みらい(新人医療事務)
「在宅腫瘍治療電場療法指導管理料」という名前の加算を見つけたんですが、はじめて聞きました。どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは在宅指導管理料の一区分で、交流電場を形成する装置を使ったがん治療を在宅で行っている患者さんに、療養上必要な指導をした場合に算定するものです。令和8年度(2026年度)の医科点数表では区分番号「C118」として設定されています。
みらい(新人医療事務)
「交流電場を形成する治療法」って、聞き慣れない言葉です。
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、こう定義されています。
在宅腫瘍治療電場療法の定義(留意事項通知・令和8年度)
「在宅腫瘍治療電場療法とは、テント上膠芽腫又は非小細胞肺癌の治療を目的として交流電場を形成する治療法を在宅で患者自らが行うことをいう。」
あおい(元・医療事務)
つまり、脳腫瘍の一種である「テント上膠芽腫(こうがしゅ)」と、「非小細胞肺癌」という2つの疾患に対して、装置を使った電場治療を患者さん自身が自宅で行うケースが対象です。医療機関側は、その装置の使い方や体調管理について指導を行い、この管理料を算定します。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載する一次資料の範囲では、次のように区分されています。
対象の整理(令和8年度)
- 対象医療機関: 施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(診療所・病院いずれも届出対象になり得ます)
- 対象患者: 入院中の患者以外の患者であって、在宅腫瘍治療電場療法を行っているもの
- 対象疾患: テント上膠芽腫(初発)、または非小細胞肺癌(PD-1/PD-L1阻害剤と併用する切除不能な進行・再発例)
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」というのは、外来の患者さんという意味ですか?
あおい(元・医療事務)
正確には「在宅で療養している患者さん」という意味合いです。入院患者は対象外で、在宅療養中の患者さんに対する指導管理を評価するものになります。
点数・算定の基本要件
みらい(新人医療事務)
点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、次の2区分がいずれも同じ点数です。
| 区分 | 対象疾患 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 膠芽腫の場合 | 2,800点 |
| 2 | 非小細胞肺癌の場合 | 2,800点 |
あおい(元・医療事務)
告示の該当箇所は、厚生労働省の告示第69号にこう書かれています。
告示の該当箇所(令和8年厚生労働省告示第69号)
「C118 在宅腫瘍治療電場療法指導管理料 1 膠芽腫の場合 2,800点 2 非小細胞肺癌の場合 2,800点 注 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、入院中の患者以外の患者であって、在宅腫瘍治療電場療法を行っているものに対して、療養上必要な指導を行った場合に算定する。」

みらい(新人医療事務)
「1」と「2」の使い分けは、点数が同じならどちらでもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、対象疾患と算定条件が明確に分かれているので、患者さんの病態に応じてどちらか一方を選ぶことになります。留意事項通知には、こう書かれています。
区分ごとの算定条件(留意事項通知・令和8年度)
「「1」については、初発膠芽腫の治療を目的とした場合に算定する。」 「「2」については、PD-1/PD-L1 阻害剤と併用して切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療を目的とした場合に算定する。」
あおい(元・医療事務)
「1」は初発の膠芽腫治療が目的の場合に限られます。「2」は、PD-1/PD-L1阻害剤による薬物療法と併用して、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を治療する場合に限られます。どちらも対象疾患・治療目的が固定されているので、まずは患者さんの診断名と治療方針を確認することが出発点になります。
施設基準・届出の確認ポイント
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が必要です。この管理料は、施設基準に適合して地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ算定候補になりません。ただし、「1」(膠芽腫)と「2」(非小細胞肺癌)で施設基準が別々に定められている点に注意が必要です。
あおい(元・医療事務)
「2」(非小細胞肺癌の場合)の施設基準は、厚生労働省の届出取扱通知にこう明記されています。
「2」に関する施設基準(届出取扱通知・令和8年度)
「(1) 呼吸器内科、呼吸器外科又は腫瘍内科を標榜している病院であること。 (2) 非小細胞肺癌に対するPD-1/PD-L1阻害剤による治療を過去1年間に10例以上実施していること。 (3) 非小細胞肺癌に対するPD-1/PD-L1阻害剤による治療の経験を過去1年間に5例以上有し、所定の研修を修了した常勤の医師が1名以上配置されていること。 (4) 関係学会から示されている指針に基づいた所定の研修を修了した医師が1名以上配置されていること。 (5) 関連学会から示されている基準に基づき、当該治療が適切に実施されていること。 (6) 皮膚関連有害事象を含む有害事象が発生した際、当該施設又は連携施設において専門的な対応が可能であること。」
みらい(新人医療事務)
「1」(膠芽腫)のほうの施設基準はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、「2」と別立てで「1に関する施設基準」という項目名までは確認できていますが、具体的な条文までは確認できていません。届出前に必ず地方厚生局の届出様式・関連通知の原文で内容を確認してください。
施設基準は区分ごとに別(要確認)
「1」(膠芽腫)と「2」(非小細胞肺癌)は、それぞれ独立した施設基準が定められています。どちらか一方の届出をしていても、もう一方の区分の算定候補になるとは限りません。自院がどちらの区分を届け出ているか、必ず確認してください。
算定タイミング・回数・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
算定のタイミングや回数の制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、算定の前提となる次の要件が示されています。
算定要件(留意事項通知・令和8年度)
「次のいずれも満たす場合に、当該指導管理料を算定する。 ア 患者が使用する装置の保守・管理を十分に行うこと(委託の場合を含む。)。 イ 装置に必要な保守・管理の内容を患者に説明すること。 ウ 夜間・緊急時の対応等を患者に説明すること。 エ その他、療養上必要な指導管理を行うこと。」
あおい(元・医療事務)
さらに、装置の費用の扱いについても明記されています。
装置費用・記録の注意点
「交流電場腫瘍治療システム(ジェネレーター)は患者に貸与し、電極以外の装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。」 「指導管理の内容について、診療録に記載する。」(いずれも留意事項通知・令和8年度)
みらい(新人医療事務)
装置本体だけでなく付属品の費用も、別立てでは算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。ジェネレーター(治療システム本体)は患者に貸与する形で提供し、電極以外の付属品にかかる費用は指導管理料の点数に含まれています。別途請求しないよう注意してください。指導管理の内容を診療録に記載することも要件になっているため、記録の整備状況もあわせて確認しておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
材料費については何か決まりがありますか?
あおい(元・医療事務)
過去の疑義解釈でも取り上げられています。
疑義解釈(平成30年度)
質問: 特定保険医療材料の「体表面用電場電極」については、区分番号「C118」在宅腫瘍治療電場療法指導管理料に係る材料として在宅の部で算定できるか。 回答: 算定できる。
あおい(元・医療事務)
体表面用電場電極(患者に貼付する電極部分)は、特定保険医療材料として別途算定できるとされています。ジェネレーター本体・付属品と、電極の材料費とで扱いが異なる点は覚えておくとよいでしょう。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している厚生労働省の一次資料の範囲では、在宅腫瘍治療電場療法指導管理料そのものについて、令和6年度(2024年度)改定から令和8年度(2026年度)改定にかけての変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。この管理料の対象となる疑義解釈は平成30年度(2018年度)時点で既に存在しており、区分としては以前から設定されているものです。
改定の位置づけ(時系列の整理)
- 平成30年度(2018年度): 材料(体表面用電場電極)の算定可否に関する疑義解釈が存在(区分自体は既存)
- 令和6年度(2024年度)改定: 当サイトの一次資料の範囲では、本管理料固有の変更点は確認されていません
- 令和8年度(2026年度)改定: 当サイトの一次資料の範囲では、本管理料固有の変更点は確認されていません
あおい(元・医療事務)
改定のたびに施設基準や算定要件が細かく見直される加算もありますが、この管理料については当サイトが確認できた資料の範囲で大きな変更点は見当たりません。念のため、自院で最新の告示・通知原文をご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
うちの医療機関で算定候補になるか確認したいんですが、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認するとスムーズです。
自院で確認する順番
-
対象患者かどうか確認 — 入院中の患者ではなく、在宅で療養している患者であること
-
対象疾患・治療目的を確認 — 初発のテント上膠芽腫か、PD-1/PD-L1阻害剤と併用する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌か。どちらの区分(「1」または「2」)に該当するかを診断名・治療方針で確認
-
施設基準の届出状況を確認 — 「1」「2」それぞれ独立した施設基準があるため、自院がどちらの区分を届け出ているか、届出書類で確認
-
装置の保守・管理体制を確認 — 患者が使用する装置の保守・管理を十分に行える体制(委託も可)があるか
-
患者説明の記録を確認 — 保守・管理の内容、夜間・緊急時対応について患者に説明した記録があるか
-
診療録への記載を確認 — 指導管理の内容を診療録に記載しているか
-
材料費の請求区分を確認 — 電極(体表面用電場電極)は特定保険医療材料として別途算定、ジェネレーター等は指導管理料に含まれることを経理・レセプト担当と共有

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
実務でよくある間違いやすいポイントはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
算定上の注意点
- 「1」と「2」の区分を取り違えるケースです。膠芽腫用と非小細胞肺癌用で施設基準が別々のため、届出区分と実際の患者の疾患が一致しているか必ず確認してください
- 付属品費用の別立て請求です。電極以外の回路部品等は所定点数に含まれるため、別途算定すると過誤になり得ます
- 診療録記載の未整備です。指導管理の内容を診療録に記載する要件が明記されているため、記載漏れがないか確認してください
- 「1」の施設基準の未確認です。当サイトが収載する資料の範囲では「1」に関する施設基準の詳細条文が確認できていないため、届出前に必ず地方厚生局の届出様式や通知原文で内容を確認してください
よくある取り漏れポイント
- 体表面用電場電極を材料として別途算定できることを把握していないケース
- 非小細胞肺癌区分(「2」)で、PD-1/PD-L1阻害剤による治療の実施例数・研修修了医師の配置記録が整理されていないケース
- 夜間・緊急時対応の説明を行ったが、その記録が残っていないケース
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問も聞いておきたいです。診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、対象は「診療所」「病院」に限定されておらず、施設基準に適合して届け出た保険医療機関であれば、診療所・病院いずれも算定候補になり得ます。ただし「2」(非小細胞肺癌)の施設基準には「呼吸器内科、呼吸器外科又は腫瘍内科を標榜している病院であること」という条件があるため、この区分は病院が対象になります。
みらい(新人医療事務)
在宅酸素療法指導管理料など、他の在宅指導管理料と同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
在宅指導管理料は、患者さんの病態や実施している療法によって併算定の可否が個別に定められています。他の在宅指導管理料(例えば 在宅自己注射指導管理料 や 在宅酸素療法指導管理料)と同時に算定できるかどうかは、それぞれの算定要件・通則を個別に確認する必要があります。自院で判断が難しい場合は、審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
非小細胞肺癌の薬物療法(PD-1/PD-L1阻害剤)にかかる診療報酬とは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。外来での薬物療法そのものは 外来腫瘍化学療法診療料 などの区分で評価されますが、在宅腫瘍治療電場療法指導管理料は、あくまで在宅で電場治療装置を使う患者さんへの指導管理を評価するものです。両者は算定の目的が異なるため、それぞれの要件を別々に確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や対象患者の疾患区分を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。