みらい(新人医療事務)
先輩、在宅の患者さんのカルテに「人工呼吸器加算」って書いてあるレセプトを見つけたんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。人工呼吸器加算は、区分番号でいうとC164にあたる在宅医療の加算です。在宅で人工呼吸療法を行っている患者さんに対して、使用している人工呼吸器の種類に応じて、在宅療養指導管理料の所定点数に上乗せする形で算定候補になります。
みらい(新人医療事務)
「上乗せ」ってことは、単独では算定できないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の別表第一では、こう定められています。「C164 人工呼吸器加算 1 陽圧式人工呼吸器 7,480点 注 気管切開口を介した陽圧式人工呼吸器を使用した場合に算定する。2 人工呼吸器 6,480点 注 鼻マスク又は顔マスクを介した人工呼吸器を使用した場合に算定する。3 陰圧式人工呼吸器 7,480点 注 陰圧式人工呼吸器を使用した場合に算定する。注 在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の患者に対して、人工呼吸器を使用した場合に、いずれかを第1款の所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
「第1款の所定点数に加算する」ってどこの点数のことですか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療の第1節第1款、つまり在宅療養指導管理料のグループのことです。代表的なのは在宅人工呼吸指導管理料(C107)ですね。告示ではC107について「C107 在宅人工呼吸指導管理料 2,800点 注 在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅人工呼吸に関する指導管理を行った場合に算定する。」とされています。この管理料に、人工呼吸器加算のどれか1区分を上乗せするイメージです。
人工呼吸器加算とは(対象医療機関・対象患者)
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が算定候補になるんですか?病院じゃないとダメとか、そういう縛りはありますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、診療所・病院のどちらも算定候補になり得ます。ポイントは「在宅」で人工呼吸を行っている患者さんが対象で、入院中の患者さんは対象外という点です。告示の注に「在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の患者に対して」と明記されています。
みらい(新人医療事務)
通院している外来の患者さんはどうですか?
あおい(元・医療事務)
この加算は在宅療養指導管理料への上乗せなので、外来の一般的な診療で算定するものではありません。在宅医療として在宅療養指導管理料を算定している患者さんが前提になります。留意事項通知(保医発0305第6号、令和8年3月5日)のC107の解説部分では、対象患者について「対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者とする。なお、睡眠時無呼吸症候群の患者(Adaptive Servo Ventilation(ASV)を使用する者を含む。)は対象とならない。」と書かれています。
対象患者の判断はAIが代行できません
病状の安定性や在宅人工呼吸が適当かどうかは、主治医の医学的判断です。当サイトは一次資料の要件を整理してお伝えするものであり、個々の患者さんが対象になるかどうかの判定は行っていません。必ず主治医・医事担当者間で確認してください。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数、もう一度整理してもらえますか?3区分あるんですよね。
あおい(元・医療事務)
はい、令和8年度の告示に基づくと次の3区分です。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) | 算定の条件(告示の注) |
|---|---|---|---|
| 1 | 陽圧式人工呼吸器 | 7,480点 | 気管切開口を介した陽圧式人工呼吸器を使用した場合 |
| 2 | 人工呼吸器 | 6,480点 | 鼻マスク又は顔マスクを介した人工呼吸器を使用した場合 |
| 3 | 陰圧式人工呼吸器 | 7,480点 | 陰圧式人工呼吸器を使用した場合 |

みらい(新人医療事務)
3つとも同時に算定できるわけじゃないですよね?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。告示の書き方は「いずれかを第1款の所定点数に加算する」なので、使用している人工呼吸器の種類に応じて1区分だけが算定候補になります。同じ月に複数の区分を重ねて算定する、という考え方ではありません。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
これって事前に届出とか、施設基準を満たす必要ってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、人工呼吸器加算(C164)そのものについて、施設基準の届出を求める記載は見当たりません。ただし、基礎となる在宅人工呼吸指導管理料(C107)側には、留意事項通知で医療機関が備えるべき機械・器具の条件が定められています。
みらい(新人医療事務)
どんな条件なんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「在宅人工呼吸療法を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。ア 酸素吸入設備 イ 気管挿管又は気管切開の器具 ウ レスピレーター エ 気道内分泌物吸引装置 オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの) カ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)」とされています。これは在宅人工呼吸指導管理料側の要件であり、人工呼吸器加算の届出要件として別途書かれているわけではありません。
届出の有無は自院で必ず確認を
「施設基準の記載が見当たらない」ことは、「絶対に届出不要」であることを断定するものではありません。地方厚生局への届出状況や運用は医療機関ごとに異なる場合があるため、最終的な確認は自院の届出台帳・地方厚生局・審査支払機関で行ってください。
算定のタイミングと回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するタイミングとか、月に何回まで、みたいな制限はありますか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、当サイトが収録している一次資料の範囲では、人工呼吸器加算そのものの算定回数(月○回まで、といった上限)を明記した記載を確認できていません。在宅療養指導管理料は一般に月1回の算定が基本ですが、人工呼吸器加算側に固有の回数制限があるかどうかは、この記事の一次資料だけでは断定できません。回数の取り扱いは、審査支払機関・地方厚生局に個別確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
併算定はどうですか?他の項目と一緒に算定できないものってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
C164自体の留意事項通知には「療養上必要な回路部品その他附属品(療養上必要なバッテリー及び手動式肺人工蘇生器等を含む。)の費用は当該所定点数に含まれ、別に算定できない。」と書かれています。回路部品やバッテリーなどの附属品費用は、加算の点数に含まれているため別建てで請求できない、ということですね。
みらい(新人医療事務)
基礎になっているC107側はどうなんですか?
あおい(元・医療事務)
C107(在宅人工呼吸指導管理料)の留意事項通知には、この管理料を算定している患者について「『J024』酸素吸入、『J024-2』突発性難聴に対する酸素療法、『J025』酸素テント、『J026』間歇的陽圧吸入法、『J026-3』体外式陰圧人工呼吸器治療、『J018』喀痰吸引、『J018-3』干渉低周波去痰器による喀痰排出、『J026-2』鼻マスク式補助換気法及び『J045』人工呼吸の費用(これらに係る酸素代を除き、薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。」という記載があります。これはC107側の留意事項であり、C164そのものの併算定制限として個別に書かれたものではない点は分けて理解しておくとよいと思います。
併算定の可否は個別確認が必要
上記はあくまで当サイトが収録している一次資料に基づく整理です。実際のレセプトでの算定可否は、患者さんの病態・実施した診療内容・審査支払機関の判断によって変わる可能性があります。断定せず、疑わしい場合は事前に確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
実際にうちの患者さんで算定候補になるか、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認するとわかりやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者の確認: 入院中ではなく、在宅で人工呼吸療法を行っている患者さんかどうかを確認する
- 使用機器の確認: 気管切開口を介した陽圧式人工呼吸器、鼻マスク・顔マスクを介した人工呼吸器、陰圧式人工呼吸器のどれを使用しているかを確認する
- 基礎点数の確認: 在宅療養指導管理料(例: 在宅人工呼吸指導管理料)を算定しているかを確認する
- 区分の選択: 使用機器の種類に対応する区分(1〜3のいずれか1つ)を確認する
- 最終確認: 届出状況・回数の取り扱いを自院の記録と審査支払機関で確認し、算定候補として整理する

みらい(新人医療事務)
なるほど、まず「入院中じゃないこと」と「機器の種類」がポイントなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ここを取り違えると区分選択を間違えやすいので、レセプト担当者と主治医で機器の種類を共有しておくと安心です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな取り漏れ、教えてください。
あおい(元・医療事務)
いくつかパターンがあります。
取り漏れパターン1: 機器の種類を確認せず一律で算定してしまう
陽圧式・人工呼吸器(マスク式)・陰圧式で点数が異なります(7,480点/6,480点/7,480点)。機器の切り替え時に区分の見直しを忘れると、実態と異なる区分で算定してしまう可能性があります。
取り漏れパターン2: 附属品費用を別立てで請求してしまう
回路部品・バッテリー・手動式肺人工蘇生器等の附属品費用は、留意事項通知により所定点数に含まれるとされています。別建てで請求すると過誤請求につながる可能性があるため注意が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算って何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、人工呼吸器加算そのものについて新設・廃止・点数区分の見直しを示す記載は確認されていません。今回ご紹介した区分1〜3の点数(7,480点・6,480点・7,480点)と算定要件は、令和8年度時点の告示に基づく内容です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ前回改定(令和6年度)と比べて変わってないってことですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重にお伝えする必要があります。当サイトの一次資料は令和8年度分が中心で、前回改定(令和6年度)時点の告示と直接突き合わせたデータを保有していないため、「変更が無かった」と断定はできません。前回改定からの差分を正確に把握したい場合は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」のページで告示・通知の履歴を確認することをおすすめします。
改定差分は一次資料で最終確認を
点数が据え置きに見えても、施設基準や算定要件が改定で変わっているケースはあります。前回改定との比較が必要な場合は、厚生労働省の告示・通知やご自身の地方厚生局への確認をおすすめします。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問させてください。人工呼吸器加算の算定要件を一言でいうと何ですか?
あおい(元・医療事務)
在宅で人工呼吸療法を行っている入院外の患者さんに対して、使用している人工呼吸器の種類(陽圧式・マスク式・陰圧式)に応じた区分を、在宅療養指導管理料の所定点数に上乗せする加算、というのが要件の骨子です。
みらい(新人医療事務)
人工呼吸器加算の施設基準は具体的に何が必要ですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、C164自体に固有の施設基準・届出の記載は確認できていません。基礎となる在宅人工呼吸指導管理料側には、酸素吸入設備やレスピレーターなど備えるべき機械・器具の条件があります。自院がその条件を満たしているかは、届出状況とあわせて確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
人工呼吸器加算の点数はいくらですか?
あおい(元・医療事務)
区分によって異なり、陽圧式人工呼吸器(気管切開口)が7,480点、人工呼吸器(鼻マスク・顔マスク)が6,480点、陰圧式人工呼吸器が7,480点です(いずれも令和8年度)。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する在宅療養指導管理料については、在宅人工呼吸指導管理料 の記事もあわせてご覧ください。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。