みらい(新人医療事務)
部長、「在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料」っていう名前を初めて見たんですけど、これってどんな時に算定する指導料なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で末期の悪性腫瘍(がん)の患者さんを診ているときに、病状が急変した際の対応を評価する指導料です。区分番号はC015、令和8年度時点で200点です。名前が長いので身構えちゃいますけど、ポイントは「ICTで共有された患者さんの情報をもとに、急変時に指導を行う」という一点なんですよ。
みらい(新人医療事務)
ICTで共有された情報、というのがちょっとイメージしづらいです。
あおい(元・医療事務)
在宅の末期がん患者さんって、主治医だけじゃなく、訪問看護師さんや薬剤師さん、ケアマネジャーさんなど、いろんな職種が関わっていますよね。その関係職種が、患者さんの「人生の最終段階における医療・ケアに関する情報」、つまり本人がどんな医療・ケアを望んでいるかという情報を、ICTを使って記録・共有しておく。急変が起きたときに、主治医がその情報を確認したうえで、患家で必要な指導を行った場合に算定できる指導料候補になる、という組み立てです。
対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
うちは在宅もやっている診療所なんですけど、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、訪問診療を実施している診療所・病院が対象です。当サイトが確認した一次資料の範囲では、入院中の患者や外来の患者は対象になりません。あくまで在宅療養を行っている患者さんが対象です。
みらい(新人医療事務)
患者さんの条件はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
大きく2つの条件があります。1つ目は、在宅で療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者さんで、通院が困難な方であること。2つ目が少し見落としやすいのですが、その患者さんについて「在宅医療情報連携加算」をすでに算定していることが前提になっている点です。
みらい(新人医療事務)
在宅医療情報連携加算、というのは別の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
別建ての加算で、在宅時医学総合管理料(区分番号C002)の注15、または施設入居時等医学総合管理料(C002-2)の注5で準用される場合、あるいは在宅がん医療総合診療料(区分番号C003)の注9に規定されているものです。この在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料は、その情報連携の枠組みがすでに動いている患者さんに対して、実際に病状が急変したときの指導を評価する、いわば上乗せの位置づけの指導料なんですね。
前提条件の確認が最初の関門
在宅医療情報連携加算(C002の注15・C002-2の注5・C003の注9)を算定していない患者さんについては、この指導料の対象にならない可能性があります。まず自院の在宅患者について、この加算をすでに算定しているかどうかを確認するところから始めるとよさそうです。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数のところ、あらためて教えてください。
あおい(元・医療事務)
表にまとめますね。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分番号 | C015 |
| 名称 | 在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料 |
| 点数 | 200点 |
| 算定単位 | 月1回に限り |
| 対象患者 | 在宅療養中・通院困難な末期の悪性腫瘍の患者(在宅医療情報連携加算を算定しているもの) |
| 施設基準の届出 | 当サイトが確認した資料の範囲では不要 |

みらい(新人医療事務)
月1回だけなんですね。急変対応って何度もありそうな気がしますが。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示・留意事項では「月1回に限り算定する」と明記されています。同じ月に複数回、急変対応で指導を行ったとしても、算定できるのは月1回分という理解になります。この点は算定のタイミングのところで、もう少し詳しくお話ししますね。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
届出とか施設基準とか、面倒な準備は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、この指導料には個別の施設基準や地方厚生局への届出は求められていません。訪問診療を行っている保険医療機関であれば、要件を満たした場合に算定候補になる、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないのは意外と楽ですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし届出が不要だからといって、確認作業がまったく不要というわけではありません。次にお話しする「ICTを使った情報連携」「診療録への記載」という運用面の要件は必ず満たす必要がありますし、届出の要否については変更される可能性もあるため、算定前に地方厚生局や審査支払機関への確認をおすすめします。
届出不要=無条件で算定可、ではありません
施設基準の届出が不要であっても、対象患者の要件・情報連携の実施・診療録への記載という算定要件を満たしているかどうかは、都度確認が必要です。
算定のタイミングと回数制限・記録の要件
みらい(新人医療事務)
実際にどんな場面で「指導を行った」と扱われるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、関係職種、つまり連携する他の医療機関の医師、歯科訪問診療を行う歯科医師、訪問薬剤管理指導を行う薬剤師、訪問看護ステーションの保健師・助産師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、管理栄養士、介護支援専門員、相談支援専門員などが、ICTを用いて記録した患者さんの情報を、計画的な医学管理を行う医師が確認できる状態にしておくことが前提になります。そのうえで、病状の急変等に伴い、その医師がこの情報を活用して、患家で患者さんやご家族に療養上必要な指導を行った場合に、月1回を限度に算定する、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
診療録にはどこまで書けばいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、活用した患者情報について「記録した者の氏名」「記録された日」「取得した情報の要点」「患者に行った指導の要点」を診療録に記載することが求められています。これは省略しづらいポイントなので、テンプレートを用意しておくと運用しやすいと思います。
みらい(新人医療事務)
ICTを使う、という部分についても何か決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。ICTを用いて連携機関と患者さんの個人情報をやり取りする場合には、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していることが求められています。使っている情報共有システムがこのガイドラインに沿っているかどうかは、システム提供事業者に確認しておくと安心です。
対応が必要な4つの記録要件
情報を記録した者の氏名、記録された日、取得した情報の要点、患者に行った指導の要点。この4項目は診療録への記載が求められる要件として、あらかじめ様式を決めておくと漏れを防ぎやすくなります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この指導料、前の改定のころから変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
この在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料は、前回の令和6年度(2024年度)改定で新設された比較的新しい指導料です。実際、令和6年度改定の直後に出された疑義解釈でも、この指導料についての質問が扱われています。
みらい(新人医療事務)
どんな質問だったんですか?
あおい(元・医療事務)
1つは「指導を行ったうえで患者さんが入院になった場合でも算定できるか」という質問で、回答は「可能」とされています。もう1つは「計画的な医学管理を行う医師本人ではなく、同じ医療機関でカンファレンスに参加し主治医から患者さんへの説明と同意を得ている別の医師が指導を行った場合でも算定できるか」という質問で、こちらも回答は「可能」となっています。
みらい(新人医療事務)
今回の令和8年度改定では、何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、令和8年度改定における点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。点数は令和6年度改定時と同じく200点のままで運用されている状況です。ただし一次資料の更新は今後も続きますので、算定時には最新の告示・通知を必ず確認するようにしてください。
前回改定(令和6年度)からの経緯
令和6年度改定で新設 → 同年3月の疑義解釈で「入院となった場合」「代行医師が指導した場合」の2点が明確化 → 令和8年度改定時点では、当サイトが確認した範囲で点数・要件の変更は確認されていません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで確認するとしたら、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな流れで確認していくとよいと思います。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが、在宅療養中で通院困難な末期の悪性腫瘍の患者さんかどうかを確認する
- その患者さんについて、在宅医療情報連携加算(C002の注15・C002-2の注5・C003の注9)をすでに算定しているかどうかを確認する
- 病状の急変等があった際に、関係職種がICTで記録した情報を、計画的な医学管理を行う医師が確認したうえで、患家で療養上必要な指導を行ったかどうかを確認する
- 診療録に、情報を記録した者の氏名・記録日・取得情報の要点・指導の要点を記載する
- 使用しているICTのシステムが「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応しているかを確認する
- 同一月にすでに算定していないかを確認したうえで、算定候補として扱う

みらい(新人医療事務)
こうして順番に見ていくと、意外とシンプルですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ポイントは「在宅医療情報連携加算がすでに動いているか」という前提条件と、「ICT記録の確認」「診療録記載」という運用面の2つに集約されます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まとめてみますね。
見落としやすいポイント
前提となる在宅医療情報連携加算を算定していない患者さんについて、この指導料だけを算定しようとしてしまうケース。ICTでの情報連携がないまま、電話や口頭でのやり取りだけで指導を行い、記録の要件を満たさないまま算定してしまうケース。診療録への記載で「記録した者の氏名」「記録された日」のどちらかが抜けてしまうケース。同一月に複数回の急変対応を行った場合に、月1回という回数制限を超えて算定しようとしてしまうケースなどです。
みらい(新人医療事務)
「入院になったら算定できない」と思い込んでいる人もいそうですね。
あおい(元・医療事務)
それも大事な点です。疑義解釈では、指導を行ったうえで患者さんが入院となった場合でも算定は可能とされています。指導を行った時点で要件を満たしていれば、その後の転帰によって算定が取り消されるわけではない、という理解になります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
患者さんが指導後に入院してしまった場合、この指導料は算定できないんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の疑義解釈では、指導を行ったうえで患者さんが入院となった場合でも算定は可能とされています。指導を行った時点までの要件充足が確認できていれば、算定候補として扱えそうです。
みらい(新人医療事務)
指導を行うのは、必ず患者さんの主治医本人でないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
そこも疑義解釈で扱われています。主治医と同じ医療機関に所属していて、患者さんの治療方針を検討するカンファレンスに定期的に参加し、主治医が対応できない時間帯に対応する医師として患者さんに説明し同意を得ている場合には、その医師が指導を行っても算定は可能とされています。ただし、この体制が自院で整っているかどうかは個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出が必要な加算だと思っていたんですが、違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが確認した資料の範囲では、この指導料自体に個別の施設基準の届出は求められていません。ただし、前提となる在宅医療情報連携加算や在宅時医学総合管理料側の要件は別途確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
月に2回、急変対応で指導を行った場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項では「月1回に限り算定する」とされています。同じ月に複数回対応した場合でも、算定できるのは月1回分という扱いになりそうです。実際の請求にあたっては、レセプトの記載も含めて審査支払機関に確認しておくと安心です。
関連する加算もあわせて確認
みらい(新人医療事務)
この指導料の前提になっている加算についても、詳しく知りたいです。
あおい(元・医療事務)
前提条件になっている在宅時医学総合管理料と在宅がん医療総合診療料のページも合わせて確認してみてください。在宅医療情報連携加算がどちらの注に規定されているかによって、確認するポイントが少し変わってきます。
参考にした公式資料
みらい(新人医療事務)
この記事の内容って、どこの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
主に厚生労働省が公表している令和8年度診療報酬の告示・留意事項通知と、前回改定(令和6年度)時に出された疑義解釈資料を参照しています。令和8年度診療報酬 告示(区分番号C015を含む点数表)と、疑義解釈資料の送付について(その1)が主な参照先です。留意事項通知の詳細部分は当サイトが収録している一次資料の範囲で確認しています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。