退院前在宅療養指導管理料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「退院前在宅療養指導管理料」ってはじめて聞く名前なんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の診療報酬では、区分番号C100にあたる加算です。入院中の患者さんが在宅療養に備えて一時的に外泊するときに、その在宅療養についての指導管理を行った場合に算定候補になる項目です。外泊の初日1回に限り120点を算定します。
みらい(新人医療事務)
「外泊」がキーワードなんですね。退院そのものではなく?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。イメージとしては「本退院の前に、試しに一度自宅に帰ってもらう」場面です。在宅酸素療法や褥瘡ケア、経管栄養などを自宅で続ける予定の患者さんに、外泊中にご本人・ご家族が困らないよう、入院先の医療機関が在宅療養の指導管理を行う。その指導管理を評価する加算です。
みらい(新人医療事務)
病院じゃなくて、診療所の入院患者でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。病院・診療所どちらの入院患者でも対象になり得ます。外来の患者さんには算定できません。あくまで「入院中の患者が、退院に向けて一時的に外泊する」という場面が前提です。
対象になる患者・場面
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるのか、もう少し具体的に知りたいです。
あおい(元・医療事務)
告示の注1には「入院中の患者が在宅療養に備えて一時的に外泊するに当たり、当該在宅療養に関する指導管理を行った場合に算定する」と規定されています。つまり①入院中であること、②在宅療養に備えた一時的な外泊であること、③その外泊にあたって在宅療養に関する指導管理を実際に行ったこと、の3つがそろって初めて算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「一時的な外泊」というのが本退院とは違うんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。あくまで退院前の「お試し外泊」の場面を評価する加算なので、通常の退院時に行う指導(退院時薬剤情報管理指導料など)とは別の項目として整理されています。関連する退院時の指導管理については退院時共同指導料もあわせて確認しておくと、退院前後の指導管理の全体像が把握しやすいです。
みらい(新人医療事務)
6歳未満の子どもだと何か違いがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。告示の注2に「6歳未満の乳幼児に対して在宅療養に関する指導管理を行った場合には、乳幼児加算として、200点を所定点数に加算する」とあります。小児の在宅療養指導は保護者への説明も含めて手間がかかることが多いため、加算が設けられています。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の告示に基づく点数はこちらです。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定回数 |
|---|---|---|---|
| C100 | 退院前在宅療養指導管理料 | 120点 | 外泊の初日1回に限る |
| C100 注2 | 乳幼児加算(6歳未満) | +200点 | 退院前在宅療養指導管理料を算定する場合に加算 |

みらい(新人医療事務)
乳幼児加算をつけると320点になるということですね。
あおい(元・医療事務)
はい、6歳未満の乳幼児に在宅療養の指導管理を行った場合は120点+200点で320点が算定候補になります。ただし、乳幼児加算は退院前在宅療養指導管理料とセットの加算ですので、退院前在宅療養指導管理料そのものを算定していない月には単独では加算できません。
算定要件: 「外泊の初日1回」の意味を詳しく
みらい(新人医療事務)
「外泊の初日1回に限り」というのがちょっとイメージしづらいです。何日も外泊したらどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「入院中の患者に対して外泊時に退院後の在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合には、外泊の初日1回に限り退院前在宅療養指導管理料を算定する」と明記されています。つまり外泊が2泊3日でも1週間でも、算定できるのはその外泊の初日1回だけです。2日目以降に改めて指導管理を行っても、追加では算定できません。
みらい(新人医療事務)
同じ月に何回も外泊した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
条文上「外泊の初日1回」となっているので、外泊のたびに要件を満たせば、その都度の外泊初日にそれぞれ算定候補にはなり得ます。ただし実務では、同一月内に複数回の外泊指導が本当に必要だったか、診療内容とあわせて記録しておくことが大切です。
みらい(新人医療事務)
他の在宅療養指導管理料と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
そこは要注意です。留意事項通知には「退院前在宅療養指導管理料を算定した同一月に他の在宅療養指導管理料を算定することができるが、退院前在宅療養指導管理料を算定した日には他の在宅療養指導管理料及び在宅療養指導管理材料加算は算定できない」とあります。同じ月に別の在宅療養指導管理料を算定することは可能ですが、退院前在宅療養指導管理料を算定した「その日」だけは、他の在宅療養指導管理料や在宅療養指導管理材料加算と重複できません。
算定日の重複に注意
退院前在宅療養指導管理料を算定した「同じ日」に、他の在宅療養指導管理料・在宅療養指導管理材料加算を算定していないか、レセプト作成時に確認してください。同一月内であれば別日での算定は妨げられません。
「入院料上は外泊にならない1泊2日」の扱い
みらい(新人医療事務)
入院料の計算上、1泊2日は「外泊」として扱われないこともあると聞いたことがあります。それでも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
良いところに気づきましたね。留意事項通知には「入院料の取扱い上は外泊とならない1泊2日の場合であっても、退院前在宅療養指導管理料の算定要件を満たせば当該指導管理料を算定することができる」と明記されています。つまり、入院料の計算ルール上「外泊扱いにならない」短い外泊であっても、退院前在宅療養指導管理料としての算定要件(在宅療養に備えた一時的な外泊で、指導管理を行ったこと)を満たしていれば、算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
入院料の外泊の扱いと、この指導管理料の算定要件は別物として考えるということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。入院料上の外泊減算の判断基準と、退院前在宅療養指導管理料の算定要件は別のルールなので、混同しないよう注意が必要です。
「退院に至らなかった場合」は算定できない
みらい(新人医療事務)
外泊してみたけど、結局体調が悪化して退院できなかった、というケースもありますよね。
あおい(元・医療事務)
はい、これは重要な確認ポイントです。留意事項通知には「退院前在宅療養指導管理料を算定できるのは、あくまでも退院した場合であり、病状の悪化等により退院できなかった場合には算定できない。また、外泊後、帰院することなく転院した場合には算定できない」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
つまり、外泊の時点で指導管理をしても、最終的に退院に至らなければ算定を取り消す必要があるということですか?
あおい(元・医療事務)
実務上は、外泊時点で指導管理を行っていても、その後の経過で退院に至らなかったり、帰院せずそのまま転院したりした場合は、算定要件を満たさなくなります。レセプト提出前に、その患者さんが実際に退院したかどうかを必ず確認する運用にしておくと安心です。
退院に至らなかった場合の取り扱い(留意事項通知)
- 病状の悪化等により退院できなかった場合: 算定できません
- 外泊後、帰院することなく転院した場合: 算定できません
- 予定通り退院した場合: 算定要件を満たせば算定候補になります
施設基準・届出は不要です(他の在宅療養指導管理料との違い)
みらい(新人医療事務)
施設基準とか届出とか、事前に用意しておくものはありますか?
あおい(元・医療事務)
この加算については、施設基準の設定も地方厚生局への届出も不要です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、退院前在宅療養指導管理料に固有の施設基準・届出要件は定められていません。在宅療養指導管理料の中には届出が必要な項目もありますが、この加算はその対象外です。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、確認することは少ないんですか?
あおい(元・医療事務)
届出は不要でも、算定要件そのものの充足は必要です。「入院中の患者であること」「在宅療養に備えた一時的な外泊であること」「外泊初日に指導管理を実際に行ったこと」「その後、予定通り退院に至ったこと」の4点は、診療録やカルテに記録として残しておく必要があります。届出不要=確認不要ではない点に注意してください。
届出不要でも記録は必須
施設基準の届出は不要ですが、外泊初日に在宅療養に関する指導管理を行った事実、6歳未満の乳幼児であれば年齢、そして最終的に退院に至った事実は、診療録に記録として残しておく必要があります。記録がなければ、算定の根拠を後から示せなくなる可能性があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件)と留意事項通知の一次資料の範囲では、退院前在宅療養指導管理料(C100)の点数・算定要件・乳幼児加算について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(2026年6月確認)。ただし、個別改定項目の資料まで含めた完全な照合は行えていないため、最新の取り扱いは厚生労働省の一次情報でご確認ください。
時系列での整理
- 令和6年度(2024年度)改定: 退院前在宅療養指導管理料 120点、乳幼児加算200点(当サイトで確認できた資料の範囲)
- 令和8年度(2026年度)改定: 退院前在宅療養指導管理料 120点、乳幼児加算200点(変更点は確認されていません)
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補かどうか確認するには、どんな順番で見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
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入院中の患者かどうか確認 — 対象は入院中の患者。外来の患者は対象になりません
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在宅療養に備えた一時的な外泊かどうか確認 — 本退院ではなく、退院前に一時的に自宅へ外泊する場面かを確認
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外泊初日に在宅療養の指導管理を実施したか確認 — 外泊の初日に、在宅での療養に関する指導管理を行ったことをカルテに記録
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6歳未満かどうか確認 — 6歳未満の乳幼児であれば、乳幼児加算200点の対象になり得ます
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他の在宅療養指導管理料と同日重複していないか確認 — 退院前在宅療養指導管理料を算定した日に、他の在宅療養指導管理料・在宅療養指導管理材料加算を算定していないか確認
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予定通り退院に至ったか確認 — 病状悪化で退院できなかった場合や、帰院せず転院した場合は算定候補から外れます

みらい(新人医療事務)
これだけ順番に確認すれば、迷わず整理できそうです。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れのパターンってありますか?
あおい(元・医療事務)
よく挙がるのは次のようなケースです。
よくある取り漏れ(令和8年度)
- 外泊初日以外の日に算定してしまう: 外泊が複数日にわたっても、算定できるのは初日1回だけです
- 乳幼児加算のつけ忘れ: 6歳未満の患者に指導管理を行ったのに、200点の乳幼児加算を計上し忘れるケース
- 退院に至らなかった患者の取り消し漏れ: 外泊時に指導管理を行い一度は算定候補としていたが、その後退院できなかった、または転院してしまい、算定要件を満たさなくなったのに取り消していないケース
- 同日の他の在宅療養指導管理料との重複: 退院前在宅療養指導管理料を算定した同じ日に、他の在宅療養指導管理料や在宅療養指導管理材料加算も算定してしまうケース
みらい(新人医療事務)
「一度算定候補にしたけど、あとで取り消しが必要になる」というのは見落としがちですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。外泊時点では指導管理を行っていても、その後の経過(退院できたかどうか)まで確認して初めて算定要件を満たすかどうかが確定します。レセプト提出前の最終チェックのタイミングで、退院の有無を必ず確認する運用にしておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問もまとめて聞いておきたいです。うちは診療所ですが、入院ベッドがあれば対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい。診療所・病院を問わず、入院中の患者さんが在宅療養に備えて一時的に外泊する場面であれば算定候補になり得ます。ただし外来の患者さんは対象外です。
みらい(新人医療事務)
「在宅寝たきり患者処置指導管理料」という似たような名前の加算も見かけたんですが、違うものですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別の項目です。在宅寝たきり患者処置指導管理料は、在宅で寝たきりの状態にある患者さんに対する処置の指導管理を評価する加算で、退院前の一時的な外泊を対象とする退院前在宅療養指導管理料とは算定場面が異なります。同じ在宅指導管理料のカテゴリーに属する項目ですが、対象となる場面をよく確認してください。
みらい(新人医療事務)
外泊の指導管理を行ったのが医師以外の職種だった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
誰が指導管理を行ったかの職種要件については、当サイトが確認できた一次資料の範囲では明記が確認できていません。実施した職種の記録も含め、自院の算定判断は最新の告示・留意事項通知で確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちの患者さんのケースが算定候補になるか、もう一度自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。外泊の経緯や退院の状況を整理しながら入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する退院時共同指導料や在宅寝たきり患者処置指導管理料もあわせて確認しておくと、退院前後の指導管理の全体像が見えやすくなります。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・診療録の記録・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。