在宅気管切開患者指導管理料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「在宅気管切開患者指導管理料」という項目をレセプトで見かけたんですが、どんな場面で算定するものなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)現在の診療報酬では、気管切開を行っている患者のうち入院中の患者以外の方に対して、在宅における気管切開に関する指導管理を行った場合に算定する項目です。区分番号はC112、点数は900点です。告示には「気管切開を行っている患者であって入院中の患者以外のものに対して、在宅における気管切開に関する指導管理を行った場合に算定する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「在宅における気管切開に関する指導管理」って、もう少し具体的にはどういう患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施する気管切開に関する指導管理のこと」と説明されています。つまり、入院して気管切開を受けたあと、病態が落ち着いて退院した患者さんが在宅で気管切開の管理を続ける場面を評価する項目です。
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」というのは、退院後の外来・在宅の患者さんが対象ということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。入院中に同様の指導管理を行っても、この項目では算定できません。あくまで在宅療養に移行した患者さんが対象になります。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数と算定できる範囲を表で整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の内容をまとめるとこちらです。
| 項目 | コード | 名称 | 点数 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| 在宅指導管理料 | C112 | 在宅気管切開患者指導管理料 | 900点 | 気管切開を行っている入院中以外の患者 |

みらい(新人医療事務)
届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
この項目は、届出が不要な在宅療養指導管理料のひとつとして整理されています。当サイトが収録している一次資料の範囲では、地方厚生局への施設基準の届出を前提とする記載は確認できていません。ただし後で説明する「機械及び器具を備えること」という条件があるので、届出は不要でも体制面の確認は必要です。
みらい(新人医療事務)
「届出不要」でも油断はできないんですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。届出が要らないからといって、条件を満たさなくてよいわけではありません。次の章で条件を具体的に見ていきましょう。
対象患者・実施医療機関の条件を確認する
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんが対象になるか、もう一度整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
対象は「気管切開を行っている患者であって入院中の患者以外のもの」で、かつ「諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者」です。急性期で状態が不安定な段階ではなく、退院後、在宅で気管切開の管理を継続している患者さんが対象になります。
みらい(新人医療事務)
では、この指導管理を行う医療機関側にも条件があるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知には、在宅気管切開患者指導管理を実施する保険医療機関、または緊急時に入院するための施設が備えるべき機械・器具が明記されています。
実施医療機関が備えるべき機械及び器具(令和8年度)
酸素吸入設備: 気管切開患者の呼吸管理に対応するための設備 レスピレーター: 人工呼吸が必要な場合に対応する機器 気道内分泌物吸引装置: 気管内の分泌物を吸引する装置 動脈血ガス分析装置: 常時実施できる状態であること 胸部エックス線撮影装置: 常時実施できる状態であること
みらい(新人医療事務)
「常時実施できる状態」というのがポイントなんですね。動脈血ガス分析装置と胸部エックス線撮影装置は、自院に無くても連携先で対応できればいいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは当サイトが収録している一次資料の文言だけでは判断できない部分です。「緊急時に入院するための施設」という表現もあるので、自院単独での保有か連携での対応が可能かは、確認が必要です。届出は不要でも、この機械・器具の条件を満たしているかどうかは自院で確認しておく必要があります。
併せて算定できない項目を確認する
みらい(新人医療事務)
この指導管理料を算定していると、他の処置がまとめて含まれてしまうことはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、あります。留意事項通知では、在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く)については、次の項目の費用は算定できないと定められています。
在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者に算定できない項目(令和8年度)
J000 創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む) J001-7 爪甲除去(麻酔を要しないもの) J001-8 穿刺排膿後薬液注入 J018 喀痰吸引 J018-3 干渉低周波去痰器による喀痰排出
みらい(新人医療事務)
気管切開部のケアをしても、創傷処置や喀痰吸引を別に算定してはいけないということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知の原文では「在宅気管切開患者指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、『J000』創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、『J001-7』爪甲除去(麻酔を要しないもの)、『J001-8』穿刺排膿後薬液注入、『J018』喀痰吸引及び『J018-3』干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できない」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
J018喀痰吸引の側からも同じことが書かれているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。J018喀痰吸引の留意事項にも「区分番号『C112』に掲げる在宅気管切開患者指導管理料…を算定している患者(これらに係る在宅療養指導管理材料加算又は特定保険医療材料料のみを算定している者を含み、入院中の患者を除く。)については、喀痰吸引の費用は算定できない」と、同じ内容が双方向で確認できます。レセプトを作成するときは、この重複がないか両方から見ておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、この指導管理料に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、在宅気管切開患者指導管理料の点数(900点)・算定要件・実施医療機関が備えるべき機械及び器具の内容について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
みらい(新人医療事務)
変更なしでも、念のため確認しておいたほうがいいということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。今後の改定で内容が変わる可能性はあるので、算定のたびに最新の告示・留意事項通知を確認する習慣をつけておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際に自院で算定候補かどうか確認するとき、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認するとわかりやすいです。
自院で確認する順番
① 対象患者かを確認する: 気管切開を行っている患者で、かつ入院中の患者以外であるか ② 病態が安定した退院患者かを確認する: 急性期で状態が不安定な段階ではないか ③ 機械・器具の条件を確認する: 酸素吸入設備・レスピレーター・気道内分泌物吸引装置・動脈血ガス分析装置・胸部エックス線撮影装置を備えているか(緊急時に入院するための施設を含めて確認できるか) ④ 併算定できない項目を確認する: 創傷処置・爪甲除去・穿刺排膿後薬液注入・喀痰吸引・干渉低周波去痰器による喀痰排出を別に算定していないか ⑤ レセプト作成時に区分番号C112で算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
この順番で見ていけば、抜け漏れが少なくなりそうですね。
あおい(元・医療事務)
はい。特に④の併算定除外は見落としやすいポイントなので、レセプトチェックの際に重点的に確認することをおすすめします。
よくある取り漏れ・確認ポイント
みらい(新人医療事務)
現場でよくある確認漏れって、どんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか代表的なパターンを整理しました。
よくある確認ポイント
入院中の指導管理と混同するケース: 入院中に行った気管切開の指導管理はC112の対象外です。退院後の在宅患者に限られます。 喀痰吸引を別立てで算定してしまうケース: C112を算定している患者にJ018喀痰吸引を別に算定すると重複になります。 機械・器具の条件を確認せずに算定するケース: 酸素吸入設備や動脈血ガス分析装置などが「常時実施できる状態」かどうかは、算定前に体制を確認しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
どれも「対象や範囲を思い込みで判断してしまう」ところが共通していますね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出が不要な項目だからこそ、条文の要件を都度確認する姿勢が大切です。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある質問をいくつか確認させてください。まず、届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、在宅気管切開患者指導管理料に地方厚生局への施設基準届出を求める記載は確認できていません。ただし、実施医療機関が備えるべき機械・器具の条件は満たす必要があります。最終的な取り扱いは自院の届出状況や公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
気管切開患者用人工鼻加算(C169)と一緒に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
C112とC169は区分が異なる項目で、告示上はそれぞれ独立して定められています。ただし、患者ごとの算定要件が異なる場合があるため、自院で算定候補かどうかは個別に確認が必要です。断定的な回答は避けますので、詳しくは加算チェッカーや公式資料でご確認ください。
みらい(新人医療事務)
月に何回まで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では回数の上限が明記された箇所を当サイトの一次資料の範囲では確認できていません。算定回数の取り扱いは、公式資料や審査支払機関への確認をおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状態や実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、同じ在宅療養指導管理料の仲間である在宅寝たきり患者処置指導管理料も、併算定の除外規定が共通している項目なので確認しておくと安心です。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。