みらい(新人医療事務)
「遠隔画像診断」っていう言葉を最近よく聞くんですけど、これって普通の画像診断とは別の加算なんですか?うちみたいな診療所でも関係あるものでしょうか。
あおい(元・医療事務)
いい質問ですね。遠隔画像診断は、単独の点数がある加算というより「離れた医療機関の医師に読影・診断を任せる仕組み」のことなんです。令和8年度(2026年度)の医科点数表では、第4部画像診断の通則6〜8にこの仕組みが規定されています。まずはその全体像から見ていきましょう。
遠隔画像診断とは何か
みらい(新人医療事務)
「仕組み」というのは、具体的にどういうことですか?
あおい(元・医療事務)
撮影を行った医療機関(送信側)が、画像を伝送して、別の医療機関(受信側)の医師に読影・診断してもらう、という流れです。厚生労働省の告示にはこう書かれています。「遠隔画像診断による画像診断(区分番号E001、E004、E102又はE203に限る。)を行った場合については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関間で行われた場合に限り算定する」とされています。
みらい(新人医療事務)
「E001」とか「E203」というのは何ですか?
あおい(元・医療事務)
医科点数表の区分番号です。E001は写真診断、E004は基本的エックス線診断料、E102は核医学診断、E203はコンピューター断層診断(CT・MRIなど)を指します。つまり遠隔画像診断が使えるのは、この4つの区分に関する読影・診断に限られる、ということですね。
みらい(新人医療事務)
なるほど。どんな医療機関でも、この仕組みを使えばすぐに算定候補になるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に考えたいところです。送信側・受信側の両方が、それぞれ施設基準に適合して地方厚生局長等に届け出ている保険医療機関同士でなければ算定できません。届出のない医療機関同士のやり取りは対象外になる可能性があります。
対象医療機関・対象患者/場面
みらい(新人医療事務)
どういう医療機関の組み合わせで使われることが多いんですか?
あおい(元・医療事務)
典型的には、CTやMRIの撮影はできるけれど常勤の放射線科医がいない診療所や病院(送信側)が、画像診断を専門に行う体制を持つ医療機関(受信側)に読影を依頼するケースです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、対象医療機関は診療所・病院どちらも含まれ、外来・入院いずれの患者の画像診断にも関わり得ます。
みらい(新人医療事務)
在宅の患者さんの画像診断でも使えますか?
あおい(元・医療事務)
遠隔画像診断そのものは「施設間で読影を任せる仕組み」なので、在宅療養の枠組みとは別物です。対象になるかどうかは、あくまで撮影を行った医療機関がE001・E004・E102・E203のどの区分の画像診断を行ったか、という点で判断されます。個別の患者ケースでの適用は、自院の状況を踏まえて確認が必要です。
点数・区分(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
点数はどうなっているんですか?
あおい(元・医療事務)
遠隔画像診断そのものに専用の点数があるわけではなく、条件を満たすと「画像診断管理加算」を算定できる、という形です。下の表にまとめました。
| 通則 | 算定できる加算 | 点数(月1回) | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 通則6 | 画像診断管理加算1 | 70点 | 受信側が通則4号(加算1)の届出医療機関で、専ら画像診断を担当する常勤医師が読影・報告 |
| 通則7 | 画像診断管理加算2(一部委託を行う場合) | 166点 | 送信側が加算2届出・受信側が加算2/3/4いずれかの届出医療機関 |
| 通則8 | 画像診断管理加算2 | 175点 | 受信側が通則5号(加算2)の届出医療機関 |
| 通則8 | 画像診断管理加算3 | 235点 | 受信側が通則5号(加算3)の届出医療機関 |
| 通則8 | 画像診断管理加算4 | 340点 | 受信側が通則5号(加算4)の届出医療機関 |
みらい(新人医療事務)
加算2に「一部委託を行う場合」という括弧書きがあるのが気になります。
あおい(元・医療事務)
これは、送信側自身も画像診断管理加算2の届出をしていて、一部の読影だけを受信側に委託するケースの点数です。告示ではこう定められています。「区分番号E102に掲げる画像診断及び区分番号E203に掲げる画像診断のそれぞれについて月1回に限り、画像診断管理加算2(一部委託を行う場合)として、166点を所定点数に加算する」。すべて任せる場合(通則8)と、一部だけ任せる場合(通則7)で点数の枠組みが分かれている、というイメージです。

施設基準
みらい(新人医療事務)
送信側と受信側、それぞれどんな施設基準が必要になるんですか?
あおい(元・医療事務)
共通して言えるのは「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関間で行われた場合に限り算定する」という点です。当サイトが収録している一次資料の範囲では、受信側の医療機関において画像診断を専ら担当する常勤の医師が読影・診断を行い、その結果を文書等で送信側に報告することが要件として示されています。
みらい(新人医療事務)
「専ら担当する常勤の医師」というのは、他の業務を兼務していたら駄目なんですか?
あおい(元・医療事務)
これは似た仕組みの画像診断管理加算1・2の施設基準についての疑義解釈ですが、参考になります。「勤務時間のうち少しでも外来診療を担当している場合は、一切認められないのか」という質問に対して、「勤務時間の大部分において、それぞれ臨床検査、画像診断又は病理診断に携わる業務を行っていれば差し支えない」と回答されています。完全な専従でなくても、大部分の勤務時間を画像診断業務に充てていれば認められる、という整理ですね。ただしこれは遠隔画像診断そのものに関する疑義解釈ではないため、自院のケースに当てはまるかは個別の確認が必要です。
施設基準に関する参考情報
前回改定(令和6年度)に示された疑義解釈では、遠隔画像診断の施設基準にある「関係学会の定める指針に基づく画像診断管理を行っていることが望ましい」という記載について、「日本医学放射線学会の『保険診療における遠隔画像診断の管理に関する指針』を指す」と回答されています。「望ましい」とされる要件であり、必須要件とは書き分けられている点に注意してください。この解釈が令和8年度時点でも有効かは、最新の疑義解釈でご確認ください。
届出要否
みらい(新人医療事務)
届出は必ず必要なんですよね?
あおい(元・医療事務)
そうです。遠隔画像診断の枠組みは「施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関間」であることが前提になっています。送信側・受信側のどちらか一方でも届出をしていなければ、この仕組みでの算定候補にはなりません。届出済みであれば候補になる、という考え方で自院の状況を確認してみてください。
算定タイミング・請求主体の注意点
みらい(新人医療事務)
点数は送信側と受信側、どちらが請求するんですか?
あおい(元・医療事務)
ここは見落としやすいポイントです。当サイトが収録している一次資料の範囲では、「遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画像診断管理加算(当該加算の算定要件を満たす場合に限る。)を算定できる。受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする」とされています。つまり保険請求そのものは送信側(患者を診ている医療機関)が行い、受信側への支払いは医療機関同士の合議による、という整理です。
送信側自身の施設基準にも注意
過去の疑義解釈(平成24年度)では、送信側の医療機関が画像診断管理加算2の施設基準を届け出ていない場合、受信側が届出をしていても、64列以上のマルチスライスCT装置や3テスラ以上のMRI装置による撮影加算(高い区分の点数)は算定できないと回答されています。「遠隔画像診断だから受信側の体制だけ確認すればよい」ではなく、撮影を行う送信側自体の届出状況も確認が必要です。

よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れとして多いのはどんなケースですか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
確認しておきたいポイント
受信側の届出区分: 受信側が届け出ている加算区分(1・2・3・4のどれか)によって、算定できる加算が変わります。受信側の届出が加算1しかない場合、E102・E203について加算2〜4を算定候補にすることはできません。 送信側の撮影機器の届出: 高度な撮影機器(64列以上マルチスライスCT・3テスラ以上MRIなど)を使う場合、送信側自身の施設基準届出状況も影響します。 報告の文書化: 受信側の医師が読影・診断した結果を、文書等で送信側に報告した記録が残っているかどうかも確認が必要です。
令和8年度改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
この仕組み、前回の改定から何か変わったんですか?
あおい(元・医療事務)
前回改定(令和6年度)からの主な変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚生労働省の一次情報の範囲)。通則6〜8で定める送信側・受信側の施設基準の枠組みや、画像診断管理加算1・2(一部委託を行う場合)・2・3・4の点数構成は、当サイトが収録している令和8年度告示の範囲では大きな変更が見当たりません。ただし施設基準の細部や疑義解釈は随時更新される可能性があるため、届出前には最新の公式資料を確認することをおすすめします。
改定前後の考え方の整理
令和6年度・令和8年度いずれの時点でも、遠隔画像診断は「送信側・受信側とも届出済みであることが前提」という基本構造は共通しています。年度をまたいで検討する場合は、それぞれの年度の告示・施設基準通知で最新の要件を確認してください。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
自院で確認する場合、どんな順番で見ていけばいいですか?
自院で確認する順番
自院(または依頼予定の医療機関)が、画像診断管理加算1・2・3・4のいずれかの施設基準を届け出ているか確認する 依頼先の医療機関(または自院)も、届出済みの保険医療機関かどうかを確認する どちらが送信側(撮影)で、どちらが受信側(読影)になるかを整理する 受信側で読影・診断を行う医師が、画像診断を専ら担当する常勤の医師にあたるか確認する 読影結果を文書等で送信側に報告する体制・記録の仕組みがあるか確認する 高度な撮影機器を使う場合は、送信側自身の施設基準届出状況もあわせて確認する
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。