みらい(新人医療事務)
「療養生活継続支援加算」っていう名前を初めて見たんですが、これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の通院・在宅精神療法(区分番号I002)に上乗せできる加算のひとつですよ。入院していた患者さんが地域生活に戻ったあと、その生活を続けられるように、保健師・看護師・精神保健福祉士が面接や関係機関との連絡調整を行った場合に算定候補になります。令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知に基づく内容として整理していきますね。
みらい(新人医療事務)
入院していた患者さん限定なんですか?
あおい(元・医療事務)
対象になる「重点的な支援を要する患者」には区分があります。厚生労働省の告示(I002の注8)には、こう書かれています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、重点的な支援を要する患者に対して、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師又は精神保健福祉士が、当該患者が地域生活を継続するための面接及び関係機関との連絡調整を行った場合に、療養生活継続支援加算として、次に掲げる区分に従い、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り、いずれかを所定点数に加算する」というのが原文です。
みらい(新人医療事務)
「次に掲げる区分」っていうのが、イとロってことですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。区分ごとに対象患者と点数が変わります。まずは点数を整理しますね。
療養生活継続支援加算の点数と区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はいくらになるんですか?
あおい(元・医療事務)
告示(診療報酬の算定方法の一部を改正する件・令和8年厚生労働省告示第69号)に、区分ごとの点数が明記されています。
| 区分 | 対象患者 | 点数 |
|---|---|---|
| イ | 直近の入院において区分番号B015に掲げる精神科退院時共同指導料1を算定した患者の場合 | 500点 |
| ロ | イ以外の患者の場合(急性増悪等により新たに重点的な支援を要する場合を含む) | 350点 |
あおい(元・医療事務)
告示の原文はこうです。「イ 直近の入院において、区分番号B015に掲げる精神科退院時共同指導料1を算定した患者の場合 500点」「ロ イ以外の患者の場合 350点」と、区分ごとに点数が分けて書かれています。
みらい(新人医療事務)
どちらも月1回までですか?
あおい(元・医療事務)
はい。「初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り」いずれかを加算する、という条件です。イとロを同じ月に両方算定する、というものではありません。

区分イ・区分ロ、どちらに当たるかの確認ポイント
みらい(新人医療事務)
区分イの「直近の入院において精神科退院時共同指導料1を算定した患者」って、具体的にはどういう患者さんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)に詳しく書かれています。「対象となる『重点的な支援を要する患者』は、精神病棟における直近の入院において、『B015』精神科退院時共同指導料の『1』精神科退院時共同指導料1を算定した患者であって、退院した日の属する月の翌月末日までに当該保険医療機関を受診したもの又は平成28~30年度厚生労働行政調査推進補助金障害者対策総合研究事業において『多職種連携による包括的支援マネジメントに関する研究』の研究班が作成した、別紙様式51に掲げる『包括的支援マネジメント実践ガイド』における『包括的支援マネジメント導入基準』を1つ以上満たす者であること」とされています。
みらい(新人医療事務)
精神科退院時共同指導料1を算定していなくても、要件に当てはまれば区分イになれるんですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。「精神科退院時共同指導料1を算定した患者」または「包括的支援マネジメント導入基準を満たす者」のどちらかに該当すれば区分イの対象になる可能性があります。ただしこの判定は自院のカルテ・算定履歴と突き合わせる必要があるので、「区分イに該当する候補がいそうだ」というところまでで、最終的な判定は自院での確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
区分ロはどんな時に算定するんですか?
あおい(元・医療事務)
区分ロは「イ以外の患者」に加えて、いったんロで算定したあとに状態が急に悪化した場合の再算定にも使われます。留意事項通知には、こう書かれています。「『注8』に規定する療養生活継続支援加算の『ロ』は、対象となる状態の急性増悪又は著しい環境の変化により新たに重点的な支援を要する場合について、要件を満たす場合に、再度の算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り所定点数に加算する。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に、急性増悪等における具体的な状態について記載すること。また、新たに重点的な支援を行うこととなった日を記載した支援計画書を、患者又はその家族等に説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること」という内容です。
みらい(新人医療事務)
レセプトの摘要欄に急性増悪の内容を書く必要があるんですね。
あおい(元・医療事務)
はい。前回改定(令和6年度)の疑義解釈でも、この「ロ」の再算定ルールが同じ内容で確認されています。以前に区分イを算定していた患者さんが、あらためて重点的な支援が必要になった場合も350点(区分ロ)を算定する、という考え方です。
区分の判定は自院のカルテ確認が前提
区分イ・ロのどちらに当たるかは、精神科退院時共同指導料1の算定履歴や、支援計画書の記載内容によって変わります。当サイトの整理だけで判定はできず、自院のカルテ・レセプト履歴と一次資料を突き合わせた確認が必要です。
面接・連絡調整の内容と、実施する職種
みらい(新人医療事務)
実際にどんなことをすれば算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、面接と連絡調整の具体的な内容が書かれています。「医療機関等における対面による20分以上の面接を含む支援を行うとともに、当該月内に保健所、市町村、指定特定相談支援事業者、障害福祉サービス事業者その他の関係機関と連絡調整を行った場合に、初回算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り算定できる」というのが原文です。
みらい(新人医療事務)
20分以上の面接と、月内の関係機関との連絡調整、両方が必要なんですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。面接だけでも、連絡調整だけでも足りません。両方セットで行った月に算定候補になる、という構造です。実施するのは「精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師又は精神保健福祉士」と告示に明記されています。
みらい(新人医療事務)
誰か1人が担当すればいいんですか?それとも複数人が関わるんですか?
あおい(元・医療事務)
支援を行う担当者とは別に、多職種によるカンファレンスの実施も要件になっています。次でその内容を見てみましょう。
多職種カンファレンスと支援計画書の作成
みらい(新人医療事務)
「多職種カンファレンス」っていうのも要件に入っているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい。留意事項通知にこうあります。「当該患者の支援方針等について、多職種が共同して、3月に1回の頻度でカンファレンスを実施すること。また、カンファレンスには、以下の(イ)から(ハ)までの職種がそれぞれ1名以上参加していること。なお、必要に応じて、(ニ)から(ヌ)までの職種が参加すること。ただし、(イ)から(ヘ)までについては、当該保険医療機関の者に限る」とされています。
あおい(元・医療事務)
参加職種は、次のように整理されています。
| 参加区分 | 職種 |
|---|---|
| 必須(各1名以上) | 精神科の医師(イ)/保健師又は看護師(ロ)/精神保健福祉士(ハ) |
| 必要に応じて参加 | 薬剤師(ニ)/作業療法士(ホ)/公認心理師(ヘ)/在宅療養担当医療機関の訪問看護ステーションの看護師等(ト)・作業療法士(チ)/市町村若しくは都道府県等の担当者(リ)/その他の関係職種(ヌ) |
みらい(新人医療事務)
医師・看護師等・精神保健福祉士の3職種は必ず参加ってことですね。
あおい(元・医療事務)
そうです。しかもイ〜ヘの職種は「当該保険医療機関の者に限る」とされています。訪問看護ステーションの職種や市町村等の担当者は必要に応じて、という位置づけです。カンファレンスの結果は支援計画書にまとめます。留意事項通知には「イのカンファレンスにおいて、患者の状態を把握した上で、初回の支援から2週間以内に、多職種が共同して別紙様式51の2に掲げる『療養生活の支援に関する計画書』(以下この区分において『支援計画書』という。)を作成し、その写しを診療録等に添付する」と書かれています。
みらい(新人医療事務)
初回の支援から2週間以内に計画書を作らないといけないんですね。地味に期限が厳しいですね…。
あおい(元・医療事務)
そうですね。ここは見落としやすいポイントです。計画書ができたら、患者さんへの説明・交付も必要です。留意事項通知には「当該患者を担当する看護師等又は精神保健福祉士は、患者等に対し、ウにおいて作成した支援計画書の内容を説明し、かつ、当該支援計画書の写しを交付した上で、療養生活継続のための支援を行う。また、保健所、市町村、指定特定相談支援事業者、障害福祉サービス事業者その他の関係機関との連絡調整に当たっては、関係機関からの求めがあった場合又はその他必要な場合に、患者又はその家族等の同意を得て、支援計画に係る情報提供を行うこと」とあります。
みらい(新人医療事務)
関係機関に情報提供する時は、患者さんの同意が要るんですね。
あおい(元・医療事務)
はい、そこも明記されています。最後に、記録についても要件があります。「担当する患者ごとに療養生活継続支援記録を作成し、当該指導記録に支援の要点、面接実施時間を明記すること」とされています。
期限・記録もれに注意
支援計画書の作成期限(初回の支援から2週間以内)、支援計画書への患者同意・交付、療養生活継続支援記録への面接実施時間の記載など、期限や記録が細かく定められています。いずれかが漏れると、算定候補であっても要確認事項になる可能性があります。
施設基準と届出の要否
みらい(新人医療事務)
この加算、届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
必要です。告示の冒頭に「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」と明記されています。届出をしていない医療機関では、区分イ・ロのどちらも算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身は、さっき出てきた多職種体制とか記録の話と同じですか?
あおい(元・医療事務)
大枠としては、精神科を担当する医師の指示の下で保健師・看護師・精神保健福祉士が支援を行える体制、3月に1回の多職種カンファレンスを実施できる体制、支援計画書・療養生活継続支援記録を整備できる体制が前提になります。ただし、施設基準の数値要件や届出様式の詳細は「特掲診療料の施設基準等」の告示・通知側で個別に定められているため、当サイトが確認できた範囲を超える詳細(人員配置の具体的な計算方法など)については、この記事では断定を避けます。
施設基準は届出時に個別確認を
療養生活継続支援加算は「診療所・病院」「外来・在宅」のどちらでも対象になり得ますが、精神科の通院・在宅精神療法(I002)を行っておらず、かつ施設基準の届出をしていない医療機関では対象外の可能性があります。届出の有効性・要件充足は、地方厚生局への届出内容と自院の体制を照らし合わせてご確認ください。
みらい(新人医療事務)
入院中の患者さんには使えないんですか?
あおい(元・医療事務)
この加算はI002「通院・在宅精神療法」の枠組みの加算なので、対象になるのは通院中・在宅療養中の患者さんです。入院中の患者さんへの支援そのものはこの加算の対象ではありません(入院から退院した後の、通院・在宅移行後の支援が対象です)。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わったところってあるんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが収集している公式資料の範囲でお答えしますね。前回改定(令和6年度)の疑義解釈(医科 問199)では、区分ロの「急性増悪等による再算定は350点」というルールが、令和8年度の留意事項通知と同じ内容で説明されています。当時の疑義解釈にはこうあります。「『I002』通院・在宅精神療法の注8に規定する療養生活継続支援加算について、『「注8」に規定する療養生活継続支援加算の「ロ」は、対象となる状態の急性増悪又は著しい環境の変化により新たに重点的な支援を要する場合について、要件を満たす場合に、再度の算定日の属する月から起算して1年を限度として、月1回に限り350点を所定点数に加算する。』こととされているが、過去に注8のイを算定していた患者についても、新たに重点的な支援を要する状態になったときは、350点を算定するということでよいか」という質問に対し、回答は「そのとおり」とされています。
あおい(元・医療事務)
区分の番号(注8)・点数(500点/350点)・急性増悪時の再算定ルールについては、前回改定(令和6年度)時点の疑義解釈と令和8年度(2026年度)の告示・留意事項通知で内容が一致しており、この範囲では変更は確認されていません(確認日: 2026年8月)。ただし、個別改定項目の一次資料までは照合できていないため、施設基準や届出様式の細部に変更がないとまでは言い切れません。自院で算定歴がある場合は、直近の届出内容と公式資料を必ず突き合わせてください。
改定差分は事実ベースで確認を
「変更なし」と書ける範囲は、当サイトが照合できた点数・区分ロの再算定ルールに限られます。施設基準の数値要件や様式の細部まで変更がないと断定するものではありません。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で算定候補かどうか、どう確認すればいいですか?
あおい(元・医療事務)
確認する順番はこちらです。
自院で確認する順番
- 自院がI002「通院・在宅精神療法」を算定している、精神科を担当する医師のいる保険医療機関かを確認する
- 療養生活継続支援加算の施設基準を届け出ているか(地方厚生局への届出状況)を確認する
- 対象患者が区分イ(直近の入院で精神科退院時共同指導料1を算定、または包括的支援マネジメント導入基準を満たす)か、区分ロ(イ以外・急性増悪等)かを確認する
- 3月に1回の多職種カンファレンス(医師・保健師又は看護師・精神保健福祉士が各1名以上参加)を実施できる体制があるかを確認する
- 初回の支援から2週間以内に支援計画書を作成し、患者へ説明・交付・診療録添付ができているかを確認する
- 対面20分以上の面接と、当該月内の関係機関(保健所・市町村・指定特定相談支援事業者・障害福祉サービス事業者等)との連絡調整の両方を実施し、記録(療養生活継続支援記録)を残しているかを確認する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってどこですか?
あおい(元・医療事務)
いくつか整理しますね。
取り漏れやすいポイント
支援計画書の作成期限: 初回の支援から2週間以内という期限があるため、記録の日付がずれていると要件を満たさない可能性があります。
摘要欄の記載(区分ロの急性増悪時): 急性増悪等で再度算定する場合は、レセプト摘要欄に具体的な状態を記載する必要があります。記載が漏れると要確認事項になります。
面接時間・関係機関連絡調整の両立: 20分以上の面接だけを行い、当該月内の関係機関との連絡調整を行っていない場合は、算定候補として成立しない可能性があります。
二重算定・重複算定は自院で要確認
区分イ・区分ロは「いずれか」を月1回まで、と告示に明記されています。同一月に両方を算定する運用は想定されていません。また、他の注に規定する加算との関係(併算定の可否)について、当サイトが確認できた一次資料の範囲では明確な除外規定を確認できていません。自院での算定に際しては、公式資料または審査支払機関に個別にご確認ください。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。関連する加算として、精神科継続外来支援・指導料 や 救急患者精神科継続支援料 も同じI002の枠組みにある点数なので、あわせて確認しておくとよいでしょう。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。