みらい(新人医療事務)
先生、「措置入院後継続支援加算」って名前を初めて見たんですけど、これってどんな加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神科の通院・在宅精神療法に関係する加算ですよ。令和8年度(2026年度)の医科点数表で、I002通院・在宅精神療法の注7に規定されている加算です。措置入院を経て退院した患者さんを、退院後も継続して支援するための評価なんです。
みらい(新人医療事務)
「措置入院」というのはどういう入院なんですか?
あおい(元・医療事務)
精神保健福祉法第29条または第29条の2の規定にもとづく入院措置のことです。退院後は、都道府県等が作成する支援計画にもとづいて通院を続けるケースがあり、その支援期間中の患者さんを対象にした加算になります。
措置入院後継続支援加算とは
みらい(新人医療事務)
まず、どんな時にこの加算がつくのか教えてください。
あおい(元・医療事務)
令和8年度の医科点数表I002の注7に、こう規定されています。
点数表の規定(I002注7・令和8年度)
対象患者: 通院・在宅精神療法「1」のイを算定する患者(措置入院を経て退院し、都道府県等作成の支援計画にもとづく支援期間にある患者) 実施者: 医師の指示を受けた看護師、准看護師または精神保健福祉士 内容: 月に1回以上、療養の状況等を踏まえた治療・社会生活等に係る助言または指導を継続して実施 点数: 275点(3月に1回に限り所定点数に加算)
みらい(新人医療事務)
「通院・在宅精神療法の1のイ」というのがよくわからないんですが……。
あおい(元・医療事務)
通院・在宅精神療法にはいくつか区分があって、「1のイ」は、精神保健福祉法上の入院措置を経て退院した患者さんで、都道府県等が作成した退院後支援計画にもとづく支援期間にある方を、その計画で療養担当とされている保険医療機関の精神科医師が診療した場合を指します。この「1のイ」を算定している患者さんが、措置入院後継続支援加算の対象になる、という組み立てです。
点数・算定単位(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
はい、テーブルにまとめますね。
| 項目 | 内容(令和8年度) |
|---|---|
| 点数 | 275点 |
| 算定単位 | 3月に1回に限り所定点数に加算 |
| 対象区分 | 通院・在宅精神療法「1」のイを算定する患者 |
| 実施者 | 医師の指示を受けた看護師・准看護師または精神保健福祉士 |
| 実施頻度 | 月に1回以上の助言・指導 |

みらい(新人医療事務)
月1回以上の指導をしていれば、毎月275点がもらえるわけじゃないんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。実施自体は月1回以上ですが、加算として算定できるのは3月に1回だけです。ここは取り違えやすいポイントなので、レセプトを作る段階で必ず確認してくださいね。
対象患者・対象医療機関
みらい(新人医療事務)
どんな医療機関で算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが把握している範囲では、診療所・病院のいずれも対象で、外来・在宅(往診・訪問診療等)の場面が対象になります。入院中の患者さんは対象外です。「措置入院後」という名前のとおり、退院してからの継続支援を評価する加算なので、入院中の算定は想定されていません。
みらい(新人医療事務)
つまり、精神科の外来をやっている診療所や病院であれば、候補になりうるということですか?
あおい(元・医療事務)
候補になりうるのは、あくまで「通院・在宅精神療法の1のイ」を算定している患者さんを診ている場合です。措置入院からの退院者で、都道府県等の支援計画にもとづく支援期間にある方が実際に通院しているかどうかがまず前提になります。該当する患者さんがいなければ、そもそも算定の機会自体が生じません。
誰が・何を・どのくらいの頻度でやるのか(算定要件)
みらい(新人医療事務)
具体的にどんな行為をすれば要件を満たすんですか?
あおい(元・医療事務)
留意事項通知(保医発0305第6号)の(21)に、もう少し詳しい要件が書かれています。引用しますね。
留意事項通知(21)の要件(令和8年度)
「注7」に規定する措置入院後継続支援加算は、通院・在宅精神療法の「1」のイを算定する患者に対し、医師の指示を受けた看護職員又は精神保健福祉士が、対面又は電話で、月1回以上の指導を行った上で、3月に1回以上の頻度で当該患者の退院後支援について総合調整を担う都道府県等に対し、当該患者の治療や生活の状況及びより一層の支援が必要と考えられる課題について、文書で情報提供している場合に、3月に1回に限り算定できる、とされています。診療録等において毎回の指導内容を記載するとともに、都道府県等への情報提供の写しを記録することも求められています。
みらい(新人医療事務)
指導だけじゃなくて、都道府県への報告もセットなんですね。
あおい(元・医療事務)
そうなんです。要件は、①対面または電話で月1回以上の指導を行うこと、②3月に1回以上の頻度で都道府県等(退院後支援の総合調整を担う機関)に対し文書で情報提供すること、③診療録に毎回の指導内容を記載すること、④都道府県等への情報提供の写しを記録すること、の4つがセットになっています。どれか1つだけをやっていればよい、という組み立てではなさそうです。テーブルにも整理しておきますね。
| No. | 要件 | 頻度 |
|---|---|---|
| ① | 対面または電話での指導 | 月1回以上 |
| ② | 都道府県等への文書での情報提供 | 3月に1回以上 |
| ③ | 診療録への毎回の指導内容の記載 | 指導のたび |
| ④ | 都道府県等への情報提供の写しの記録 | 情報提供のたび |
記録・算定タイミングの注意
みらい(新人医療事務)
記録面で気をつけることはありますか?
あおい(元・医療事務)
はい。同じ留意事項通知(21)には、指導等を実施した月の翌月以降に通院・在宅精神療法を行った場合でも算定して差し支えないとされていて、指導等を行った月と算定する月が異なる場合には、診療報酬明細書の摘要欄に指導等を行った月を記載することとされています。
みらい(新人医療事務)
レセプトの摘要欄に書く欄が決まっているんですか?
あおい(元・医療事務)
レセプト電算処理システム用コードの資料にも、I002注7の措置入院後継続支援加算について「指導等を行った月と算定する月が異なる場合、指導等を行った年月日を記載すること」という記載事項があり、対応するコード(850100241)が割り当てられています。実務では、指導を行った月と、実際に275点を算定する月がずれることがある前提で運用が組まれている、と理解しておくとよさそうです。
よくある取り漏れ
指導は毎月しているのに算定を忘れる: 月1回以上の指導自体は継続していても、3月に1回のタイミングで算定し忘れるケースが考えられます。3月に1回のサイクルを別途管理する仕組みが必要です。 都道府県等への情報提供の記録が残っていない: 指導記録はあっても、都道府県等への文書提供の写しが診療録に残っていないと、要件を満たしているかの確認自体ができなくなります。
施設基準・届出について
みらい(新人医療事務)
施設基準の届出は必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
当サイトが確認した令和8年度の点数表の範囲では、I002の注7(措置入院後継続支援加算)に、他の注(たとえば注8の療養生活継続支援加算や注9の心理支援加算など)にあるような「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において」という届出要件の記載は確認できませんでした。
みらい(新人医療事務)
じゃあ届出なしで算定できるということですか?
あおい(元・医療事務)
そう断定はできません。点数表の注7自体に届出要件の記載が見当たらない、というのが確認できた事実です。実際に自院で算定できるかどうかは、通院・在宅精神療法そのものの届出状況や、他の要件も含めて、最終的には自院の届出状況と公式資料、審査支払機関で確認していただくのが確実です。
精神科措置入院退院支援加算との違い
みらい(新人医療事務)
似たような名前の加算を見た気がするんですが……。
あおい(元・医療事務)
精神科措置入院退院支援加算 のことですね。名前が似ていますが、算定される場面が違います。整理してみましょう。
| 項目 | 措置入院後継続支援加算 | 精神科措置入院退院支援加算 |
|---|---|---|
| 場面 | 退院後の外来・在宅での継続支援 | 入院中〜退院時の支援 |
| 区分 | I002 通院・在宅精神療法 注7 | A246-2 精神科入退院支援加算 注2 |
| 対象患者 | 通院・在宅精神療法「1」のイを算定する患者 | 措置入院・緊急措置入院に係る患者 |
みらい(新人医療事務)
入院側と外来側で、それぞれ都道府県等と連携する加算がある、というイメージですか?
あおい(元・医療事務)
そういう整理の仕方もできそうですね。ただし、それぞれ算定要件や対象患者の定義は別の区分番号で個別に規定されているので、両方に該当するかどうかは別々に確認する必要があります。似ているからといって、片方の要件で自動的にもう片方も満たされる、というものではありません。
みらい(新人医療事務)
同じI002の中には、他にどんな項目があるんですか?
あおい(元・医療事務)
隣接する区分番号として 精神科継続外来支援・指導料 があります。こちらは入院中の患者さん以外に対して、病状や服薬状況、副作用の確認を主とした支援を行った場合の項目で、措置入院後継続支援加算とは対象や算定要件が異なります。混同しないよう、それぞれの記事で個別に確認することをおすすめします。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で対象になりそうか、順番に確認したいです。
あおい(元・医療事務)
まとめると、こんな順番になります。
自院で確認する順番
- 通院・在宅精神療法を算定している患者の中に、措置入院を経て退院し、都道府県等作成の支援計画にもとづく支援期間にある方(1のイ該当)がいるかを確認する
- 医師の指示のもと、看護師・准看護師・精神保健福祉士が月1回以上、対面または電話で療養状況を踏まえた指導ができる体制があるかを確認する
- 3月に1回以上の頻度で、退院後支援の総合調整を担う都道府県等へ文書で情報提供できる運用になっているかを確認する
- 診療録に毎回の指導内容と、都道府県等への情報提供の写しを記録する仕組みがあるかを確認する
- 指導月と算定月がずれる場合に、レセプト摘要欄へ指導等を行った月を記載する運用になっているかを確認する

みらい(新人医療事務)
この5つが揃えば、算定候補になりそうですね。
あおい(元・医療事務)
候補にはなりそうですが、最終的には自院の届出状況や、実際の運用が要件どおりに回っているかを個別に確認する必要があります。特に都道府県等とのやり取りは、自院だけで完結しない部分なので、地域の担当窓口との連携体制も含めて確認しておくと安心です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この加算は前の改定(令和6年度)から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)時点でのこの区分の点数・要件について、当サイトが確認した一次資料の範囲では、変更の有無を特定できていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。令和8年度の医科点数表I002注7では、275点・3月に1回という算定要件が規定されていることは確認できています。前回改定からの新設・変更・据え置きのいずれであるかを含め、正確な経緯を確認したい場合は、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定に関する公式資料(新旧対照表等)を直接ご確認ください。
改定差分は当サイトの確認範囲に限られます
改定差分の記載は、当サイトが照合できた一次資料の範囲にとどまります。「変更なし」と明言できる資料が確認できていない場合は、断定を避けて「確認できていません」と記載しています。正確な新旧比較が必要な場合は、厚生労働省の官報告示・新旧対照表を直接ご確認ください。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省の公式資料を根拠にしています。詳細な算定要件・届出の要否は、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚生労働省公式・令和8年度)
- 医科診療報酬点数表 I002 通院・在宅精神療法(令和8年度告示): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 医科診療報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日 保医発0305第6号・留意事項通知): https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/000433602.pdf
- 診療報酬明細書の記載要領等(レセプト電算処理システム用コード): https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707506.pdf
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。