みらい(新人医療事務)
院長から「エピペンとかインスリンの自己注射で使う注射器の分、加算があるはずだから確認しておいて」と言われたんですが、注入器加算ってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
注入器加算は、在宅自己注射指導管理料などの「在宅療養指導管理料」に上乗せする、材料代に相当する加算です。令和8年度(2026年度)の点数表では区分番号C151、300点です。自己注射で使うディスポーザブル注射器や自動注入ポンプ、携帯用注入器、針無圧力注射器を処方したときに、本体の指導管理料に加えて算定できる候補になります。
みらい(新人医療事務)
「候補」ということは、処方すれば必ずもらえるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。厚生労働省の告示・留意事項通知に条件が細かく書かれていて、それに当てはまるかを確認してから算定する必要があります。今日は、どんな患者さんが対象で、どんなときに算定できないのか、一緒に整理していきましょう。
対象になるのはどんな患者・医療機関?
みらい(新人医療事務)
まず、対象になる患者さんの条件から教えてください。
あおい(元・医療事務)
注入器加算は、在宅自己注射指導管理料(C101)などの対象になる患者さんのうち、入院中の患者さん以外が対象です。具体的には、別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている患者さんに、注入器を処方した場合に算定候補になります。診療所・病院どちらでも対象になり得ますし、在宅療養を行っている患者さんが中心です。
みらい(新人医療事務)
「別に厚生労働大臣が定める注射薬」というのは、インスリンとかエピペンとかのことですか?
あおい(元・医療事務)
はい、インスリン製剤や性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤、ヒト成長ホルモン剤、エピネフリン(アドレナリン)製剤など、在宅自己注射指導管理料の対象になっている薬剤群を指します。ただし、注入器加算には一つ大事な除外があって、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を行っている患者さんは、注入器加算の対象から除かれています。
みらい(新人医療事務)
え、C101は対象なのに、注入器加算だけ対象外になる患者さんがいるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。ここは混同しやすいポイントなので、処方した薬剤が何かを必ず確認してください。対象薬剤の一覧は当サイトが収載している一次資料の範囲では網羅しきれない部分もあるので、最終的には処方箋や添付文書、審査支払機関への確認も含めて判断することをおすすめします。
点数とコードを確認

みらい(新人医療事務)
点数のところ、もう少し具体的に見せてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、まず注入器加算そのものと、上乗せ先になる在宅自己注射指導管理料の点数を並べますね。
| 区分番号 | 名称 | 点数 | 算定単位 |
|---|---|---|---|
| C151 | 注入器加算 | 300点 | 処方した月に限り、所定点数に加算 |
| C101「1」 | 在宅自己注射指導管理料(複雑な場合) | 1,230点 | 月1回 |
| C101「2」イ | 在宅自己注射指導管理料(月27回以下) | 650点 | 月1回 |
| C101「2」ロ | 在宅自己注射指導管理料(月28回以上) | 750点 | 月1回 |
みらい(新人医療事務)
注入器加算は、この表のC101の点数に300点をプラスするイメージであってますか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。注入器加算単体で算定することはなく、在宅自己注射指導管理料などの所定点数に上乗せする形になります。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)には「別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、注入器を処方した場合に、第1款の所定点数に加算する」と定められています。
みらい(新人医療事務)
「第1款の所定点数」というのは、在宅療養指導管理料の本体点数のことですね。
あおい(元・医療事務)
はい。C101以外にも第1款に含まれる在宅療養指導管理料はいくつかありますが、注入器加算の実務上の対象は、自己注射に関連する指導管理料がほとんどです。どの管理料に上乗せするかで迷ったら、処方している注射薬とその指導管理料の組み合わせを確認してみてください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準とか、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
注入器加算そのものには、施設基準の届出は求められていません。当サイトが収集している一次資料の範囲では、注入器加算単独での届出要件は確認されていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、処方さえすればすぐに算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。届出が不要というだけで、算定できるかどうかはまた別の話です。上乗せ先である在宅自己注射指導管理料の算定要件を満たしていること、そして注入器加算そのものの算定条件を満たしていることの両方を確認する必要があります。届出不要=無条件で算定可、ではないので、次のセクションで具体的な条件を見ていきましょう。
届出不要でも算定条件はある
注入器加算に施設基準の届出は不要ですが、対象患者・対象薬剤・処方の内容などの算定要件を満たしているかは別途確認が必要です。届出不要という情報だけで算定候補と判断しないでください。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
ここが一番聞きたかったところです。いつ算定できて、いつできないんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に定義と条件が書かれています。まず「注入器」の定義ですが、自己注射適応患者(性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を除く)に対する、注射針一体型のディスポーザブル注射器、自動注入ポンプ、携帯用注入器、または針無圧力注射器のことを指します。これらを処方した月に限って算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「処方した月に限って」ということは、処方していない月は算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。留意事項通知には「加算の算定はこれらを処方した月に限って可能であり、単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない」と明記されています。つまり、患者さんが以前もらった注入器を使い続けているだけの月は、算定候補になりません。処方の実績があった月かどうかを、レセプト作成時に必ず確認してください。
みらい(新人医療事務)
もう一つ、「針付一体型の製剤」を処方した場合は算定できないと聞いたんですが、これはどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「注入器加算は、針付一体型の製剤を処方した場合には算定できない」とあります。これは、薬剤自体があらかじめ注射器と一体化された製剤を処方した場合を指すと考えられますが、どの製剤がこれに該当するかは、添付文書や薬剤情報を確認したうえで、必要に応じて審査支払機関にも確認することをおすすめします。当サイトが収集している一次資料の範囲では、製剤ごとの該当・非該当の一覧までは確認できていません。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんが退院するときは、どう扱えばいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に退院時の特例が定められています。入院中の患者さんに対して、退院時にC101在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数と注入器加算の点数を算定できる候補になります。ただし、同じ保険医療機関でその退院月に、外来・往診・訪問診療でも在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、そちらの指導管理の所定点数と注入器加算は算定できません。同月に二重に算定しないよう注意が必要です。
算定できないケースに注意
留意事項通知では、次のようなケースは注入器加算の対象外とされています。(1)注入器の処方がなく、単に使用しているだけの月、(2)針付一体型の製剤を処方した場合、(3)退院月に、退院時とは別に外来・往診・訪問診療でも在宅自己注射指導管理料の指導管理を行った場合の当該指導管理分。該当しないか必ず確認してください。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤は対象外
在宅自己注射指導管理料の対象患者であっても、性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤の自己注射を行っている患者さんは、注入器加算の対象から除かれています。処方薬剤の確認を忘れずに行ってください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、注入器加算の内容って変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの変更点について確認しておきますね。当サイトが収集している一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、令和8年3月5日付の実施上の留意事項通知)の範囲では、注入器加算の点数(300点)および算定要件についての変更は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
つまり、点数も条件も、ここ数年ずっと同じということですか?
あおい(元・医療事務)
少なくとも当サイトが確認している一次資料の範囲では、令和8年度改定で注入器加算に固有の変更点は見当たらない、ということです。ただし、これは当サイトの一次資料の収集範囲での確認結果であり、より詳細な経緯を確認したい場合は、厚生労働省や審査支払機関に直接お問い合わせいただくのが確実です。
改定差分の確認方法
点数や算定要件が変わっていないように見えても、対象薬剤リストや関連する在宅療養指導管理料側の要件が変わることがあります。マスター更新のタイミングでは、注入器加算だけでなく、上乗せ先の指導管理料(C101など)の告示・通知もあわせて確認すると安心です。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
結局、自院で注入器加算を算定候補にできるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認してみてください。
自院で確認する順番
- 患者さんが在宅自己注射指導管理料(C101)などの対象患者であるか、対象薬剤を確認する
- その薬剤が性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤ではないか確認する
- 入院中の患者ではないか(退院日の特例に該当するかも含めて)確認する
- 当月中に、ディスポーザブル注射器(注射針一体型)・自動注入ポンプ・携帯用注入器・針無圧力注射器のいずれかを処方したか確認する
- 処方した製剤が「針付一体型の製剤」に該当しないか確認する
- 同月に外来・往診・訪問診療と退院時とで二重に指導管理料を算定していないか確認する
みらい(新人医療事務)
この順番で確認していけば、判断に迷うことが減りそうです。
あおい(元・医療事務)
はい、特に1番と5番でつまずくケースが多い印象です。迷ったときは、レセプト担当者だけで判断せず、処方医や薬剤師にも確認してもらうと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でよくある取り漏れって、どんなパターンがありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのは、注入器を処方した月なのに、加算をつけ忘れてしまうケースです。在宅自己注射指導管理料の算定に気を取られて、材料加算の分が漏れてしまうんですね。逆に、処方していない月にも継続して加算をつけてしまう、という反対方向の間違いもあります。
取り漏れ・つけすぎの両方に注意
注入器加算は「処方した月に限り」算定できる加算です。処方実績のある月に加算し忘れる「取り漏れ」と、処方していない月にも継続して算定してしまう「つけすぎ」の両方が起こりやすいので、処方記録とレセプトを毎月照合する運用をおすすめします。
みらい(新人医療事務)
毎月照合するの、地道ですけど大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。特に在宅自己注射の患者さんが多い診療所では、処方内容が月によって変わることもあるので、電子カルテやレセプトコンピュータの処方履歴と突き合わせる仕組みを作っておくと、取り漏れもつけすぎも防ぎやすくなります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
いくつか気になっていることを質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
注入器を使ってはいるけれど、その月は処方していない場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
その場合は算定候補になりません。留意事項通知に「単に注入器の使用を行っているのみでは算定できない」と明記されているとおり、処方の実績がある月に限られます。
みらい(新人医療事務)
注入器用注射針加算という似た名前の加算も見たことがあるんですが、これは同じものですか?
あおい(元・医療事務)
別の区分の加算です。注入器加算(C151)は注入器そのものを処方した場合の加算で、注射針一体型でないディスポーザブル注射器を処方し、別途注入器用の注射針を処方した場合には、注入器用注射針加算という別の区分で算定を検討することになります。どちらの加算に該当するかは、処方した製剤の構成(注射針一体型かどうか)で変わるので、処方内容を確認してから判断してください。
みらい(新人医療事務)
退院当日に指導管理を行った場合、必ず算定できますか?
あおい(元・医療事務)
退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料と注入器加算をあわせて算定できる候補になりますが、同じ月に外来・往診・訪問診療でも在宅自己注射指導管理料の指導管理を行っていた場合は、そちらの分は算定できません。同月内の重複がないか確認してから判断してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。処方内容や対象患者の状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。あわせて上乗せ先になる在宅自己注射指導管理料のページも見ておくと、算定要件の全体像がつかみやすくなります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。