携帯型精密輸液ポンプ加算とは?まず基本を教えてください
みらい(新人医療事務)
あおいさん、「携帯型精密輸液ポンプ加算」というのを初めて見たんですけど、どういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)の医科点数表にある在宅医療の加算のひとつです。区分番号はC168で、10,000点が加算されます。告示には「肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のものに対して、携帯型精密輸液ポンプを使用した場合に、第1款の所定点数に加算する」と記載されています。
みらい(新人医療事務)
「第1款の所定点数に加算する」ってどういう意味ですか?単独では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そうなんです。この加算はそれ単独では成立しません。第1款=在宅療養指導管理料(例えば在宅肺高血圧症患者指導管理料)を算定している月に、携帯型精密輸液ポンプを使って治療を行った場合に上乗せする「材料加算」という位置づけです。まずベースの指導管理料があって、そこに材料費相当分として加算される、とイメージしてください。
みらい(新人医療事務)
なるほど、土台になる指導管理料があるんですね。具体的にはどんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の要件は「肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のもの」です。在宅で治療している肺高血圧症の患者さんが対象で、入院中の患者さんは対象になりません。実際には、在宅で肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプを使ってプロスタグランジンI2製剤を投与するケースが想定されています。
みらい(新人医療事務)
医科点数表の中では、どのあたりに分類されている加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の目次構成でいうと、「第2章 特掲診療料」の「第2部 在宅医療」の「第2節 在宅療養指導管理料」の中に、「第1款 在宅療養指導管理料」と「第1款」に対する「第2款 在宅療養指導管理材料加算」が並んでいます。携帯型精密輸液ポンプ加算は、この第2款の材料加算のひとつという整理です。第1款の指導管理料(在宅肺高血圧症患者指導管理料など)が本体で、第2款の材料加算がそこに上乗せされる、という構造をまず押さえておくとわかりやすいと思います。
点数と対象になる場面を確認したい
みらい(新人医療事務)
点数まわりをもう少し整理してもらえますか?表にしてもらえると助かります。
あおい(元・医療事務)
令和8年度(2026年度)時点の情報を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コード | C168 |
| 加算名 | 携帯型精密輸液ポンプ加算 |
| 点数 | 10,000点 |
| 分類 | 在宅療養指導管理材料加算(第2款) |
| 対象患者 | 肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のもの |
| 前提となる管理料の例 | 在宅肺高血圧症患者指導管理料(C111) |

みらい(新人医療事務)
この「携帯型精密輸液ポンプ」って、具体的にどういう場面で使う機器なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅肺高血圧症患者指導管理料の留意事項通知に手がかりがあります。「在宅において、肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプ又は携帯型精密ネブライザを用いてプロスタグランジンI2製剤を投与する場合に、医師が患者又は患者の看護に当たる者に対して、当該療法の方法、注意点及び緊急時の措置等に関する指導を行い、当該患者の医学管理を行うこと」が管理料の内容とされています。つまり、患者さん自身が在宅でプロスタグランジンI2製剤を持続投与するための機器として、携帯型精密輸液ポンプが使われる、という位置づけです。
回数制限は通則の確認が必要です
携帯型精密輸液ポンプ加算が属する第2款(在宅療養指導管理材料加算)の通則には「本款各区分に掲げる在宅療養指導管理材料加算は、第1款各区分に掲げる在宅療養指導管理料のいずれかの所定点数を算定する場合に、特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する」とあります。C168自体の条文にはこれを上書きする特別な回数規定は見当たらないため、この通則が適用される可能性があります。ただし個別の取り扱いは審査支払機関・医科点数表の該当箇所で必ず確認してください。
併算定・費用に含まれるものを確認したい
みらい(新人医療事務)
この加算を算定するとき、注意しておくべきことはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい、留意事項通知にはっきり書かれている注意点があります。「携帯型精密輸液ポンプ加算には、カセット、延長チューブその他携帯型精密輸液ポンプに必要な全ての機器等の費用が含まれ、別に算定できない」とされています。つまり、ポンプ本体の使用に付随するカセットや延長チューブといった消耗品・付属機器の費用は、この10,000点に含まれていて、別立てで算定することはできません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、カセットとかチューブ代を別で請求してしまうと問題になるってことですね。
あおい(元・医療事務)
その通りです。レセプトを作る際は、携帯型精密輸液ポンプ関連の消耗品を別項目で計上していないか、確認しておく必要があります。
よくある取り漏れ・思い違い
カセット・延長チューブの別算定: 加算に含まれるため別に算定できません。誤って特定保険医療材料料などで計上していないか確認しましょう。 単独算定の思い違い: この加算だけを単独で算定することはできません。前提となる在宅療養指導管理料(例: 在宅肺高血圧症患者指導管理料)の算定要件を満たしているかが先に来ます。
施設基準・届出は必要ですか?
みらい(新人医療事務)
算定するには、施設基準の届出とか必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
正直なところ、ここは慎重に確認してほしいところです。当サイトが照合した告示(C168の区分)と留意事項通知の本文には、携帯型精密輸液ポンプ加算そのものについて独立した施設基準や届出手続きの記載は見当たりませんでした。
みらい(新人医療事務)
ということは、届出はいらないってことですか?
あおい(元・医療事務)
断定はできません。この加算は単独の項目ではなく、前提となる在宅療養指導管理料(第1款)に上乗せする材料加算です。ですので、算定できるかどうかは、まず前提となる在宅肺高血圧症患者指導管理料などの算定要件・自院の届出状況を満たしているかどうかにかかってきます。「加算自体に届出規定が見当たらない」ことと「実際に算定候補になるかどうか」は別の話ですので、確認が必要です。
自院で確認する順番
- 対象患者が「肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外」に該当するか確認する
- 前提となる在宅療養指導管理料(例: 在宅肺高血圧症患者指導管理料)の算定要件・届出状況を確認する
- 実際に携帯型精密輸液ポンプを使用してプロスタグランジンI2製剤等の投与を行っているか確認する
- カセット・延長チューブ等の付属品を別項目で計上していないかレセプトを確認する
- 不明点は地方厚生局・審査支払機関または公式資料で最終確認する

みらい(新人医療事務)
前提の指導管理料の確認が一番大事そうですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。まず「土台になる管理料の要件を満たしているか」を確認し、そのうえで「携帯型精密輸液ポンプを実際に使っているか」を見る、という順番で押さえておくとわかりやすいと思います。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた令和8年度の告示・留意事項の範囲では、携帯型精密輸液ポンプ加算(C168)の点数(10,000点)や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚労省一次情報ベース)。点数据え置きの項目でも、施設基準や対象範囲が変わるケースもあるため、今後の告示・通知の更新は継続して確認が必要です。
前回改定との対比(時系列イメージ)
令和6年度(2024年度)改定時点: C168 携帯型精密輸液ポンプ加算として整理 令和8年度(2026年度)改定: 資料の範囲では点数・算定要件に変更なし(要件は本記事の内容を参照)
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、細かい疑問をいくつか聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えますね。
みらい(新人医療事務)
携帯型精密ネブライザ加算(C168-2)というのも見かけたんですが、これとは違うんですか?
あおい(元・医療事務)
別の区分の加算です。告示ではC168-2「携帯型精密ネブライザ加算」として3,200点が設定されており、「肺高血圧症の患者であって入院中の患者以外のものに対して、携帯型精密ネブライザを使用した場合に、第1款の所定点数に加算する」とされています。ポンプではなく吸入用の機器を使う場合の加算で、点数も要件の文言も別建てです。どちらに該当するかは、実際に使用している機器で判断する必要があります。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の要件が「入院中の患者以外のもの」と明記されているため、入院中の患者さんは対象になりません。在宅療養中の患者さんが対象です。
みらい(新人医療事務)
施設基準がよくわからないときは、どこに確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の該当箇所(C168・第1款の在宅療養指導管理料)や、地方厚生局が公表している届出関連の資料、審査支払機関への確認が確実です。当サイトの整理はあくまで公式資料の一次情報をもとにした確認の入り口として使ってください。
みらい(新人医療事務)
プロスタグランジンI2製剤って、そもそもどんな薬なんですか?
あおい(元・医療事務)
薬剤そのものの詳細(用法・用量・薬価など)は本記事の範囲を超えるため、添付文書や薬剤師と確認していただく前提でお願いしたいのですが、点数表の留意事項の文脈では「在宅において肺高血圧症患者自らが携帯型精密輸液ポンプ又は携帯型精密ネブライザを用いて投与する」薬剤として位置づけられています。つまり、この加算は「薬剤そのもの」の評価ではなく、その薬剤を在宅で安全に投与するための機器(ポンプ)の使用に対する材料加算、という整理です。
みらい(新人医療事務)
医療事務の立場としては、レセプトのどこに気をつければいいですか?
あおい(元・医療事務)
大きく2点です。ひとつは前提の在宅療養指導管理料が同月に算定されているかどうか。もうひとつは、カセットや延長チューブなど、ポンプに付随する消耗品を別項目で計上していないかどうかです。この2点をチェックリスト代わりに確認しておくと、記載漏れや二重算定のリスクを減らせると思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。前提となる在宅療養指導管理料の届出状況や、実際に使用している機器を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する 在宅肺高血圧症患者指導管理料 や、同じ在宅材料加算の 間歇注入シリンジポンプ加算 もあわせて確認しておくと、算定漏れの防止につながります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。