みらい(新人医療事務)
先輩、「在宅腫瘍化学療法注射指導管理料」っていう名前を見つけたんですけど、これってがんの患者さんの注射に関係する加算ですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。正式には区分番号C108-2、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料といいます。悪性腫瘍の患者さんで、入院中でない方に対して、在宅で抗悪性腫瘍剤などの注射に関する指導管理を行った場合に算定候補になる項目です。厚生労働省の告示(医科点数表)に規定されています。
みらい(新人医療事務)
「在宅で抗悪性腫瘍剤の注射」ってどういう場面をイメージすればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、携帯型ディスポーザブル注入ポンプや輸液ポンプを用いて中心静脈注射や植込型カテーテルアクセスから抗悪性腫瘍剤を注入する療法、またはインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫・慢性骨髄性白血病・ヘアリー細胞白血病・腎癌の患者さんに注射する療法、と具体的に定義されています。単に「がんの薬を家で使っている」というだけでなく、この定義に当てはまるかどうかがポイントです。
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料とは
みらい(新人医療事務)
まず、この管理料がどういう位置づけなのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
在宅療養指導管理料のグループの一つで、似た名前の項目がいくつか並んでいます。C108「在宅麻薬等注射指導管理料」、C108-2「在宅腫瘍化学療法注射指導管理料」、C108-3「在宅強心剤持続投与指導管理料」、C108-4「在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料」の4つです。今回取り上げるC108-2は、在宅で抗悪性腫瘍剤等の注射を行う患者さんの指導管理を評価するものです。
みらい(新人医療事務)
名前が似ていて紛らわしいですね……。うちのクリニックはどれに該当するか、どう見分ければいいですか?
あおい(元・医療事務)
ポイントは「何を」「どこで」注射しているかです。麻薬性の鎮痛剤ならC108、抗悪性腫瘍剤等ならC108-2、というふうに投与している薬剤の種類で区分が分かれています。下の図で、令和8年度の点数表上の位置づけを整理しました。

対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか? 病院じゃないとダメだったりします?
あおい(元・医療事務)
告示上、医療機関の種別を限定する記載はありません。診療所・病院のいずれでも算定候補になり得ます。ただし対象は「入院中の患者以外の患者」、つまり在宅療養をしている外来・訪問診療の患者さんです。入院中に行った抗悪性腫瘍剤の注射管理はこの項目の対象にはなりません。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件は「悪性腫瘍」というだけですか? 末期の患者さんに限定されるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこはよく質問される点です。前回改定(令和6年度)の疑義解釈で「末期ではない急性白血病の患者等」に携帯型注入ポンプなどで抗悪性腫瘍剤を注入する場合も該当するかという質問があり、回答は「該当する」となっています。この整理は令和8年度の留意事項通知でも引き継がれており、末期かどうかではなく、在宅で行う注射の内容が留意事項通知の定義に当てはまるかどうかで判断されます。
対象患者を確認するときの視点
悪性腫瘍の診断名だけでなく、実際に投与している薬剤・投与経路(中心静脈注射・植込型カテーテル等)・投与の主体が在宅かどうかを、カルテと指示内容から確認することが大切です。
点数
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、C108-2在宅腫瘍化学療法注射指導管理料は1,500点です。告示の本文には「悪性腫瘍の患者であって、入院中の患者以外の患者に対して、在宅における抗悪性腫瘍剤等の注射に関する指導管理を行った場合に算定する」と定められています。
| 区分番号 | 名称 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| C108-2 | 在宅腫瘍化学療法注射指導管理料 | 1,500点 |
みらい(新人医療事務)
月に何回でも算定できるものなんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
在宅療養指導管理料は基本的に月1回の算定が原則の区分です。月をまたいで複数回の指導管理を行っていても、同一月内であれば重複して算定するものではありません。実際の算定回数の取り扱いは、レセプトの記載要領や個別の算定状況にあわせて確認が必要です。
算定要件(外来と在宅の切り分け)
みらい(新人医療事務)
外来で抗がん剤の点滴をしている患者さんもいますよね。それとは何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
そこが一番のポイントです。留意事項通知では「外来と在宅において抗悪性腫瘍剤の投与を行うものについては、主に在宅において抗悪性腫瘍剤の投与を行う場合は、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定し、主に外来で行う場合には在宅腫瘍化学療法注射指導管理料は算定せず、B001-2-12外来腫瘍化学療法診療料等を算定する」とされています。「主にどちらで治療を行っているか」で区分されるということですね。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、外来で薬を投与して、そのあと家でポンプを使って続けて注入するだけのケースは、在宅の指導管理料になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは対象外になる、と明記されています。「外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う等の治療法のみを行う場合は当該指導管理料の対象には該当しない」という一文があります。あくまで在宅での治療を主体に行っている場合が対象になる、という整理です。

外来腫瘍化学療法診療料との併算定に注意
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定する月は、B001-2-12外来腫瘍化学療法診療料等及び外来化学療法加算は算定できないと留意事項通知に定められています。同一月内でどちらの区分に該当するか、事前に整理しておく必要があります。
併算定できないもの・注意しておきたい点
みらい(新人医療事務)
ほかにも一緒に算定できないものってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。まず、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定する月は、G003抗悪性腫瘍剤局所持続注入の技術料は算定できません(ただし、その薬剤にかかる費用は算定できるとされています)。
みらい(新人医療事務)
注射の手技料も算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
外来受診時に、当該指導管理料に係るG000皮内・皮下・筋肉内注射、G001静脈内注射、G004点滴注射、G005中心静脈注射、G006植込型カテーテルによる中心静脈注射を行った場合の手技料・注射薬(在宅で使用していない抗悪性腫瘍剤も含む)・特定保険医療材料の費用は算定できないとされています。ただし、当該指導管理料に係らない注射であれば算定できるとも書かれているので、「何の目的の注射か」の切り分けが重要です。
みらい(新人医療事務)
訪問診療のときはどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定している患者さんについて、C001在宅患者訪問診療料(Ⅰ)またはC001-2在宅患者訪問診療料(Ⅱ)を算定する日に行ったG000・G001・G004・G005・G006の手技料・注射薬・特定保険医療材料の費用は算定できません。訪問診療の算定日と重なる注射については、特に注意が必要です。
併算定チェックの取り漏れ例
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定した月に、外来化学療法加算や外来腫瘍化学療法診療料をそのまま重ねて請求してしまう、というケースが留意事項通知の禁止事項に該当する例として挙げられます。同一月のレセプトを横断的に確認することをおすすめします。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
この加算を取るために、事前の届出とか施設基準ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料の留意事項通知の本文を確認した範囲では、他の在宅療養指導管理料(たとえば同じグループのC108-3在宅強心剤持続投与指導管理料には、算定する医師について専門知識と5年以上の経験を有する常勤医師であることという要件があります)のような、施設基準や医師の経験年数についての規定は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしでもすぐに算定候補になるということですか?
あおい(元・医療事務)
「届出の規定が見当たらない」ことと「自院で確認しなくてよい」ことは別です。地方厚生局への届出の要否や運用は、告示・通知の改正や個別の解釈で変わることもあるので、実際に算定する前には自院の届出状況を地方厚生局や審査支払機関に確認しておくことをおすすめします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料の点数(1,500点)や、対象となる注射の定義文言について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません。令和6年度に出された疑義解釈(対象患者の考え方や併算定の整理)は、令和8年度の留意事項通知でも同じ文言が引き継がれています。
前回改定(令和6年度)との対比
令和6年度の疑義解釈では「末期ではない急性白血病の患者等」も対象になり得ることや、算定月に入院してG003抗悪性腫瘍剤局所持続注入を行った場合の取り扱い(外来分は不可・入院分は算定可)が示されています。令和8年度の留意事項通知でも同じ内容が引き継がれており、当サイトの確認範囲では変更は見当たりません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者が悪性腫瘍で、入院中の患者以外に該当するか確認する
- 投与している薬剤・投与経路が留意事項通知の定義(携帯型注入ポンプ等による中心静脈注射・植込型カテーテルアクセス、または対象疾患へのインターフェロンアルファ製剤)に当てはまるか確認する
- 治療を主に在宅で行っているか、主に外来で行っているかを整理する
- 同一月に外来腫瘍化学療法診療料・外来化学療法加算・G003の技術料等を重複して算定していないか確認する
- 自院の届出状況や地方厚生局への確認事項が残っていないか確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できるはずなのにできていない、というパターンもありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。在宅で抗悪性腫瘍剤の注入ポンプ管理を行っているのに、外来化学療法加算の枠組みのままレセプトを作ってしまっているケースです。留意事項通知の「主に在宅か、主に外来か」という切り分け基準に照らして、実際の治療実態を棚卸ししてみると、算定候補として見えてくることがあります。
棚卸しのヒント
在宅で携帯型注入ポンプや植込型カテーテルを使って抗悪性腫瘍剤を投与している患者さんのリストを一度作り、月ごとにどの区分で算定しているかを照らし合わせてみると、取り漏れや重複算定のリスクに気づきやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
末期の患者さんじゃないと対象にならない、というイメージがあったんですが違うんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。前回改定(令和6年度)の疑義解釈では、末期ではない急性白血病の患者さんに対して携帯型ディスポーザブル注入ポンプや輸液ポンプを用いて中心静脈注射や植込型カテーテルアクセスから抗悪性腫瘍剤を注入する場合も「該当する」と回答されており、令和8年度時点でもこの整理が引き継がれています。病名や病期だけで判断せず、投与方法が定義に当てはまるかで確認するとよいと思います。
みらい(新人医療事務)
在宅腫瘍化学療法注射指導管理料を算定している月に入院した場合、G003抗悪性腫瘍剤局所持続注入はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の疑義解釈で確認されている内容では、当該月に外来で行ったG003抗悪性腫瘍剤局所持続注入は算定できませんが、入院中に行ったG003抗悪性腫瘍剤局所持続注入については算定できるとされています。外来分と入院分を分けて考える必要があります。
みらい(新人医療事務)
似た名前のC108やC108-4とは、どう違うんですか?
あおい(元・医療事務)
C108在宅麻薬等注射指導管理料は麻薬性の鎮痛剤等が対象で、抗悪性腫瘍剤の注射を同一月に行う場合はC108ではなくC108-2を算定するとされています。C108-4在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料は、C108の1またはC108-2を算定する指導管理を受けている患者さんについて、他の保険医療機関の医師と連携して指導管理を行った場合に算定するもので、位置づけが異なります。それぞれの要件は別の記事で個別に確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する外来腫瘍化学療法診療料とあわせて確認しておくと、外来と在宅の切り分けが整理しやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。