みらい(新人医療事務)
訪問診療をしている患者さんで、ご自宅で人工呼吸器を使っている方がいるんです。「在宅人工呼吸指導管理料」っていう名前を見かけたんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
在宅人工呼吸指導管理料は、区分C107の在宅療養指導管理料の一つです。ご自宅で長期にわたって人工呼吸療法を続けている患者さんに対して、装置の保守管理や夜間・緊急時の対応などの指導管理を行った場合に算定候補になる項目ですよ。令和8年度の診療報酬点数表に基づいてお話ししますね。
みらい(新人医療事務)
「在宅人工呼吸」って、具体的にはどういう状態を指すんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知では、「長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるものについて、在宅において実施する人工呼吸療法」と定義されています。気管切開下での人工呼吸だけでなく、マスクによる非侵襲的な人工呼吸も含まれる考え方です。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になりますか? うちみたいな診療所でも大丈夫でしょうか。
あおい(元・医療事務)
在宅療養指導管理料は診療所・病院のどちらでも算定候補になり、外来診療でも在宅診療でも対象になります。入院中の患者さんは対象外で、あくまで「在宅で人工呼吸を行っている入院中の患者以外の患者」が対象です。
みらい(新人医療事務)
対象になる患者さんの条件はありますか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知では「対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者とする」とされています。ここで注意したいのが除外規定で、睡眠時無呼吸症候群の患者さん(ASV=Adaptive Servo Ventilationを使用する方を含む)は対象とならないと明記されています。この線引きは見落としやすいので、対象患者を確認するときは必ずチェックしたいポイントです。
点数
みらい(新人医療事務)
点数はどれくらいなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の点数表では、月1回2,800点です。テーブルにまとめますね。
| 区分 | 名称 | 点数 | 算定単位 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| C107 | 在宅人工呼吸指導管理料 | 2,800点 | 月1回 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
加算とかは別にあるんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、在宅療養指導管理材料加算(酸素ボンベ加算や在宅人工呼吸器加算など)が別区分で設定されています。今回は在宅人工呼吸指導管理料そのものの解説に絞りますが、材料加算は装置の種類によって算定候補が変わるので、別途確認が必要です。
必要な体制・機械器具の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料(告示・留意事項通知)の範囲では、在宅人工呼吸指導管理料そのものについて、施設基準の個別の届出を求める記載は確認できていません。ただし、記載が見当たらないことをもって不要と断定はできないため、実際の届出要否は自院の地方厚生局へ確認することをおすすめします。留意事項通知では、次のいずれも満たす場合に算定するとされています。装置の保守・管理を十分に行うこと(委託の場合を含む)、装置に必要な保守・管理の内容を患者に説明すること、夜間・緊急時の対応等を患者に説明すること、その他療養上必要な指導管理を行うことです。
みらい(新人医療事務)
機械や器具についても決まりがあるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。在宅人工呼吸療法を実施する保険医療機関、または緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならないとされています。酸素吸入設備、気管挿管又は気管切開の器具、レスピレーター、気道内分泌物吸引装置、常時実施できる状態の動脈血ガス分析装置、常時実施できる状態の胸部エックス線撮影装置です。この機械器具の記載について、当サイトが確認できた一次資料の範囲では施設基準の個別の届出を求める記載は見当たりませんが、算定候補になるかどうかを判断するうえで確認が必要な体制の一つです。
確認しておきたいポイント
機械器具の常時実施体制: 動脈血ガス分析装置と胸部エックス線撮影装置は「常時実施できる状態」であることが求められています。「置いてあるだけ」で満たすものではない点に注意が必要です。
横隔神経電気刺激装置を使う場合: 脊髄損傷又は中枢性低換気症候群の患者に対して、呼吸補助を目的に横隔神経電気刺激装置を使用する場合は、関連学会の定める適正使用指針を遵守して指導管理を行うことが留意事項通知で求められています。
記録と併算定の注意
みらい(新人医療事務)
カルテにはどこまで書けばいいですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には「指導管理の内容について、診療録に記載する」と明記されています。保守管理・患者説明・緊急時対応の内容を、実施のたびに記録に残しておくことが確認の基本になります。
みらい(新人医療事務)
他の検査や処置と一緒に算定できないケースもありますか?
あおい(元・医療事務)
あります。在宅人工呼吸指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く)については、酸素吸入(J024)、突発性難聴に対する酸素療法(J024-2)、酸素テント(J025)、間歇的陽圧吸入法(J026)、体外式陰圧人工呼吸器治療(J026-3)、喀痰吸引(J018)、干渉低周波去痰器による喀痰排出(J018-3)、鼻マスク式補助換気法(J026-2)、人工呼吸(J045)の費用は算定できないとされています。これらに係る酸素代を除き、薬剤・特定保険医療材料に係る費用を含んで算定不可という扱いです。
算定タイミングの確認
在宅人工呼吸指導管理料は月1回の算定です。同月内に上記の処置(酸素吸入・人工呼吸など)を別途算定していないか、レセプト作成前に確認しておくと取り違えを防げます。実際の算定可否は、患者ごとの診療内容と診療録の記載で個別に確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の告示・留意事項通知の記載内容では、在宅人工呼吸指導管理料そのものについて、点数・算定要件・対象患者の新設や変更は確認されていません(確認日: 2026年7月、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定関連資料および告示・留意事項通知ベース)。月1回2,800点という点数、対象患者の考え方、備えるべき機械器具の内容は、これまでの通知の記載と同じ内容になっています。
改定差分の確認範囲
確認したのは、点数・算定単位、対象患者・除外規定、必要な機械器具、併算定の可否、記録要件の5点です。いずれも令和8年度の告示・留意事項通知の範囲で新設・廃止・変更点は見当たりませんでした。ただし、関連する在宅療養指導管理料の加算区分(材料加算など)は別途改定内容が異なる場合があるため、対象加算ごとに確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認するときは、どういう順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
まずは対象患者の要件から確認して、体制、記録の順に見ていくとスムーズです。

自院で確認する順番
対象患者が、病状が安定し在宅での人工呼吸療法が適当と医師が認めた方かどうかを確認する(睡眠時無呼吸症候群でASVを使用する患者は対象外)。 装置の保守・管理体制(委託を含む)と、患者への説明(保守管理の内容・夜間緊急時対応)が実施されているかを確認する。 酸素吸入設備・気管挿管や気管切開の器具・レスピレーター・気道内分泌物吸引装置・動脈血ガス分析装置・胸部エックス線撮影装置を備えているかを確認する。 同月に算定できない検査・処置(酸素吸入や人工呼吸など)と重複していないかをレセプト作成前に確認する。 指導管理の内容が診療録に記載されているかを確認する。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかありますね。
よくある取り漏れ
対象患者の除外規定の見落とし: 睡眠時無呼吸症候群でASVを使用している患者は対象外です。人工呼吸器を使っているというだけで一律に算定候補と判断すると誤りにつながりやすい部分です。
併算定の重複: 酸素吸入や間歇的陽圧吸入法などを同月に別途算定してしまい、あとから査定を受けるケースが想定されます。レセプト確定前の突合確認が大切です。
機械器具の常時実施体制の未確認: 動脈血ガス分析装置や胸部エックス線撮影装置が「常時実施できる状態」にあるかどうかまで確認せず、設置の有無だけで判断してしまうケースです。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
ちょっと気になってることを聞いてもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです、どうぞ。
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出については記載が見当たらなかったんですが、機械器具を備えていなくても算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できた一次資料の範囲では施設基準の個別の届出を求める記載は見当たりませんが、機械器具を備えることは留意事項通知上の算定の前提になっています。届出の記載が無いことと、体制を整えなくてよいことは別の話なので、実際に備えているかどうか、また届出の要否そのものも自院の地方厚生局へ確認することが必要です。
みらい(新人医療事務)
訪問診療でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
はい、在宅療養指導管理料は在宅医療の場面でも対象になります。ただし、入院中の患者は対象外なので、入院・外来・在宅のどの場面かを確認したうえで判断することになります。
みらい(新人医療事務)
睡眠時無呼吸症候群の患者さんは算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
ASVを使用している睡眠時無呼吸症候群の患者は、留意事項通知で対象外と明記されています。それ以外の人工呼吸療法の対象患者かどうかは、診療内容に応じて個別の確認が必要です。
公式資料の根拠
みらい(新人医療事務)
この記事の内容は、どの資料をもとにしているんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の告示(令和8年厚生労働省告示、医科点数表 区分C107)、および医科点数表の解釈に関する留意事項通知(保医発0305第6号、令和8年3月5日)の記載内容をもとに整理しています。点数・算定単位は告示、対象患者・算定要件・機械器具の内容は留意事項通知が根拠になっていますよ。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。対象患者の状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する加算として、同じ在宅療養指導管理料の在宅酸素療法指導管理料や在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料も、対象患者や併算定の考え方を比較する際の参考になります。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。