みらい(新人医療事務)
在宅酸素とか在宅人工呼吸のカルテを見ていたら「在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算」っていう項目が出てきたんですけど、これって何の加算なんですか? CPAPとかASVとか略語が多くて混乱してます…。
あおい(元・医療事務)
正式には区分番号C165の加算です。在宅で持続陽圧呼吸療法(CPAPやASV)を行っている患者さんに対して、保険医療機関が治療器そのものを貸与した場合に算定できる加算ですよ。令和8年度時点では、C107-2「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料」を算定している患者さんが対象になります。
みらい(新人医療事務)
「指導管理料」に対する加算ってことですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。C107-2の所定点数に上乗せする形の加算で、単独では算定できません。まずはC107-2を算定できているかどうかが出発点になります。関連する在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料のページも合わせて確認しておくと理解しやすいと思います。
この加算の対象になる医療機関・患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関が対象になるんですか? うちは在宅療養支援診療所なんですけど。
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらでも対象になり得ます。ポイントは施設の種類より「在宅で持続陽圧呼吸療法を行っている、入院中ではない患者」に治療器を貸与しているかどうかです。入院中の患者さんは対象外という点は明確に区別しておく必要があります。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには使えないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示第69号)の注書きにも、「在宅持続陽圧呼吸療法を行っている入院中の患者以外の患者に対して、持続陽圧呼吸療法用治療器を使用した場合に、第1款の所定点数に加算する」と明記されています。入院中は算定対象外、と読み取れる書き方です。
対象患者のベース条件
在宅で治療していること: 入院中の患者は対象外です。 C107-2を算定していること: 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(区分1または区分2)を算定している患者が前提になります。 装置は医療機関が貸与していること: 患者が自費で購入した装置には適用されません。
点数の区分(ASVかCPAPか)

みらい(新人医療事務)
点数っていくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
加算は2区分に分かれていて、使用する装置の種類で点数が変わります。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 加算1 | ASV(自動調整型サーボ換気応用装置)を使用した場合 | 3,750点 |
| 加算2 | CPAP(持続陽圧呼吸療法装置)を使用した場合 | 960点 |
みらい(新人医療事務)
ASVのほうがずいぶん点数が高いですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ASVは主に慢性心不全の患者さんに使う装置で、CPAPより点数が高く設定されています。ただし点数が高い=取りやすいわけではなく、ASVを使う加算1は対応するC107-2の対象患者要件(慢性心不全・NYHA分類・睡眠ポリグラフィー所見など)を満たしているかどうかの確認が必要です。この点は後ほど詳しく説明します。
加算1(ASV)と加算2(CPAP)、それぞれの算定要件
みらい(新人医療事務)
ASVを使えば加算1、CPAPを使えば加算2、っていう単純な話じゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
使用する装置の種類がベースにはなりますが、それぞれ対応するC107-2の対象患者要件を満たしていることが前提です。厚生労働省の留意事項通知には、次のように書かれています。
留意事項通知(原文引用)
在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算1については、「C107-2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1並びに「C107-2」在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のア及びイの要件に該当する患者に対して保険医療機関が患者に貸与する持続陽圧呼吸療法装置のうち、ASVを使用して治療を行った場合に算定できる。(中略)在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算2については、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2のウの要件に該当する患者に対して保険医療機関が患者に貸与する持続陽圧呼吸療法装置のうち、CPAPを使用して治療を行った場合に算定できる。
みらい(新人医療事務)
「2のア及びイ」とか「2のウ」とか、条文の言い回しがややこしいです…。もう少し噛み砕いてもらえますか?
あおい(元・医療事務)
C107-2の対象患者は、指導管理料1と指導管理料2で条件が分かれています。指導管理料1の対象は、慢性心不全でNYHA心機能分類Ⅲ度以上、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィーで確認された患者などです。指導管理料2の対象はア・イ・ウの3パターンに分かれていて、ウは睡眠時無呼吸症候群でCPAPにより改善が確認された患者が中心になります。加算1はこのうち「ASVを使う心不全系の患者(1、2のア・イ)」、加算2は「CPAPを使う睡眠時無呼吸症候群系の患者(2のウ)」に対応するイメージです。
対象患者の該当判定はAIが行いません
ア・イ・ウのどの要件に該当するかは、無呼吸低呼吸指数や睡眠ポリグラフィーの所見、NYHA分類など医学的な診断に基づく判断が必要です。この記事はあくまで整理の入り口であり、個々の患者さんがどの要件に該当するかの判断は、必ず主治医・担当医師が公式資料に基づいて行ってください。
レセプト記載・摘要欄の注意点
みらい(新人医療事務)
算定するときに、レセプトで何か特別に書かないといけないことはありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。指導管理料2のア又はイの要件に該当する患者について加算1を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、算定の根拠となった要件(アかイか)を記載する必要があります。さらに、イの要件を根拠にする場合は、その患者に対するASV療法の実施開始日も併せて記載することとされています。
みらい(新人医療事務)
書き忘れると査定されちゃうかもしれないってことですよね…。
あおい(元・医療事務)
可能性はあります。摘要欄の記載漏れは審査で指摘されやすい典型的なポイントなので、算定時のチェックリストに組み込んでおくのがおすすめです。加算2についても、C107-2の「注3」に規定する情報通信機器を用いた指導管理(オンライン診療)を算定した場合にも算定できる、という追加の取り扱いがある点は覚えておくとよいと思います。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
この加算自体に、施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、加算C165そのものに個別の施設基準・届出は設けられていません。ベースとなるC107-2在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の基本部分(区分1・区分2)も、届出なしで算定できる項目です。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出の心配はしなくていいんですね。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、C165加算自体は届出不要という整理になりますが、混同しやすい点として、C107-2には「持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(15点)」や「遠隔モニタリング加算(150点)」という、施設基準の届出が必要な別の加算が用意されています。これらはC165とは別区分の加算なので、届出状況を確認する際は加算ごとに分けて管理するのが安全です。
よくある取り漏れ
加算とベースの取り違え: C165はC107-2算定が前提です。C107-2を算定していない患者にC165だけを単独算定してしまう誤りに注意してください。 装置の種類の記録漏れ: ASV・CPAPどちらを貸与しているかをカルテ・診療録に明確に記録していないと、加算1・加算2どちらで算定すべきか判断できなくなります。 摘要欄の要件記載漏れ: 指導管理料2のア・イ該当患者に加算1を算定する際の摘要欄記載(該当要件、イの場合はASV療法開始日)を忘れるケース。
C171-2(材料加算)との違い
みらい(新人医療事務)
似た名前の「在宅持続陽圧呼吸療法材料加算」っていうのも見かけたんですけど、これは別物ですか?
あおい(元・医療事務)
別区分(C171-2)の加算です。厚生労働省の留意事項通知では、「在宅持続陽圧呼吸療法材料加算には、『C107-2』在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する患者に対し、保険医療機関が貸与する持続陽圧呼吸療法装置に係る費用のうち、装置に必要な回路部品その他の附属品等に係る費用が含まれる」とされています。つまりC165は治療器(装置本体)そのものへの加算、C171-2は回路部品などの附属品にかかる加算という住み分けです。どちらもC107-2算定患者が前提になる点は共通しています。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料(令和8年度の告示・留意事項通知)の範囲では、加算1(ASV、3,750点)・加算2(CPAP、960点)の点数区分や算定要件について、前回改定(令和6年度)からの明確な変更は確認されていません(確認日: 2026年7月・厚生労働省一次情報ベース)。この点は当サイトが把握している範囲での整理であり、今後の疑義解釈等で取り扱いが追加される可能性はあります。
改定差分は今後の一次資料更新で変わる可能性があります
前回改定(令和6年度)との比較は、当サイトが収録している一次資料の範囲内での確認です。今後、厚生労働省から追加の疑義解釈・訂正通知が出た場合は、内容が更新されることがあります。最新の取り扱いは必ず厚生労働省の公式資料でご確認ください。
自院で確認する順番

みらい(新人医療事務)
うちの場合、どういう順番で確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で1つずつ確認していくと進めやすいと思います。
自院で確認する順番
C107-2の算定状況を確認する: 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(区分1または区分2)を算定している患者かどうかを確認します。 貸与している装置の種類を確認する: ASVかCPAPか、カルテ・診療録上で明確になっているかを確認します。 対象患者要件(ア・イ・ウ)への該当を医師が確認する: NYHA分類、無呼吸低呼吸指数、睡眠ポリグラフィーの所見など、医学的な該当判断は必ず主治医が行います。 レセプト摘要欄の記載事項を確認する: 指導管理料2のア・イ該当患者に加算1を算定する場合は、根拠要件とASV療法開始日(イの場合)の記載を確認します。 C171-2など類似加算との重複・整理を確認する: 材料加算(回路部品等)は別区分であることを踏まえ、算定もれ・二重算定がないか確認します。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか気になっていたことを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。どうぞ。
みらい(新人医療事務)
入院患者にも算定できますか?
あおい(元・医療事務)
告示の注書きで「入院中の患者以外の患者」と明記されているため、入院中の患者は対象外という整理になります。詳細は自院の状況に照らして確認してください。
みらい(新人医療事務)
患者さんが自分で装置を購入した場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知は「保険医療機関が患者に貸与する持続陽圧呼吸療法装置」を前提にしています。医療機関からの貸与でない場合の取り扱いは、この記事の範囲では確認できていません。個別のケースは公式資料や審査支払機関にご確認ください。
みらい(新人医療事務)
前回改定(令和6年度)から点数は変わっていますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収録している一次資料の範囲では、令和6年度改定からの点数変更は確認されていません。最新の一次資料でご確認いただくことをおすすめします。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や貸与している装置の種類を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。