みらい(新人医療事務)
今日は「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算」について教えてください。名前が長くて、正直どんな加算なのかピンときていません……。
あおい(元・医療事務)
区分番号C166の在宅療養指導管理材料加算ですね。在宅で麻薬や抗悪性腫瘍剤等の注射を行っている患者さんに対して、携帯型の使い捨て注入ポンプを使用した場合に、在宅療養指導管理料の所定点数に上乗せする加算です。令和8年度時点の点数は2,500点です。
みらい(新人医療事務)
「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ」って、具体的にはどんな機器のことなんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の文言では、麻薬等の投与方法として「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法」という表現が使われています。持続的に薬液を注入できる、使い捨てタイプの小型ポンプとイメージしていただくとわかりやすいと思います。単独では算定できず、あくまで基礎になる在宅療養指導管理料に加算する形の点数です。
対象になる患者は?(イ・ロ・ハの3パターン)
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんは、どんな人なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では「次のいずれかに該当する入院中の患者以外の患者」として、イ・ロ・ハの3パターンが挙げられています。表にまとめました。
| 区分 | 対象患者 |
|---|---|
| イ | 悪性腫瘍の患者であって、在宅において麻薬等の注射を行っている末期の患者 |
| ロ | 悪性腫瘍の患者であって、在宅において抗悪性腫瘍剤等の注射を行っている患者 |
| ハ | イ又はロに該当しない場合であって、緩和ケアを要する心不全、呼吸器疾患又は腎不全の患者に対して、在宅において麻薬の注射を行っている末期の患者 |
みらい(新人医療事務)
イとロって、どちらも悪性腫瘍の患者さんですよね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
イは麻薬等の注射、ロは抗悪性腫瘍剤等の注射という違いがあります。関連する留意事項通知の定義を見ると、麻薬等の投与とは「ブプレノルフィン製剤、モルヒネ塩酸塩製剤、フェンタニルクエン酸塩製剤、複方オキシコドン製剤、オキシコドン塩酸塩製剤、フルルビプロフェンアキセチル製剤又はヒドロモルフォン塩酸塩製剤を注射又は携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて注入する療法」とされています。一方、抗悪性腫瘍剤等の投与とは「携帯型ディスポーザブル注入ポンプ若しくは輸液ポンプを用いて中心静脈注射若しくは植込型カテーテルアクセスにより抗悪性腫瘍剤を注入する療法又はインターフェロンアルファ製剤を多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、ヘアリー細胞白血病若しくは腎癌の患者に注射する療法」と定義されています。イには「末期」という条件が付きますが、ロの条文には末期という条件が明記されていません。
みらい(新人医療事務)
ハはどう考えればいいですか?
あおい(元・医療事務)
ハは、イ・ロの悪性腫瘍のケースに該当しない場合の受け皿にあたります。緩和ケアを要する心不全、呼吸器疾患、腎不全の末期の患者さんが対象です。どの区分に当てはまるかは実際の病状や治療内容によって医師が判断する事項なので、自院の対象患者がどの区分に当たるかは診療記録とあわせて個別に確認が必要です。イ・ロ・ハのどれにも当てはまらない場合は、算定候補にならない可能性があります。

点数と算定の考え方(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度時点で2,500点です。ただしこれは単独では算定できず、条文にあるとおり「第1款の所定点数に加算する」加算です。基礎になる在宅療養指導管理料(第1款)の所定点数に上乗せする形で算定します。
みらい(新人医療事務)
「第1款の所定点数」というのは、具体的にはどの管理料のことですか?
算定単位は基礎の指導管理料に連動
在宅療養指導管理料(第1款)の通則には「本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料は、特に規定する場合を除き、月1回に限り算定し」と定められています。携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算はこの第1款の所定点数に加算する仕組みのため、基礎になる指導管理料が月1回算定であれば、加算もそれに連動して月1回の範囲で算定される形になります。実際の算定回数は自院のレセプト運用とあわせて確認してください。
施設基準・届出は必要?
みらい(新人医療事務)
施設基準や届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
正直にお伝えすると、ここは「未確認」です。告示の条文と留意事項通知を確認した範囲では、携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算そのものに固有の施設基準や届出の規定は見当たりませんでした。基礎になる在宅療養指導管理料(C108・C108-2等)側についても、確認できた一次資料の範囲では個別の届出規定は見当たっていません。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出はしなくていいってことですか?
あおい(元・医療事務)
そう断定はできません。「規定が見当たらなかった」というのは、あくまで今回確認した一次資料の範囲での話です。施設基準や届出の要否は、自院が算定しようとする基礎の指導管理料の区分や、地方厚生局への確認もあわせて、個別に確認することをおすすめします。
施設基準・届出は自院での最終確認が必須
本加算自体に届出の記載は確認できていませんが、「届出不要」と断定できる一次資料もまだ確認できていません。算定前に地方厚生局への確認、または自院の顧問社労士・審査支払機関への確認を行ってください。
算定のタイミング・回数・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知に明確な注意点があります。「外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、携帯型ディスポーザブル注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う場合においては、本加算を算定できない」とされています。
みらい(新人医療事務)
どういうケースがこれに当てはまるんですか?
あおい(元・医療事務)
例えば、外来で抗悪性腫瘍剤の点滴を開始して、そのまま携帯型のポンプを装着した状態で帰宅してもらい、自宅で注入を継続するようなケースです。これは在宅腫瘍化学療法注射指導管理料の対象にもならない治療パターンとして、留意事項通知の別の箇所でも「外来で抗悪性腫瘍剤の注射を行い、注入ポンプなどを用いてその後も連続して自宅で抗悪性腫瘍剤の注入を行う等の治療法のみを行う場合は当該指導管理料の対象には該当しない」と触れられています。外来投与と在宅投与のどちらが主体かによって、算定できる管理料・加算が変わってくるので注意が必要です。
算定できない典型パターン
外来投与の延長として携帯型ディスポーザブル注入ポンプを使用し、そのまま自宅で連続注入を行うだけのケースは、本加算の対象外とされています。在宅での指導管理が独立して行われているかどうかを診療録で確認してください。

令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
対象患者の規定に変更がありました。前回改定(令和6年度)の点数表では、対象患者は「在宅における悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行っている入院中の患者以外の末期の悪性腫瘍の患者」という1つの括りでした。令和8年度(2026年度)改定では、これがイ・ロ・ハの3区分に整理され、悪性腫瘍以外の患者(緩和ケアを要する心不全、呼吸器疾患、腎不全の末期患者)も対象に加わっています。
みらい(新人医療事務)
点数は変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
点数は2,500点のままで変更されていません。変わったのは対象患者の定義の部分です。
前回→今回の変化(対象患者の定義・令和8年度確認)
令和6年度(2024年度)改定時点: 「在宅における悪性腫瘍の鎮痛療法又は化学療法を行っている入院中の患者以外の末期の悪性腫瘍の患者」のみが対象。 令和8年度(2026年度)改定: イ(悪性腫瘍・末期・麻薬等注射)、ロ(悪性腫瘍・抗悪性腫瘍剤等注射)、ハ(心不全・呼吸器疾患・腎不全の末期患者・麻薬注射)の3区分に整理。点数は2,500点で据え置き。
みらい(新人医療事務)
これは負担が減るとか増えるとか、そういう話じゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね、点数の増減の話ではなく、対象患者の範囲がどう定義し直されたかという事実です。この改定がどちらに有利・不利かという評価は一次資料に明記されていないので、ここでは変更内容の事実だけをお伝えしています。自院の対象患者が令和8年度の区分のどれに当てはまるかを、あらためて確認していただくのがよいと思います。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で確認していくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象患者がイ・ロ・ハのいずれかに該当するか、診療内容・病状で確認する
- 基礎になる在宅療養指導管理料(C108・C108-2等)を算定しているか確認する
- 実際に携帯型ディスポーザブル注入ポンプを使用しているか、使用機器の記録を確認する
- 外来投与の延長としての連続注入だけになっていないか確認する
- 施設基準・届出の要否について地方厚生局・審査支払機関に確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
よくある取り漏れ①: イ・ロ・ハの区分の見極め不足
対象患者がイ・ロ・ハのどの区分に当たるかを明確にせず算定してしまうケースです。特にロは「末期」という条件が条文上明記されていない点が、イと混同されやすいポイントです。
よくある取り漏れ②: 外来投与との混同
外来で開始した抗悪性腫瘍剤の投与をそのまま自宅で連続するだけのケースを算定してしまうと、留意事項通知の除外規定に抵触する可能性があります。在宅での指導管理が独立して行われているかを確認しましょう。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後にいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。
みらい(新人医療事務)
Q. 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算は、診療所でも病院でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 当サイトが確認した一次資料の範囲では、対象医療機関を診療所・病院いずれかに限定する記載は見当たりません。ただし、基礎になる在宅療養指導管理料の算定要件を満たしていることが前提になるので、自院の届出状況・算定状況とあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 前回改定(令和6年度)から対象患者の定義が変わったとのことですが、以前から算定していた患者さんは引き続き対象になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 令和6年度時点で「末期の悪性腫瘍の患者」として対象だった患者さんは、令和8年度のイまたはロの区分に該当する可能性があると考えられますが、実際にどちらの区分に当たるかは病状・治療内容によって異なるため、個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
Q. 携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算だけを単独で算定することはできますか?
あおい(元・医療事務)
A. できません。条文にあるとおり「第1款の所定点数に加算する」加算のため、基礎になる在宅療養指導管理料を算定していることが前提です。
みらい(新人医療事務)
Q. 外来で抗悪性腫瘍剤の点滴を行い、途中から携帯型ポンプに切り替えて帰宅してもらった場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 留意事項通知では、外来投与の延長としてポンプを使い自宅で連続注入するだけのケースは、本加算の対象外とされています。在宅での指導管理を独立して行っているかどうかがポイントになるので、診療録の記載とあわせて確認してください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。