在宅抗菌薬吸入療法指導管理料とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「在宅抗菌薬吸入療法指導管理料」という名前、初めて見たんですけど、どんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表に区分番号C121として設けられている在宅療養指導管理料の一つです。対象は、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症の患者さんで、多剤併用療法による前治療では効果が不十分だった方が対象になります。
みらい(新人医療事務)
「肺非結核性抗酸菌症」というのは、結核とは別の病気ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。結核菌ではなく、MACという菌による肺の感染症です。前治療で効果が出にくかった患者さんが、在宅で超音波ネブライザを使ってアミカシン硫酸塩の吸入用製剤を投与する場合に、医師が投与の方法や注意点について指導管理を行うことを評価する点数です。厚生労働省の告示・留意事項通知では次のように記載されています。
対象患者(告示・留意事項通知より)
対象疾患: マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌症 前治療の状態: 多剤併用療法による前治療において効果不十分 療法の内容: 患者自らが在宅で超音波ネブライザを用いてアミカシン硫酸塩吸入用製剤を投与 指導管理の内容: 医師が患者又は患者の看護に当たる者に対し、療法の方法及び注意点等について指導管理を行う
みらい(新人医療事務)
かなり対象が絞られている加算なんですね。うちのクリニックで対象になるかどうかは、まず疾患名と前治療の経過を確認するところからですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。対象患者に該当するかどうかは、診療録・投薬内容の確認が出発点になります。この記事では、点数・対象・確認すべきポイントを一次資料に沿って整理していきますね。
対象医療機関・算定できる場面の確認
みらい(新人医療事務)
この加算はクリニックでも病院でも算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、診療所・病院のどちらも算定の対象になり得ます。ただし、告示の「注1」では次のように定められています。
算定できる場面(告示より)
在宅抗菌薬吸入療法を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅抗菌薬吸入療法に関する指導管理を行った場合に算定する。
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」ということは、入院中はこの加算は使えないということですか?
あおい(元・医療事務)
基本的にはそうです。あくまで在宅療養での指導管理を評価する点数なので、入院中の患者さんには算定しません。ただし後ほど紹介する「在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算」には、退院日に限った特例が留意事項通知に定められています。この点は併算定のセクションで確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
外来で通院しながらこの療法を受けている患者さんも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した資料の範囲では、在宅で実施する療法についての指導管理料という位置づけで整理されています。外来通院と在宅療養を組み合わせているケースもあるかと思いますので、個々のケースでの算定可否は自院で確認することをおすすめします。
点数・算定コードの確認(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
具体的に何点になるのか、確認したいです。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の点数はこちらの表の通りです。
| 算定項目 | コード | 点数 | 算定できる回数 |
|---|---|---|---|
| 在宅抗菌薬吸入療法指導管理料 | C121 | 800点 | 指導管理を行った場合 |
| 導入初期加算(注2) | C121 注2 | 500点 | 初回の指導を行った月に1回限り |

みらい(新人医療事務)
導入初期加算というのは、新しく療法を始めた患者さんに対する加算ということですか?
あおい(元・医療事務)
そうです。告示・留意事項通知では次のように定められています。
導入初期加算(令和8年度)
在宅抗菌薬吸入療法を初めて実施する患者について、初回の指導を行った場合は、当該初回の指導を行った月に限り、導入初期加算として500点を所定点数に加算する。新たに療法を導入する患者に十分な指導を行った場合、当該初回の指導を行った月に1回に限り算定する。
みらい(新人医療事務)
つまり、新規導入した月しかつけられない加算なんですね。2ヶ月目以降は基本点数の800点だけになると。
あおい(元・医療事務)
資料で確認できる範囲ではその整理になります。基本点数の800点自体の算定間隔(月に何回まで等)について、この資料には明記がありませんでした。実際の算定回数の運用は、自院のレセプト担当者や審査支払機関に確認することをおすすめします。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するには、施設基準の届出が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集した告示・留意事項通知の範囲では、C121 在宅抗菌薬吸入療法指導管理料について、施設基準の届出を求める規定は見当たりませんでした。他の在宅療養指導管理料の中には届出が必要なものもありますが、この加算に関しては、資料の範囲内では届出条項が確認できていません。
みらい(新人医療事務)
「確認できていません」というのは、届出不要と断定はしていないということですか?
あおい(元・医療事務)
はい、正確にはそうです。当サイトが確認した一次資料の範囲での整理であり、100%届出不要と保証するものではありません。念のため、地方厚生局への届出状況や施設基準の該当有無は、自院の事務担当者・顧問社労士等と一緒に最終確認することをおすすめします。
施設基準・届出の確認について
本記事の整理は、当サイトが収集した告示・留意事項通知の範囲に基づくものです。届出の要否は、必ず地方厚生局への届出内容や自院の運用体制と照らして確認してください。
算定タイミング・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
他の加算と一緒に算定できるかどうかも気になります。
あおい(元・医療事務)
関連が深いのは、超音波ネブライザ本体の使用を評価する「在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算」(区分番号C175)です。こちらは在宅療養指導管理材料加算という位置づけで、令和8年度の告示では次のように点数が定められています。
| 加算名 | コード | 点数 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算(1月目) | C175 | 7,480点 | 超音波ネブライザ使用初回月 |
| 在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算(2月目以降) | C175 | 1,800点 | 超音波ネブライザ使用継続月 |
みらい(新人医療事務)
材料加算は指導管理料と別に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知の在宅療養指導管理材料加算の通則では、次のように定められています。
材料加算の併算定(通則より)
在宅療養指導管理材料加算は、要件を満たせば、第1款在宅療養指導管理料を算定するか否かにかかわらず、別に算定できる。
みらい(新人医療事務)
では、同じ月に他の在宅指導管理も行っていた場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
そこは注意が必要です。通則には次の制限があります。
2以上の在宅指導管理を行う場合の制限(通則より)
同一の保険医療機関において、2以上の指導管理を行っている場合は、主たる指導管理の所定点数を算定する。この場合であっても、在宅療養指導管理材料加算及び当該2以上の指導管理に使用した薬剤・特定保険医療材料の費用は、それぞれ算定できる。
みらい(新人医療事務)
つまり、指導管理料自体は1つ分しか算定できないけれど、材料や薬剤の費用は別扱いということですね。
あおい(元・医療事務)
その理解で合っています。加えて、留意事項通知にはもう一つ、退院時の特例も定められています。
退院日の特例(C175の留意事項より)
入院中の患者又はその看護に当たる者に対して、退院時にC121在宅抗菌薬吸入療法指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、指導管理料の所定点数及び在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅抗菌薬吸入療法指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び在宅抗菌薬吸入療法用ネブライザ加算は算定できない。
みらい(新人医療事務)
退院した日だけは特別に算定できるけれど、同じ月にもう一度算定はできないということですね。算定タイミングを間違えないように気をつけないと。
あおい(元・医療事務)
そうですね。退院日を挟むケースは特に取り違えやすいポイントなので、レセプト担当者と情報共有しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、この加算に変更はあったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では、前回改定(令和6年度)からの区分番号C121 在宅抗菌薬吸入療法指導管理料に関する変更点は確認されていません(確認日: 2026年7月)。新設・廃止・点数変更・施設基準変更のいずれについても、当サイトが収集した告示・留意事項通知の資料内では明確な差分情報が見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
「確認されていない」というのは、変更が無いと保証しているわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、あくまで当サイトが確認できた資料の範囲での整理です。改定の詳細な経緯を確認したい場合は、厚生労働省が公表する個別改定項目の資料や、疑義解釈の追加情報も合わせて確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちで算定候補になるかどうか、どんな順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のステップで確認していくとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者に該当するか確認する(MACによる肺非結核性抗酸菌症であり、多剤併用療法による前治療で効果不十分な患者か)
- 在宅で超音波ネブライザを用いてアミカシン硫酸塩吸入用製剤を投与しているか確認する
- 患者が入院中でないか確認する(入院中は算定対象外)
- 導入初期加算の対象月(初回の指導を行った月)かどうかを確認する
- 同一月に他の在宅指導管理を行っていないか、材料加算(C175)との併算定関係を確認する
- ここまで整理できたら、算定候補として自院の届出状況・診療内容と突き合わせて最終確認する

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていくと、対象患者の確認が一番のポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。対象疾患・前治療の経過がはっきりしていれば、その後の点数や併算定の整理はスムーズに進みます。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
見落としやすいポイントも教えてください。
よくある取り漏れ(令和8年度)
導入初期加算の月を逃す: 初回の指導を行った月にしか算定できないため、導入初期の記録が漏れると加算し忘れやすい 材料加算(C175)の算定漏れ: 指導管理料と材料加算は別区分のため、超音波ネブライザ使用の記録が残っていないと材料加算側を取り漏らしやすい 退院日特例の見落とし: 退院日に指導管理を行った場合の特例と、同月内の重複算定不可のルールを混同しやすい
みらい(新人医療事務)
特に導入初期加算は「その月だけ」というのがポイントですね。忘れずに記録しておかないと。
あおい(元・医療事務)
そうですね。カルテと算定システムの両方で、初回指導の日付を明確にしておくと取り漏れを防げます。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
資料の範囲では診療所・病院のどちらも対象になり得ます。ただし、対象患者の有無や在宅での実施体制は個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は本当に不要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料の範囲では届出条項は見当たりませんが、断定はできません。自院の届出状況・地方厚生局への確認を優先してください。
みらい(新人医療事務)
導入初期加算は何度でも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、留意事項通知では「初回の指導を行った月に1回に限り」算定するとされています。新規導入時の1回限りの加算です。
みらい(新人医療事務)
材料加算(C175)は必ず一緒に算定するものですか?
あおい(元・医療事務)
超音波ネブライザを使用した場合に別途算定できる材料加算ですので、実際の使用実態に応じて確認が必要です。指導管理料と材料加算は別区分として整理されています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や在宅での実施体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する在宅療養指導管理料として、在宅麻薬等注射指導管理料 もあわせて確認しておくと、在宅指導管理料全体の併算定ルールの理解に役立ちます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。