みらい(新人医療事務)
部長、「訪問診療薬剤師同時指導料」という項目を見つけたんですけど、これって何の加算ですか?名前だけだと薬局側の話なのか、うちのクリニック側の話なのか、ちょっとわからなくて。
あおい(元・医療事務)
これはクリニックや病院が算定する指導料の一つですよ。区分番号はC012-2、令和8年度の点数表で300点です。訪問診療を担当している医師と、在宅で薬の管理をしている薬剤師が、同じ日に同じ患者さんのお宅を一緒に訪問して、処方の調整などを話し合った場合に、算定候補になる項目です。
みらい(新人医療事務)
医師と薬剤師が一緒に患者さん宅にお邪魔する、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の区分C012-2では、次のように定められています。
告示(医科点数表)の原文
訪問診療を実施している保険医療機関の保険医が、在宅での療養を行っている患者(施設入居時等医学総合管理料の対象患者を除く。)であって、通院が困難なものに対して、当該患者の同意を得て、当該患者に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を実施している他の保険医療機関若しくは保険薬局又は居宅療養管理指導を実施している病院、診療所若しくは保険薬局の薬剤師と同時に訪問を行うとともに、療養上必要な指導を行った場合に、6月に1回に限り算定する。
みらい(新人医療事務)
「6月に1回」ということは、頻繁には算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。同じ患者さんに対しては6か月に1回が上限です。毎回の訪問診療のたびに算定できる項目ではない、という点は最初に押さえておきたいところですね。

この加算は何のための項目か
みらい(新人医療事務)
そもそも、どうしてこういう項目が令和8年度の点数表にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、この指導料の趣旨がこう書かれています。
留意事項通知(保医発)の原文(1)
訪問診療薬剤師同時指導料は、薬剤師との連携による在宅患者の適切な処方を推進する観点から、当該保険医療機関において在宅時医学総合管理料を算定し、他の保険医療機関又は保険薬局において在宅患者訪問薬剤管理指導料又は居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)を算定する患者に対し、計画的に訪問診療を実施している保険医である医師と、訪問薬剤管理指導を行っている別の保険医療機関又は保険薬局の薬剤師が、事前に当該患者の同意を得た上で、患家に同時に訪問し処方の調整等の必要な対応を共同して行うことを評価するものである。
あおい(元・医療事務)
つまり、在宅の患者さんの薬物療法を、医師と薬剤師が実際に患者さん宅で顔を合わせて確認し合う体制を評価する項目、という位置づけですね。処方箋のやり取りだけでは気づきにくい生活実態や服薬状況を、その場で共有できることに意味があります。
みらい(新人医療事務)
なるほど、電話や書面でのやり取りだけじゃなくて、実際に一緒に訪問することが前提なんですね。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちのクリニックだと、対象になるかどうかはどこで見分ければいいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象となる医療機関は診療所と病院で、在宅医療を行っている場合が想定されています。入院中の患者さんや外来だけの患者さんは対象になりません。対象患者についても、告示の条文にはっきり条件が書かれています。
対象患者の条件
- 訪問診療を実施している保険医療機関の保険医が担当する患者であること
- 在宅で療養を行っている患者で、通院が困難な患者であること
- 施設入居時等医学総合管理料の対象患者は除かれること
- 患者本人の同意を得ていること
みらい(新人医療事務)
「施設入居時等医学総合管理料の対象患者を除く」というのは、具体的にはどういう患者さんのことですか?
あおい(元・医療事務)
有料老人ホームなどの施設に入居していて、施設入居時等医学総合管理料を算定している患者さんのことです。この指導料は、あくまで在宅で療養している患者さんが対象で、施設入居時等医学総合管理料の対象患者は条文上はっきり除かれています。この線引きを自院で誤ると、対象外の患者さんに算定してしまうことになるので、まず確認したいポイントですね。
みらい(新人医療事務)
施設に入っている患者さんかどうかは、最初に必ずチェックしないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。加えて留意事項通知では、当該保険医療機関が在宅時医学総合管理料を算定している患者であることも前提として説明されています。まず「在宅時医学総合管理料の対象患者かどうか」を確認するのが、実務上の出発点になります。
点数・算定単位
みらい(新人医療事務)
点数の内容を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度時点で確認できている内容を表にまとめました。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 区分番号 | C012-2 |
| 名称 | 訪問診療薬剤師同時指導料 |
| 点数 | 300点 |
| 算定回数 | 6月に1回に限る |
| 対象医療機関 | 診療所・病院(訪問診療実施) |
| 届出 | 不要 |
| 施設基準 | なし |
みらい(新人医療事務)
届出も施設基準もいらないんですね。それは意外です。
あおい(元・医療事務)
はい、当サイトが収録している一次資料の範囲では、この項目自体に個別の施設基準や事前の届出は求められていません。ただし、算定の前提になっている在宅時医学総合管理料や在宅患者訪問薬剤管理指導料の側には、それぞれの算定要件があります。「この指導料だけ見れば届出不要」であっても、土台となる管理料・指導料の算定要件は別途満たしている必要がある、という理解が実務的には大事です。
算定要件(連携の中身)
みらい(新人医療事務)
「医師と薬剤師が同時に訪問する」というのは、具体的にどこまでやればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、同時訪問で実際に何をすべきかも書かれています。
留意事項通知(保医発)の原文(2)
在宅医療における薬剤師との同時訪問を実施するに当たっては、患者の生活実態に即した薬物療法の最適化を図る観点から、患家における残薬・服薬状況の確認、副作用の早期兆候把握、剤形・用法の変更等を患家において医師と薬剤師が協議し、必要に応じて、医師による処方設計の見直し及び薬剤師による即応的な薬学的支援を実施すること。なお、医師と薬剤師の協議の結果、処方内容に変更がない場合であっても当該指導料を算定することができる。
あおい(元・医療事務)
ポイントは、残薬・服薬状況の確認、副作用の早期兆候の把握、剤形や用法の変更検討などを、患者さん宅でその場で医師と薬剤師が協議することです。そして「協議した結果、処方内容に変更がなかった」場合でも、算定候補になるとされています。話し合ったこと自体に価値がある、という考え方ですね。
みらい(新人医療事務)
処方が変わらなくても算定できるかもしれないんですね。それは知らなかったです。
あおい(元・医療事務)
ただし、算定候補になるとしても、実際に何を協議したかの記録が残っていることが前提です。次に説明する診療録の記載が、この点を裏付ける材料になります。
記録・診療録への記載
みらい(新人医療事務)
記録として残さないといけないことはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知の(3)に明記されています。
留意事項通知(保医発)の原文(3)
訪問診療薬剤師同時指導料を算定する場合は、医師及び薬剤師が共同して行った指導の内容及び医師が処方薬の調整を行っていればその要点等について、診療録に記載すること。
あおい(元・医療事務)
「同時に訪問した」という事実だけでなく、そこでどんな指導を行ったか、処方調整があればその要点を診療録に残しておく必要があります。同時訪問の予定を組んだだけで満足せず、訪問後の記載までがセットだと考えておくといいですね。
算定タイミングの注意点(退院直後の患者さん)
みらい(新人医療事務)
入院していた患者さんが退院してすぐの場合は、何か違いがありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、これは見落としやすいポイントです。告示の注2にこう書かれています。
退院直後の患者さんへの注意
当該保険医療機関を退院した患者に対して退院の日から起算して1月以内に行った指導の費用は、第1章第2部第1節に掲げる入院基本料に含まれるものとされています。退院後1か月以内の指導は、この指導料として別途算定できる扱いにはなっていません。
みらい(新人医療事務)
退院してすぐの患者さんだと、同時訪問をしても別立てでは算定できないかもしれない、ということですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。退院日からの日数を確認し、1か月を超えているかどうかをまずチェックする必要があります。この判断を自院だけで進めるのが不安な場合は、算定候補になるかどうかを整理する手段として、後で紹介する加算チェッカーも活用できます。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
これって前からあった項目なんですか?それとも令和8年度で新しくできたものなんですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度の点数表にこの区分番号(C012-2)と同じ内容の記載を確認できていません。令和8年度の告示・留意事項通知で確認できる内容が、現時点で当サイトが把握している一次情報です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、新設された可能性があるということですね。
あおい(元・医療事務)
その可能性はありますが、新設・改廃の経緯を整理した個別改定項目の資料までは今回の確認が及んでいないので、断定はできません。前回改定(令和6年度)からの変更点は、当サイトが収集している一次資料の範囲では確認できていないという段階です(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次情報ベース)。正確な新設時期や改定経緯を知りたい場合は、厚生労働省の個別改定項目の資料や、審査支払機関への確認をおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、自院で確認する順番ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
順番に並べると、こうなります。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが、施設入居時等医学総合管理料の対象患者ではないか確認する
- 患者さんが通院困難で、当該保険医療機関が在宅時医学総合管理料を算定しているか確認する
- 連携する薬剤師が、在宅患者訪問薬剤管理指導料または居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)を算定しているか確認する
- 患者さん本人から、医師・薬剤師の同時訪問について同意を得ているか確認する
- 退院後の患者さんの場合は、退院日から1か月を超えているか確認する
- 直近6か月以内に同じ患者さんで算定していないか確認する
- 医師と薬剤師が患家に同時に訪問し、残薬・服薬状況や処方の調整等を協議する
- 協議した指導の内容と、処方調整があればその要点を診療録に記載する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に並べてもらえると、何から手をつければいいかわかりやすいです。
よくある取り漏れ
あおい(元・医療事務)
現場で見落とされやすいポイントを、いくつか挙げておきますね。
取り漏れやすいポイント
- 薬剤師が自院所属だと思い込み、外部の保険薬局・他医療機関との連携であることを見落とす
- 施設入居時等医学総合管理料の対象患者に誤って算定してしまう
- 退院後1か月以内の指導を、通常どおり別立てで算定してしまう
- 処方内容に変更がなかったため、記録を残さずに算定を見送ってしまう
みらい(新人医療事務)
処方が変わらなかったときに、そもそも記録を取らないというのはやってしまいそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。協議した内容自体が指導の実績になるので、変更の有無にかかわらず記載しておくことが大切ですね。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、みんなが気になりそうなことをいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
同時に訪問する薬剤師は、自院に所属している薬剤師でもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「他の保険医療機関若しくは保険薬局」または「居宅療養管理指導を実施している病院、診療所若しくは保険薬局」の薬剤師とされています。自院とは別の医療機関・保険薬局に所属する薬剤師との連携を想定した項目、という理解が必要です。
みらい(新人医療事務)
処方の変更がなかった場合でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、医師と薬剤師が協議した結果、処方内容に変更がなかった場合でも算定できるとされています。ただし、協議した内容を診療録に記載していることが前提になります。
みらい(新人医療事務)
退院したばかりの患者さんはどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
退院の日から起算して1か月以内に行った指導の費用は、入院基本料に含まれるとされていて、この指導料として別に算定できる扱いにはなっていません。退院日をまず確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
施設に入っている患者さんも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
施設入居時等医学総合管理料の対象になっている患者さんは、告示の条文上、この指導料の対象から除かれています。施設入居の有無をまず確認したいポイントです。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する在宅時医学総合管理料や在宅患者訪問薬剤管理指導料とあわせて確認しておくと、連携の全体像が見えやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。