みらい(新人医療事務)
排痰補助装置加算という項目を見つけたんですけど、これってどういう加算なんですか?名前だけだと機械のレンタル代みたいなイメージなんですが…。
あおい(元・医療事務)
区分C170の在宅療養指導管理材料加算のひとつですね。在宅で人工呼吸を行っている患者さんのうち、神経筋疾患などが原因で自力での排痰(たんを出すこと)が難しい方に、排痰補助装置を使ってもらった場合に算定候補になる加算です。厚生労働省の令和8年度診療報酬点数表に定められています。
みらい(新人医療事務)
「材料加算」ってことは、単独では算定できないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。単独の管理料ではなく、在宅療養指導管理料の第1款、つまり患者さんが算定している在宅の指導管理料の所定点数に上乗せする形の加算です。まずはベースになる指導管理料があって、そこに排痰補助装置を使った分を加算する、という構造をイメージしてください。
排痰補助装置加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
あらためて、この加算の目的を教えてください。
あおい(元・医療事務)
在宅人工呼吸を行っている患者さんの中には、換気能力が低下していて、自分の力だけでは気道内のたんを十分に出せない方がいます。排痰補助装置は、機械の力で吸気・呼気を切り替えて排痰を助ける医療機器です。この装置を使った場合の材料費相当を評価する加算、という位置づけです。
みらい(新人医療事務)
「神経筋疾患等」という言葉が出てきますが、具体的にはどんな病気の方が対象なんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省の留意事項通知には、対象となる神経筋疾患等の患者について「筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、脳性麻痺、脊髄損傷等の患者をさす」と明記されています。いずれも呼吸筋の機能低下や麻痺によって、自力での排痰が難しくなりやすい疾患です。
対象患者の考え方(令和8年度)
- 在宅で人工呼吸を行っている患者であること(入院中の患者は対象外)
- 換気能力が低下し、自力での排痰が困難と医師が認めていること
- 神経筋疾患等の例: 筋ジストロフィー・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・脳性麻痺・脊髄損傷等
- 上記に該当するかは、カルテ記載や医師の判断根拠とあわせて確認が必要です
どんな医療機関・場面が対象になるか
みらい(新人医療事務)
うちは診療所なんですけど、対象になりますか?病院じゃないとダメとか、外来ではダメとか、条件があるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
診療所・病院のどちらも対象になり得ます。ポイントは医療機関の種別よりも「場面」です。この加算は在宅医療の枠組みの加算なので、外来受診時や入院中の処置として算定するものではなく、在宅療養指導管理料を算定している在宅の患者さんに対する加算という整理になります。入院中の患者さんは、告示の注書きでもはっきり対象外とされています。
みらい(新人医療事務)
つまり「在宅の患者さんかどうか」がまず一番大事な確認ポイントということですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。外来通院中で在宅療養指導管理料を算定していない患者さんや、入院中の患者さんについては、この加算の対象にはなりません。まずは在宅で人工呼吸管理を行っている患者さんかどうかを確認するところから始めるとよいと思います。
点数とレセプト上の扱い(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
肝心の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科診療報酬点数表では、区分C170 排痰補助装置加算は1,829点です。厚生労働省の告示に定められている点数なので、まずはここを正確に押さえておきましょう。
| 区分 | 加算名 | 点数 | 加算先 | 年度 |
|---|---|---|---|---|
| C170 | 排痰補助装置加算 | 1,829点 | 在宅療養指導管理料(第1款)の所定点数 | 令和8年度 |

みらい(新人医療事務)
「加算先」の第1款というのがまだピンときていないんですが…。
あおい(元・医療事務)
医科点数表の在宅療養指導管理料は、第1款(在宅療養指導管理料そのもの)と第2款(在宅療養指導管理材料加算)の2段構成になっています。排痰補助装置加算は第2款側の材料加算で、患者さんが実際に算定している第1款の指導管理料に上乗せする形です。在宅で人工呼吸を行っている患者さんが対象なので、実務上は在宅人工呼吸指導管理料など、人工呼吸に関する指導管理料に上乗せされる場面が中心になります。ただし、どの指導管理料に上乗せされるかは患者さんが実際に算定している指導管理料によりますので、個別のケースでは自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
レセプトの書き方にも決まりがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
厚生労働省が示しているレセプト電算処理システム用コードの一覧には、排痰補助装置加算を算定した場合はレセプトの摘要欄のうち「在宅」欄に「排痰」の略称で記載する扱いが示されています。点数だけでなく、レセプト記載のルールもあわせて確認しておくと安心です。
点数・記載ルールは自院のレセコン設定とあわせて確認
点数やレセプト記載コードは令和8年度時点の一次資料に基づく内容です。実際の算定にあたっては、自院のレセプトコンピュータの設定やマスター更新状況もあわせて確認してください。
施設基準・届出は必要か
みらい(新人医療事務)
加算を取るには、施設基準の届出とか事前の手続きが必要になりますか?
あおい(元・医療事務)
ここは正直に言うと、告示や留意事項通知の中に、この加算について施設基準の届出を求める記載は見当たりません。他の加算でよくある「あらかじめ地方厚生局に届け出た場合に限り算定できる」といった条文が、排痰補助装置加算には確認できないんです。
みらい(新人医療事務)
じゃあ、届出なしで算定して大丈夫ということですか?
あおい(元・医療事務)
そこは言い切らないようにしたいところです。確認できる一次資料の範囲では届出を求める記載が見当たらない、というだけであって、自院の届出状況や過去の地方厚生局とのやり取りまで私たちが把握しているわけではありません。念のため、自院が地方厚生局に提出している届出書類の一覧や、レセプト審査で指摘を受けたことがないかを確認しておくと安心です。
施設基準・届出まわりの確認ポイント
- 告示・留意事項通知に施設基準の届出を求める記載があるか、自院で一次資料を確認する
- 過去に地方厚生局へ提出した届出書類の一覧に、関連する記載がないか確認する
- レセプト審査で排痰補助装置加算に関する指摘を受けた履歴がないか確認する
- 判断に迷う場合は地方厚生(支)局や審査支払機関に直接確認する
算定のタイミング・回数制限・併算定の注意点
みらい(新人医療事務)
1回使ったら毎回算定していいものなんですか?回数の制限とかはあるんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
告示・留意事項通知に示されているのは「在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の神経筋疾患等の患者に対して、排痰補助装置を使用した場合」という算定できる場面の条件です。回数の上限を明示した記載は、私たちが確認した範囲の一次資料には見当たりませんでした。ただし、この加算は単独では算定できず、ベースになる在宅療養指導管理料に上乗せする形の加算です。ベースになる指導管理料自体にも算定回数の取り決めがある場合がありますので、加算の算定タイミングを検討する際は、上乗せ先の指導管理料の留意事項通知もあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
併算定についてはどうですか?他の在宅系の加算と一緒に取れるものなんでしょうか。
あおい(元・医療事務)
併算定の可否についても、私たちが確認した一次資料の中に排痰補助装置加算固有の禁止規定は見当たりませんでした。ただ、これも「確認できていない」だけであって「何でも併算定できる」という意味ではありません。他の在宅療養指導管理材料加算との組み合わせを検討する場合は、それぞれの加算の留意事項通知を個別に確認したうえで判断してください。
回数制限・併算定は未確認事項として扱う
排痰補助装置加算そのものの回数制限・併算定の可否について、明確に定めた記載を私たちは確認できていません。断定はできませんので、実際に算定する際は上乗せ先の在宅療養指導管理料の算定ルールとあわせて、自院での確認をお願いします。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、令和6年度の改定のときから何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)との比較については、私たちが確認できた令和8年度の一次資料(告示・留意事項通知)の記載内容の範囲では、点数や算定要件の変更を示す記述は見当たりませんでした。区分番号もC170のままで、対象患者の考え方(在宅人工呼吸を行っている神経筋疾患等の患者で、自力排痰が困難と医師が認める場合)についても、令和8年度の留意事項通知にこれまでと同様の内容が記載されています。
みらい(新人医療事務)
つまり「変わっていない」と考えていいんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に言いたいところです。今回確認したのは令和8年度時点の一次資料であって、令和6年度時点の一次資料そのものを当サイトの資料として突き合わせられたわけではありません。ですので「令和8年度の資料を確認した限りでは、変更を示す記述が見当たらなかった」という言い方にとどめています。念のため、自院で過去の届出内容やレセプト記載を継続している場合も、最新の令和8年度の内容と食い違いがないか確認しておくと安心です。
改定差分の確認範囲(令和8年度時点)
- 点数: 令和8年度の告示で1,829点(区分C170)
- 算定要件: 令和8年度の留意事項通知で、在宅人工呼吸を行う神経筋疾患等の患者に対する排痰補助装置の使用、という要件を確認
- 施設基準・届出: 令和8年度の一次資料に届出を求める記載は確認されず
- 前回改定(令和6年度)からの変更点を示す記述: 令和8年度の一次資料の範囲では確認されず(令和6年度時点の一次資料との突き合わせは今回未実施)

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
ここまで聞いた内容を、実際にうちの患者さんに当てはめて考えるには、どんな順番で確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次のような順番で見ていくと整理しやすいと思います。
自院で確認する順番
- 対象の患者さんが在宅で人工呼吸を行っているか(入院中の患者は対象外)を確認する
- 神経筋疾患等(筋ジストロフィー・ALS・脳性麻痺・脊髄損傷等)に該当し、換気能力の低下により自力での排痰が困難と医師が判断しているかをカルテで確認する
- 実際に排痰補助装置を使用しているか、使用機器・使用状況の記録があるかを確認する
- 患者さんが算定している在宅療養指導管理料(第1款)がどの区分かを確認する
- 自院の届出状況・レセプト記載ルールを確認し、必要であれば地方厚生局や審査支払機関に確認する
みらい(新人医療事務)
5番目までいくと、もう自分たちだけで判断しきれない部分も出てきそうですね。
あおい(元・医療事務)
そこは無理をしなくて大丈夫です。届出や算定可否の最終判断は、自院の体制と公式資料、審査支払機関の確認によって決まるものなので、迷ったときは早めに問い合わせる方が安全です。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場で見落としがちなポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
排痰補助装置加算でよくある取り漏れ
- 在宅人工呼吸を行っている患者さんであることは把握していても、排痰補助装置を実際に使用した記録がカルテに残っておらず、算定の根拠が薄くなっているケース
- 「神経筋疾患等」に該当するかどうかの医師の判断根拠(換気能力低下・自力排痰困難の評価)が記録に残っていないケース
- 患者さんが算定している在宅療養指導管理料(第1款)の区分を確認しないまま、加算だけを別枠で考えてしまうケース
- レセプトの摘要欄の記載(在宅欄への記載など)を失念してしまうケース
みらい(新人医療事務)
どれも「記録が残っているかどうか」がポイントになりそうですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。点数や要件を知っているだけでなく、判断の根拠をカルテに残しておくことが、算定候補としての説明力につながります。
よくある質問
みらい(新人医療事務)
最後に、細かいところでいくつか質問してもいいですか?
あおい(元・医療事務)
もちろんです。順番に答えますね。
みらい(新人医療事務)
Q. 外来通院中の患者さんでも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. この加算は在宅療養指導管理料の第1款に上乗せする形の加算なので、在宅療養指導管理料を算定していない外来通院のみの患者さんは対象外と考えられます。まずは在宅の指導管理料を算定しているかどうかから確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 入院中の患者さんに排痰補助装置を使った場合は算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
A. 告示の注書きに「在宅人工呼吸を行っている入院中の患者以外の」という条件が明記されているため、入院中の患者さんは対象外です。入院中の処置として排痰補助装置を使う場合は、この加算とは別の枠組みで検討する必要があります。
みらい(新人医療事務)
Q. 施設基準の届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
A. 私たちが確認した告示・留意事項通知の範囲では、施設基準の届出を求める記載は見当たりませんでした。ただし、これは「届出不要」と断定できるという意味ではなく、あくまで確認できた資料の範囲での話です。自院の届出状況とあわせて確認してください。
みらい(新人医療事務)
Q. 前回の令和6年度改定から点数は変わりましたか?
あおい(元・医療事務)
A. 令和8年度の一次資料を確認した範囲では、点数(1,829点)や算定要件の変更を示す記述は見当たりませんでした。令和6年度時点の一次資料そのものとの突き合わせは今回行っていないため、変更がなかったと断定はせず、確認できた範囲の情報としてお伝えしています。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。