みらい(新人医療事務)
あおいさん、「注入器用注射針加算」ってレセプトでたまに見かけるんですけど、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で自己注射をしている患者さんに、注入器で使う注射針を処方したときに算定を検討する材料加算ですよ。区分番号でいうと「C153」です。糖尿病でインスリンの自己注射をしている患者さんなどが、代表的な対象になります。
みらい(新人医療事務)
「注入器加算」(C151)と名前が似ていて混乱しそうです……別物ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、別物です。C151は注入器そのものの加算、C153は注入器で使う「針」の加算です。同じ処方でも、注入器を処方するか・針だけを処方するかで、どちらを算定するかが変わってきます。この違いは後でもう少し詳しく説明しますね。
注入器用注射針加算ってどんな加算?
みらい(新人医療事務)
まず、この加算の基本的な位置づけを教えてください。
あおい(元・医療事務)
注入器用注射針加算は「在宅療養指導管理材料加算」というグループに入る加算です。在宅自己注射指導管理料をはじめとする在宅療養指導管理料を算定している患者さんに対して、注入器用の注射針を処方した場合に、第1款の所定点数に上乗せする形で算定を検討します。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ということは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。あくまで在宅療養指導管理料の加算という位置づけです。厚生労働省の告示にも「別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、注入器用の注射針を処方した場合に、第1款の所定点数に加算する」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者以外」というのがポイントですね。
あおい(元・医療事務)
はい。外来や在宅の患者さんが基本的な対象で、入院中の患者さんは原則として対象外です。ただし、退院日に限った例外的な取り扱いもあります。これは後の「併算定・算定できないケース」のところでお話ししますね。
対象になるのはどんな医療機関・患者?
みらい(新人医療事務)
うちのような診療所でも対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも算定候補になり得ます。在宅療養指導管理料の対象患者に、自己注射のための注入器用注射針を処方する場面であれば、医療機関の規模は問いません。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな患者さんが多いんですか?
あおい(元・医療事務)
代表的には、インスリンなどの自己注射薬を扱う在宅自己注射指導管理料の対象患者さんです。留意事項通知でも、退院時の取り扱いとして「C101」在宅自己注射指導管理料との関係が明記されています。ただし、対象になる注射薬は「別に厚生労働大臣が定める注射薬」として個別に定められているので、実際にどの患者さんが対象かは、処方内容とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
「確認が必要」なんですね。安易に「全員対象」とは言えないと。
あおい(元・医療事務)
そうですね。対象患者や対象薬剤の範囲を一律に決めつけず、処方の中身で都度確認するのが安全です。
点数はいくらになる?
みらい(新人医療事務)
気になる点数を教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、次の2区分に分かれています。
| 区分 | 対象 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 1 | 治療上の必要があって、1型糖尿病もしくは血友病の患者、またはこれらの患者に準ずる状態にある患者に処方した場合 | 200点 |
| 2 | 1以外の場合 | 130点 |

みらい(新人医療事務)
200点になるか130点になるかは、疾患名だけで決まるんですか?
あおい(元・医療事務)
疾患名に加えて「治療上の必要があって」という前提が付いています。1型糖尿病・血友病、またはそれに準ずる状態であることが、200点区分の候補になる条件です。それ以外のケースは130点区分の候補になります。どちらに該当するかは、処方内容とカルテの記載をもとに個別に確認してください。
点数区分の判断は個別確認が必要
1型糖尿病・血友病「に準ずる状態」に該当するかどうかは、症例ごとの医学的な判断が関わります。この記事だけで区分を確定させず、処方医の判断・カルテの記載内容で確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は要りますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した告示・留意事項通知の範囲では、注入器用注射針加算そのものに固有の施設基準や届出を求める記載は見当たりませんでした。在宅療養指導管理料に上乗せする材料加算という位置づけのためです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ「届出不要」と言い切っていいんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にしたいところです。「見当たらなかった」ことは「不要と確定した」こととイコールではありません。
届出の要否は必ず自院で最終確認を
届出の要否は加算ごとに扱いが異なり、地方厚生(支)局の運用にもよります。資料に明記が見当たらない場合でも断定はできないため、自院が届け出ている在宅療養指導管理料の届出内容や、地方厚生(支)局への確認を必ず行ってください。
併算定・算定できないケースに注意
みらい(新人医療事務)
算定できないケースって、具体的にどんな場合ですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、いくつか具体的な取り扱いが示されています。1つずつ確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
まず、C151注入器加算との関係が気になります。
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「『C151』注入器加算における『注入器』を処方せず、注射針一体型でないディスポーザブル注射器を処方した場合は、注入器用注射針加算のみ算定する」と書かれています。つまり、C151の「注入器」を処方せずに、針一体型ではない使い切りタイプの注射器を処方した場合は、C151ではなくC153だけを算定候補として検討する、という整理です。
みらい(新人医療事務)
摘要欄への記載も必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。算定要件として「注入器用注射針加算は、注入器用注射針を処方した場合に算定できる。この場合において、『1』の加算は、以下のいずれかの場合に算定できるものであり、算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に次のいずれに該当するかを記載すること。ア 糖尿病等で1日概ね4回以上自己注射が必要な場合 イ 血友病で自己注射が必要な場合」と定められています。200点区分(区分1)を算定する場合は、摘要欄に「ア」(糖尿病等で1日概ね4回以上の自己注射が必要)か「イ」(血友病で自己注射が必要)のどちらに該当するかを記載する取り扱いです。
みらい(新人医療事務)
逆に、算定できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。留意事項通知には「注入器用注射針加算は、針付一体型の製剤又は針無圧力注射器を処方した場合には算定できない」と明記されています。針があらかじめ一体になっている製剤や、針を使わない圧力注射器を処方した場合は、注入器用注射針加算の対象外の可能性が高いと考えられます。
みらい(新人医療事務)
入院患者さんは基本対象外というお話でしたが、例外もあるんですよね?
あおい(元・医療事務)
はい。退院日に限った例外があります。留意事項通知には「入院中の患者に対して、退院時に『C101』在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り、在宅自己注射指導管理料の所定点数及び注入器用注射針加算の点数を算定できる。この場合において、当該保険医療機関において当該退院月に外来、往診又は訪問診療において在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合であっても、指導管理の所定点数及び注入器用注射針加算は算定できない」とあります。退院日に限って、在宅自己注射指導管理料と合わせて算定候補になり得ますが、同じ月にその医療機関で外来・往診・訪問診療でも同管理料に相当する指導管理を行った場合は、二重に算定することはできない、という注意点があります。
よくある取り漏れ・思い込みに注意
「注入器を処方していないから対象外」と思い込んで、注入器用注射針加算の検討自体を忘れてしまうケースがあります。注入器(C151)を処方していなくても、針一体型ではない注射器と針を処方していれば、C153が算定候補になる場面があるため、処方内容を都度確認しましょう。
みらい(新人医療事務)
針そのものが特定の医療材料として決まっていない場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
過去の疑義解釈で、シリンジ一体型の製剤を自己注射する患者さんに対し、使用する針が特定保険医療材料として個別に設定されていない場合でも、注入器用注射針加算を算定して針を支給する取り扱いが「そのとおり」と確認されています。ただし個々のケースでは、処方している製剤・針の種類を照合したうえで確認してください。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定(令和6年度)から、何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した一次資料(令和8年厚生労働省告示第69号、および関連する留意事項通知)の範囲では、注入器用注射針加算の点数区分(200点・130点)や算定要件の内容について、前回改定(令和6年度)からの変更を示す記載は確認されていません(確認日: 2026年7月)。
みらい(新人医療事務)
つまり「同じ内容が続いている」という理解でいいんですか?
あおい(元・医療事務)
あくまで「当サイトが確認した資料の範囲では変更が見当たらない」という意味です。今後の訂正通知や疑義解釈で取り扱いが補足・変更される可能性もあるため、最新の公式情報は都度確認してください。
改定差分の確認ポイント
点数が変わっていなくても、算定要件・摘要欄の記載ルール・併算定の扱いだけが変わる改定もあります。「点数据え置き=内容も同じ」と決めつけず、留意事項通知の該当箇所を都度確認する習慣をつけましょう。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで算定候補かどうか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくと整理しやすいですよ。
自院で確認する順番
- 患者さんが在宅自己注射など、対象となる在宅療養指導管理料の対象になっているか確認する
- 処方するのが「注入器用の注射針」かどうかを確認する(針付一体型の製剤・針無圧力注射器は対象外の可能性)
- 200点区分に該当するか(1型糖尿病・血友病・これらに準ずる状態か)、130点区分かを処方内容・カルテで確認する
- 摘要欄に記載する該当区分(ア・イ)を確認する
- 入院患者の場合は、退院日の例外的な取り扱いに該当するかを確認する
- 届出の要否について、自院の届出状況・地方厚生(支)局への確認を行う

みらい(新人医療事務)
こうやって順番に見ていけば、迷わずに済みそうです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、よくある疑問をまとめて聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
注入器加算(C151)と注入器用注射針加算(C153)は同時に算定できますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では、C151の「注入器」を処方せず、針一体型でないディスポーザブル注射器を処方した場合はC153のみを算定する、という整理が示されています。同時算定できるかどうかは処方内容によって変わるため、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
200点か130点か迷ったときは、どうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
1型糖尿病・血友病、またはこれらに準ずる状態かどうかがポイントです。判断に迷う場合は、処方医に確認したうえで、カルテの記載と整合させておくと安心です。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者は本当に対象外なんですか?
あおい(元・医療事務)
原則として対象外ですが、退院日に限った例外があります。退院時に在宅自己注射指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合は、退院の日に限り算定候補になり得ます。ただし同じ月に外来・往診・訪問診療でも指導管理を行った場合は、二重には算定できません。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や処方内容を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。