みらい(新人医療事務)
先輩、「在宅患者連携指導料」ってカルテで見かけたんですけど、どういう場面で出てくる加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で療養している患者さんについて、訪問診療の医師と、歯科の訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問看護ステーションなど、複数の職種が診療情報を文書で共有し合ったうえで指導を行った場合に算定候補になる指導料です。令和8年度(2026年度)時点で区分番号C010、900点、月1回が上限です。
みらい(新人医療事務)
複数の職種が関わっている患者さんが対象なんですね。うちは在宅訪問をしているクリニックなんですが、対象になるか自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。ここでは対象医療機関・点数・算定要件・施設基準・併算定の注意・改定での変更点まで、順番に確認していきましょう。ただし算定できるかどうかは自院の体制と届出状況次第なので、最後まで「算定候補」という前提で読み進めてくださいね。
対象医療機関・対象患者はどこまで含まれますか
みらい(新人医療事務)
まず「うちは対象になり得るのか」が気になります。診療所ならどこでもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1には、対象となる保険医療機関が「訪問診療を実施している保険医療機関(診療所、在宅療養支援病院及び許可病床数が200床未満の病院(在宅療養支援病院を除く。)に限る。)」と定められています。表にすると次のようになります。
| 医療機関の区分 | 対象になり得るか |
|---|---|
| 診療所(病床数を問わない) | 対象になり得ます |
| 在宅療養支援病院(病床数を問わない) | 対象になり得ます |
| 一般病院で許可病床数200床未満(在宅療養支援病院を除く区分として) | 対象になり得ます |
| 一般病院で許可病床数200床以上 | 対象外の可能性が高いです |
みらい(新人医療事務)
病院の場合は病床数がポイントなんですね。うちは診療所なので、その点はクリアできそうです。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ただし医療機関の区分だけでなく、「訪問診療を実施していること」自体が前提です。外来のみで訪問診療を行っていない場合は、この時点で対象外の可能性があります。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件はどうですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1では「在宅での療養を行っている患者であって通院が困難なもの」とされています。加えて、当該患者の同意を得ることが前提です。同意なしに情報共有を進めることはできません。
対象患者の確認ポイント
- 在宅で療養している患者であり、通院が困難であること
- 当該患者本人の同意を得ていること(同意の記録を残す運用が望ましいです)
- すでに歯科訪問診療・訪問薬剤管理指導・訪問看護のいずれかと連携が取れる状態にあること
点数はいくらで、どのくらいの頻度で算定できますか
みらい(新人医療事務)
肝心の点数を確認したいです。
あおい(元・医療事務)
在宅患者連携指導料は900点で、月1回が算定回数の上限です。表にすると次のとおりです。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定回数の上限 |
|---|---|---|---|
| C010 | 在宅患者連携指導料 | 900点 | 月1回 |
みらい(新人医療事務)
月1回しか算定できないんですね。複数の職種と何度も情報共有したら、その分算定できるわけではないんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要なところです。情報共有そのものの回数にかかわらず、算定できるのは月1回が上限です。逆に言えば、月に複数回のやり取りがあったとしても、指導料としてまとめて月1回の算定候補になる、という考え方です。
算定要件はどのような内容ですか
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな行為をすれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1を分解すると、次の4つがそろって、月1回の算定候補になります。
| 順序 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1 | 訪問診療を実施している保険医療機関の保険医が、在宅で療養する通院困難な患者に対応している |
| 2 | 当該患者の同意を得ている |
| 3 | 歯科訪問診療を実施している保険医療機関、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局、または訪問看護ステーションと、文書等により診療情報を共有している |
| 4 | 共有された情報を踏まえて、療養上必要な指導を行っている |
みらい(新人医療事務)
「文書等」というのは、紙のやり取りじゃないとダメなんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、電子メールやファクシミリでの共有も含めて「文書等」として扱われています。また留意事項通知には、月2回以上、医療関係職種間で診療情報を共有し、それを基に患者またはその家族等へ指導等を行った場合に月1回に限り算定する、という具体的な運用の目安が示されています。
算定候補になる具体例(留意事項通知より)
- 在宅で療養する患者について、訪問診療を行う歯科医師が口腔内の状態に関する診療情報を、保険医に対して文書等で提供
- 保険医がその情報を踏まえて、患者への訪問診療時に指導を行った
- このような多職種の情報共有と、それを踏まえた指導という流れがある場合に算定候補となります
みらい(新人医療事務)
情報を交換しただけとか、訪問看護に「行ってください」と指示しただけでは算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。留意事項通知では、単に医療関係職種間で診療情報を交換しただけの場合や、訪問看護・訪問薬剤指導を行うよう指示しただけの場合は算定できないと明記されています。あくまで「情報共有を踏まえた指導」まで行って初めて算定候補になります。
記録要件を忘れないでください
留意事項通知では、他職種から受けた診療情報の内容とその提供日、そしてその情報を基に行った診療・指導の内容の要点と診療日を診療録に記載することが求められています。情報共有だけでなく、診療録への記載まで含めて一連の流れとして確認してください。
施設基準や届出は必要ですか
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出とか、事前の手続きは必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅患者連携指導料そのものに個別の施設基準や届出は設けられていません。対象となる医療機関の区分(診療所・在宅療養支援病院・許可病床数200床未満の病院)に該当し、算定要件を満たしていれば算定候補になり得ます。
みらい(新人医療事務)
届出がいらないなら、気にせず算定して大丈夫ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは誤解しないでほしいところです。個別の届出がないからといって、要件確認が不要になるわけではありません。対象医療機関の区分に該当するか、患者の同意が取れているか、多職種との情報共有が実際に行われているかは、その都度確認が必要です。届出の有無にかかわらず、算定要件を満たしているかどうかの確認が前提になります。
届出不要でも要件確認は必須です
「届出の有無を必ず確認」した上で、施設基準に相当する定めがない加算であっても、対象医療機関の区分・患者の同意・情報共有の実施・診療録への記載という個別要件は毎回満たしている必要があります。すべての医療機関で対象になるわけではなく、要件を満たしてはじめて算定候補になります。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できないケースもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい、告示の注2から注6にかけて、いくつかの制限が定められています。表にすると次のとおりです。
| 注 | 内容 |
|---|---|
| 注2 | 初診料を算定する初診の日に行った指導、または初診日から1月以内に行った指導の費用は、初診料に含まれます |
| 注3 | 退院した患者に対して退院日から1月以内に行った指導の費用は、入院基本料に含まれます |
| 注4 | ウイルス疾患指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、心臓ペースメーカー指導管理料を算定している患者については算定できません |
| 注5 | 在宅患者連携指導料を算定すべき指導を行った場合、特定疾患療養管理料および皮膚科特定疾患指導管理料を算定すべき指導管理の費用は、所定点数に含まれます |
| 注6 | 診療情報提供料(Ⅰ)、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料を算定している患者については算定できません |
みらい(新人医療事務)
制限がいくつも並んでいるんですね。訪問診療をしている患者さん全員が対象というわけでもなさそうです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に注6は見落としやすいところです。在宅患者訪問診療料(Ⅰ)を算定していること自体は前提になりますが、在宅時医学総合管理料や施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料をすでに算定している患者については、在宅患者連携指導料の対象外の可能性があります。
併算定チェックのポイント
- 初診日から1月以内の指導は初診料に含まれるため、別立てでの算定候補にはなりません
- 退院日から1月以内の指導は入院基本料に含まれます
- 在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料・在宅がん医療総合診療料を算定中の患者は対象外の可能性があります

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、および同日の留意事項通知)の範囲では、在宅患者連携指導料の点数・対象医療機関の要件・算定要件について、前回改定からの変更は確認されていません(2026年6月確認)。900点・月1回という枠組みは、この一次資料の範囲で維持されています。
みらい(新人医療事務)
変更がないなら、今まで通りの確認で大丈夫ということですね。
あおい(元・医療事務)
基本的な考え方はそのとおりです。ただし、改定のたびに関連する疑義解釈が追加で出されることもあるので、算定を検討する際は最新の疑義解釈も合わせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認すべき順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
では自院チェックの流れをまとめますね。
自院で確認する順番
- 訪問診療を実施しているか確認する — 訪問診療を行っていない場合、この加算の対象外の可能性があります
- 対象医療機関の区分に該当するか確認する — 診療所、在宅療養支援病院、または許可病床数200床未満の病院(在宅療養支援病院を除く区分として)に該当するか確認します
- 対象患者であるか確認する — 在宅で療養しており通院が困難な患者で、本人の同意を得ているか確認します
- 多職種との情報共有の実態を確認する — 歯科訪問診療・訪問薬剤管理指導・訪問看護ステーションと、文書等(電子メール・ファクシミリを含む)で診療情報を共有しているか確認します
- 指導の実施と診療録記載を確認する — 共有された情報を踏まえた指導を行い、情報の内容・提供日・指導の要点・診療日を診療録に記載しているか確認します
- 併算定の除外事由がないか確認する — 初診料・入院基本料への包括や、在宅時医学総合管理料等との重複がないか確認します

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実際の現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的な取り漏れパターンがあります。
よくある取り漏れ
- 訪問看護に「連絡しておいて」と指示しただけで、情報共有の記録や診療録への記載が残っていない
- 患者の同意を得た記録が残っておらず、後から確認できない
- 在宅時医学総合管理料や施設入居時等医学総合管理料をすでに算定している患者に対して、注6の除外事由を確認せずに算定してしまう
- 初診日から1月以内の指導を、初診料とは別に算定してしまう
みらい(新人医療事務)
診療録の記載って、意外と見落とされがちなんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。情報共有と指導そのものは行っていても、記録が残っていないと後から算定要件を満たしていたことを説明しにくくなります。多職種連携の記録は、日頃から残しておく運用にしておくと安心です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、現場でよく聞かれる疑問もまとめて確認しておきたいです。
あおい(元・医療事務)
いいですね。順番に見ていきましょう。
みらい(新人医療事務)
訪問看護ステーションとだけ情報共有していれば算定候補になりますか?歯科や薬局との連携は必須ですか?
あおい(元・医療事務)
告示の注1では、歯科訪問診療を実施している保険医療機関、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局、訪問看護ステーションが「又は」でつながれています。つまり、いずれか一つとの情報共有でも要件を満たす候補になり得ます。すべてと連携する必要はありません。
みらい(新人医療事務)
病院なのですが、在宅療養支援病院ではありません。この場合はどう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
在宅療養支援病院でない一般病院の場合は、許可病床数が200床未満であるかを確認してください。200床以上の場合は、告示の注1の対象医療機関に該当しない可能性が高いです。
みらい(新人医療事務)
月2回情報共有すればいいんですか、それとも複数回必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「月2回以上」医療関係職種間で診療情報を共有し、それを基に指導等を行った場合に月1回算定する、という運用の目安が示されています。実際の共有回数や記録の状況は自院で確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出がいらないなら、開業したばかりの診療所でもすぐに算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
個別の施設基準・届出が設けられていない点は開業間もない診療所でも変わりません。ただし、訪問診療を実際に行っていること、対象患者の同意、多職種との情報共有の実態、診療録への記載といった要件は同じように満たす必要があります。「届出なしで問題ありません」と言い切れるものではなく、要件確認は毎回必要です。
参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事でご紹介した内容は、次の厚生労働省の公式資料を根拠としています。
参考資料(厚生労働省・令和8年度)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号・区分番号C010) https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発通知・区分番号C010部分)— 当サイトが収録している一次資料の範囲で参照しています
- 関連加算: 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。