みらい(新人医療事務)
先輩、在宅で自己注射をしている患者さんのカルテに「間歇注入シリンジポンプ加算」って書いてあったんですけど、これって何の加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。これはインスリンなどを自動的に注入するシリンジポンプを在宅で使っている患者さんに対して、在宅自己注射指導管理料などの所定点数に上乗せする加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表では区分番号C152として告示されています。
みらい(新人医療事務)
「間歇注入シリンジポンプ」って具体的にどんな機械のことなんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、「間歇注入シリンジポンプ」とは、インスリン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤又はソマトスタチンアナログを間歇的かつ自動的に注入するシリンジポンプをいう、と定義されています。つまり対象になる薬剤はこの3種類に限られていて、どんな注射薬でも対象になるわけではありません。
みらい(新人医療事務)
なるほど。じゃあ糖尿病でインスリンを使っている患者さんは対象になりそうですね。うちの診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
対象患者の条件に当てはまりそうであれば算定候補にはなりますが、実際に算定できるかどうかは、使っているポンプが本当に「間歇注入シリンジポンプ」の定義に当てはまるか、対象となる3種類の薬剤を使っているかなど、個別の確認が必要です。ここから一つずつ整理していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関で算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は在宅自己注射指導管理料などの所定点数に対する加算という位置づけなので、診療所でも病院でも、在宅で自己注射の指導管理を行っていれば算定の土台があります。告示の注書きには、こう書かれています。
告示の注書き(原文)
「別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、間歇注入シリンジポンプを使用した場合に、第1款の所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」ってはっきり書いてありますね。入院中の患者さんは絶対に対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
原則はそうなのですが、一つだけ例外があります。留意事項通知には、入院中の患者に対して退院時にC101在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び間歇注入シリンジポンプ加算の点数を算定できる、と書かれています。ただし、同じ退院月に外来や往診、訪問診療でも指導管理を行っていた場合は、その分の指導管理料と本加算は算定できません。退院日限定の特例、と覚えておくとよいですね。
みらい(新人医療事務)
退院日だけの特例なんですね。じゃあ通常の外来通院中の患者さんが対象、というイメージでいいですか?
あおい(元・医療事務)
はい、基本的には入院中ではない患者さん、つまり在宅・外来で自己注射を続けている患者さんが対象になります。ただし対象になるのは、先ほどの3種類の薬剤(インスリン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、ソマトスタチンアナログ)を、間歇注入シリンジポンプで自己注射している場合に限られる点は忘れないでくださいね。

点数・コード
みらい(新人医療事務)
点数は具体的にいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
告示では、使っているシリンジポンプの種類によって2段階に分かれています。
| 区分 | 点数 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 2,500点 | プログラム付きシリンジポンプ |
| 2 | 1,500点 | 1以外のシリンジポンプ |
みらい(新人医療事務)
「プログラム付き」かどうかで1,000点も差があるんですね。この2つはどう見分けるんですか?
あおい(元・医療事務)
この点数は令和8年度診療報酬点数表の区分番号C152「間歇注入シリンジポンプ加算」の告示にそのまま記載されているものです。見分け方は留意事項通知の定義がポイントで、「プログラム付きシリンジポンプ」とは、間歇注入シリンジポンプのうち、基礎注入と独立して追加注入がプログラム可能であり、また基礎注入の流量について、1日につき24プログラム以上の設定が可能なものをいう、とされています。つまり、細かく時間帯ごとに基礎注入量を24パターン以上設定できて、そこに追加注入も独立してプログラムできる機能があるかどうかが分かれ目です。
みらい(新人医療事務)
24プログラム以上、というのは結構細かい条件ですね。院内で使っている機種の仕様書を確認しないと分からなさそうです。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。機種のカタログや添付文書に記載されている機能仕様と、この定義を照らし合わせて確認する作業が必要になります。感覚で「プログラム付き」と判断せず、必ず仕様を確認してから区分を決めてくださいね。
併算定・算定タイミングの注意
併算定・タイミングの注意
- 材料費: 間歇注入シリンジポンプを使用する際に必要な輸液回路、リザーバーその他療養上必要な医療材料の費用は、所定点数に含まれます。別途請求はできません。
- 退院時特例: 入院中の患者について、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び本加算の算定が認められています。ただし、同一退院月に外来・往診・訪問診療でも指導管理を行った場合、その分の指導管理料及び本加算は算定できません。
- 回数制限について、告示・留意事項通知の中に本加算固有の「月○回まで」といった明示的な記載は確認できませんでした。在宅自己注射指導管理料など第1款の所定点数に対する加算という位置づけのため、算定単位はベースとなる管理料の算定サイクルに準じると考えられますが、この点は資料の推測にとどまるため、必ず自院で算定回数の考え方を確認してください。
みらい(新人医療事務)
材料費が点数に含まれているのは知りませんでした。輸液回路とか別で請求しちゃいそうです。
あおい(元・医療事務)
そこはよくある取り漏れ・逆に過剰請求になりかねないポイントなので、レセプト担当者間でしっかり共有しておくといいですね。
みらい(新人医療事務)
在宅自己注射指導管理料と一緒に算定する加算、というのも他にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
関連するものとして、在宅自己注射指導管理料(C101)の留意事項には、「複雑な場合」の算定要件の一つに、間歇注入シリンジポンプを用いて在宅自己注射を行っている患者について、診察を行った上でポンプの状態や投与量等を確認・調整した場合に算定する、という記載があります。この場合、プログラムの変更に係る費用は所定点数に含まれるとされています。つまり、間歇注入シリンジポンプを使っていること自体が、C101側の区分判断にも関わってくるということです。あわせて確認しておきたいですね。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出はどうなっていますか? 他の加算だと地方厚生局への届出が必要なものもありますよね。
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収集した告示・留意事項通知の一次資料の範囲では、間歇注入シリンジポンプ加算そのものに専用の施設基準や届出を求める記載は確認できませんでした。ベースとなる在宅自己注射指導管理料についても、告示上、地方厚生局への届出を必須とする記載は見当たりません。
施設基準・届出は要確認
資料に記載が見当たらないことは「届出不要」を断定する根拠にはなりません。地方厚生局への確認事項や、院内の運用ルールによって取り扱いが異なる可能性があります。実際に算定する前には、自院が保険医療機関として満たすべき条件を、地方厚生局や審査支払機関に必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
「書いてないから不要」と決めつけちゃダメなんですね、気をつけます。
あおい(元・医療事務)
そうですね。届出が明示されていない加算ほど、逆に見落としが起きやすいので注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが収集した令和8年度の告示・留意事項通知を確認した範囲では、間歇注入シリンジポンプ加算(C152)について、プログラム付きシリンジポンプ2,500点、1以外のシリンジポンプ1,500点という点数、および算定要件・定義に関する前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。
改定の見方
点数が変わっていなくても、施設基準や算定要件が改定で変わる加算は少なくありません。今回はその点も含めて一次資料を確認しましたが、C152固有の変更点は見つかりませんでした。今後の改定でも、点数だけでなく算定要件や対象薬剤の範囲まで確認する習慣をつけておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
点数だけじゃなくて、要件も一緒に見る癖をつけたほうがいいんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。特にこの加算のように、対象薬剤が3種類に限定されているものは、その範囲が改定で見直される可能性もゼロではありません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの診療所で算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
私ならこの順番で確認します。
自院で確認する順番
- 患者が使っている自己注射薬が、インスリン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、ソマトスタチンアナログのいずれかに該当するか確認する
- その薬剤を、間歇的かつ自動的に注入するシリンジポンプ(間歇注入シリンジポンプ)で自己注射しているか確認する
- 患者が入院中でないか確認する(退院日限定の特例に該当する場合を除く)
- 使用しているポンプが「プログラム付き」(1日24プログラム以上設定可能)かどうかを機種の仕様書で確認し、2,500点か1,500点かを判断する
- 在宅自己注射指導管理料など、加算のベースとなる管理料が算定されているか確認する
- 施設基準・届出の要否について、自院所在地の地方厚生局に念のため確認する

みらい(新人医療事務)
この順番で確認すれば、算定候補かどうかの見通しが立てやすそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。特に4番のプログラム付きかどうかの判断は、点数区分を左右する重要なポイントなので、機種ごとにリスト化しておくと、次回以降の確認がぐっと楽になりますよ。
よくある取り漏れ
取り漏れやすいポイント
- 対象薬剤の思い込み: 間歇注入シリンジポンプという名前から、どんな自己注射でも対象と誤解しやすいですが、対象薬剤はインスリン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、ソマトスタチンアナログの3種類に限られます。
- プログラム付きの判定漏れ: 「1日24プログラム以上設定可能」という定義を確認せずに、なんとなく高機能そうだからという理由で2,500点区分にしてしまうケース。必ず機種仕様を確認してください。
- 材料費の二重請求: 輸液回路やリザーバーの費用は所定点数に含まれているため、別途の材料費請求は誤りになります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには、退院日以外は絶対に算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知で確認できる範囲では、退院の日に限った特例のみが規定されています。それ以外の入院期間中の算定については、資料内で明確な記載を確認できていないため、算定候補にはならないと考えて、個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「プログラム付き」の機種かどうか分からない場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
機器メーカーのカタログや添付文書に、基礎注入のプログラム設定数(1日24プログラム以上か)や、追加注入の独立プログラム可否が記載されているはずです。それでも判断が難しい場合は、メーカーや卸に直接問い合わせて確認するのが確実です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要と考えていいんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では専用の届出規定は見当たりませんが、「記載がない=不要」と断定はできません。念のため地方厚生局に確認してから、最終的な運用を決めることをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象薬剤やポンプの種類、入院・退院のタイミングなどを入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。