みらい(新人医療事務)
「在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料」っていう管理料を見つけたんですけど、これってどんな患者さんが対象なんですか? 名前が長くて全然イメージできなくて…。
あおい(元・医療事務)
てんかんの治療のために「植込型迷走神経電気刺激装置」、略してVNS(Vagus Nerve Stimulation)という機器を体に植え込んだ患者さんが対象ですよ。植込み手術のあと、在宅でてんかんの管理を続けている患者さんに、指導管理を行った場合に算定候補になる管理料です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に規定されている項目です。
みらい(新人医療事務)
植込み手術って、ペースメーカーみたいなものを入れるイメージですか?
あおい(元・医療事務)
イメージとしては近いですね。VNSは首元の迷走神経に電極を巻き付け、胸部などに植え込んだ刺激装置から電気刺激を送ることで、てんかん発作の頻度や程度を抑えることを目的とした医療機器です。植込み自体は手術(K区分の手術)で行われ、その後の在宅管理を評価するのがこのC110-3です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですけど、対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療所・病院のどちらでも対象になり得ます。厚生労働省の告示では、対象患者について次のように定められています。
告示の定義(注1)
「てんかん治療のため植込型迷走神経電気刺激装置を植え込んだ後に、在宅においててんかん管理を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅てんかん管理に関する指導管理を行った場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」っていうのがポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院中の患者さんは対象外で、在宅でてんかん管理を続けている患者さんが前提になります。植込み手術自体は医療機関で行われますが、この管理料が評価しているのは「植込み後の在宅での指導管理」という点を押さえておくとわかりやすいです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
基本点数は810点です。さらに、植込み手術を行った日から数えて3か月以内に指導管理を行った場合は、導入期加算として140点が上乗せされます。いずれも厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)に記載されている内容です。

| 項目 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|
| 在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料 | 810点 | 月1回(通則による) |
| 導入期加算(注2) | 140点 | 植込術を行った日から起算して3月以内の期間に行った場合に加算 |
みらい(新人医療事務)
表に「月1回(通則による)」ってありますけど、これはどこに書いてあるんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料自体の告示条文には回数の定めはなく、「第1款 在宅療養指導管理料」という括りの通則に共通ルールとして定められています。
在宅療養指導管理料 第1款 通則(告示)
「本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料は、特に規定する場合を除き、月1回に限り算定し、同一の患者に対して1月以内に指導管理を2回以上行った場合においては、第1回の指導管理を行ったときに算定する。」
あおい(元・医療事務)
在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料は、この通則の対象になっている在宅療養指導管理料の1つで、告示条文の中に「月1回」を上書きする特別な規定は確認できていません。そのため、通則どおり月1回を算定単位と整理しています。
みらい(新人医療事務)
導入期加算は自動的につくものなんですか?
あおい(元・医療事務)
自動ではなく、「植込術を行った日から起算して3月以内」という期間の条件を満たしている場合に加算候補になる、という位置づけです。植込み日をカルテや紹介状で必ず確認しておく必要がありますね。
算定要件(告示・留意事項通知に基づく整理)
みらい(新人医療事務)
810点を算定するには、具体的に何をすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)では、次のように定められています。
算定要件の原文(留意事項通知(1))
「在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料は、植込型迷走神経電気刺激装置を植え込んだ後に、在宅において、患者自らがマグネット等を用いて治療を実施する場合に、診察とともに治療効果を踏まえ、装置の状態について確認・調整等を行った上で、当該治療に係る指導管理を行った場合に算定する。」
みらい(新人医療事務)
「患者自らがマグネット等を用いて治療を実施する場合」っていうのは、患者さんが自分で発作の予兆を感じたときに機器を操作する、みたいなイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。VNSは専用のマグネットを患部にかざすことで追加の刺激を発生させ、発作の予兆時に患者さん自身が対応できる機能を持つものがあります。診察の際に、その治療効果を踏まえながら装置の状態(バッテリー残量や刺激パラメータなど)を確認・調整し、指導管理を行った場合に算定候補になる、という組み立てです。
みらい(新人医療事務)
プログラムの変更をした場合、別に費用がかかったりしますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、留意事項通知では次のように定められています。
プログラム変更・記録に関する規定(留意事項通知(2)(3))
「プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれる。」「計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載すること。」
あおい(元・医療事務)
つまり、プログラム変更の費用は810点(・140点)に含まれていて、別途請求するものではありません。そのかわり、計測した指標と指導内容を診療録に添付するか記載しておくことが求められています。
施設基準・届出(要確認)
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している告示・留意事項通知の範囲では、この管理料について個別の施設基準や届出様式は確認できていません。一般的な保険医療機関の要件を満たしていれば算定候補になる区分と整理していますが、届出の要否は改定内容や地方厚生局の運用によって変わり得るため、必ず自院の届出状況を地方厚生(支)局や審査支払機関に確認してから算定判断をしてください。
断定はできません
本記事は厚生労働省の告示・留意事項通知の内容を整理したものです。届出の要否・施設基準の充足については、当サイトが機械的に判定するものではなく、必ず自院で最終確認が必要です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で算定候補かどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくとわかりやすいですよ。

自院で確認する順番
- 患者がてんかん治療のため植込型迷走神経電気刺激装置(VNS)を植え込んでいるか、植込み日はいつかをカルテ・紹介状で確認する
- 患者が在宅でてんかん管理を行っており、入院中でないかを確認する
- 診察の際に、患者自らがマグネット等を用いた治療の効果を踏まえて装置の状態を確認・調整し、指導管理を行ったかを確認する
- 植込み日から3か月以内かどうかを確認し、導入期加算140点の対象になるかを判断する
- 計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載する
- 施設基準・届出の要否を地方厚生(支)局・審査支払機関に確認する
みらい(新人医療事務)
プログラムの変更費用を別に請求してしまう、みたいなミスもありそうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。それが典型的な取り漏れ・誤請求のパターンです。
よくある確認漏れ
プログラム変更費用の別立て請求: 所定点数(810点)に含まれるため、別に算定できません。 導入期加算の期間誤認: 「植込術を行った日から起算して3月以内」を過ぎている場合は導入期加算140点の対象になりません。 記録の未添付: 計測した指標と指導内容を診療録に添付又は記載していないと、算定要件を満たしているか確認できなくなります。
併算定の注意(要確認)
みらい(新人医療事務)
この管理料と一緒に算定できる加算とかはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
関連する加算として「疼痛等管理用送信器加算」(C167)があります。告示では次のように定められています。
C167 疼痛等管理用送信器加算(告示・関連加算)
「疼痛除去等のため植込型脳・脊髄刺激装置又は植込型迷走神経刺激装置を植え込んだ後に、在宅疼痛管理、在宅振戦管理又は在宅てんかん管理を行っている入院中の患者以外の患者に対して、疼痛等管理用送信器(患者用プログラマを含む。)を使用した場合に、第1款の所定点数に加算する。」(600点)
あおい(元・医療事務)
患者用プログラマなどの送信器を使用している場合は、このC167が併算定候補になり得ます。ただし、これも患者ごとに機器の使用状況が異なるため、算定できるかどうかは個別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の告示・留意事項通知の範囲では、在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料(C110-3)の点数・算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。基本点数810点、導入期加算140点という構成、および算定要件の内容は、当サイトが確認できる一次資料の範囲では令和8年度も継続しています。
改定の位置づけ(前回→今回)
令和6年度(2024年度)改定: 在宅迷走神経電気刺激治療指導管理料として810点・導入期加算140点の枠組みが運用されていました。 令和8年度(2026年度)改定: 当サイトが確認できる一次資料の範囲では、点数・算定要件に変更は確認されていません。
あおい(元・医療事務)
「変更がない」と確認できることも大切な情報です。ただし、改定の詳細な項目まですべてを追いきれているわけではないので、詳細は厚生労働省の告示・通知でご確認ください。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
Q. 導入期加算はどんなときにつきますか?
あおい(元・医療事務)
A. 植込型迷走神経電気刺激装置の植込術を行った日から起算して3か月以内に指導管理を行った場合、導入期加算として140点が加算候補になります。植込み日の確認が前提です。
みらい(新人医療事務)
Q. 入院中の患者にも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 告示では「入院中の患者以外の患者」が対象とされています。入院中の患者さんについては、この管理料の対象にはならないと整理されています。
みらい(新人医療事務)
Q. プログラムの変更だけを行った場合も算定できますか?
あおい(元・医療事務)
A. 告示・留意事項通知では、診察とともに治療効果を踏まえて装置の状態を確認・調整した上で指導管理を行った場合に算定するとされています。プログラム変更のみを単独で評価する規定ではないため、実施内容に応じて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出は必ず必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認できる一次資料の範囲では、個別の施設基準・届出様式は確認されていません。ただし運用や改定によって変わり得るため、必ず地方厚生(支)局や審査支払機関に確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。植込みの有無や指導管理の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する在宅指導管理料として、在宅寝たきり患者処置指導管理料や在宅酸素療法指導管理料も参考にしてみてください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。