の保険医療機関)に所属 |
| 算定できる医療機関 | 診療所・病院 | 診療所のみ |
| 指示を出す医師 | 自院の医師 | 当該診療所の医師 |
みらい(新人医療事務)
単一建物診療患者の人数の数え方も、施設に訪問するときは気になります。
あおい(元・医療事務)
単一建物診療患者の人数とは、患者さんが居住する建築物に住んでいる方のうち、自院がこの指導料を算定している人数のことです。1つの患家に対象となる同居の同一世帯の患者さんが2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」で算定します。また、当該建築物でこの指導料を算定する人数が建物戸数の10%以下の場合、または建物戸数が20戸未満であって算定する人数が2人以下の場合も、それぞれ「1人の場合」として算定します。
人数の数え間違いに注意
同じ建物に複数の患者さんを訪問する場合、「単一建物診療患者が1人の場合」で算定できる例外規定(同一世帯・戸数10%以下・20戸未満で2人以下)を見落とすと、点数区分を誤って請求してしまう可能性があります。訪問先の建物構成と算定人数を必ず突き合わせて確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
この加算、届出とか施設基準は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅患者訪問栄養食事指導料そのものに、地方厚生局への届出や施設基準の充足を求める記載は確認されていません。管理栄養士が保険医療機関に所属していること(または「2」の場合は栄養ケア・ステーション等に所属していること)と、医師の指示・対象患者の要件を満たすことが中心的な条件です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、条件さえ揃えばすぐ算定候補になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そう思われがちですが、届出が不要だからこそ、対象患者の該当区分・30分以上の指導・栄養食事指導箋の交付・診療録や指導記録への記載など、算定要件そのものの充足を自院でしっかり確認しておく必要があります。届出が要らない分、後から振り返ったときに要件を満たしていたことを記録で説明できるようにしておくことが大切です。
算定のタイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定できる回数に制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。在宅患者訪問栄養食事指導料は、「1」「2」いずれも患者1人につき月2回に限り所定点数を算定します。また、指導に要した交通費は患家(患者さんの自宅側)の負担とされています。
みらい(新人医療事務)
交通費は保険請求に含められないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。交通費は実費で、患家の負担とすると定められています。あわせて、この指導料に規定されていない部分については、外来栄養食事指導料(区分B001の「9」)における留意事項の例によるとされていますので、細かい運用で迷った場合は外来栄養食事指導料側の留意事項も参照する必要があります。
併算定・記録の確認ポイント
- 患者1人につき月2回が上限(「1」「2」を合算した回数ではなく、それぞれの算定要件の充足が前提です)
- 交通費は保険請求ではなく患家の実費負担
- 30分以上の指導・栄養食事指導箋の交付という要件充足が記録から確認できるかどうかも重要です
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅患者訪問栄養食事指導料の点数区分・対象患者・算定要件について、令和6年度(2024年度)改定からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。ただし改定内容は今後も見直される可能性がありますので、算定を検討する際は必ず最新の告示・留意事項通知を確認してください。
改定差分の確認範囲
点数・算定単位だけでなく、対象患者の範囲、「1」「2」の指導者の所属要件、単一建物診療患者の数え方、届出・施設基準の要否についても、当サイトが収録している令和8年度の一次資料の範囲で確認したうえで「変更なし」と整理しています。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者に該当するか(がん患者・摂食機能または嚥下機能の低下・低栄養状態・特別食が必要と医師が認めた患者のいずれか)を医師の指示・カルテで確認する
- 訪問して指導を行う管理栄養士が自院所属か、栄養ケア・ステーション等の所属かを確認し、「1」「2」どちらの区分に該当するか整理する
- 訪問先の建物に他にも対象患者がいないかを確認し、単一建物診療患者の人数を数える
- 30分以上の訪問指導と栄養食事指導箋の交付を実施し、指導内容を記録に残す
- 患者1人につき月2回の上限を超えていないか、交通費を保険請求に含めていないかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際に取りこぼしやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかよく挙がるパターンがあります。まとめてみますね。
よくある取り漏れ(令和8年度)
- 栄養指導は行っているが、対象患者の3区分(がん・摂食嚥下機能低下・低栄養)や特別食の必要性の記録がカルテに残っておらず、後から要件充足を説明しづらい
- 訪問時間が30分に届かない、または栄養食事指導箋を作成・交付していない状態で算定してしまう
- 同じ建物内に他の対象患者がいるのに、単一建物診療患者の人数を「1人」で数えてしまう(例外規定に該当しない場合)
- 「1」で算定すべきところを、栄養ケア・ステーション所属の管理栄養士が訪問しているのに気づかず記載を誤る
みらい(新人医療事務)
記録の残し方ひとつで、後から見返したときの説明のしやすさが変わりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。届出が不要な分、指導の実施記録と指導箋そのものが「要件を満たしていたこと」を示す資料になります。
公式資料の根拠
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。点数は告示、算定要件は留意事項通知に基づいていますので、詳細は必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・医科点数表 区分C009) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年度・医科点数表 区分C009 留意事項)。個別PDFは改定に伴い更新される場合があるため、厚生労働省「医療保険」ページで最新版をご確認ください。 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/index.html
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よく聞かれそうな疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えますね。
みらい(新人医療事務)
病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
在宅患者訪問栄養食事指導料1は診療所・病院どちらでも算定候補になります。ただし在宅患者訪問栄養食事指導料2は、診療所のみが対象で、病院では算定候補になりません。
みらい(新人医療事務)
管理栄養士が非常勤でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
公式資料では常勤・非常勤の区別は明記されていません。ただし、保険医療機関に所属する管理栄養士が医師の指示に基づいて訪問することが前提ですので、雇用形態にかかわらず、指示系統と実施記録が明確になっているかを確認してください。
みらい(新人医療事務)
外来栄養食事指導料とは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
外来栄養食事指導料は通院可能な患者さんが対象ですが、在宅患者訪問栄養食事指導料は通院が困難な在宅療養中の患者さんが対象です。また、この指導料に規定のない部分は外来栄養食事指導料の留意事項の例によるとされているため、対象患者の条件(特別食や3区分の考え方)は共通する部分もあります。
みらい(新人医療事務)
同じ患者さんに、他の在宅系の指導料をあわせて確認することもありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。在宅療養中の患者さんでは、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)や在宅患者訪問薬剤管理指導料など、他の在宅系の指導料もあわせて対象になっていないか確認するご相談をよくいただきます。栄養面では、退院直後の時期に算定する退院後訪問栄養食事指導料とは対象となる時期や要件が異なりますので、どちらの算定候補にあたるかを区別しておくと整理しやすくなります。それぞれ算定要件や対象患者が異なりますので、栄養面だけでなく訪問診療・服薬管理の状況もあわせて振り返っておくと、確認漏れが減らせます。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や指導の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。