みらい(新人医療事務)
「検体検査管理加算(Ⅲ)」っていう名前を初めて見ました。うちの病院でも算定候補になるものですか?
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。検体検査管理加算は(Ⅰ)から(Ⅳ)まで段階があって、(Ⅲ)はその中でも施設基準が厳しめの区分です。まず制度の位置づけから確認していきましょう。年度は令和8年度(2026年度)の医科点数表を前提にお話しします。
みらい(新人医療事務)
(Ⅰ)〜(Ⅳ)って、名前は似ているのに全然違うものなんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、まったく別物として整理されています。検体検査管理加算(Ⅲ)は、医科点数表のD026「検体検査判断料」の注4に基づく加算です。検体検査を院内でどれだけ管理できているか(結果の判断補助・機器や試薬の管理体制など)を評価するもので、届出をした保険医療機関だけが対象になります。
検体検査管理加算(Ⅲ)とは
みらい(新人医療事務)
どういう医療機関がこの加算に関係してくるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の該当箇所を見てみますね。医科点数表D026の注4には、こう書かれています。「検体検査管理に関する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において検体検査を行った場合には、当該基準に係る区分に従い、患者(検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)については入院中の患者に限る。)1人につき月1回に限り、次に掲げる点数を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
「入院中の患者に限る」って書いてありますね。外来では対象外ということですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。検体検査管理加算(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)は、条文上「入院中の患者」に限定されています。(Ⅰ)だけは外来・入院どちらも対象になりますが、(Ⅲ)は入院患者への検体検査に限られる点をまず押さえてください。
みらい(新人医療事務)
診療所でも対象になり得るんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
条文自体は「保険医療機関」という書き方で、診療所・病院を区別していません。ただ、後で説明する施設基準(専ら担当する常勤医師の配置など)を診療所単位で満たすのは実務的にハードルが高いケースが多いです。断定はできないので、「対象になり得るが施設基準の充足を要確認」という位置づけで考えてください。
点数と算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
実際の点数はいくらなんですか?
あおい(元・医療事務)
同じD026注4に、区分ごとの点数が並んでいます。「イ 検体検査管理加算(Ⅰ) 40点 ロ 検体検査管理加算(Ⅱ) 100点 ハ 検体検査管理加算(Ⅲ) 330点 ニ 検体検査管理加算(Ⅳ) 550点」とあり、(Ⅲ)は330点です。
みらい(新人医療事務)
(Ⅲ)は330点なんですね。月にどのくらい算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文の「患者1人につき月1回に限り」という部分がそのまま算定単位になります。同じ患者に何度検体検査を行っても、月1回・330点が上限です。

| 区分 | 点数 | 算定単位 | 対象患者 |
|---|---|---|---|
| 検体検査管理加算(Ⅰ) | 40点 | 患者1人につき月1回 | 外来・入院 |
| 検体検査管理加算(Ⅱ) | 100点 | 患者1人につき月1回 | 入院中の患者に限る |
| 検体検査管理加算(Ⅲ) | 330点 | 患者1人につき月1回 | 入院中の患者に限る |
| 検体検査管理加算(Ⅳ) | 550点 | 患者1人につき月1回 | 入院中の患者に限る |
みらい(新人医療事務)
同じ月に(Ⅲ)と(Ⅳ)を両方算定する、みたいなことはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
それはできません。同じD026注4に、続けて「ただし、いずれかの検体検査管理加算を算定した場合には、同一月において他の検体検査管理加算は、算定しない。」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
つまり、月ごとにどれか1つだけを選ぶイメージですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。届出をしている区分の中で、その月に満たしている基準に応じた1区分だけが算定候補になります。
施設基準で確認すべきポイント
みらい(新人医療事務)
330点って結構大きい点数ですけど、施設基準は厳しいんですか?
あおい(元・医療事務)
(Ⅲ)と(Ⅳ)は他の区分より要件が具体的です。厚生労働省の疑義解釈(医科 問116)では、「検体検査管理加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)の施設基準における『臨床検査を専ら担当する医師』について、勤務時間のうち少しでも外来診療を担当している場合は一切認められないのか」という質問に対し、「勤務時間の大部分において、それぞれ臨床検査、画像診断又は病理診断に携わる業務を行っていれば差し支えない」と回答されています。
みらい(新人医療事務)
「専ら担当する医師」が必要ってことですね。少しでも外来を担当したら即アウト、ではないんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、勤務時間の大部分を臨床検査業務に使っていれば認められる、という運用です。ただし別の疑義解釈(医科 問154)では、「病理診断を専ら担当する医師が、検体検査管理加算Ⅲ・Ⅳの施設基準である『臨床検査を専ら担当する常勤の医師』を兼ねることは可能か」という質問に「不可」と回答されています。
みらい(新人医療事務)
病理診断の専任医師とは兼務できないんですね。うちの病院、その医師が兼務してないか確認しないと…。
あおい(元・医療事務)
そうですね、ここは見落としやすいポイントです。さらに、施設基準の中身についても疑義解釈(医科 問115)で具体例が示されています。「検体検査管理加算(Ⅱ)、(Ⅲ)及び(Ⅳ)の施設基準において、『検体検査結果の判断の補助』及び『院内検査に用いる検査機器及び試薬の管理』とあるが、具体的には何を指すのか」という質問に対し、「『検体検査結果の判断の補助』とは、検査をオーダーした医師に迅速に報告すべき緊急異常値(いわゆるパニック値)の設定及び運用に係る判断、検査結果の解釈や追加すべき検査等に関する助言などを指す。『院内検査に用いる検査機器及び試薬の管理』とは、院内において臨床検査の適正化に関する委員会を運営し、検査室での検査の精度管理に関与すること、適切な機器・試薬の選定に係る判断などを指す」と回答されています。
施設基準チェックの見落としポイント
専ら担当する常勤医師: 臨床検査を専ら担当する常勤医師が、病理診断を専ら担当する医師と兼務になっていないか確認する。 パニック値運用: 緊急異常値の報告体制・運用ルールが実際に整備・運用されているか確認する。 精度管理委員会: 院内の検査精度管理に関する委員会が実際に機能しているか確認する。
届出と算定タイミングの注意点
みらい(新人医療事務)
届出さえ出せば、あとは自動的に算定できるんですか?
あおい(元・医療事務)
届出は前提条件ですが、それだけで算定候補が確定するわけではありません。届出をした区分に応じて、その月の実態が基準を満たしているかどうかを都度確認する必要があります。
みらい(新人医療事務)
複数の区分を届出している場合はどうなるんですか?
あおい(元・医療事務)
たとえば(Ⅱ)または(Ⅲ)の届出をしている医療機関が、外来で(Ⅰ)を算定するケースについて、疑義解釈(医科 問46)では「検体検査管理加算(Ⅱ)又は(Ⅲ)を届け出ている医療機関が、外来にて検体検査管理加算(Ⅰ)を算定する場合、検体検査管理加算(Ⅰ)を届出る必要があるのか」という質問に「必要ない」と回答されています。
みらい(新人医療事務)
(Ⅲ)を届出済みなら、外来の(Ⅰ)は別途届出しなくていいんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。ただこれは届出の重複が不要という話であって、算定できるかどうかは月ごとの対象患者(入院か外来か)と基準の充足状況で変わります。
算定候補の判断について
検体検査管理加算(Ⅲ)は「入院中の患者」への検体検査が対象で、同一月に他の検体検査管理加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ)と併算定できません。届出をしていても、その月の人員配置や検査実施状況によっては算定候補にならない可能性があります。自院の状況に応じた確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
検体検査管理加算(Ⅲ)を算定できたら、他にも上乗せできる加算はあるんですか?
あおい(元・医療事務)
別の施設基準を満たして届出をしていれば、国際標準検査管理加算として40点の上乗せが算定候補になる場合があります。こちらも検体検査管理加算(Ⅲ)とは別の届出が前提になるので、あわせて確認しておくとよいですね。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の令和6年度改定から、この加算は何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認できる一次資料(D026の告示・注釈、関連する疑義解釈)の範囲では、検体検査管理加算(Ⅲ)の点数・算定単位・入院患者限定という対象範囲、および施設基準の骨格(専ら担当する常勤医師の配置など)について、令和6年度から令和8年度にかけての変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。
みらい(新人医療事務)
つまり、大きくは変わっていないということですね。
あおい(元・医療事務)
確認できた範囲ではそうです。ただし、これは当サイトが参照した資料の範囲での確認であって、施設基準通知や個別の留意事項の細部まで完全に照合したわけではありません。届出内容に変更がないか、必ず最新の公式資料でも確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で確認する順番ってどうすればいいんでしょう?
あおい(元・医療事務)
図にすると、こんな順番になります。

自院で確認する順番
届出の有無を確認する: 検体検査管理加算(Ⅲ)の施設基準に関する届出を地方厚生局へ行っているか確認する。 専ら担当する常勤医師を確認する: 臨床検査を専ら担当する常勤医師が配置され、病理診断を専ら担当する医師と兼務していないか確認する。 検査体制の運用実態を確認する: パニック値の報告運用、検査機器・試薬の管理体制(精度管理委員会など)が実際に機能しているか確認する。 対象患者を確認する: 検体検査を行った患者が入院中の患者であるかを確認する。 併算定の状況を確認する: 同一月に他の検体検査管理加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅳ)を算定していないか確認する。
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
確認する順番はわかりました。実際によくある見落としって、他にどんなパターンがあるんですか?
あおい(元・医療事務)
典型的なケースがいくつかあるので、まとめておきますね。
こんなケースに要注意
兼務の見落とし: 臨床検査を専ら担当する常勤医師が、実際には病理診断の専任医師と同一人物になっていて基準を満たしていないケース。 外来検体検査の混同: 入院と外来の両方で検体検査を行っている医療機関で、外来分まで(Ⅲ)の対象に含めてしまうケース。 同一月の重複算定: 月の途中で区分を切り替えたつもりで、結果的に同一月に複数区分の検体検査管理加算を算定してしまうケース。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。