みらい(新人医療事務)
先輩、レセプトのチェックをしていたら「放射線治療専任加算」という項目が出てきました。放射線治療管理料の注に書いてあるみたいなんですけど、これってどういう加算なんですか?
あおい(元・医療事務)
いいところに気づきましたね。放射線治療専任加算は、医科点数表のM000「放射線治療管理料」の注2に規定されている加算です。放射線治療を専ら担当する常勤の医師が、高エネルギー放射線治療または強度変調放射線治療(IMRT)について、照射計画の作成から照射中の患者管理、照射後の副作用管理までを含めた放射線科的管理を行った場合に、330点をM000の所定点数に上乗せする加算です。令和8年度(2026年度)の医科点数表に基づく内容ですよ。
みらい(新人医療事務)
330点も上乗せされるんですね。うちみたいな診療所でも算定候補になりますか?
あおい(元・医療事務)
残念ながら、放射線治療専任加算は病院を対象とした加算です。当サイトが収載している一次資料の範囲では、診療所は対象外の可能性が高い加算として整理されています。ただし最終的な対象範囲は自院の施設区分と届出状況で確認する必要がありますので、「対象外です」と言い切るのではなく、まずは自院が病院か診療所かを確認するところから始めてください。
放射線治療専任加算とはどんな加算か
みらい(新人医療事務)
そもそも、この加算は何のためにあるんですか?
あおい(元・医療事務)
高エネルギー放射線治療やIMRTは、照射計画の精度や照射中・照射後の管理体制が治療成績や副作用の少なさに直結します。そこで、放射線治療を専ら担当する常勤医師が責任を持って一連の管理を行う体制を評価するために設けられているのが、この加算だと理解しておくとよいでしょう。厚生労働省の告示ではこう定められています。
告示の該当条文(令和8年度医科点数表 M000 注2)
「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、患者に対して、放射線治療を専ら担当する常勤の医師が策定した照射計画に基づく医学的管理(区分番号M001の2に掲げる高エネルギー放射線治療及び区分番号M001の3に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)に係るものに限る。)を行った場合は、放射線治療専任加算として、330点を所定点数に加算する。」
みらい(新人医療事務)
なるほど、M000という点数の「注」に書かれている加算なんですね。単独で算定できるものじゃないんですか?
あおい(元・医療事務)
そのとおりです。放射線治療専任加算は単独の点数ではなく、あくまでM000放射線治療管理料に対する加算(上乗せ分)という位置づけです。ですので、M000本体を算定していることが前提になります。この構造を取り違えると、算定要件の確認漏れにつながりやすいので、注意しておきたいポイントです。
対象医療機関・対象患者・対象となる治療
みらい(新人医療事務)
対象になる医療機関や患者について、もう少し具体的に教えてください。
あおい(元・医療事務)
当サイトが収載している一次資料と、この加算概念の登録情報から分類すると、次のようになります。
| 区分 | 対象可否(当サイトの整理) |
|---|---|
| 診療所 | 対象外の可能性 |
| 病院 | 算定候補 |
| 入院患者 | 算定候補(要件充足時) |
| 外来患者 | 算定候補(要件充足時) |
| 在宅医療 | 対象外の可能性 |
みらい(新人医療事務)
入院でも外来でも対象になり得るんですね。それなら、外来放射線治療加算と混同しそうです。
あおい(元・医療事務)
よく気づきましたね。実はM000の注には、放射線治療専任加算(注2)のほかに、外来放射線治療加算(注3)、遠隔放射線治療計画加算(注4)という、名前も内容も異なる加算が並んで規定されています。似た名前の加算が同じ条文の中に並んでいるので、混同しないように主語を条文で確認する習慣をつけることが大切です。
似た名前の加算を混同しない
放射線治療専任加算(注2・330点)は「放射線治療を専ら担当する常勤の医師による医学的管理」を評価する加算です。一方、外来放射線治療加算(注3・患者1人1日につき1回限り100点)は「入院中の患者以外」を対象とした別の加算で、遠隔放射線治療計画加算(注4)はさらに別の医療機関と共同で治療計画を策定した場合の加算です。どれも高エネルギー放射線治療やIMRTに関係しますが、要件も点数もそれぞれ異なるため、自院がどの注に基づく加算を確認しているのか、条文の番号ごとに整理してから確認するようにしてください。
あおい(元・医療事務)
参考までに、外来放射線治療加算(注3)の条文も引用しておきます。
参考: 外来放射線治療加算(注3)の条文
「注2に規定する別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、放射線治療を必要とする悪性腫瘍の患者であって、入院中の患者以外のもの等に対して、放射線治療(区分番号M001の2に掲げる高エネルギー放射線治療及び区分番号M001の3に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)に係るものに限る。)を実施した場合に、外来放射線治療加算として、患者1人1日につき1回に限り100点を所定点数に加算する。」

点数と算定単位
みらい(新人医療事務)
点数の構造も整理してもらえますか?M000本体の点数がいくつかあるみたいで、混乱してしまって。
あおい(元・医療事務)
整理しましょう。M000放射線治療管理料は、照射の方法によって本体点数が変わり、そこに放射線治療専任加算330点が上乗せされる、という構造です。
| 区分 | 内容 | 点数(令和8年度) |
|---|---|---|
| M000 本体 | 1門照射、対向2門照射又は外部照射 | 2,700点 |
| M000 本体 | 非対向2門照射、3門照射又は腔内照射 | 3,100点 |
| M000 本体 | 4門以上の照射、運動照射、原体照射又は組織内照射 | 4,000点 |
| M000 本体 | 強度変調放射線治療(IMRT)による体外照射 | 5,000点 |
| M000 注2 | 放射線治療専任加算(上乗せ) | 330点 |
みらい(新人医療事務)
M000本体には「一連につき2回に限り」という制限があるみたいですが、専任加算にも同じ回数制限がかかるんですか?
あおい(元・医療事務)
そこは慎重に確認したいポイントです。M000本体(注1)には「分布図の作成1回につき1回、一連につき2回に限り算定する。ただし、子宮頸癌に対して行う場合は、一連の治療過程において4回まで算定できる」という回数制限が明記されています。一方で、放射線治療専任加算を定めた注2の条文自体には、加算そのものへの回数制限を明記する文言は、当サイトが収載する一次資料の範囲では確認できていません。専任加算はM000本体への上乗せという構造上、本体の算定単位に連動すると考えるのが自然ですが、断定はできませんので、実際の算定回数の取り扱いは審査支払機関や地方厚生局に確認することをおすすめします。
施設基準と届出(要確認のポイント)
みらい(新人医療事務)
施設基準はどうなっていますか?届出は必要ですか?
あおい(元・医療事務)
はい、届出が必要な加算です。条文にも「別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」と明記されていて、施設基準への適合と地方厚生局への届出が算定の前提になっています。
みらい(新人医療事務)
具体的にはどんな人員体制が必要なんですか?
あおい(元・医療事務)
告示と留意事項通知を照合すると、少なくとも「放射線治療を専ら担当する常勤の医師」が必須要件として明記されています。留意事項通知では、この加算の算定範囲についてさらに具体的に説明されています。
留意事項通知の該当箇所
「『注2』に規定する放射線治療専任加算は、『M001』体外照射の『2』に掲げる高エネルギー放射線治療又は『M001』体外照射の『3』に掲げる強度変調放射線治療(IMRT)の際に、放射線治療を専ら担当する医師により、照射計画の作成、照射中の患者の管理及び照射後の副作用管理を含めた放射線科的管理が行われた場合に限り算定する。」
みらい(新人医療事務)
医師以外の職種の要件はありますか?技師さんとかも関わりそうですが。
あおい(元・医療事務)
良い視点です。厚生労働省の疑義解釈でも、放射線治療専任加算に関連して「放射線治療を専ら担当する常勤の放射線技師」という表現が使われています。過去の疑義解釈(平成24年度)では、外来放射線照射診療料の専従の診療放射線技師と、放射線治療専任加算に係る「放射線治療を専ら担当する常勤の放射線技師」との兼任について問われ、「可能」と回答されています。この記述から、放射線治療専任加算の施設基準には、常勤の医師に加えて、専ら担当する常勤の診療放射線技師の配置も関わっていると考えられます。ただし、人員数や経験年数など詳細な基準の全文は、当サイトが収載する一次資料の範囲では確認できていない部分もあるため、届出前には施設基準の告示・通知原文を必ず直接ご確認ください。
施設基準は3値で確認する
放射線治療専任加算の施設基準は「常勤の専任医師」「常勤の専任放射線技師」「地方厚生局への届出」が関わることが一次資料から確認できています。ただし、具体的な人員数や経験年数の細目まで当サイトの資料だけで判断はできません。「基準を満たしているはず」と決めつけず、算定候補・要確認・対象外の可能性の3段階で自院の状況を整理することをおすすめします。
よくある兼任の疑問(疑義解釈より)
みらい(新人医療事務)
人員の兼任について、他にも疑義解釈が出ているんですか?
あおい(元・医療事務)
はい、いくつか公開されています。たとえば平成20年度の疑義解釈では、医療機器安全管理料における「放射線治療を専ら担当する常勤の医師」及び「精度管理を専ら担当する技術者」が、放射線治療専任加算の医師及び診療放射線技師と併任できるかが問われ、「可能である」と回答されています。
みらい(新人医療事務)
逆に、兼任できないケースもあるんですか?
あおい(元・医療事務)
あります。平成28年度の疑義解釈では、粒子線治療医学管理加算の施設基準に定める医学物理士について、外来放射線照射診療料や放射線治療専任加算等に定める診療放射線技師との兼任が可能かが問われ、「兼任することができない」と明確に回答されています。職種や加算の組み合わせによって可否が異なるため、自院で兼任体制を組む際は、該当する加算ごとに疑義解釈を個別に確認する必要があります。
改定での変更点(前回改定からの差分)
みらい(新人医療事務)
前回の改定から何か変わった点はありますか?
あおい(元・医療事務)
放射線治療専任加算について、前回改定(令和6年度)からの主な変更は、当サイトが収載する一次資料の範囲では確認されていません(2026年8月時点の確認)。点数・施設基準の考え方に大きな改定差分の記録が見当たらないため、現時点では令和8年度の内容がそのまま継続していると整理しています。ただし改定関連の告示・通知は随時更新される可能性がありますので、算定を検討する際は最新の一次資料もあわせてご確認ください。

自院で確認する順番
みらい(新人医療事務)
結局、うちの病院で確認すべき順番を整理してもらえますか?
あおい(元・医療事務)
では、放射線治療専任加算の確認手順をステップにまとめます。
自院で確認する順番
- 自院が病院か診療所かを確認する(診療所は対象外の可能性)
- 高エネルギー放射線治療またはIMRT(強度変調放射線治療)をM000管理料とあわせて実施しているかを確認する
- 放射線治療を専ら担当する常勤の医師が、照射計画の作成・照射中の患者管理・照射後の副作用管理までを一貫して担っているかを確認する
- 放射線治療を専ら担当する常勤の放射線技師の配置状況を確認する
- 施設基準の届出が地方厚生局に受理されているかを確認する
- 外来放射線治療加算・遠隔放射線治療計画加算など、似た名前の別の加算と要件を混同していないかを再確認する
よくある取り漏れ
みらい(新人医療事務)
取り漏れやすいポイントってありますか?
あおい(元・医療事務)
いくつかあります。
放射線治療専任加算でよくある取り漏れ
- 本体との紐付け漏れ: 放射線治療専任加算はM000本体への上乗せ加算です。M000本体の算定要件を満たしていない状態で加算だけを算定していないか確認してください。
- 担当医師の常勤性: 「専ら担当する常勤の医師」という要件を満たしているか、非常勤や兼務が多い体制になっていないか確認してください。
- 技師配置の見落とし: 医師の配置ばかりに注目し、専ら担当する常勤の放射線技師の配置状況の確認が漏れているケースがあります。
- 近縁加算との混同: 外来放射線治療加算(注3)や遠隔放射線治療計画加算(注4)と要件を取り違えていないか、条文の注番号単位で再確認してください。
みらい(新人医療事務)
施設基準を満たしていない場合はどうすればいいですか?
あおい(元・医療事務)
施設基準を満たしていない、あるいは満たしているか判断が難しい場合は、算定候補とせず「要確認」として扱ってください。無理に「対象外」と決めつける必要もありません。まずは地方厚生局への届出状況と、現在の人員配置を照らし合わせて確認するところから始めるのがよいと思います。
自院が算定候補か確認したい方へ
みらい(新人医療事務)
うちが算定候補になるか、自分でも確認してみたいです!
あおい(元・医療事務)
自院が算定候補になるかは 加算チェッカー で確認できますよ。届出状況や体制を入力すると、確認すべきポイントが整理できます。
最終確認のお願い
最終的な算定可否は、自院の届出状況・公式資料・審査支払機関の判断でご確認ください。