みらい(新人医療事務)
部長、精神科の点数を見ていたら「児童思春期支援指導加算」っていう名前が出てきました。これって何のための加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは通院・在宅精神療法(I002)の注10に規定されている加算ですよ。20歳未満の患者さんに対する外来診療をもっと充実させる目的で、精神科の医師の指示のもと、保健師や看護師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師といった多職種が共同で支援を行った場合に算定候補になります。令和8年度(2026年度)の医科点数表でも、この加算の枠組みは維持されています。
みらい(新人医療事務)
多職種で支援するんですね。うちのクリニックでも児童精神科を診ているので、対象になるか気になります。
あおい(元・医療事務)
それでは、対象や点数、施設基準を一つずつ確認していきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
まず、どんな医療機関で、どんな患者さんが対象になるんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料の要件はこう書かれています。「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1を算定する患者であって、20歳未満のものに対して、精神科を担当する医師の指示の下、保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士又は公認心理師等が共同して必要な支援を行った場合は、児童思春期支援指導加算として...加算する」となっています。ポイントは「1を算定する患者」という部分です。
みらい(新人医療事務)
「1」ってなんですか?
あおい(元・医療事務)
I002の「1 通院精神療法」のことです。I002には「1 通院精神療法」と「2 在宅精神療法」がありますが、この加算は「1」を算定する患者に限られています。届出済みの診療所・病院で、外来(通院)の20歳未満の患者さんが対象候補になります。在宅精神療法(2)を算定するケースは、この加算の対象条件には含まれていない点に注意が必要です。
対象の見落としやすい点
在宅精神療法(2)は対象外の可能性: 一次資料は「1を算定する患者」とのみ規定しており、在宅精神療法(2)は文言上含まれていません。訪問診療中心のケースは対象外の可能性があるため、算定前に自院の算定区分を確認することが必要です。
点数区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっていますか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表では、児童思春期支援指導加算1と2に分かれていて、それぞれ受診からの経過期間で点数が変わります。表にまとめますね。
| 区分 | 条件 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| 児童思春期支援指導加算1 | 60分以上の通院・在宅精神療法(初診から3月以内) | 1,100点 |
| 児童思春期支援指導加算1 | 上記以外(初診から2年以内) | 490点 |
| 児童思春期支援指導加算1 | 上記以外(2年超) | 290点 |
| 児童思春期支援指導加算2 | 60分以上の通院・在宅精神療法(初診から3月以内) | 500点 |
| 児童思春期支援指導加算2 | 上記以外(初診から1年以内) | 400点 |
| 児童思春期支援指導加算2 | 上記以外(1年超) | 100点 |

みらい(新人医療事務)
加算1と加算2で、点数の枠組みは似ていますね。何が違うんですか?
あおい(元・医療事務)
一次資料には加算1・加算2それぞれの点数区分が定められているだけで、両者を分ける施設基準上の要件の詳細までは、当サイトが確認した範囲の一次資料には明記されていません。どちらの区分に該当するかは、届出内容と一次資料(施設基準の告示・通知)で確認が必要な部分です。
1回限り算定の条件に注意
一次資料には「イの(1)及びロの(1)については、1回に限り算定する」と明記されています。つまり「60分以上・初診から3月以内」の高い点数区分(1,100点・500点)は、対象患者について1回しか算定できない条件です。2回目以降は别の区分(490点/290点、400点/100点)で算定候補になるかを確認する必要があります。
施設基準・研修要件
みらい(新人医療事務)
届出が必要なんですよね。施設基準はどんな内容ですか?
あおい(元・医療事務)
令和8年度の留意事項通知には、次のように書かれています。「児童思春期の患者に対する精神医療に係る適切な研修を修了した精神科を担当する医師の指示の下、児童思春期の患者に対する当該支援に専任の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士又は公認心理師(以下この項において『看護師等』という。)が共同して、対面による必要な支援を行った場合に算定する」とあります。医師の研修修了と、専任スタッフの配置が前提になっています。
みらい(新人医療事務)
専任スタッフって、具体的に何をするんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知には、実施にあたって満たすべき要件がア〜カまで示されています。
自院で確認する順番
- 専任の看護師等が、対象患者に療養上必要な指導管理を30分以上実施する(複数の職員が担当する場合は、少なくとも1名が30分以上実施)
- 指導管理を実施した者が、内容・実施時間を診療録または看護記録等に記載し、医師も必要性を診療録等に記載する
- 研修修了済みの医師・看護師等が他の職種と共同して支援計画(別紙様式51の3またはこれに準じたもの)を作成し、診療録等に添付する
- 患者の同意を得たうえで、学校・児童相談所・児童発達支援センター等の関係機関へ、文書や面接での情報提供を適宜行う
- 関係職種が共同して、概ね3月に1回以上のカンファレンスを実施し、必要に応じて支援計画を見直す
- 1週間当たりの担当患者数は30人以内とする
みらい(新人医療事務)
担当患者数の上限まで決まっているんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。「1週間当たりの担当患者数は30人以内とする」と明記されていますので、体制が対象患者数に見合っているかも届出前に確認しておきたいポイントです。
研修要件は具体的な研修名まで一次資料で確認する
一次資料(前回改定=令和6年度の疑義解釈)では、対象となる研修の例として「日本精神科病院協会が実施する『児童・思春期精神医学対策講習会スタンダードコース』」「日本児童青年精神医学会が実施する『児童思春期精神医療研修』」などが挙げられています(前回改定時点の疑義解釈)。研修の対象範囲が令和8年度も同様かどうかは、最新の疑義解釈・通知で確認が必要です。
届出の確認
みらい(新人医療事務)
施設基準はわかりました。じゃあ届出ってどうすればいいんですか?
あおい(元・医療事務)
児童思春期支援指導加算は「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが前提です。届出済みであれば算定候補になりますが、未届出の場合はまず地方厚生(支)局への届出から検討する流れになります。
みらい(新人医療事務)
届出には人数の要件みたいなものもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)の疑義解釈では、「当該保険医療機関が過去6か月間に初診を実施した20歳未満の患者の数が、月平均8人以上であること」という施設基準の数値要件が示されていました。この「初診を実施した20歳未満の患者の数」は、初診料の算定有無にかかわらず、医学的に初診と言われる診療行為が行われた20歳未満の患者数を指すとされています。この数値要件が令和8年度の施設基準でも同様に適用されるかどうかは、最新の告示・施設基準通知で確認が必要です。
人数要件は自院の実績で確認
「月平均8人以上」という基準は前回改定(令和6年度)の疑義解釈で示されたものです。過去6か月の実績で一時的に基準を下回った場合の扱い(過去1年以内の連続する6月で判断する経過措置)も示されていましたが、期限や取扱いが変わっている可能性があるため、届出前に必ず最新の一次資料・地方厚生局への確認が必要です。
算定タイミング・回数制限・併算定の注意
みらい(新人医療事務)
算定するときに気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
併算定できない加算があります。一次資料には「イの(1)及びロの(1)については、1回に限り算定する。また、注3又は注4に規定する加算を算定した場合は、算定しない」とあります。
みらい(新人医療事務)
注3と注4って何ですか?
あおい(元・医療事務)
注3は「20歳未満の患者に対して通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内の期間に行った場合に限る)は、320点を所定点数に加算する」という加算です。注4は児童思春期精神科専門管理加算のことで、特定機能病院や児童・思春期精神科入院医療管理料の届出医療機関などが対象になる別の加算です。児童思春期支援指導加算とこれらは同時に算定できない関係にあります。
併算定の除外関係
児童思春期支援指導加算(注10)は、注3(20歳未満加算320点)・注4(児童思春期精神科専門管理加算)と同時算定できません。どの加算が自院の患者に該当するかは、算定区分ごとに整理して確認する必要があります。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算、前の改定から変わったところはあるんですか?
あおい(元・医療事務)
児童思春期支援指導加算は令和6年度(2024年度)改定で新設された加算です。当サイトが確認した一次資料の範囲では、令和6年度に新設された点数区分・算定要件の枠組みが、令和8年度(2026年度)の医科点数表・留意事項通知にもそのまま引き継がれており、点数や算定要件についての主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。
前回→今回の位置づけ
令和6年度(2024年度)改定: 児童思春期支援指導加算1・2として新設。施設基準(研修修了医師・専任職種・担当患者数上限等)も同時に規定。 令和8年度(2026年度)改定: 一次資料で確認した範囲では、点数区分・算定要件の枠組みに変更は見当たりません。ただし施設基準の数値要件(初診患者数の基準等)の最新の適用状況は、自院の届出時に必ず確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちで確認するとしたら、どんな順番で見ていけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
こんな順番で確認していくとスムーズですよ。
自院で確認する順番
- 対象患者が、通院精神療法(I002の「1」)を算定する20歳未満の患者かどうかを確認する
- 自院が児童思春期支援指導加算の施設基準の届出を行っているか(研修修了医師・専任の看護師等の配置)を確認する
- 支援計画の作成体制、概ね3月に1回のカンファレンス実施体制、担当患者数(週30人以内)の管理体制が整っているかを確認する
- 注3・注4の加算を同月内に算定していないか、併算定の可否を確認する
- 上記が整理できたら、算定候補として地方厚生局への届出・レセプト記載を検討する

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
現場でありがちな見落としって、どんなものがありますか?
あおい(元・医療事務)
よくあるのはこのあたりです。
取り漏れ・確認ポイント
在宅精神療法での算定: この加算は「通院精神療法(1)」を算定する患者が前提です。在宅精神療法(2)を算定しているケースでの取り扱いは、一次資料の文言上は含まれていないため要確認です。
高点数区分の複数回算定: 「60分以上・初診から3月以内」の区分(1,100点・500点)は1回限りです。同じ患者に繰り返し算定していないか確認が必要です。
注3・注4との重複算定: 同じ患者・同じ月に、20歳未満加算(注3)や児童思春期精神科専門管理加算(注4)と重ねて算定していないか確認が必要です。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。