みらい(新人医療事務)
「持続血糖測定器加算」って名前を聞いたことはあるんですが、うちのクリニックで算定候補になるものなのか、正直よくわかっていません。糖尿病の患者さんは結構いらっしゃるんですが。
あおい(元・医療事務)
区分C152-2の持続血糖測定器加算ですね。持続血糖測定器(CGM)を使って血糖値を継続的に測定し、その結果に基づいて指導を行った場合に算定候補になる加算です。ただ、対象になる患者さんの範囲や届出・体制の要件が細かく決まっているので、順番に確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
「持続的に測定した血糖値に基づく指導」っていうのは、どんな場面を想定しているんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では「入院中の患者以外の患者であって次に掲げる者に対して、持続的に測定した血糖値に基づく指導を行うために持続血糖測定器を使用した場合に算定する」とされています。対象は大きく分けて、間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を使う場合と、連動しない持続血糖測定器を使う場合の2パターンです。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料の範囲では、対象は診療所・病院・在宅が含まれ、入院中の患者は対象外とされています。その上で、対象患者はさらに細かく分かれます。連動する場合と連動しない場合で要件が違うので、テーブルにまとめますね。
| 区分 | 該当する患者像(要点) |
|---|---|
| 連動する場合(イ) | 血糖コントロールが不安定な1型糖尿病患者又は膵全摘後の患者で、持続皮下インスリン注入療法を行っている者 |
| 連動する場合(ロ) | 低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がある血糖コントロール不安定な2型糖尿病患者で、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志があり、持続皮下インスリン注入療法を行っている者 |
| 連動しない場合(イ) | 急性発症若しくは劇症1型糖尿病患者又は膵全摘後の患者で、皮下インスリン注入療法を行っている者 |
| 連動しない場合(ロ) | 内因性インスリン分泌の欠乏(空腹時血清Cペプチドが0.5ng/mL未満)を認め、低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がある血糖コントロール不安定な2型糖尿病患者で、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志があり、皮下インスリン注入療法を行っている者 |
みらい(新人医療事務)
空腹時血清Cペプチドの数値まで出てくるんですね。細かいです。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。特に「連動しない場合(ロ)」は数値基準まで定められているので、患者さんのカルテ・検査値を実際に確認しないと判断できません。ここは医師・看護師など医療専門職の臨床判断が必要な部分で、事務スタッフだけで決められる話ではないと思っておいてください。
見落としやすいポイント
対象患者の区分(連動する/しない、イ/ロ)によって算定要件と点数区分の両方が変わります。カルテの記載が「1型糖尿病」「2型糖尿病」とだけあって、コントロール状態や治療内容(持続皮下インスリン注入療法の有無)まで書かれていないと、どの区分に該当するか判断できません。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか? さっき「8区分」って聞いた気がするんですが。
あおい(元・医療事務)
はい、大きく分けて2種類の測定器タイプ×3段階の使用個数、それに加えてトランスミッター使用時の特例で、合計8つの点数パターンがあります。令和8年度の告示をもとに表にまとめました。

| 区分 | 月あたりの使用個数 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 間歇注入シリンジポンプと連動する場合 | 2個以下 | 1,320点 |
| 間歇注入シリンジポンプと連動する場合 | 3個又は4個 | 2,640点 |
| 間歇注入シリンジポンプと連動する場合 | 5個以上 | 3,300点 |
| 間歇注入シリンジポンプと連動しない場合 | 2個以下 | 1,320点 |
| 間歇注入シリンジポンプと連動しない場合 | 3個又は4個 | 2,640点 |
| 間歇注入シリンジポンプと連動しない場合 | 5個以上 | 3,300点 |
みらい(新人医療事務)
残り2区分は何ですか?
あおい(元・医療事務)
「注2」に定められた特例です。プログラム付きシリンジポンプ又はそれ以外のシリンジポンプを用いて、トランスミッター(測定器からデータを送信する機器)を使用した場合は、上の使用個数区分に代えて、それぞれ3,230点又は2,230点を加算する、とされています。ただし、この場合は区分番号C152の間歇注入シリンジポンプ加算は算定できないという条件がついています。
注2の適用は要確認
トランスミッター使用時の3,230点・2,230点の特例は、通常の使用個数ベースの点数区分と選択関係にあり、しかもC152との併算定可否にも影響します。どちらの区分で算定すべきかは、機器の運用実態とレセプト実務の両面から確認が必要です。自院だけで判断せず、レセプト担当者・審査支払機関への確認をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
点数だけ見て「うちも算定できる」とは言えないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。点数区分は「使えるか使えないか」ではなく「該当する場合にいくら加算するか」を示しているだけなので、まずは施設基準の届出と対象患者の該当性を確認するのが先です。
施設基準・届出
みらい(新人医療事務)
施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点の一次資料では、届出は必要、施設基準ありとされています。告示の注1には「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」と明記されているので、まず届出そのものが前提条件です。
みらい(新人医療事務)
届出さえしていれば、あとは誰が指導してもいいんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこがこの加算の特徴的なところです。特に「間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器」を用いる場合は、留意事項通知でさらに詳しい要件が定められています。
| 要件 | 内容(要点) |
|---|---|
| 適正使用指針の遵守 | 関連学会が定める適正使用指針を遵守すること(疑義解釈では、日本糖尿病学会の「リアルタイムCGM適正使用指針」を指すとされている) |
| 指導を行う医師 | 糖尿病治療に関する専門知識及び5年以上の経験を有し、持続血糖測定器に係る適切な研修を修了した常勤の医師 |
| 指導を行う看護師・薬剤師・臨床検査技師 | 持続皮下インスリン注入療法に従事した経験を2年以上有し、持続血糖測定器に係る適切な研修を修了した常勤者 |
| 研修の内容 | 糖尿病患者への生活習慣改善の意義・基礎知識、評価方法、セルフケア支援、持続血糖測定器に関する理解・活用及び事例分析・評価等を含む研修 |
| 指導記録 | 患者ごとに指導者名を記載した指導記録を作成し、患者に提供するとともに、写しを診療録に添付すること |
みらい(新人医療事務)
研修を受けていない看護師さんが指導しても、算定候補にはならないってことですね。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知の記載を素直に読むとそうなります。「次のいずれかに掲げる者が…必要な指導を行っていること」という条件になっているので、指導を担当する人が研修要件を満たしているかどうかは、届出内容や研修修了の記録も含めて確認したいところです。ここも自院の体制次第で結論が変わるので、断定はできません。
見落としやすいポイント
「連動する持続血糖測定器」を用いる場合は、この(7)(8)の研修・指導記録要件が明記されているのは「連動しない場合」に限られます。同じC152-2でも、どちらのタイプの測定器を使っているかで確認すべき要件が変わる点に注意してください。
算定タイミング・併算定・回数の注意
みらい(新人医療事務)
併算定で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。留意事項通知に整理されている内容を紹介しますね。
みらい(新人医療事務)
お願いします。
あおい(元・医療事務)
まず、持続血糖測定器加算を算定する場合は、対象患者のどの区分(イ・ロなど)に該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。「連動する場合のロ」に該当する場合は、直近の空腹時血清Cペプチドの測定値も併せて記載することとされています。
みらい(新人医療事務)
C152の間歇注入シリンジポンプ加算とは、同時に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは条件によって変わります。間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を用いる場合、同一月においてC152の間歇注入シリンジポンプ加算とこの加算は併せて算定できません。一方で、間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器を用いていて、かつ間歇注入インスリンポンプを併用した場合には、C152の間歇注入シリンジポンプ加算を併せて算定できる、という整理になっています。逆に、連動しない持続血糖測定器と間歇注入インスリンポンプを併用した場合は、この加算の「注2」の特例は算定できず、C152は併せて算定できるとされています。
みらい(新人医療事務)
ややこしいです…。
あおい(元・医療事務)
正直、文章だけで正確に判断するのは難しい部分です。連動の有無・トランスミッターの使用有無・C152との組み合わせで結論が変わるので、実際のレセプトを作成する段階で個別に確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
退院のタイミングで算定するケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。入院中の患者に対して、退院時にC101在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び持続血糖測定器加算の点数を算定できるとされています。ただし、同じ退院月に外来・往診・訪問診療でも在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、その指導管理の所定点数と持続血糖測定器加算は算定できません。
併算定判断は個別確認が必要
C152(間歇注入シリンジポンプ加算)との併算定可否は、測定器の連動有無・トランスミッター使用の有無で結論が異なります。本記事の整理は一次資料の記載を要約したものであり、個別のレセプト作成における最終判断ではありません。実際の算定にあたっては、自院のレセプト担当者・審査支払機関にご確認ください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
この点はきちんとお伝えしておきたいのですが、当サイトが収載している一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からのC152-2に関する変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。持続血糖測定器加算そのものは平成30年度の疑義解釈にも登場している比較的以前からある加算で、令和8年度の告示・留意事項通知の内容を確認した範囲では、大きな制度変更を示す記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
「無かった」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
「変更が無かった」と断定しているわけではなく、「当サイトが確認できた一次資料の中では変更点が見当たらなかった」という言い方に留めています。改定内容の細部まで完全に照合できているわけではないので、気になる方は厚生労働省の個別改定項目資料や、直近の疑義解釈・訂正通知も併せてご確認ください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで算定候補になるか確認するには、何から見ればいいですか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番はこんなイメージです。

自院で確認する順番
- 施設基準の届出をしているか(届出必須・地方厚生局長等への届出)
- 対象患者の区分(連動する場合のイ・ロ、連動しない場合のイ・ロ)のどれに該当するか、カルテと治療内容で確認する
- 使用している持続血糖測定器が間歇注入シリンジポンプと連動するタイプか、しないタイプかを確認する
- 連動しないタイプの場合、適正使用指針の遵守・指導者の研修修了・指導記録の作成という3つの要件を満たしているか確認する
- C152(間歇注入シリンジポンプ加算)との併算定関係を、レセプト担当者と一緒に確認する
- 該当する区分と点数を診療報酬明細書の摘要欄に記載する
みらい(新人医療事務)
1つずつ見ていけば整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
はい。逆にこの順番のどこかが未確認のまま算定してしまうと、後から返戻や査定につながることもあるので、届出→患者該当性→機器タイプ→指導体制→併算定、の順で確認するのがおすすめです。
よくある取り漏れ
取り漏れが起きやすいケース
持続血糖測定器を使っていても、対象患者の区分(イ・ロ)に該当するかどうかの判断が曖昧なまま算定を見送っているケースがあります。特に「連動しない場合のロ」は空腹時血清Cペプチドの数値基準まで定められているため、検査データが揃っていないと該当性を判断できず、結果的に算定候補から漏れてしまうことがあります。逆に、研修要件を満たさないスタッフが指導を行っていて、要件を満たさないまま算定してしまっているケースも見られます。
みらい(新人医療事務)
どちらのパターンも、体制と記録をちゃんと確認しないと気づけないですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。この加算は「点数を知っている」だけでは判断できず、患者の治療内容・検査データ・指導を行うスタッフの研修歴という複数の情報を突き合わせる必要があります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
どうぞ。
みらい(新人医療事務)
持続血糖測定器加算は、届出をしていなくても緊急的に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の告示では、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関であることが算定の前提とされています。届出をしていない場合は、まず届出の手続きから確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
対象患者かどうか、医療事務のスタッフだけで判断してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
対象患者の該当性(1型糖尿病・2型糖尿病の病態、血糖コントロールの状態、治療内容など)は臨床的な判断が伴うため、医師・看護師など医療専門職の確認が必要です。医療事務スタッフだけで断定せず、必ず医師・看護師と連携して確認してください。
みらい(新人医療事務)
トランスミッターを使っているかどうかは、どこで確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
使用している持続血糖測定器の機種・運用方法によって変わるので、実際に処方・使用している機器の仕様を確認する必要があります。ここも自院の運用実態に基づいた確認が欠かせません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて、在宅での自己注射指導管理に関わる在宅自己注射指導管理料や、血糖自己測定指導加算の記事も、糖尿病診療の算定整理をする際に参考になると思います。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。