みらい(新人医療事務)
先輩、うちの検査室から「検体検査管理加算(Ⅰ)」の届出について聞かれたんですけど、私、区分がⅠ〜Ⅳまであるのがこんがらがっていて…。今日は「Ⅰ」だけ、整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
いいですよ。検体検査管理加算は同じ区分番号D026の中にⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4段階があって、それぞれ点数も施設基準も別物です。今日は令和8年度(2026年度)の内容で、Ⅰだけに絞って一つずつ確認していきましょう。
みらい(新人医療事務)
お願いします! まず、そもそもこの加算って何のためのものなんですか?
あおい(元・医療事務)
検体検査(血液や尿などを調べる検査)を行う際に、院内で検査の精度管理や体制整備がきちんとできている医療機関を評価するための加算です。検査の質を担保する体制を届出・維持していることが前提になります。
検体検査管理加算(Ⅰ)とは
みらい(新人医療事務)
「Ⅰ」は4段階のうちで一番軽い区分ということですか?
あおい(元・医療事務)
点数だけで見ればそうなります。検体検査管理加算(Ⅰ)は40点で、Ⅱ・Ⅲ・Ⅳはそれぞれ100点・330点・550点と点数が上がっていきます。ただし「軽い」からといって届出や施設基準の確認が不要というわけではありません。届出をしていない医療機関がいきなり算定候補になるわけではない、という点は変わりません。
みらい(新人医療事務)
なるほど、点数の大小と「確認のいらなさ」は別問題なんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。まず点数の全体像を見てから、対象・施設基準・注意点の順に確認していきましょう。
点数はいくらですか(令和8年度)
みらい(新人医療事務)
それじゃあ、まず点数の一覧を教えてください。
あおい(元・医療事務)
厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において検体検査を行った場合に、患者1人につき月1回に限り、次の点数が所定点数に加算される区分です。
| 区分 | 点数 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 検体検査管理加算(Ⅰ) | 40点 | 診療所・病院、外来・入院とも |
| 検体検査管理加算(Ⅱ) | 100点 | 病院、入院中の患者に限る |
| 検体検査管理加算(Ⅲ) | 330点 | 病院、入院中の患者に限る |
| 検体検査管理加算(Ⅳ) | 550点 | 病院、入院中の患者に限る |

みらい(新人医療事務)
あれ、ⅡからⅣは「入院中の患者に限る」って書いてありますけど、Ⅰにはその注記が無いんですね。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。実はそこがⅠと他の区分との一番の違いです。次の対象のところで詳しく見ていきましょう。
対象医療機関・対象患者
みらい(新人医療事務)
対象医療機関と対象患者、Ⅰの場合はどうなりますか?
あおい(元・医療事務)
告示の条文では、患者について「検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)及び検体検査管理加算(Ⅳ)については入院中の患者に限る」という限定が明記されています。裏を返すと、検体検査管理加算(Ⅰ)にはこの入院限定が書かれていません。そのため診療所・病院のいずれでも、外来・入院どちらの患者についても算定候補になり得る区分です。
みらい(新人医療事務)
在宅の患者さんはどうですか?
あおい(元・医療事務)
在宅医療の場面は、この記事で扱っている検体検査管理加算の対象には含まれていません。あくまで医療機関内で検体検査を行った場合の加算という位置づけです。在宅患者への適用可否は、自院の算定状況に応じて個別に確認が必要です。
みらい(新人医療事務)
診療所でも算定候補になるとのことですが、規模の小さいクリニックでも大丈夫なんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
規模そのものよりも、届出と施設基準を満たしているかどうかが判断材料です。「小規模だから対象外」「病院だから当然算定候補」と決めつけず、次の施設基準のところで確認のポイントを見ていきましょう。
施設基準と届出
みらい(新人医療事務)
施設基準の中身って、具体的にどんなことが求められるんですか?
あおい(元・医療事務)
条文では「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」であることが求められると規定されています。届出が受理されていない場合、算定候補にはなりません。
みらい(新人医療事務)
施設基準の細かい中身は、ⅠからⅣまで全部同じなんですか?
あおい(元・医療事務)
いいえ、そこは区分によって違います。疑義解釈では、検体検査管理加算(Ⅱ)(Ⅲ)及び(Ⅳ)の施設基準にある「検体検査結果の判断の補助」「院内検査に用いる検査機器及び試薬の管理」について、パニック値の設定・運用や検査精度管理に関する委員会の運営などを指すと説明されています。また、検体検査管理加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)では「臨床検査を専ら担当する医師」の配置が施設基準に含まれ、この医師は病理診断を専ら担当する医師との兼任が不可とされています。
みらい(新人医療事務)
ということは、ⅡやⅢ・Ⅳで出てくる「専任医師」や「判断の補助体制」の話は、Ⅰにそのまま当てはまるわけではないんですね。
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。これらの疑義解釈は検体検査管理加算(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)の施設基準について説明したもので、検体検査管理加算(Ⅰ)固有の施設基準の細目については、当サイトが確認した一次資料の範囲では確認できていません。Ⅰの施設基準の具体的な要件は、届出の際に地方厚生局へ確認するか、施設基準に関する告示・通知の原文で確認することをおすすめします。
確認ポイント(Ⅰと他区分の施設基準の違い)
届出の有無: 検体検査管理加算(Ⅰ)も届出済みであることが前提で、未届出のままでは算定候補になりません。 上位区分との混同に注意: 「専任の臨床検査医師」「判断の補助体制」は疑義解釈上、検体検査管理加算(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)の施設基準に関する説明であり、Ⅰの要件として当てはめて良いかは別途確認が必要です。 細目は一次資料で確認: Ⅰの具体的な施設基準の条文は、届出時に地方厚生局や施設基準通知の原文で確認してください。
検体検査管理加算のⅠ〜Ⅳの違いと併算定の注意
みらい(新人医療事務)
点数も対象も違うのはわかったんですが、同じ月にⅠとⅡを両方算定する、みたいなことはできるんですか?
あおい(元・医療事務)
それはできません。告示では「いずれかの検体検査管理加算を算定した場合には、同一月において他の検体検査管理加算は、算定しない」と明記されています。つまりⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳは同一患者・同一月ではどれか1つしか算定候補になりません。
併算定の注意(Ⅰ〜Ⅳは同一月に1区分のみ)
検体検査管理加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ)は、同一患者について同一月に重複して算定する対象外の可能性が高い組み合わせです。届出上は複数区分の基準を満たしていても、実際にレセプトへ計上できるのはそのうちの1区分に限られる点を、算定前に確認してください。
みらい(新人医療事務)
あと、点数表を見ていたら「国際標準検査管理加算」というのも出てきたんですが、これはⅠにも関係ありますか?
あおい(元・医療事務)
そこも取り違えやすいところです。国際標準検査管理加算は、検体検査管理加算(Ⅱ)、検体検査管理加算(Ⅲ)又は検体検査管理加算(Ⅳ)を算定した場合に限り、別の施設基準に適合し届け出ていれば40点を加算できる仕組みです。条文上、検体検査管理加算(Ⅰ)はこの加算の対象として挙げられていません。詳しくは国際標準検査管理加算のページで確認できますが、Ⅰを算定している医療機関がそのまま対象になるわけではない点に注意してください。
みらい(新人医療事務)
同じD026の中には、骨髄像診断加算みたいな別の加算もありましたよね?
あおい(元・医療事務)
はい、骨髄像診断加算や免疫電気泳動法診断加算も同じD026(検体検査判断料)の区分内にある別の注に基づく加算です。これらは検体検査管理加算(Ⅰ〜Ⅳ)とは算定要件が異なる別枠の加算なので、名前が近いからと混同せず、それぞれ個別に施設基準・要件を確認してください。
令和8年度改定での変更点
みらい(新人医療事務)
前回の改定から、検体検査管理加算(Ⅰ)の点数や要件は変わったんでしょうか?
あおい(元・医療事務)
今回、当サイトが確認できた一次資料(令和8年度の告示・疑義解釈)の範囲では、検体検査管理加算(Ⅰ)について前回改定からの点数・算定要件の変更は確認されていません(確認日: 2026年8月・厚労省一次情報ベース)。ただし、これは「当サイトが確認した範囲」での話です。施設基準の細目や様式の変更点については、自院の届出内容と最新の告示・通知を照らし合わせて確認することをおすすめします。
みらい(新人医療事務)
「変更なし」と決めつけないほうがいいということですね。
あおい(元・医療事務)
そうですね。点数が同じでも、施設基準の運用が変わることもあります。届出済みの医療機関でも、年に一度は施設基準の充足状況を見直しておくと安心です。
自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの医療機関がこの加算の算定候補になるか、どう確認していけばいいですか?
あおい(元・医療事務)
次の順番で確認していくとわかりやすいです。
自院で確認する順番
- 検体検査管理加算に関する施設基準に適合しているかを確認する
- 地方厚生局長等への届出が受理されているかを確認する
- 対象となる患者に検体検査を実施しているかを確認する(Ⅰは外来・入院とも対象、Ⅱ〜Ⅳは入院患者に限る)
- 患者1人につき月1回の算定候補であることを確認する
- 同一月に他の検体検査管理加算(Ⅱ〜Ⅳ)と重複して算定していないかを確認する

みらい(新人医療事務)
この順番なら、うちの検査室に聞くべきことも整理できそうです。
あおい(元・医療事務)
特に3番目と5番目は見落としやすいポイントです。検査の種類や回数にかかわらず月1回の加算というのも、レセプト担当としては確認しておきたいところですね。
よくある取り漏れ
よくある取り漏れ・確認漏れ
届出済みなのに未算定: 施設基準の届出は済んでいるのに、検査担当と算定担当の連携不足で算定漏れになっているケースがあります。 上位区分との混同: Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの施設基準(専任医師や判断の補助体制など)をⅠの要件と誤解し、必要以上に「うちは対象外」と判断してしまうケースがあります。 国際標準検査管理加算との混同: Ⅰを算定していても、国際標準検査管理加算(Ⅱ〜Ⅳが対象)は別枠のため、そのまま重ねて算定候補にはなりません。
公式情報・参考資料
あおい(元・医療事務)
この記事の内容は、以下の厚生労働省公式資料を根拠にしています。施設基準の細目や届出手続きは、必ず一次資料でご確認ください。
参考資料(厚労省公式・令和8年度ほか)
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示) D026検体検査判断料 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
- 疑義解釈資料の送付について(その1)(施設基準の運用解釈・厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21053.html
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
今日教えてもらったことを踏まえて、うちが本当に算定候補になるか、自分でも確認してみたいです。
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や検体検査の実施状況を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
この記事は令和8年度(2026年度)の診療報酬に基づいた解説です。最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。