みらい(新人医療事務)
在宅経肛門的自己洗腸指導管理料っていう長い名前の加算を見つけたんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅経肛門的自己洗腸指導管理料は、脊髄障害が原因で排便のコントロールが難しくなった患者さんが、自宅で経肛門的(お尻から)に自己洗腸を行うための指導管理を評価する加算です。令和8年度の点数表では800点が設定されています。届出や施設基準が関わる項目なので、算定候補になるかどうかは一つずつ確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
経肛門的自己洗腸っていうのがそもそもイメージしづらいんですけど、どんな治療なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料(疑義解釈)では、この治療は「経肛門的洗腸療法(transanal irrigation: TAI)」とも呼ばれていて、日本大腸肛門病学会、日本脊髄障害医学会、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会がそれぞれ指針を出しています。肛門から専用の器具を使って腸内を洗浄し、排便をコントロールする在宅の治療法という位置づけです。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
うちみたいな診療所でも対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも算定候補になり得ます。ただし在宅で療養を行っている患者さんが対象で、入院中の患者さんは対象外です。加えて、厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届出をしている保険医療機関でなければ算定できません。届出をしていない場合は、まずそこから確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
どんな患者さんなら対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料(留意事項通知)では、対象は「3月以上の保存的治療によっても十分な改善を得られない、脊髄障害を原因とする排便障害を有する患者(直腸手術後の患者を除く)」とされています。しかも在宅で療養している、入院中以外の患者さんという条件も付いています。
みらい(新人医療事務)
直腸の手術を受けた患者さんは対象外なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。一次資料には「直腸手術後の患者を除く」と明記されています。脊髄障害由来の排便障害という前提に加えて、手術歴の確認も欠かせません。3ヶ月以上の保存的治療を行ってもなお十分な改善が得られない、という経過も要件に含まれています。この経過や手術歴は、自院のカルテで個別に確認する必要がある部分です。
点数・算定の仕組み(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどういう内訳になっているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、在宅経肛門的自己洗腸指導管理料は800点です。加えて、経肛門的自己洗腸を初めて実施する患者さんについて初回の指導を行った場合、その初回の指導を行った月に限り、導入初期加算として500点を所定点数に加算できます。表にまとめますね。
| 項目 | 点数 | 算定の条件 | 年度 |
|---|---|---|---|
| 在宅経肛門的自己洗腸指導管理料 | 800点 | 施設基準適合・届出済みの医療機関で、対象患者に指導管理を行った場合 | 令和8年度 |
| 導入初期加算 | 500点 | 経肛門的自己洗腸を新たに導入する患者に、初回の指導を行った月に限り1回 | 令和8年度 |
| 在宅経肛門的自己洗腸用材料加算(C172・別区分) | 2,400点 | 自己洗腸用材料を使用した場合に第1款の所定点数に加算 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
材料加算は別の加算なんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、区分番号としては別立てのC172という加算になっています。指導管理料とセットで語られることが多い加算ですが、算定要件はそれぞれ別に確認する必要があります。この記事では在宅経肛門的自己洗腸指導管理料(C119)を中心に整理します。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容になっているんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料では、「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが算定の前提とされています。具体的な人員面では、特掲診療料施設基準通知の別添1第16の10に掲げる医師及び看護師が指導計画を作成することになっています。看護師の配置について経験年数等の追加要件が定められている可能性がありますが、当サイトでは該当する一次資料を現時点で確認できていません。詳細は地方厚生局にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
看護師さんの経験要件があるかどうかも、届出のときに確認するポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出は必須の項目です。届出をしていない状態では算定候補になりません。すでに届出済みであれば候補になりますが、看護師の配置や指導計画の作成体制が実際に満たされているかは、自院の届出内容と当該通知の原文、または地方厚生局への確認で判断してください。この判断は当サイトでは代行できない範囲です。
施設基準・人員配置は自院で必ず確認
特掲診療料施設基準通知(別添1第16の10)に定める医師・看護師の配置が実際に満たされているかどうかは、貴院の体制によって異なります。経験要件等の詳細条件を含め、届出内容と院内の人員配置を一次資料の原文や地方厚生局への確認で照合したうえで判断してください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
導入初期加算は何回でも算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、導入初期加算は「経肛門的自己洗腸を初めて実施する患者」に対して、初回の指導を行った月に限り1回だけの加算です。2回目以降の月には算定できません。新たに導入する患者さん向けの加算という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
本体の指導管理料自体は、月に何回まで算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは正直にお伝えすると、当サイトが確認した一次資料の範囲では、指導管理料本体の月あたりの算定回数を明記した記載を確認できていません。在宅療養指導管理料の区分に位置づけられていますが、算定単位の詳細は診療報酬点数表の該当区分や自院のレセプトコンピュータの設定で確認することをおすすめします。ここは未確認事項として扱ってください。
みらい(新人医療事務)
他の在宅指導管理料と一緒に算定できることはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
疑義解釈では、在宅自己導尿指導管理料(C106)と在宅経肛門的自己洗腸指導管理料(C119)を同一患者に対して同時に算定すべき指導管理を行った場合、令和2年4月1日以降は主たる指導管理の所定点数のみを算定する、とされています。ただし、それぞれの在宅指導管理材料加算は別々に算定できるとも書かれています。
他の在宅指導管理料との併算定は要確認
在宅自己導尿指導管理料(C106)など他の在宅療養指導管理料と同一患者に同時算定すべき指導管理を行う場合、主たる指導管理の所定点数のみの算定となるケースがあります(疑義解釈)。材料加算の扱いも含め、自院のレセプト実務と最新の一次資料で確認してください。
関係学会の指針の遵守
みらい(新人医療事務)
指導管理を行うときに、何か決まったルールに沿う必要はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。疑義解釈では、実施にあたって関係学会の定める指針を遵守することとされていて、具体的には日本大腸肛門病学会による「経肛門的自己洗腸の適応及び指導管理に関する指針」、および日本脊髄障害医学会・日本大腸肛門病学会・日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会による「脊髄障害による難治性排便障害に対する経肛門的洗腸療法(transanal irrigation: TAI)の適応および指導管理に関する指針」が挙げられています。
みらい(新人医療事務)
学会の指針まで確認しないといけないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。指導計画を作成する段階で、この指針に沿った適応判断ができているかどうかも、施設基準の充足と合わせて確認しておきたいポイントです。指導計画及び実施した指導内容は診療録等に記載することも一次資料に明記されています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について、当サイトが確認できた一次資料(告示・留意事項通知・疑義解釈)の範囲では、在宅経肛門的自己洗腸指導管理料の点数(800点)、導入初期加算(500点)、対象患者の定義に関する変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。施設基準・人員配置についても、特掲診療料施設基準通知の別添1第16の10に定める医師及び看護師が指導計画を作成するという枠組みに変更は確認されていません。ただし、看護師の経験要件など届出に関する細目については、当サイトで最新の公開資料を確認できていない部分があり、この点は未確認として扱ってください。過去には令和2年度改定で、他の在宅指導管理料との同時算定ルールが整理された経緯がありますが、令和6年度から令和8年度にかけての変更は、当サイトが参照した資料の範囲では見当たりませんでした。
改定差分は都度確認を
「変更が見当たらない」というのはあくまで当サイトが参照した一次資料の範囲での結果です。今後の告示・通知の追加や訂正で変わる可能性があるため、算定前には最新の官報・通知を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
情報が多くて、結局どこから確認すればいいのか迷っちゃいます。
あおい(元・医療事務)
では、自院で確認する順番を整理しますね。
自院で確認する順番
- 対象患者が「3月以上の保存的治療でも十分な改善が得られない、脊髄障害を原因とする排便障害」に該当するか(直腸手術後の患者は除く)
- 患者が入院中ではなく在宅療養を行っているか
- 自院が施設基準に適合し、地方厚生局長等に届出済みか
- 特掲診療料施設基準通知(別添1第16の10)に定める医師・看護師が指導計画を作成できる体制か(経験要件等の詳細は届出書添付書類や地方厚生局で確認)
- 指導計画と実施した指導内容を診療録等に記載しているか
- 関係学会の指針(日本大腸肛門病学会等)に沿った指導を行っているか
- 導入初期加算の対象月かどうか、他の在宅指導管理料との同時算定の有無を確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントってどんなところですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますよ。
見落としやすいポイント
直腸手術後の患者の除外: 脊髄障害による排便障害があっても、直腸手術後の患者は対象から除かれています。 導入初期加算の算定月: 初回の指導を行った月に限られるため、翌月以降にまとめて算定してしまうと算定候補から外れます。 看護師の配置要件の詳細: 特掲診療料施設基準通知(別添1第16の10)が定める医師・看護師の配置には、経験要件等の詳細条件が付く場合があります。当サイトで最新の公開資料を確認できていない部分があるため、届出書添付書類の原本や地方厚生局への確認が欠かせません。 他の在宅指導管理料との同時算定: 在宅自己導尿指導管理料など他の指導管理料と同時に算定すべき指導管理を行った場合、主たる指導管理の点数のみの算定になることがあります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
届出をしていないと、絶対に算定できませんか?
あおい(元・医療事務)
はい、施設基準の届出は前提条件です。届出をしていない段階では算定候補になりません。まずは届出の要否と自院の状況を確認してください。
みらい(新人医療事務)
材料加算(C172)は自動的についてくるんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、別区分の加算なので、自己洗腸用材料を使用した場合に改めて算定要件を確認する必要があります。指導管理料と材料加算はセットで語られがちですが、それぞれの算定条件を分けて確認してください。
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から点数は変わっていないんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、令和6年度から令和8年度にかけての点数変更は見当たりません。ただし今後の告示・通知の追加で変わる可能性があるため、算定の都度、最新の一次資料を確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
在宅自己導尿指導管理料と両方とも算定候補になる患者さんもいるんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
疾患によってはあり得ますが、同一患者に同時に算定すべき指導管理を行った場合は、主たる指導管理の所定点数のみの算定になる点に注意が必要です。両方の対象要件を満たすかどうかも含めて、個別に確認することをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。